PSYCHO-PASS サイコパス3の深掘りレビュー：3期の魅力とは？

PSYCHO-PASS サイコパス 3: 未来の監視社会と人間の本質を問う

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』は、2019年10月23日から12月13日まで放送された、サイコパスシリーズの第三期TVシリーズです。全8話という短いながらも濃密なストーリー展開と、深いテーマ性が特徴的な作品です。このシリーズは、虚淵玄氏のベースド・ストーリー原案を基に、塩谷直義氏が監督を務め、Production I.Gがアニメーション制作を担当しています。放送局はフジテレビ系列で、毎週深夜0時55分から30分間の放送でした。

ストーリー

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』は、近未来の日本を舞台に、魂を数値化する巨大監視ネットワーク「シビュラシステム」が人々の治安を維持する世界を描いています。このシステムは、個々の「犯罪係数」を測定し、犯罪を未然に防ぐことを目的としています。物語は、そんな世界で新たに公安局刑事課一係に配属された二人の新人監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフの視点から始まります。彼らは、犯罪係数を測定する銃「ドミネーター」を手に、潜在犯を追う日々を送ります。

第三期では、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフが中心となり、未解決事件の真相を追う中で、シビュラシステムの限界や人間の本質について深く掘り下げていきます。特に、慎導灼のメンタルトレース能力と炯の精神的ザイルパートナーとしての役割が物語の重要な要素となっています。彼らの行動を通じて、監視社会における自由と正義の問題が浮き彫りにされます。

また、第三期の完結編として『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』が制作され、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフの物語が完結します。この作品では、彼らが辿り着く真実と、それに伴う新たな挑戦が描かれています。

キャスト

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のキャストは、シリーズを通じて活躍してきた声優陣が引き続き参加しています。慎導灼役を梶裕貴さん、炯・ミハイル・イグナトフ役を中村悠一さんが務めています。その他にも、雛河翔役の櫻井孝宏さん、廿六木天馬役の大塚明夫さん、入江一途役の諏訪部順一さん、如月真緒役の名塚佳織さん、唐之杜志恩役の沢城みゆきさん、霜月美佳役の佐倉綾音さん、常守朱役の花澤香菜さん、狡噛慎也役の関智一さん、宜野座伸元役の野島健児さん、須郷徹平役の東地宏樹さん、花城フレデリカ役の本田貴子さん、法斑静火役の宮野真守さん、代銀遙熙役の中博史さん、梓澤廣一役の堀内賢雄さん、小畑千夜役の矢作紗友里さん、六合塚弥生役の伊藤静さんなど、豪華な声優陣が集結しています。

メインスタッフ

監督は塩谷直義さん、シリーズ構成は冲方丁さん、脚本は深見真さんと冲方丁さんが担当しています。キャラクター原案は天野明さん、キャラクターデザインは恩田尚之さん、色彩設計は鈴木麻希子さん、美術監督は草森秀一さん、3Dディレクターは大矢和也さんと森本シグマさん、撮影監督は村井沙樹子さん、撮影視覚効果は荒井栄児さん、編集は村上義典さん、音楽は菅野祐悟さんが務めています。アニメーション制作はProduction I.Gが担当しています。

メインキャラクタ

慎導灼は、公安局刑事課一係の監視官で、24歳の特A級メンタリストです。彼は高度な共感能力を持ち、精神的ボーダーラインを越境して追跡対象者になりきることができます。しかし、メンタルトレースで深く潜り過ぎると本来の自分に戻れないリスクがあるため、炯が精神的ザイルパートナーとして引き上げる役目を負っています。明るく飄々とした性格で、誰にでも物怖じしないポジティブな人物です。過去の事件が原因で、父親の車でしか熟睡できないという特徴もあります。父の死の真相を探るため監視官となりました。

炯・ミハイル・イグナトフは、公安局刑事課一係の監視官で、24歳のロシア系移民の二世です。幼少期は海外の紛争地帯で育ち、軍事訓練を受けており、格闘・射撃・解析技術に優れた元兵士です。正義感が強く生真面目な性格ですが、家族のことでは熱くなりやすい一面もあります。幼なじみの灼とは互いに精神的ザイルパートナーであり、無茶をしがちな彼を気にかけています。ある未解決事件の真相を突き止めるために、灼とともに監視官の道を選びました。既婚者であり、妻は同じロシア系移民の舞子・マイヤ・ストロンスカヤです。

雛河翔は、公安局刑事課一係の執行官で、25歳です。一係の中では一番の古株ですが、内向的で人付き合いが苦手な性格で、天馬や入江にはよく絡まれています。鬱病を患った経験から薬物依存になりドラッグバイヤーをしていたが、顧客が命を落としたことで潜在犯となりました。元ホロデザイナーでもあり、その知識や技術を生かし捜査に貢献しています。

廿六木天馬は、公安局刑事課一係の執行官で、55歳です。荒々しい性格で、やられたらやり返すファイタータイプです。政治家の家系である上流階級に育ったことで、返って粗暴な力を求めるようになりました。潜在犯認定されたのちは、一族からは縁を切られ絶縁状態にあります。其他の執行官たちのリーダー的存在として振る舞い、配属される監視官を試すような態度を取っています。

入江一途は、公安局刑事課一係の執行官で、33歳です。スラム（廃棄区画）出身で、サイマティックスキャンすら存在しない最下層で育ちました。そのためスラムの住人たちや裏社会の動向に詳しいです。馴れ馴れしく悪意ある軽薄さで人に接しますが、優しい一面も持つ兄貴肌です。如月によくちょっかいを出していますが、相手にされていません。

