サイバーパンク エッジランナーズ:刺激的なストーリーとビジュアルの深堀レビュー

サイバーパンク エッジランナーズ:刺激的なストーリーとビジュアルの深堀レビュー

『サイバーパンク エッジランナーズ』:未来都市の闇と光を描く傑作アニメ

■概要

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、2022年9月13日にNetflixで全10話が一挙配信されたオリジナルアニメーションシリーズです。原作はCD Projekt REDの人気ゲーム『サイバーパンク2077』で、テクノロジーと人体改造が一般化した未来都市ナイトシティを舞台に、ストリートキッドのデイビッドがエッジランナーとして生き抜く姿を描いています。監督は今石洋之、制作はTRIGGERが担当し、サイバーパンクの世界観を鮮やかに表現しています。

■ストーリー

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、テクノロジーと人体改造が一般化した巨大都市ナイトシティで、多くの犠牲を払い困難を乗り越えながらアウトローの傭兵――すなわち“サイバーパンク”の道を歩んだ少年の物語を追う、10話構成のオリジナルアニメーションシリーズです。主人公のデイビッドは、母親を失い、すべてを失った状況から生き延びるためにエッジランナーとしての道を選びます。彼の旅は、仲間との絆、裏切り、そして自己発見の物語であり、視聴者を引き込む力強いストーリーテリングが特徴です。

■解説

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、テクノロジーと人体改造が一般化した未来都市ナイトシティで、ストリートキッドとして生きる少年を10話構成の独立したストーリーで描く作品です。すべてを失ったデイビッドが生き延びるために選んだ道、それは"サイバーパンク"として知られるアウトローの傭兵、エッジランナーになることだった。この作品は、ゲーム『サイバーパンク2077』の世界観を基にしながらも、新たな視点からナイトシティの闇と光を描き出しています。

制作を手掛けるのは、ゲームタイトル『サイバーパンク2077』の制作会社CD PROJEKT RED。ショーランナーと制作総指揮はラファール・ヤキ (『ウィッチャー3 ワイルドハント』『サイバーパンク2077』『ウィッチャー ローニン』)、プロデューサーは本間覚、バルトシュ・シュテボル、サヤ・エルダーが務める。CD PROJEKT REDの担当チームは2018年からこの新シリーズに着手。日本を拠点とする業界屈指の制作会社トリガーがアニメーションを担当し、サイバーパンクの世界観を得意の迫力あるスタイルで描き出す。監督は今石洋之 (『天元突破グレンラガン』『キルラキル』『プロメア』)、クリエイティブディレクターは若林広海 (『キルラキル』)、キャラクターデザインは吉成曜 (『リトルウィッチアカデミア』『BNA ビー・エヌ・エー』) 、脚本は宇佐義大 (『GRIDMAN UNIVERSE』シリーズ、『プロメア』) と大塚雅彦 (『スター・ウォーズ:ビジョンズ ‘The Elder’』)。劇伴制作は山岡晃 (『サイレントヒル』シリーズ) が担当する。

■キャスト

本作のキャストは、主人公デイビッド役をKENNが務め、ルーシー役を悠木碧、メイン役を東地宏樹、ドリオ役を鷄冠井美智子、キーウィ役を本田貴子、ピラル役を高木渉、レベッカ役を黒沢ともよが演じています。各キャストの演技はキャラクターの個性を引き立て、物語に深みを与えています。特にKENNのデイビッド役は、ストリートキッドからエッジランナーへの成長をリアルに表現しており、視聴者の共感を呼びます。

■メインスタッフ

原作ゲームは『サイバーパンク2077』で、原案はラファウ・ヤキ、監督は今石洋之、副監督は大塚雅彦と宇佐義大、舞台設定考案はマイク・ポンスミス、エグゼクティブプロデューサーはラファウ・ヤキ、ディラン トーマス、櫻井大樹、宇佐義大、プロデューサーはエルダー爽、バルトシュ・シュティボー、本間覚、アニメーションプロデューサーは志太駿介と堤尚子、スクリーンストーリーはバルトシュ・シュティボー、シリーズ構成は大塚雅彦、脚本は大塚雅彦と宇佐義大、クリエイティブサポートは若林広海、キャラクターデザインと総作画監督は吉成曜、サブキャラクターデザインは金子雄人と芳垣祐介、美術監督は野村正信、色彩設定は垣田由紀子、撮影監督は川田哲矢、編集は吉武将人、音響監督は浦狩裕樹、音響効果は野崎博樹と小林亜依里、音楽は山岡晃、アニメーション制作はTRIGGER、制作はCD PROJEKT REDが担当しています。この豪華なスタッフ陣が集結し、作品のクオリティを高めています。

