映画版『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』の魅力と評価

映画版『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』の魅力と評価

装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版 - ソウコウキヘイボトムズ ペールゼン・ファイルズ ゲキジョウバン -

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

2009年01月17日 ~ 0000年01月01日

■配給会社

松竹

■分数

120分

■原作

高橋良輔

■監督

高橋良輔

■制作

・制作/サンライズ

■著作

© サンライズ

■ストーリー

極秘文章「ペールゼン・ファイル」…そこには「異能生存体」と呼ばれる特異遺伝子(不死)の秘密が記されていた。そこに着目したギルガメス軍 情報省次官 フェドク・ウォッカムは、ファイルにあった「キリコ(主人公)、バーコフ、ゴダン、ザキ、コチャック」の5人をモルモットのごとく過酷な戦場に送り込んでゆく。そして、百年続いた戦争が終わりを迎えようとする時、両軍の雌雄を決する大作戦が行われようとしていた。惑星モナド攻略戦…その中心には5人の異能生存体の姿があった…

■解説

TVシリーズから25年…「ガンダム」並ぶリアルロボットアニメの最高峰が、スクリーンで再び蘇る!! “TVシリーズ”へと導く物語を、最新の3DCGで描いた最高傑作!! 「ボトムズ」シリーズ最大の禁忌、“異能者”と呼ばれる主人公・キリコの謎に肉薄する…!! 物語の舞台はOVA『野望のルーツ』からTVシリーズ第1話の狭間。未だ語られていない“百年戦争”の終結を描く!! ペールゼンファイルズとは、そして異能の部隊とは?キリコを巡る謎の深淵に迫る!!

高橋良輔監督の下、物語を再構築。「ボトムズ」の更なる謎に迫る!! 劇場版製作に伴いプロローグ、エピローグ他、新作カットを多数追加。ボトムズの新たな軌跡をスクリーンで体感せよ!!

ボトムズシリーズを支えた、オリジナルスタッフが集結!! 監督:高橋良輔『火の鳥』『モリゾーとキッコロ』シリーズ構成:吉川惣司『ルパン三世 ルパンVS複製人間』キャラクターデザイン:塩山紀生『無敵鋼人ダイターン3』『鎧伝サムライトルーパー』メカニカルデザイン:大河原邦男『機動戦士ガンダム』シリーズ『ヤッターマン』

3DCGによる迫力のメカアクッション!! 手描きでは実現が困難と言われた、アニメーション史上最大の圧倒的物量戦を最新の3DCGで再現!!

■キャスト

・キリコ・キュービィー/郷田ぼづみ
・ノル・バーコフ/長嶝高士
・ガリー・ゴダン/江川央生
・ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキ/矢部雅史
・ダレ・コチャック/後藤哲夫
・フェクド・ウォッカム/石塚運昇
・ヨラン・ペールゼン/大塚周夫
・ナレーション/銀河万丈

