「忍の一時」レビュー：ストーリーとキャラクターの深みを探る

『忍の一時』 - シノビノイットキ - レビューと推薦

■概要

『忍の一時』は、2022年10月4日から12月20日まで放送されたTROYCA制作のオリジナルニンジャアクションアニメです。全12話で構成され、主人公の櫻羽一時が忍者の世界に身を投じる過程を描いています。放送はAT-X、TOKYO MX、BS朝日、CBCテレビで行われ、FODでのネット配信も行われました。

■ストーリー

忍者は存在しない。そう思っている普通の男子、高校生の櫻羽一時。しかし、彼の命が甲賀忍者によって狙われていることが発覚します。一時は、実は伊賀忍者の第19代正当後継者だったのです。伊賀と甲賀の長年の対立の中、一時は自らも忍者となることを決意し、忍者の世界に身を投じます。そこで彼は、忍者としての訓練を受け、仲間と共に戦い、数々の苦難に立ち向かっていきます。しかし、それは一時が辿る過酷な運命の序章に過ぎませんでした。

■キャラクター

主人公の櫻羽一時は、逢坂良太が声を担当しています。彼は普通の高校生から一転して忍者としての道を歩むことになります。一時の幼馴染である紅雪は白石晴香が演じ、常にマスクを着けていて寡黙なキャラクターです。伊賀忍者の加賀時貞は小西克幸が演じ、普段はサービスエリアで働いているが、実は現役最強の忍者として知られています。一時の忍術学園の友人である黄瀬川輝麗は悠木碧、鈴ノ音涼子は関根瞳が演じています。甲賀忍者の伴朱雀は坂泰斗、高嶺火村は八代拓が演じ、一時を敵視するキャラクターです。一時の母である櫻羽弓香は井上喜久子が演じ、伊賀第18代目頭首として登場します。その他にも、多くの個性的なキャラクターが登場し、物語を盛り上げています。

■制作スタッフ

監督は渡部周で、『アルドノア・ゼロ』や『Re:CREATORS』などの作品で知られています。シリーズ構成と脚本は高野水登が担当し、キャラクターデザインと総作画監督は鈴木勇が務めました。音楽はTOMISIROが担当し、DMMmusicが音楽制作を手掛けています。アニメーション制作はTROYCAが行い、製作は忍の一時製作委員会が担当しました。

■主題歌

オープニングテーマはハンブレッダーズの「光」で、作詞と作曲はハンブレッダーズが行いました。エンディングテーマは黒子首の「おぼえたて」で、作詞と作曲は堀胃あげは、編曲は黒子首と伊藤翼、江渡大悟が行いました。これらの楽曲は物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。

■放送情報

『忍の一時』は以下の放送局で放送されました。

AT-X：2022年10月4日～2022年12月20日、毎週火曜20:00～20:30
TOKYO MX：2022年10月4日～2022年12月20日、毎週火曜23:00～23:30
BS朝日：2022年10月7日～2022年12月23日、毎週金曜23:30～0:00
CBCテレビ：2022年10月23日～2023年1月22日、毎週日曜3:12～3:40

また、FODでのネット配信も行われました。

■エピソード

各エピソードのサブタイトルは以下の通りです。

第壱話：青天の霹靂（2022/10/04）
第弐話：慈悲なき選択（2022/10/11）
第参話：合縁奇縁（2022/10/18）
第肆話：作り手と使い手（2022/10/25）
第伍話：痛みの連鎖（2022/11/01）
第陸話：影とぬくもり（2022/11/08）
第漆話：正義はどこにある（2022/11/15）
第㭭話：黄昏は嵐を伴って（2022/11/22）
第玖話：暁が照らすもの（2022/11/29）
第拾話：奪われた者たち（2022/12/06）
第拾壱話：悔いなき道を（2022/12/13）
第拾弐話：忍の一時（2022/12/20）

■レビュー

『忍の一時』は、忍者の存在を信じていなかった普通の高校生が、突如として命を狙われ、自分が伊賀忍者の後継者であることを知るという衝撃的な展開から始まります。この作品は、忍者の世界を舞台にしながらも、人間ドラマや友情、成長といった普遍的なテーマを描いており、視聴者を引き込む力があります。

特に、主人公の一時が忍者としての訓練を受け、仲間と共に戦うシーンは見応えがあり、戦闘シーンのクオリティも高く評価されています。また、伊賀と甲賀の対立という歴史的な背景を巧みに取り入れ、物語に深みを持たせています。キャラクターの個性も豊かで、特に一時の幼馴染である紅雪や、現役最強の忍者である加賀時貞の存在感は大きいです。

音楽も物語を盛り上げる重要な要素となっており、オープニングテーマの「光」とエンディングテーマの「おぼえたて」は、視聴者の心に響くメロディーと歌詞で作品の世界観を引き立てています。監督の渡部周や脚本の高野水登、キャラクターデザインの鈴木勇など、スタッフの力量も光っており、TROYCAの制作力が遺憾なく発揮されています。

しかし、一部の視聴者からは、物語の展開がやや急ぎすぎているとの意見もあります。特に後半のエピソードでは、多くのキャラクターが登場し、ストーリーが複雑化する中で、視聴者がついていくのが難しいと感じる場面もありました。また、忍者の世界観を描く上で、現実離れした設定や技術が多く登場することに対して、リアリティを求める視聴者からは批判的な意見も見られました。