■メインロボ・アイテム

本作には、サイバーパンクの世界観を象徴する様々なロボットやアイテムが登場します。以下に主要なものを紹介します。

  • ICE(対侵入電子機器):Intrusion Countermeasures Electronics(対侵入電子機器)の略称であり、ネットセキュリティにおける最先端技術。大抵の企業はネットランナー班を組織し、自社のデータ要塞の防衛に充てている。それは、企業のICEのバックドアを見つけて、サブネットへの侵入を試みる外部ランナーも多く存在するからだ。
  • アニマルズ:パシフィカ西部では知らない者のいないギャング集団。電子機器に頼らない自家製増強剤を用いた肉体改造と、独自のストリートファイトスタイルを駆使し、インプラント使用者と対等以上に渡り合うことができる。その凶暴性と好戦的な気質から、バウンサーや警備要員として重宝されている。
  • アラサカ:世界で最も歴史の長い巨大企業。今日のアラサカ社は兵器製造の最大手として知られており、世界中の軍事衝突に関与している。最新の技術革新と無尽蔵とさえ思われる資金力を背景に、その成長はいまだ留まるところを知らない。
  • NCPD(ナイトシティ警察、NIGHT CITY POLICE DEPARTMENT=NCPD):ナイトシティの安全を守るナイトシティ警察(NCPD)は、企業のバックアップを受けた法執行機関だ。治安の維持が主な任務だが、その治安を企業が脅かしているとなれば、たちまち見て見ぬふりをする。
  • コーポ:企業に勤める者、すなわちコーポレート(通称コーポ)はナイトシティの上流階級のひとつだ。スローガンは「財力、権力、野心」、トレードマークは上質なスーツ。従業員でなくとも、企業に忠誠を誓う者もまたコーポと呼ばれる。
  • サイバーウェア(インプラント/クロームともいう):サイバーウェア(インプラントまたはクローム)は人体に移植して使用されるデバイスである。用途に合わせてさまざまなタイプが存在し、目に移植して視覚を強化するものや、脚に装着して驚異的なジャンプ力を与えてくれるものなどがある。
  • サイバーサイコシス:サイバーサイコシスとは、身体に移植されたハードウェアやソフトウェアを含む行動改造によって引き起こされる、あらゆるパーソナリティ障害を集合的に指す語だ。原因はサイバーウェアの欠陥だとする見方が一般的だが、これには異を唱える者もいる。
  • サイバーパンク(エッジランナー):サイバーパンク、あるいはエッジランナーとは、常に己の限界に挑みながらエッジを生きる者たちだ。彼らはただ成功を求めひた走るのではなく、危険に身を晒すことをいとわず、失敗――すなわち死と隣り合わせの日々を送り続ける。
  • サンデヴィスタン:サイバーウェアの一種。起動すると一定時間、一定の割合で時の流れが遅くなり、結果として、使用者は普通の人間が目で追えないほどの高速で動くことができる。
  • スカベンジャー:高級インプラントの収集・売買を専門とするギャング集団。闇取引はもちろん、所有者から強引に抜き取ることも多く、目的のためなら手段を選ばない危険な連中だ。
  • ソロ:ナイトシティで危険な仕事を請け負うフリーランスの傭兵のなかでも、戦闘スキルに特化した者たち。武器とサイバーウェアを駆使して戦い、多くの場合、殺人、護衛、窃盗などを含む依頼をこなす。
  • タイガークロウズ:ギャングとしては組織力があり、手際がよく、有能でありながらも、次に何をするかわからない面もある。構成員の多くはアジア系で、ジャパンタウン、リトルチャイナ、カブキ、チャーター・ヒルを主な活動拠点としている。
  • テッキー:機械を分解しては組み立てるということを繰り返し、テックに関する豊富な知識を蓄えている人物――それがテッキーだ。電子パネルを開いて電力を落とすなど朝飯前、エレベーターを特定の階に送ったり、警報システムの配線を変更したり、軍用ボットを安全な場所から遠隔操作したりもできてしまう。また、ハードウェアとソフトウェアの両方を扱う場面でもテッキーは欠かせない存在だ。ブレインダンス編集がその良い例だろう。
  • トラウマ・チーム:トラウマ・チーム・インターナショナルはナイトシティ最大の医療提供企業であり、ヘルスケア製品から健康保険、緊急救命、救出サービス、医療用インプラント、置換手術まで、幅広いサービスを提供している。一般市民から信頼を寄せられている唯一の企業と言っても過言ではない。
  • ナイトシティ:実業家リチャード・ナイトが描いた都市構想を下敷きに、20世紀末に築かれた夢の街。彼が目指したのは古い思想や窮屈なルールに縛られない未来都市だった。ナイトシティには6つの地域で成り立っている――「ワトソン」と「サントドミンゴ」はそのうちの2つであり、それぞれが別のギャング集団の縄張りになっている。
  • ネットランナー:ネットランナーはコンピューターシステムやプログラム言語、キラーウイルスの作成や改造についても熟知しており、サイバーデッキを携えた彼らは完全武装の企業兵士並みに危険な存在だ。ネットランナーの多くは単独行動のフリーエージェントだが、なかには巨大企業と契約を交わし、データ要塞の防衛に従事する者もいる。昨今の企業はほぼ例外なく、お抱えのネットランナーチームを雇っている。
  • フィクサー:フィクサーは傭兵と依頼主の間を取り持つ仲介人だ。クルーを選定し、報酬の交渉を行い(フィクサー自身の取り分にも関わるのだから当然だ)、トラブルが起きれば対処もしてくれる。もちろん、傭兵がどうしようもないヘマをした場合は、その限りではないが…
  • BD(ブレインダンス):ある人物が撮影(「記録」ともいう)した自身の体験やその時の記憶を、映画を見るような手軽さで別の者が“追体験”できるテクノロジー。原則として、記録された素材は編集などの処理を施さなければ使用することができない。
  • マックス・タック:NCPDの特殊精鋭部隊、マックス・タックの任務はただ1つ――サイバーサイコの排除だ。隊員は各々が好きな武器を選択して使用でき、最上級のサイバーウェアや最新のプロトタイプ装備が支給される他、作戦遂行においても自由な裁量が認められている。しかしそれだけの特権があっても、まともな分別のある者なら入隊を希望したりしないだろう。
  • ミリテク:20世紀末ごろに設立された、兵器製造および軍事サービスを基幹事業とする新合衆国の巨大企業。近年は民間部門にも事業を展開しており、成功を収めている。
  • メイルストローム:ワトソンおよび北工業地区(NID)を支配するギャング。おぞましいフェイスプレートと威圧的な光学インプラントが特徴。その姿からは、サイバーウェア改造に対する彼らの異様なまでの執着ぶりが見て取れる。
  • リパードク(リパー):リパードクは外科医、テッキー、アーティストを足して3つで割ったような存在だ。リパーのクリニックには、最先端のインプラントを入れにきた者、ぼろぼろの状態で友人に連れてこられた者など、様々な患者が訪れる。

