マクロスゼロ - 戦乱の時代に咲く新たな伝説
「マクロスゼロ」は、2002年にOVAとしてリリースされた作品で、監督・原作・メカニックデザインを河森正治が務め、制作はサテライトが担当した。全5話からなるこの作品は、地球統合戦争の8年後を舞台に、未知のオーバーテクノロジーを巡る戦いと、人々の心の葛藤を描いている。以下では、「マクロスゼロ」の詳細な情報と評価、そして推薦ポイントを紹介する。
ストーリー
1999年、南アタリア島に超大型の流星が落下し、それが異星人の戦闘艦「ASS-1」であることが判明した。この未知のオーバーテクノロジーを巡って世界各地で内紛が勃発し、「地球統合戦争」が始まった。戦争から8年後、ベテランパイロットたちが次々と失われ、10代の少年たちも戦地に駆り出される中、マヤン島海域で「ASS-1」に似たエネルギー反応が観測される。地球統合政府と反統合勢力は、この未知の遺物を手中に収めようと争奪戦を繰り広げる。新型可変戦闘機「VF-0」を開発した地球統合同盟は、VF-0特務部隊「スカル小隊」を編成し、反統合同盟の攻撃に備える。一方、統合軍のエースパイロット、工藤シンは愛機F-14を駆り、戦場で敵機と交戦するが…。
解説
「マクロスゼロ」は、「超時空要塞マクロス」TV放映から20年となる2002年に制作された。監督の河森正治は、20周年という節目を迎え、新たな「マクロス」を模索し、この作品を生み出した。シリーズ初となるバルキリーの完全変形アニメーションをフルCGで実現し、F-14やミグなどの実在する戦闘機と可変戦闘機バルキリーの迫力の空中戦を描いている。5.1chサウンドによる臨場感あふれる音響と、2DCGと3DCGを駆使した高品質な映像は、劇場作品をも凌ぐクオリティを誇る。時代設定はTVシリーズ「超時空要塞マクロス」の1年前であり、原点回帰を目指した新たな「マクロス」伝説がここに誕生した。
キャスト
- 工藤シン:鈴村健一
- サラ・ノーム:小林沙苗
- マオ・ノーム:南里侑香
- エドガー・ラサール:小森創介
- アリエス・ターナー:進藤尚美
- D・D・イワノフ:大友龍三郎
- ノーラ・ポリャンスキー:高山みなみ
- Dr.ハスフォード:野沢那智
- ケイティ:朴 璐美
- ロイ・フォッカー:神谷 明
- 中島雷造:有本欽隆
- ヌトゥク:大木民夫
メインスタッフ
- 原作、監督、メカニックデザイン:河森正治
- 副監督:ところともかず
- 脚本:大野木寛
- キャラクターデザイン:齋藤卓也
- ロイ・フォッカーデザイン協力:美樹本晴彦
- 特技監督:板野一郎
- メカニックデザイン:石垣純哉
- 鳥人デザイン:宮武一貴、okama
- メカニックアート:天神英貴
- メインタイトルデザイン:鎌田誠
- 美術監督:太田大
- 美術設定:平沢晃弘
- 色彩設計:海鉾重信
- 撮影監督:前田庸生
- 編集:竹内康晃
- 音楽:蓜島邦明
- 音響監督:三間雅文
- プロデュース:大西加紋、高梨実
- 制作プロデューサー:平井伸一、国崎久徳、佐藤道明
- アニメーション制作:サテライト
- 製作:ビックウエスト、バンダイビジュアル
メインキャラクタ
- 工藤シン
本編の主人公で、アメリカ軍の日系2世。軍人だが軍隊嫌いで、負けん気の強いタイプ。小柄なことに少しコンプレックスを持っている。若くしてエースパイロットとなったためプライドが高かったが、初めての敵に撃墜されて気持ちが揺れている。統合戦争で家族を失い、心を閉ざし人間嫌いになっているが、マヤン島のサラやマオたちとのふれあいを通じて徐々に心を開き、本来の明るさを取り戻していく。
- サラ・ノーム
