「かくりよの宿飯」レビュー：美味しい料理と魅力的なストーリーの融合

「かくりよの宿飯」 - 魅惑のあやかしと料理の世界

「かくりよの宿飯」は、2018年に放送されたTVアニメシリーズで、友麻碧による小説を原作としています。原作イラストはLaruhaが担当し、奥田佳子が監督を務めたこの作品は、GONZOによるアニメーション制作で、TOKYO MXやAT-Xなどで放送されました。全26話、各話30分というボリュームで、視聴者をあやかしと料理の魅惑の世界へと引き込んでいきます。

ストーリー

主人公の津場木葵は、亡き祖父から受け継いだあやかしを見る力を持つ女子大生です。ある日、突然あやかしが住む隠世（かくりよ）の老舗宿「天神屋」に攫われてしまいます。そこで、祖父が残した膨大な借金と、そのカタとして鬼神の大旦那に嫁入りする約束が交わされていたことを知ることになります。しかし、納得がいかない葵は婚姻を拒否し、天神屋で働いて借金を返済することを宣言します。この決意が、彼女の新たな生活の始まりとなります。

キャラクター

津場木葵（CV: 東山奈央）は、祖父譲りのあやかしを見る能力を持つ大学二年生の女子です。幼い頃、母親に置き去りにされ、飢えで果てようとしたところをあやかしに救われた経験から、お腹を空かせているものは人でもあやかしでも放っておけないという信念を持っています。料理が得意で、真っ直ぐな性格の持ち主です。

大旦那（CV: 小西克幸）は、鬼門の地である天神屋を治める鬼神です。長い時を生きている大妖怪で、かくりよを治める八葉の一角を担っています。従業員からは冷徹で残忍かつ懐が深いと評されていますが、品のある所作で飄々としており、本心を見せようとしません。数十年前に葵の祖父・史郎とある契約を交わしたようですが、その詳細は謎に包まれています。

銀次（CV: 土岐隼一）は、天神屋の招き狐とも呼ばれ、若旦那を務める九尾の狐です。端正な見た目と柔らかな物腰で、仕事もでき、非の打ちどころがないため、あらゆる部署から頼りにされています。変化の術を得意とし、九つの姿を使い分けることができます。

制作スタッフ

「かくりよの宿飯」の制作には、多くの才能あふれるスタッフが関わっています。シリーズ構成は金春智子、キャラクターデザインは佐藤陽子、あやかしデザインは草彅琢仁と乙幡忠志、総作画監督は鈴木光、プロップデザインは久原陽子と清水奏太郎、色彩設計は歌川律子、美術設定は中島美佳、特殊効果と2Dデザインは鳴河美佳、美術監督は中村典史、CGディレクターは永井努、撮影監督は北村直樹、編集は齋藤朱里、音響監督は郷文裕貴、音楽は伊賀拓郎、音楽制作はフライングドッグが担当しました。これらのスタッフの協力により、美しいビジュアルと魅力的なストーリーが生み出されました。

エピソード

各エピソードは、葵が天神屋での生活を通じて成長し、様々なあやかしと出会い、料理を通じて絆を深めていく物語が描かれています。以下に各話のサブタイトルを紹介します。

第一話: あやかしお宿に嫁入りします。(2018/04/02)
第二話: あやかしお宿で仕事見つけました。(2018/04/08)
第三話: かくりよの都にお出かけしました。(2018/04/16)
第四話: 雪女と土蜘蛛を介抱しました。(2018/04/23)
第五話: あやかしとの約束を忘れてはならぬ。(2018/04/30)
第六話: あやかしお宿で食事処はじめます。(2018/05/07)
第七話: 大旦那様と雨散歩。(2018/05/14)
第八話: 九尾の若旦那とお買い物。(2018/05/21)
第九話: 妖老夫婦の結婚記念日。(2018/05/28)
第十話: あやかしお宿に好敵手きました(2018/06/04)
第十一話: 湯守の濡れ女と師匠の不知火。(2018/06/11)
第十二話: 天神屋の地下に秘密あります。(2018/06/18)
第十三話: あやかしお宿の大宴会。(2018/06/25)
第十四話: 南の地から黒船来ました。(2018/07/02)
第十五話: あやかしお宿から攫われました。(2018/07/09)
第十六話: 双子の板前と雨女のお嬢様。(2018/07/16)
第十七話: 南の地の儀式の秘密。(2018/07/23)
第十八話: 天狗の親子の大喧嘩。(2018/07/30)
第十九話: 月の夜の銀の獣。(2018/08/06)
第二十話: 竜宮城の夢の跡。(2018/08/13)
第二十一話: 折尾屋の若女将と若旦那。(2018/08/20)
第二十二話: 雷獣の警告。(2018/08/27)
第二十三話: 封じられた力と開かれる心。(2018/09/03)
第二十四話: 玉の枝サバイバル。(2018/09/10)
第二十五話: あやかしたちと花火大会。(2018/09/17)
第二十六話: あやかしお宿に美味い肴あります。(2018/09/24)

音楽

「かくりよの宿飯」の音楽も作品の魅力を引き立てる重要な要素です。オープニングテーマは、東山奈央が歌う「灯火のまにまに」（1～9、11～14話）と、ナノが歌う「ウツシヨノユメ」（14～26話）の2曲が使用されました。エンディングテーマは、沼倉愛美の「彩 -color-」（1～2、4、6～7、9～12話）、大旦那の「願い花」（3話）、暁と鈴蘭の「時の砂」（5話）、白夜の「My sweet sweet love」（8話）、銀次の「風」（13話）、中島愛の「知らない気持ち」（15～17、19～20、22、24話）、葉鳥の「ヤシホノハナ」（18話）、秀吉の「恋守唄」（21話）、雷獣の「刹那の煌めき」（23話）、乱丸の「永遠の絆」（25話）の10曲が使用されました。また、挿入歌として東山奈央の「春色」（20話）が使用されました。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げ、視聴者の心を捉えました。