■サブタイトル

各話のサブタイトルは以下の通りです。

  • #1/Let You Down/期待を背に(2022/09/13)
  • #2/Like A Boy/少年は何を思う(2022/09/13)
  • #3/Smooth Criminal/裏稼業(2022/09/13)
  • #4/Lucky You/ツキが回って(2022/09/13)
  • #5/All Eyez On Me/刺さる目線(2022/09/13)
  • #6/Girl on Fire/炎に包まれて(2022/09/13)
  • #7/Stronger/もっと強く(2022/09/13)
  • #8/Stay/いかないで(2022/09/13)
  • #9/Humanity/人間らしさ(2022/09/13)
  • #10/My Moon My Man/私の月、私の恋(2022/09/13)

■主題歌・楽曲

本作の主題歌と挿入歌は以下の通りです。

  • OP1
    • タイトル:This Fire
    • 作詞:Nick McCarthy、Alex Kapranos
    • 作曲:Nick McCarthy、Alex Kapranos
    • 編曲:Rich Costey
    • 歌:Franz Ferdinand
  • ED1
    • タイトル:Let You Down
    • 作詞:Dawid Podsiadło
    • 作曲:Dawid Podsiadło、Magdalena Laskowska
    • 歌:Dawid Podsiadło
  • IN1
    • タイトル:I Really Want to Stay At Your House
    • 作詞:Rosa Walton
    • 作曲:Rosa Walton
    • 編曲:Rosa Walton
    • 歌:Rosa Walton & Hallie Coggins

■評価と感想

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、視覚的な美しさと深いストーリーテリングが融合した作品です。TRIGGERの独特なアニメーションスタイルは、ナイトシティの未来都市をリアルに描き出し、視聴者をその世界に引き込みます。特に、デイビッドの成長と彼を取り巻くキャラクターたちの人間ドラマは、視聴者に強い印象を与えます。

ストーリーは一貫して緊張感があり、各エピソードが巧みに連携して全体の物語を形成しています。デイビッドのエッジランナーとしての旅は、彼の人間性と倫理観の試練を描き出し、視聴者に深い共感を呼びます。また、ルーシーやメインなどのサブキャラクターも魅力的で、彼らのバックストーリーや相互作用が物語に深みを与えています。

音楽も本作の重要な要素であり、Franz Ferdinandの「This Fire」やDawid Podsiadłoの「Let You Down」など、各曲が物語の雰囲気を高めています。特に挿入歌の「I Really Want to Stay At Your House」は、デイビッドとルーシーの関係性を象徴する美しい曲であり、視聴者の心に響きます。

■推薦

『サイバーパンク エッジランナーズ』は、サイバーパンクのファンだけでなく、アニメやドラマを愛するすべての人におすすめです。未来都市の闇と光を描いたこの作品は、視覚的な美しさと深いストーリーテリングが融合した傑作であり、視聴者に強い印象を与えることでしょう。特に、デイビッドの成長と彼を取り巻くキャラクターたちの人間ドラマは、視聴者に深い共感を呼びます。また、TRIGGERの独特なアニメーションスタイルと豪華なスタッフ陣によるクオリティの高さも見逃せません。ぜひ、Netflixで全10話を一挙に楽しんでください。

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