プラスチック化学物質フタル酸エステルは子供の脳の発達に悪影響を与える可能性がある

21日の米サイエンスタイムズの最新ニュースによると、TENDRプロジェクトの医療専門家と科学者のグループは、プラスチックの合成化学物質であるフタル酸エステルが胎児、乳児、子供の脳と神経の発達に損傷を与える可能性があるため、消費者製品へのフタル酸エステルの使用を即時禁止するよう求める論文を米国公衆衛生ジャーナルに掲載した。

フタル酸エステルは、食品やパーソナルケア用品、洗剤、衣類、油や接着剤、シャンプー、ヘアスプレーなど、何百もの消費者製品に含まれている「ありふれた化学物質」です。この一般的な合成化学物質は、プラスチックをより柔軟にし、壊れにくくします。

現在の FDA 規則では、フタル酸エステルは香料の一部でない限り、製品ラベルに記載する必要があります。しかし、研究によれば、「香料」としてのフタル酸エステルは、製品の成分の20%を占めることもあることが分かっています。フタル酸エステルは喘息、小児肥満、心血管疾患、生殖障害、男児の停留精巣とも関連があるとされています。

報告書によれば、2019年までに世界中の約11か国で30件以上の研究が行われ、さまざまな種類のフタル酸エステルへの出生前曝露が調査された。研究者らは、多動性、反抗、攻撃性、感情的反応などが、子供の神経発達においてフタル酸エステルと強く関連していることを発見した。

ある研究によると、子宮内で高濃度のフタル酸エステルにさらされた子どものIQは、曝露量の少ない子どもよりも7ポイント低かったという。別の研究では、尿中のフタル酸エステル濃度が最も高かった母親の子どもは、ADHDと診断される可能性が3倍高いことが示されました。

Targeting Environmental Neurodevelopmental Risks (TENDR) は、神経毒性汚染物質や化学物質への子供の曝露を定量化し、削減するために活動しているボランティアの子供擁護者、科学者、医療専門家のグループです。ボストン小児病院の神経学教授であり、TENDRプロジェクトのボランティアでもあるデビッド・ベリンジャー氏は、胎児の発育が子宮内の合成化学物質によって妨げられ、影響を受けると、その損傷は永久的で回復不可能なものになると指摘した。

「私たちが達成したかったのは、米国の規制当局を含む公衆衛生関係者を、フタル酸エステルを排除するという目標に向かわせることだった」と、この研究の主執筆者であるステファニー・エンゲル氏は語った。