『うしろの正面だあれ』の魅力と評価：謎解きと笑いの絶妙なバランス

『うしろの正面だあれ』：昭和の戦争と少女の成長を描く感動の物語

■公開情報

『うしろの正面だあれ』は、1991年3月9日に劇場公開されたアニメーション映画です。配給会社はスペース映像で、映倫番号は113393、総上映時間は90分、話数は1話となっています。この作品は、海老名香葉子さんの小説『うしろの正面だあれ』を原作としており、監督は有原誠治さんが務めています。製作はテレビ東京、スペース映像、にっかつ児童映画、アルファデザイン、虫プロダクションの共同で行われ、著作権は海老名香葉子さんと「うしろの正面だあれ」製作委員会に帰属しています。

■ストーリー

昭和16年12月8日、日本が太平洋戦争に突入した時代を背景に、8歳の少女・中根かよ子の成長と戦争の影響を描いた物語です。かよ子は、5代続く釣竿づくりの『竿忠』という大家族の中で、暖かな愛情に包まれて明るく育っていました。しかし、戦争が激化する中、かよ子は沼津のおばの家に疎開することになります。昭和20年3月10日、箱根の山ごしに真っ赤に燃える東京の空を見たかよ子は、戦争の恐ろしさと家族への思いを胸に刻みます。この物語は、戦争の悲惨さと家族の絆、そして少女の成長を感動的に描いています。

■解説

『うしろの正面だあれ』は、落語家の故林家三平師匠の夫人であり、エッセイストとして活躍する海老名香葉子さんが少女期の体験を児童向けに書き下ろした小説が原作です。美術監督は『ルパン三世カリオストロの城』の小林七郎さんが担当し、声優陣には『パーマン』のパーマン1号役の三輪勝恵さん、『銀河鉄道999』のメーテル役の池田昌子さん、『ドラゴンボール』の悟空役の野沢雅子さんなど、豪華なキャストが揃っています。また、海老名さんの息子である9代目林家正蔵さんも主演を務めています。この作品は、戦争の時代を生き抜いた人々の心情をリアルに描き出し、多くの視聴者に感動を与えました。

■キャスト

中根かよ子：三輪勝恵
中根よし：池田昌子
中根喜三郎：野沢雅子
中根忠吉：若本規夫
おばあちゃん：沼波輝枝
中根竹二郎：佐々木望
中根忠吉：海老名泰孝

■メインスタッフ

原作：海老名香葉子「うしろの正面だあれ」
監督：有原誠治
美術監督：小林七郎
製作：国保徳丸、瀬戸義昭、西村豊治、橋本湛匡、伊藤叡
企画：鳥山英二、寺島鉄夫、有原誠治
脚本：今泉俊昭、有原誠治
作画監督：小野隆哉
撮影監督：諌川弘
音楽：小六禮次郎
音響監督：明田川進
編集：尾形治敏

■主題歌・楽曲

主題歌「愛はいつも」は、作詞を海老名泰助さん、補作を白鳥英美子さん、作曲を小六禮次郎さんが担当し、白鳥英美子さんが歌っています。この曲は、戦争の厳しさの中でも家族への愛を歌い上げ、物語の感動をさらに深める役割を果たしています。

■評価と感想

『うしろの正面だあれ』は、戦争という重いテーマを扱いながらも、少女の視点から描かれたことで、多くの視聴者に共感と感動を与えました。特に、かよ子が東京の空を見たシーンは、戦争の恐ろしさと家族への思いを象徴する名場面として評価されています。また、豪華な声優陣の演技も物語を引き立て、視聴者の心に深く響きました。美術監督の小林七郎さんの美しい背景画も、昭和の時代をリアルに再現し、作品の質を高めています。

■推薦ポイント

この作品は、戦争の歴史を知る上でも、また家族の絆や成長の物語としても価値があります。特に、子供たちに戦争の恐ろしさと平和の尊さを伝えるための教育的価値も高いです。さらに、昭和の時代背景や文化を知るための資料としても役立ちます。アニメーション映画としても優れた作品であり、感動的なストーリーと美しい映像を楽しむことができます。家族で鑑賞することをお勧めします。