『戦場のヴァルキュリア』レビュー：戦術と物語の融合が魅力の名作アニメ

戦場のヴァルキュリア - 戦火の中で咲く希望の花

2009年に放送されたTVアニメシリーズ「戦場のヴァルキュリア」は、SEGAが原作となるゲームを基にした作品であり、A-1 Picturesが制作を担当した。監督は山本靖貴、シリーズ構成は横手美智子、キャラクターデザインは渡辺敦子が務め、総作画監督には米澤優、中路景子、渡辺敦子が名を連ねる。音楽は崎元仁が担当し、Aniplexが音楽制作を手掛けた。放送期間は2009年4月4日から9月26日までの全26話で、チバテレビ、tvk、毎日放送、TOKYO MX、テレ玉、TVQ九州放送、中部日本放送、テレビ北海道、BS11、アニマックスといった各局で放送された。また、PlayStation Storeでもネット配信が行われた。

ストーリー

時は征暦1935年。ヨーロッパ大陸は東西の二つの大国に分断されていた。鉱物資源・ラグナイトをめぐり勢力争いを広げる専制君主国家「東ヨーロッパ帝国連合（通称・帝国）」と、王政を廃した共和国の連邦国家「大西洋連邦機構（通称・連邦）」の両国がついに開戦する。争いは、武装中立を国是とする小国・ガリア公国へも飛び火し、国境の町・ブルールで出会った少女アリシアと青年ウェルキンは、「必ず故郷へ戻る」ことを誓い、義勇軍への入隊を決意する！

解説

この物語は、戦火の中で錯綜する兵士たちの様々な思いと感情を描き、そこで生まれる新たな友情、愛をテーマに繰り広げられる七ヶ月間のドラマである。伝説【ダルクスの災厄】に隠された真実。そして謎に包まれていたヴァルキュリア人の秘密とは…。愛と感動のラブストーリーと、ファンタジーアクションを併せ持ったTVシリーズに乞うご期待！

キャスト

ウェルキン・ギュンター役には千葉進歩、アリシア・メルキオット役には井上麻里奈、イサラ・ギュンター役には桑島法子、ファルディオ・ランツァート役には櫻井孝宏、ラルゴ・ポッテル役には乃村健次、ロージー役には皆川純子、エレノア・バーロット役には田中敦子、エレット役には進藤尚美、スージー・エヴァンス役には戸塚利絵、ヤン・ウォーカー役には平井啓二、オスカー・ベイラート役には外村茉莉子、カロス・ランザート役には坂熊孝彦、エミール・ベイラート役には日比愛子、イーディ・ネルソン役には鹿野優以、ホーマー・ピエローニ役には庄司宇芽香、マリーナ・ウルフスタン役には臺奈津樹、アイシャ・ノーマン役には井上ひかり、ラマール・ヴァルト役には成瀬誠、ゲオルグ・ダモン役には塩屋浩三、マクシミリアン役には福山潤、セルベリア・ブレス役には大原さやか、ラーケン役には石住昭彦、ソーリオ役には原田晃、ミグロ役には進藤尚美、マーサ・リッポネン役には斉藤貴美子、メルケル役には武虎、ジャン役には日比愛子、ハンス役には池田千草、ラディ・イエーガー役には大塚明夫、ベルホルト・グレゴール役には大塚周夫、ナレーション役には斧アツシがそれぞれ担当している。

メインキャラクタ

ガリア公国義勇軍第3中隊のウェルキン・ギュンターは、ガリアの英雄と呼ばれた父を持つ主人公で、生物社会学を専攻していた大学生。開戦を機に義勇軍に志願し、第7小隊の隊長に任命される。アリシア・メルキオットは、孤児院で育った明るく前向きな少女で、パン職人を目指していたが、第二次ヨーロッパ大戦が勃発し、故郷を守るために自警団に入隊し、その後義勇軍に志願する。イサラ・ギュンターは、ダルクス人の少女で、両親を亡くした後、ギュンター将軍の養女として育つ。義兄のウェルキンを心から慕っている。ファルディオ・ランツァートは、ウェルキンの大学での親友で、考古学を専攻していた。義勇軍では、第一小隊の隊長として部下を積極的に率いる行動派。ラマール・ヴァルトは、第1小隊隊長付の下士官で、ファルディオを心酔している。ロージーは、第7小隊では姉御のような存在で、ダルクス人と帝国軍に強い憎悪を抱いている。ラルゴ・ポッテルは、外見は強面だが、野菜が大好きという意外な一面も持つ。エレノア・バーロットは、ガリア軍でも珍しい女性士官で、義勇軍第3中隊中隊長。スージー・エヴァンスは、ブルールの良家のお嬢様で、虫も殺せないほどの温和な性格。ヤン・ウォーカーは、筋肉をこよなく愛し、女性的な思考を持つ。イーディ・ネルソンは、自己顕示欲が強く高飛車な性格だが、不測の事態ではパニックを起こす。ホーマー・ピエローニは、天使のような外見と繊細な心を持つが、過酷な状況に追い込まれるほど喜びを感じる性癖がある。オスカー・ベイラートは、双子の弟エミールを守るため義勇軍に志願した。エミール・ベイラートは、幼い頃から体が弱く療養していたが、兄オスカーの危機を知り義勇軍に志願する。マリーナ・ウルフスタンは、何人も寄せつけない氷の美貌の持ち主で、馴れ合いを嫌う孤高の一匹狼。カロス・ランザートは、ファウゼン近郊の製鉄所に勤めていたが首都に逃れてきた。アイシャ・ノーマンは、12歳で中学校の軍事教練単位を取得し、特例として入隊が許可された天才少女。ハンスは、希少種のハネブタの子供で、第7小隊のマスコット的存在である。

