『書家』レビュー：筆跡から見る芸術と物語の融合

『書家』 - 闇の集団と画仙道術の戦い

■公開メディア

TVスペシャル

■原作メディア

アニメオリジナル

■放送期間

2010年03月27日～ 0000年01月01日
アニマックス　2010年3月27日(1回)土曜　20:00～20:30

■放送局

アニマックス

■分数

24分

■話数

1話

■原作

西道賢二

■監督

山田　誠

■制作

・アニメーション制作／プロダクション I.G
・製作著作／プロダクション I.G、アニマックスブロードキャスト・ジャパン

■著作

©Production I.G・アニマックス

■ストーリー

徳川幕府に反旗を翻す、闇の集団が公儀転覆の画策で江戸の町に再び混乱を招こうとしていた。
いち早くその動きを掴んだ画仙道術の版元(十文字)は一門のひとり、墨屋紙朗(スミヤシロウ)を江戸に呼び寄せる。

その行く手を阻む、謎の男 ― 黒染源(コクセンゲン)。
文字を具現化する巨大な筆を振りかざし恐ろしい画獣を紙朗に向けて放つ。

紙朗の友人、紙巻(シマキ)は一門の新人、絵名(エナ)と共に事件の真相を探るべく不穏な空気漂う古寺を目指していた。

すべては黒染源の手の内にあることを知らない紙朗達三人の前に巨大な鬼の画獣が姿を現す――

■解説

「アニマックス大賞」は“明日のアニメ界で活躍する人材を発掘”することを目的に2002年からアニマックスが実施している新人脚本家発掘のためのコンテスト。

「アクション」というテーマで募集をおこなった第7回アニマックス大賞で、見事大賞に選ばれたのが西道賢二さんの『書家』だ。およそ1,200通の作品から選ばれた脚本をプロダクション I.Gが映像化する。

※Production I.G公式サイトより引用

■キャスト

・墨屋紙朗／中尾明慶
・紙巻巻平／浪川大輔
・額野絵名／古川小百合
・版元／加藤精三
・黒染源／松山鷹志
・恥之宮／佐藤正治
・月影／岡村明美
・ダルマ／石野竜三
・与力／佐藤晴男
・部下／遠藤大輔
・三角／竹内良太
・鉄砲隊A／坂巻学
・鉄砲隊B／大林洋平
・町民(女)／中津真莉子

■メインスタッフ

・製作／石川光久、滝山雅夫
・原作、脚本／西道賢二
・企画／小田正人、佐々木朗
・監督／山田誠
・キャラクターデザイン、作画監督／小島大和
・原画／名倉智史、宮沢康紀、佐藤利幸、松尾祐輔、石田慶一、今石洋之、中嶋敦子、山口賢一、栗田新一、甲斐泰之、近岡直、樋口聡美、田中孝弘、三浦春樹、今井有文、片桐貴悠、頂真司、大導寺美穂、松本顕吾、満田一、徳野悠我、大久保徹、窪田康高、江畑諒真、冨岡寛、小竹歩、道解慎太郎、神谷ろん、海谷敏久、梅津泰臣、高橋英樹、亀井幹太、松竹徳幸、吉成鋼
・第二原画／Wish、BEETRAIN
・原画協力／SILVER
・題字／川上慎也
・動画検査／菅田朋子
・動画／斉藤言栄、鈴木千尋、万年麻美、荒木涼、荒川紗希、横山雄樹、木下美香、宮崎瞳、本田真之、佐竹智子、藤城香菜、橋本高明、津坂美織、古林美里、村山章子、竹中真吾、中山知世、春日広子、宗倫�杭、鈴木野々子、水谷慶太、野上麻衣子、小高梢、鈴木明日香、浪上悠里、太観アニメ、GK entertainment、UNION CHO、スタジオたくらんけ、RIC、GoHands、スタジオMAT、アートランド、作楽クリエイト、イングレッサ、OHプロダクション、アニメーションプラネット、動画工房、スタジオコメット、武遊、ユーフォーテーブル、シナジーSP
・色指定／藤田裕子、竹田由香
・仕上げ検査／大島勝美
・仕上げ／下川真里子、上井和、上野詠美子、岡田ゆり、佐藤久美子、大森二千子、境成美、Wish、スタジオエル、スタジオタージ、M.S.C、太観アニメ
・美術設定／金平和茂
・背景／草薙(KUSANAGI)、緒続学、三田千恵美、岡本好司、金沢友幸
・背景協力／近藤康敬
・背景スキャン／平田浩章
・撮影／高木宏紀、谷内潤、中田裕美子
・ビデオ編集／Sony PCL、神野学、石井知
・音楽制作／AUBE Inc.
・録音調整／山口貴之
・音響効果／蔭山満
・録音スタジオ／神南スタジオ
・アソシエイトプロデューサー／三木隆二
・宣伝プロデューサー／杉本壮太郎
・宣伝アシスタントプロデューサー／薗田好豊、河内英理也
・宣伝協力／上田陽子
・制作進行／洞美帆
・美術監督／伊藤弘
・色彩設計／渡辺陽子
・音楽／川井憲次
・音響監督／小泉紀介
・撮影監督／荒井栄児
・編集／植松淳一
・ラインプロデューサー／霞麻衣子
・アニメーション制作／プロダクション I.G
・プロデューサー／寺川英和、成毛克憲
・製作著作／プロダクション I.G、アニマックスブロードキャスト・ジャパン

『書家』の魅力と評価

ストーリーと設定

『書家』は、徳川幕府に反旗を翻す闇の集団と、それに対抗する画仙道術の戦いを描いた作品です。物語は江戸時代を舞台にしており、歴史的な背景とファンタジー要素が絶妙に融合しています。特に、文字を具現化する巨大な筆や画獣といった独特の設定は、視聴者に強い印象を与えます。

主人公の墨屋紙朗は、画仙道術の一門として闇の集団に立ち向かう勇敢なキャラクターです。彼の友人である紙巻巻平と新人絵名と共に、事件の真相を探る過程で様々な困難に直面します。黒染源という謎の男が放つ巨大な鬼の画獣との戦いは、視覚的にも非常にインパクトがあります。

キャラクター

『書家』のキャラクターはそれぞれ個性的で、物語を盛り上げる重要な役割を果たしています。墨屋紙朗を演じる中尾明慶さんは、主人公の勇気と決意をリアルに表現しており、視聴者に深い共感を呼びます。紙巻巻平役の浪川大輔さんと額野絵名役の古川小百合さんも、友情と成長の物語を豊かに描き出しています。

特に黒染源役の松山鷹志さんは、冷酷な敵役を圧倒的な存在感で演じています。彼の演技は、視聴者に緊張感を与え、物語の緊迫感を高めています。その他にも、版元役の加藤精三さんや恥之宮役の佐藤正治さんなど、脇を固めるキャストも非常に充実しています。

制作と映像

『書家』は、アニメーション制作を担当したプロダクション I.Gの技術力が遺憾なく発揮された作品です。キャラクターデザインと作画監督を担当した小島大和さんの美しいキャラクターデザインは、視覚的な魅力を大いに引き立てています。また、原画を担当した名倉智史さんや今石洋之さんなど、業界を代表するアニメーターが参加していることも特筆すべき点です。

背景や美術設定も非常に細かく描かれており、江戸時代の雰囲気をリアルに再現しています。特に、金平和茂さんの美術設定は、作品の世界観を深化させる重要な役割を果たしています。撮影監督の荒井栄児さんや編集の植松淳一さんの技術も、映像のクオリティを高める要因となっています。