■メインスタッフ

・企画/内田健二、川城和実
・原作/矢立肇、高橋良輔
・監督/高橋良輔
・シリーズ構成/吉川惣司
・キャラクターデザイン/塩山紀生
・メカニカルデザイン/大河原邦男
・美術監督/野村正信、鈴木俊輔
・色彩設計/久力志保
・CGIディレクター/畑田裕之
・撮影監督/高橋健太郎
・編集/瀬山武司
・音響監督/浦上靖夫
・音楽/前嶋康明(La Gauno)、乾裕樹
・チーフディレクター、総作画監督/竹内一義
・脚本/吉川惣司、五武冬史、西村昌之、高橋良輔
・絵コンテ/竹内一義、知吹愛弓、池田成、山口武志、鎌仲史陽、重田敦司、岩田幸大、井口幹康
・演出/竹内一義、岩田幸大、山口武志、鎌仲史陽、高田昌宏、小田原男
・作画監督/渡辺裕二、宇田明彦、鈴木竜也、重田敦司、山沢実、山崎輝彦、首藤武夫
・原画/塩山紀生、原敦彦、北澤精吾、斉藤雅智、土屋堅一、倉川英揚、若林幸子、板野希和子、新井亨、千葉源太、宮川喜代美、下地拓郎、松田真路、斉藤直子、早川加苗、北山芳規、川添政和、鎌田祐輔、板井寛幸、野澤吉樹、藤井望、鈴木卓也、田頭真理恵、安彦英二、中矢雅樹、松井章、恩田尚之、奥田淳、鈴木竜也、中島利洋、鹿間貴裕、長田伸二、加瀬幸治、日和裕介、宮暁秀、山縣亜紀、鈴木康之、長谷川貴子、山縣クリカ、上原真生人、野田晴彦、山本まゆみ、福島史士、土信田和幸、並木あゆみ、小野隆哉、田村勝之、菊永千里、菊池政芳、藤田真弓、西山伸吾、岡部律子、池添優子、菅原美智代、楠知津子、松下清志、福田忠、大野勉、平山宏美、今井武志、久保充照
・第二原画/吉川真帆、升谷由紀
・デザインワークス/森木靖泰、寺島慎也
・ゲストメカデザイン/片貝文洋
・動画検査/玉腰悦子、尾山景子、勝部知子、海保仁美、深見沙和
・動画/鈴木香理、林佳織、宮田純子、福光文、井達麻未、三浦尚子、木田和弘、田中立子、大浅由美子、安留博子、山内ゆみ、大村まゆみ、真野鈴子、梅林由加里、竹之内節子、高田小知代、高橋祐子、増子裕美、安本乃涼、覚張真弓、森文代、渡辺恵子、今中ひろみ、上竹哲郎、高岡理恵、早船明彦、原則子、古屋佐和子、村上力哉、山口飛鳥、降旗絵里、加藤雅規、松村浩志、関口勝也、きのプロダクション、デジクラフト、中村プロダクション、スタジオブーメラン、アドコスモ、アニメアール、オズインク、スタジオアド、スタジオムー、スタジオ九魔、スタジオギムレット、サンライズ作画室、AIC宝塚、スノーライトスタッフ、ファンアウト
・ゲスト色彩設計/すずきたかこ
・色指定、仕上検査/斎藤麻由、松原陽子、大谷和也
・仕上/野本有香、仲條貴子、今井友紀子、関野里枝子、國嶋奈津美、松林彩、長本忍、土屋透治、南龍介、宮原奈緒子、細川和美、伊藤俊幸、店崎小百合、小柳寿志、坂山琴美、小笠原彩恵、畑中章行、箕輪裕子、池田陽子、牧島幸子、賀山紗也子、あさみゆうこ、梅本エリ、森綾、林大樹、小野淳、藤井瞳、片倉麻衣、スタジオ・エル、スタジオトイズ、スタジオタージ、AIC宝塚、テレコム・アニメーションフィルム、Wish、ライトフット、キューブエーモーション、スタジオステップ、アクシズ&キャッツ、ファンアウト、スタジオアルファ、デジクラフト
・美術設定/伊井蔵、佐藤正浩
・美術監督補佐/辻秀一
・背景/スタジオ美峰、谷岡善王、三田慎也、成田優実子、高梨皓太、辻健志、丁樹禄、松本つばさ、尾崎直人、松原康之、池田裕輔、鶴岡宏賢、小川良徳、知本裕太、森川友恵、櫻井美絵子、HUYEN DA SA、VU DIEP、TRAN THI BAO VAN、NGUYEN HUYNH、DOAN QUANG HAO、NGUYEN TRANG、NGUYEN DAO、TRAN VAN、NGYAN TUYET、QUACH TRANG、TRAN TRANG、MAI THAO、BUI PHUOC、DUONG QUEN、TRAN NGUYEN、NGUYEN GIANG、NGUYEN HOA、NGUYEN HANG、DOAN HAO、NGUYEN HUE、NGUYEN THAO、スタジオ風雅、赤上由峰、小野由起子、立田一郎、時田美歩、安味香織、湯澤康之、松山洋一、針山義士、星野直人、スタジオ・イースター、居垣宏、本間貴将
・背景スキャニング/佐藤広明(スキャン屋)
・タイトルロゴデザイン/海野大輔(DABHAND)
・撮影/齋藤博次、田野裕美、高橋裕介、清水理絵、石原浩二、アニメフィルム、大神洋一、大神麻美、藤野明彦、野村達哉、シアン、桑良人、神木正士、李周美、板倉あゆみ、長谷川裕一、金珉雅、飯塚利範、中道渉、西川知宏
・モニターグラフィックス/齊藤真次、高橋健太郎、田野裕美、野村達哉、石原浩二、飯塚利範、畑田裕之
・3Dアニメーター/代田邦紀、稲留知行、木原啓雄、高坂学、竹内剛治、杉本裕紀、中村章子、佐藤智之
・モデリング/高坂学、八木武、パトゥリ・フェルディナンド
・ライティング/中川貴史、島田繁治、パトゥリ・フェルディナンド
・キャラクターセットアップ/近藤孝幸
・編集助手/松原理恵、佐々木紘美、角川桂子
・HD編集/有松正泰・中川明子(キュー・テック)
・HDカラーコレクション/庄司光裕
・HD編集デスク/岡本昌明
・音楽プロデューサー/眞野昇
・音楽制作協力/サンライズ音楽出版、イー・スマート、マーサー・ストリート・ミュージック、スコップ・ミュージック、長野由加子(La Gauno)、二宮貴代(La Gauno)、小杉麻樹(Climbers)、鈴木“ばぶー”誠、仲伸朗(JVCエンタテインメント)、中村崇弘(JVCエンタテインメント)
・音響制作/AUDIO PLANNING U
・録音スタジオ/APU目黒スタジオ
・ミキサー/山本寿
・アシスタントミキサー/内山敬章
・音響効果/庄司雅弘(フィズサウンド・クリエイション)
・DTSマスタリング/宇田川浩一、相川敦
・現像/IMAGICA
・設定制作/下平直樹、井口幹康
・制作デスク/梅崎淳志
・制作進行/谷口貴史、金子尚雄、木下宏登、田代街子、吉野和子、嶌田惣一、迫田誠
・企画担当/生地俊祐
・製作担当/加戸裕子
・広報/渋谷誠、小井戸貴丈、清水博之、飯塚寿雄
・公式サイト運営/内田智子、木内拓馬、金田進哉(有限会社フォーユー)
・予告編制作/佐藤敦紀(Motor/liez)
・宣伝協力/永島収、小池経利
・設定協力/井上幸一、泉博道、吉原昌宏、スコープドッグ21C
・アニメーション制作/アンサースタジオ
・制作プロデューサー/山路晴久
・配給/松竹
・製作協力/バンダイビジュアル
・エグゼクティブプロデューサー/富岡秀行、江口政道
・プロデューサー/塚田廷式、長谷部大樹
・企画、製作/サンライズ