マヤン島に住む美しい少女。優しく気立てが良いが、心の奥底には激しい気性を秘めている。鳥や森や風のささやく「歌」を感じることができ、その歌声には動植物の傷を癒したり、花を咲かせたり、巨大な岩を浮かせたりする不思議な感応力がある。統合戦争で両親を失い、島の伝説や伝統を守る立場に置かれているが、妹のマオのように現代文明や恋に憧れている。シンとの出会いにより心が揺れ動く。
- マオ・ノーム
サラの妹で、快活でおてんばな少女。いたずら好きで、シンを驚かすこともある。元気で小鳥がさえずるような可愛らしさを持つが、時々女らしく見えることもある。自然との感応力があるが、本人は気づいていない。シンに恋をし、サラと三角関係になる。
- エドガー・ラサール
カーリーヘアーの陽気な黒人で、シンの数少ない友人であり後席のレーダー管制官。面倒見が良く気さくなタイプ。粘土細工などのプリミティブアートが好きだが、歌や踊りは苦手。
- アリエス・ターナー
統合軍科学者で、才女だがシャープな感じではなく、ほわっとした女性。IQが高く好きな分野は優秀だが、興味のないことはまるでダメ。低血圧で気分屋。目標達成のためには手段を選ばない強引さがあるが、生命や宇宙の進化の謎を解き明かしたいロマンチストでもある。フォッカーの先輩で、研究を選んだためフォッカーをふったが、空母アスカで再会し新たなドラマが始まる。
- D・D・イワノフ
反統合同盟側のエースパイロットで、統合戦争以前から世界各地の紛争地帯を転戦してきた歴戦の勇士。フォッカーとは何度か空中戦をしたことがある。戦に関しては非情になれる男。
- ノーラ・ポリャンスキー
反統合同盟側の女性パイロットで、25歳。一見クールだが、戦場に出ると頭に血が上ってやりすぎることもある。シンのF-14を撃墜するほどの腕前を持つ。素性は不明。
- ケイティ
統合軍海兵隊で、艦内でシンと格闘し、コテンパンに叩きのめすほどの腕の立つ女性隊員。
- ロイ・フォッカー
酒と女が大好きな統合軍のトップエースで、パイロットの鑑のような男。元々はスタントパイロットだったが、統合戦争の激化で仲間を失い、戦争後にパイロットに転身。学生時代は真面目で先史文明や考古学に興味を持っていたが、アリエスに失恋して性格が変わった。
- 中島雷造
アスカ艦の整備班長で、VF-0に現用のジェットエンジンをチューンして装備させるなど、メカニックの腕は一流。機体に対する愛情は誰よりも強い。パイロットには常に憎まれ口を叩くが、それは愛情の裏返しかもしれない。
- ヌトゥク
マヤン島の長老で、年の割にはまだかくしゃくとしたガンコな爺さん。真昼に星を見ることができ、島の人間に鳥人伝説を語り継ぐ謎の老人。よそ者のシンに対し、なぜか優しくする。
- Dr.ハスフォード
「人類進化におけるプロトカルチャー干渉仮説」を提唱する老考古学者で、研究のためなら幼い少女を傷つけることも意に介さない。過去にその仮説を実証するためマヤン島を訪れていた。アリエスの恩師で、反統合同盟側に所属し「鳥の人」奪取に参加していることが発覚する。
メインロボ・アイテム
- VF-0/S型
1999年に墜落した異星人の戦闘艦から得られたオーバーテクノロジーを随所に盛り込んで開発中の新型可変戦闘機。本来はVF-1の開発が先行していたが、熱核エンジンの実用化が遅れたため、従来型のジェットエンジンをオーバーチューンして搭載するこのVF-0タイプが試作された。ファイター、ガウォーク、バトロイドの3形態に可変し、あらゆる局面での戦闘を想定している。通常ジェットエンジンを使用しているため、航続距離が短く、エンジンもデリケートで高度な操縦技術が要求される。
- 設計製作:ノースロップ・グラマン/ストンウェル/新星共同開発
- 全長:18.69m
- 重量:空虚重量16191kg
- エンジン:EGF-127ターボファンジェット改(91.08kN、アフターバーナー時148.9kN)×2、ガウオーク&バトロイド時用機動ロケットモーター(新中州ARR-2)×3