帝国軍側のマクシミリアンは、東ヨーロッパ帝国の皇帝と妾だった母との間に生まれ、正式な嫡子とは認められずに準皇太子という地位を与えられる。セルベリア・ブレスは、古代ヴァルキュリア人の血を引く女性指揮官で、幼い頃に両親と引き離され、帝国軍の極秘機関で育つ。ラディ・イェーガーは、第一次大戦で祖国フィラルド王国を失い、捕虜となっていたが、祖国の再興と独立を条件にマクシミリアン直属の配下として仕える。ベルホルト・グレゴールは、イェーガー、セルベルアと共にマクシミリアンを支える「ドライ・シュテルン」の1人で、徹底した帝国至上主義を貫く。

メインロボ・アイテム

エーデルワイス号は、ガリア公国義勇軍第3中隊第7小隊の戦車で、第一次大戦後にイサラの実父テイマー博士によって設計、製造された。被弾した弾を受け流す傾斜装甲や砲塔内で行われる自動装填装置など革新的な機構が特徴で、量産には至らず、存在するのはこの1輛のみ。亡き二人の父の形見として、イサラがエンジンに新型のタービンを搭載し、いつも整備をしている。

サブタイトル

第一章「戦火の出会い」から最終章「決戦」までの全26話で構成されている。各話ごとに異なるテーマが描かれ、戦争の悲惨さや人間の絆、愛情、友情などが描かれている。

関連作品

「戦場のヴァルキュリア 戦ヴァル劇場」や「戦場のヴァルキュリア 3 誰がための銃瘡」など、原作ゲームを基にした他の作品も存在する。これらの作品もまた、戦場のヴァルキュリアの世界観を深く掘り下げた内容となっている。

主題歌・楽曲

オープニングテーマは、1話から13話までが「明日へのキズナ」（HIMEKA）、14話から26話までが「カナシミレンサ」（MARIA）である。エンディングテーマは、1話から13話までが「アノ風ニノッテ」（pe'zmoku）、14話から25話までが「ひとつの願い」（井上ひかり）、最終話の26話では「BRIGHTEST MORNING」（井上ひかり with 義勇軍第7小隊）が使用された。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっている。

評価と推薦

「戦場のヴァルキュリア」は、戦争という重いテーマを扱いながらも、キャラクターたちの人間ドラマや友情、愛情を描くことで視聴者に深い感動を与える作品である。特に、ウェルキンとアリシアの関係性や、イサラの成長、帝国軍側のキャラクターたちの背景など、多角的な視点から物語が展開される点が評価されている。また、戦闘シーンの描写もリアルで迫力があり、視覚的な面でも楽しめる作品となっている。

推薦するポイントとしては、まず第一にキャラクターの魅力が挙げられる。ウェルキンの優しさと強さ、アリシアの明るさと勇気、イサラの純粋さと成長など、各キャラクターが持つ個性が物語を豊かにしている。また、戦争の悲惨さを描きながらも、希望や絆の大切さを伝えるストーリー展開も見逃せない。さらに、美しいビジュアルと音楽も作品の魅力を引き立てている。

この作品は、戦争ものが好きな人だけでなく、人間ドラマやファンタジー要素を楽しみたい人にもおすすめである。特に、キャラクターの成長や絆を描く物語が好きな人にはぜひ見てほしい作品だ。戦争の悲惨さと人間の強さ、そして希望の光を描いた「戦場のヴァルキュリア」は、視聴者に多くの感動と勇気を与えてくれるだろう。