如月真緒は、公安局刑事課一係の執行官で、26歳です。元スイミングアスリートで、他の執行官たちとも馴れ合わないクールな性格です。職務は適切に遂行するものの基本冷めたスタンスを取っています。上司である監視官にも期待を抱いていませんが、型破りな行動を取る灼や炯には戸惑いを感じています。

唐之杜志恩は、公安局総合分析室の分析官で、35歳です。情報収集・解析の面から刑事課一係の捜査活動をバックアップしています。鑑識ドローン、高機能小型ドローン（通称ダンゴムシ）などを駆使し、ときには違法ハッキング行為を行うこともあります。執行官同様、潜在犯でもあります。

霜月美佳は、公安局刑事課課長、統括監視官で、24歳です。シビュラシステムの適性判断により、最年少で厚生省公安局に入局しました。刑事課一係の監視官として数々の難事件の捜査に関わってきましたが、現在は刑事課を統括しており、現場からは一線を引いています。奔放な新人監視官の灼と炯に手を焼きつつも、陰ながら二人の行動を支援しています。ただし、メンタル薬は手放せない様子です。

常守朱は、元・公安局刑事課一係の監視官で、28歳です。自らの信じる正義を貫き、過酷な事件をいくつも乗り越え一係をまとめていました。ある事件により、現在は勾留中の身となっています。

狡噛慎也は、外務省海外調整局行動課特別捜査官で、36歳です。元・厚生省公安局刑事課一係の執行官で、海外へ逃亡し、傭兵として放浪生活を送っていましたが帰国しました。高い戦闘技術と強靭な肉体を誇り、元刑事らしい知性と正義感も持ち合わせています。

宜野座伸元は、外務省海外調整局行動課特別捜査官で、36歳です。元・厚生省公安局刑事課一係の執行官で、冷静な判断力と観察眼、包容力で一係を支えていましたが、現在は花城フレデリカのもと、主に国外に関する事件を追っています。

須郷徹平は、外務省海外調整局行動課特別捜査官で、30歳です。元・厚生省公安局刑事課一係の執行官で、実直で生真面目な性格です。外務省に籍を移し、宜野座らと共に国際犯罪に関する事件を追っています。

花城フレデリカは、外務省海外調整局行動課課長で、36歳です。開国に向けた動きを予見し、外務省内に部隊を新設しました。危険度の高い国際犯罪対策チームとして行動課を率いています。

法斑静火は、ビフロストのコングレスマンで、32歳です。常に冷静沈着であり、その思考は柔和な笑みに隠され窺い知ることはできません。唯一の癒しは飼っている愛犬です。

代銀遙熙は、ビフロストのコングレスマンで、77歳です。策謀を巡らせ、頭脳戦に興じる老獪な紳士です。新たに加わった静火の反応を楽しんでいます。

梓澤廣一は、狐を使った事件のプランメーカーで、46歳です。様々な肩書きを持つ、捉えどころのないニヒリスティックな中立者です。事件に迫る一係の前に次々と罠を仕掛けていきます。

小畑千夜は、梓澤の協力者で、23歳です。梓澤が設計した事件のサポートを行う優秀なクラッカーです。仕事は適切かつ迅速に行いますが、梓澤にはいつも口汚く悪態をついています。

六合塚弥生は、フリーランスのジャーナリストで、30歳です。元・厚生省公安局刑事課一係の執行官で、サイコパス良化により社会復帰し、現在は公安局と捜査コンサルタント契約を結んでいます。

サブタイトル

各話のサブタイトルは以下の通りです。

• Episode.1／「ライラプスの召命」
• Episode.2／「テウメソスの生贄」
• Episode.3／「ヘラクレスとセイレーン」
• Episode.4／「アガメムノンの燔祭」
• Episode.5／「アガメムノンの燔祭」
• Episode.6／「カエサルの金貨」
• Episode.7／「Don't take God's name in vain」
• Episode.8／「Cubism」

主題歌・楽曲

オープニングテーマはWho-ya Extendedの「Q-vism」、エンディングテーマはCö shu Nieの「bullet」です。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。

評価と推薦

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』は、シリーズを通じて描かれてきた監視社会の問題をさらに深化させ、人間性や正義の本質を問う作品です。慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフのキャラクターが新たな視点を提供し、視聴者に深い感動と思考を与えます。特に、メンタルトレースや精神的ザイルパートナーの設定は、シリーズの新たな魅力となっています。

また、豪華なキャストとスタッフ陣によるクオリティの高い制作も見逃せません。Production I.Gの緻密なアニメーションと菅野祐悟さんの音楽が、物語の世界観をさらに引き立てています。全8話という短いながらも、濃密なストーリー展開と深いテーマ性が特徴的な作品であり、サイコパスシリーズのファンだけでなく、初めての視聴者にも強く推薦できる作品です。

さらに、『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』では、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフの物語が完結し、新たな展開が待っています。この完結編も合わせて視聴することで、シリーズ全体の理解が深まり、より一層の感動を得ることができるでしょう。

監視社会の未来と人間の本質を問う『PSYCHO-PASS サイコパス 3』は、現代社会に生きる私たちにとって重要なメッセージを投げかけています。ぜひ、この作品を通じて、自分自身の価値観や正義について考える機会を持ってください。