- 最大速度:M2.74(高度11000m)
- 航続距離:2075km(背部コンフォーマルタンク標準装備時)
- 上昇限界:25000m
- 武装:固定武装:マウラー社製レーザー機銃×1(A型)または×2(S型)、標準武装:35mmガトリングガンポッド(ハワードGPU-9 装弾数550発 AHEAD弾使用可能)×1、標準空対空仕様:中距離空対空ミサイルAMRAAM2(レイセオン-ビフォーズAIM-200A I/ALH誘導)(最大搭載数12発)、拡張武装:大気圏内戦闘用スーパーパーツ(マイクロミサイルランチャー/コンフォーマルタンク)×2、マイクロミサイル(レイセオン-エリコーンGH-30BI/IR誘導)を24発ずつ格納、あるいはガンポッド用予備弾倉の収容が可能、旧・米/NATO標準航空兵装の大半が装備可能
- 防御兵装:フレア&チャフディスペンサーシステム(AN/ALE55×1、IDECM)(AN/ALQ220A)、アクティブ・ステルスシステム(ASS/PS110)、SWAGエネルギー変換装甲システム(AWAG/RA105)、他
- 水中行動:サイレント・モードで数分程度の水中行動が可能。活動限界深度20m程度
- 生産機数:(推定)A型 単座型24機、複座型4機、複座強行偵察仕様2機、S型 4機
- VF-0/D型
VF-0のA、S型は軍部が試作型可変戦闘機に求めた空戦能力を十分に有していたが、更なる高機動空戦能力と攻撃能力の増強(ペイロードの増強)、電子戦能力の向上を追求した機体がVF-0D型である。複座型が基本形となるが、これはA型より強化された攻撃・電子戦能力のため単座では十分な能力を発揮できないと軍部が主張したためである。
- 設計製作:ノースロップ・グラマン/ストンウェル/ベルコム共同開発
- 全長:18.69m
- 重量:空虚重量16805kg
- エンジン:EGF-127ターボファンジェット改(91.08kN、アフターバーナー時148.9kN)×2、ガウオーク&バトロイド時用機動ロケットモーター(新中州ARR-2)×3
- 最大速度:M2.62(高度11000m)
- 航続距離:2400km(背部コンフォーマルタンク標準装備時)
- 上昇限界:26500m
- 武装:標準武装:35mmガトリングガンポッド(ハワードGPU-9 装弾数550発 AHEAD弾使用可能)×1、標準空対空仕様:中距離空対空ミサイルAMRAAM2(レイセオン-ビフォーズAIM-200A I/ALH誘導)(最大搭載数12発)、拡張武装:大気圏内戦闘用スーパーパーツ(マイクロミサイルランチャー/コンフォーマルタンク)×2、マイクロミサイル(レイセオン-エリコーンGH-30BI/IR誘導)を24発ずつ格納、あるいはガンポッド用予備弾倉の収容が可能、最大ペイロードはD型はA/S型を20%ほど上回る、旧・米/NATO標準航空兵装の大半が装備可能
- 防御兵装:フレア&チャフディスペンサーシステム(AN/ALE55×1、IDECM)(AN/ALQ220A)、アクティブ・ステルスシステム(ASS/PS110)、SWAGエネルギー変換装甲システム(AWAG/RA105)、他
- 水中行動:サイレント・モードで数分程度の水中行動が可能。活動限界深度20m程度
- SV-51
反統合勢力が極秘に開発した可変戦闘機で、旧ロシア軍のスホーイ27によく似た形状からガウォーク、バトロイドへと可変する。その可変システムはVF-0、1の情報が敵側に漏れたとも言われているが、詳細は不明。VF-0よりもひと回り大型で火力も強い。
- 設計製作:スホーイ/イスラエル・エアクラフト・インダストリーズ/ドルニエ共同開発
- 全長:22.77m
- 重量:空虚重量17800kg