■メインキャラクタ

・キリコ・キュービィー
曹長。18歳。百年もの長い戦争を続けるアストラギウス銀河において、キリコもまた多くの若者と同じように兵士として生きるしかなかった。ペールゼン大佐が創設した残虐なる吸血部隊レッドショルダーに入隊したことは彼の脳裏に重く暗い影を残すが、キリコが過酷な運命を背負うことになる本当の理由は死なない個体『異能生存体』と目されたことだった。

・ヨラン・ペールゼン
元大佐。48歳。究極の戦闘集団の創造という理想のもと、自身が創設した最強の特殊部隊レッドショルダーの華々しい活躍によって戦勝の英雄となったが、その不正と残虐が明るみに出るや一転、すべてを剥奪され軍事法廷で裁かれる身分になった。囚われの身になった後も彼の残した『ペールゼンファイル』が異能生存体の誘惑を持って多くの者を狂わせる。

・フェドク・ウォッカム
情報省次官という華々しいキャリアにありながら、それすら余りある政治手腕で軍部へと介入し、更なる地位を狙う野心家。異能生存体に関する暗号文書『ペールゼン・ファイル』、それを記したペールゼンすらも手中におさめ、不死部隊の完成をもくろむ。この非情なる観察者はペールゼンに代わりキリコをまた地獄へ突き落とす。

・ノル・バーコフ
曹長。32歳。荒くれぞろいのボトムズ乗りの中ではインテリともいえる人物を買われ、キリコらの分隊長に任命される。しかしその内面には他の兵士たちと同じく彼にも忘れたい過去と自分でも嫌になる臆病さが付きまとう。

・ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキ
伍長。16歳。キリコと共に地獄を巡る分隊の少年兵。あまのじゃくで情緒不安定、特にキリコに対しては初対面から理解不能な攻撃衝動を持つ。反面、ひねくれてはいるが純粋な部分があり、一番の仲間思いでもある。