- エンジン:アビアドビガテルD-30F6Xターボファンジェット(102.5kN、アフターバーナー時204.7kN)×2、VTOL用ファンジェット×2(バトロイド形態では高機動ジェットとして作動)
- 最大速度:M2.81(高度11000m)
- 航続距離:1910km(マイクロミサイルランチャー増漕タンク複合ポッド標準装備時)
- 上昇限界:22500m
- 武装:固定武装:ミニガン(Gsh-231 12.7mm機銃)×1、標準武装:55mmガンポッド×1(Gsh-371 装弾数120発)(予備弾倉×1機体後部に標準装備)、マイクロミサイルランチャー/増漕タンク複合ポッド×2(主翼下ハードポイント6カ所のうち2カ所を標準で使用)、マイクロミサイル(ツロポフ SA-19M I/IR誘導)を18発ずつ格納、旧・ワルシャワ条約軍標準航空兵装の大半が装備可能
- 防御兵装:SPO-15C360度パッシブ・レーダー警戒受信システム、チャフ&フレアディスペンサー(APP-60)×1、アクティブ・ステルスシステム(RP-51)、SWAGエネルギー変換装甲システム(SW-51)、他
- 水中行動:SV-51を更に潜水艦からの水中発進可能なように改修された機体が少数存在する。潜望鏡深度~深度30m程度からの水中発進が可能で、圧搾空気により潜水艦より射出されたのちロケットモーターにて空中に進出後通常のターボジェットエンジンによる飛行に移行する。このタイプの機体は防水、耐圧機能の強化に加えて潜水艦内発進ドッグにコンパクトに収容出来るように翼の折り畳み機構も改造が施されている。
- 生産機数:(推定)単座型32機(後に12機がSV-52に改修)、複座型6機
- SV-51(ノーラ機)
第1巻でシンが乗るF-14の部隊を全滅においやった反統合同盟側の主力戦闘機SV-51。パイロットのノーラが搭乗するSV-51は、機体カラーが赤となっている。
- 設計製作:スホーイ/イスラエル・エアクラフト・インダストリーズ/ドルニエ共同開発
- 全長:22.77m
- 重量:空虚重量17800kg
- エンジン:アビアドビガテルD-30F6Xターボファンジェット(102.5kN、アフターバーナー時204.7kN)×2、VTOL用ファンジェット×2(バトロイド形態では高機動ジェットとして作動)
- 最大速度:M2.81(高度11000m)
- 航続距離:1910km(マイクロミサイルランチャー増漕タンク複合ポッド標準装備時)
- 上昇限界:22500m
- 武装:固定武装:ミニガン(Gsh-231 12.7mm機銃)×1、標準武装:55mmガンポッド×1(Gsh-371 装弾数120発)(予備弾倉×1機体後部に標準装備)、マイクロミサイルランチャー/増漕タンク複合ポッド×2(主翼下ハードポイント6カ所のうち2カ所を標準で使用)、マイクロミサイル(ツロポフ SA-19M I/IR誘導)を18発ずつ格納、旧・ワルシャワ条約軍標準航空兵装の大半が装備可能
- 防御兵装:SPO-15C360度パッシブ・レーダー警戒受信システム、チャフ&フレアディスペンサー(APP-60)×1、アクティブ・ステルスシステム(RP-51)、SWAGエネルギー変換装甲システム(SW-51)、他
- 水中行動:SV-51を更に潜水艦からの水中発進可能なように改修された機体が少数存在する。潜望鏡深度~深度30m程度からの水中発進が可能で、圧搾空気により潜水艦より射出されたのちロケットモーターにて空中に進出後通常のターボジェットエンジンによる飛行に移行する。このタイプの機体は防水、耐圧機能の強化に加えて潜水艦内発進ドッグにコンパクトに収容出来るように翼の折り畳み機構も改造が施されている。
- 生産機数:(推定)単座型32機(後に12機がSV-52に改修)、複座型6機
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