・ガリー・ゴダン
曹長。29歳。反抗的、暴力的、私欲的。強靭な肉体を持ち、ATに乗れば目の前の敵を躊躇なく殺戮する。典型すぎるほどに兵士だが、ゆえに味方の中にも命を狙う者が少なくない。その割り切った性格は魅力的ともいえる。

・ダレ・コチャック
軍曹。34歳。元技術者という自己申告に違わず、戦闘ではとびぬけて無能。そのATに関する知識は分隊を救うことがあるが、彼の生き延びてきた本当の理由は生来の臆病さと卑怯さかもしれない。

・コッタ・ルスケ
情報省秘書官。ウォッカムからただならぬ信頼を受け付き従う秘書官。

■メインロボ・アイテム

●AT
・ATM-09-ST スコープドッグ/SCOPEDOG
全高:3804mm
基本待機重量:6627kg
装甲厚:6~14mm
MC:1P-MJ-S2
巡航走行速度:41.0km/h
PR液:DT-MO
PR液総量:184リットル
標準交換時間:218h
固定武装:アームパンチ
主武装:ヘビィマシンガン、ソリッドシューター、ペンタトルーパーなど

百年戦争を代表するATで、バーコフ分隊も乗るのがATM-09スコープドッグ。アームパンチ、グライディングホイールな様々な機構を備え、ヘビィマシンガン等の携行武器、アイスブロウワーなどの各種装備バリエーションで多様な活躍を見せる。

・ATH-06-WP ダイビングビートル/DIVING BEETLE
全高:4148mm
基本待機重量:8415kg
装甲厚:6~15mm
MC:2P-LJ-S4
巡航走行速度:47.0km/h 34.6km/h(スワンピークラッグ使用時)
PR液:DT-MS
PR液総量:190リットル
固定武装:アームパンチ
主武装:ミッドマシンガン

ギルガメス軍のH級AT。高い機密性で水中活動も可能なうえ、脚部に湿地走行用スワンピークラッグを備える。主要火器としてGAT-19ミッドマシンガンを持つが、タイバス渡河作戦では急勾配の踏破を可能にする『スプリングボビン』の設置が主な任務。

・ATH-14-ST スタンディングトータス/STANDING TORTOISE
全高:4022mm
基本待機重量:8302kg
装甲厚:6~15mm
MC:1P-LK-S2
巡航走行速度:43.0km/h
PR液:DT-MO
PR液総量:207リットル
標準交換時間:142h
固定武装:アームパンチ、11ミリ機関銃×2
主武装:ハンディロケットガン

M級といわれるスコープドッグに対し、いかにも重量級という見た目のギルガメス軍H級AT。前線に大量配備されているスコープドッグと比べると戦場で見かけることは少ないが、そのパワーと強力な装備火力で存在感を示す。

・B・ATM-03 ファッティー/FATTY
全高:4020mm
基本待機重量:8812kg
装甲厚:6~16mm
MC:PP-BS・305-II
巡航走行速度:32.0km/h
PR液:BP-CC
PR液総量:188リットル
標準交換時間:98h
主武装:カタパルトランチャー、ハードブレッドガン

ギルガメスと対立するバララント軍の主力AT。宇宙用などいくつかのバリエーションが存在するが、バーコフ分隊の初任務では大型のグライディングホイールを装備した地上用と呼ばれるタイプと遭遇する。主要兵装はG・BATMガトリングガンなど。

・B・ATM-04 チャビィー/CHABBY
全高:3852mm
基本待機重量:7240kg
装甲厚:6~17mm
MC:PP-BS・402
巡航走行速度:42.0km/h
PR液:BP-EC 11.8
PR液総量:122リットル
標準交換時間:102h
主武装:G・BATM-51/G・BATM-52G/円筒型7連ミサイルポッド他

ファッティーと比べて、やや小型なバララント軍のAT。同様に背部を換装した地上用・宇宙用のバリエーションが確認され、さらにはB・ATU-LT-01アイスブロウワーを装備すれば雪上戦闘をも繰り広げる。G・BATM-52Gマシンガンなどファッティーとの共通武装も多い。

■関連作品

・装甲騎兵ボトムズ
・装甲騎兵ボトムズ VOL.I STORIES OF THE A.T.VOTOMS
・装甲騎兵ボトムズ VOL.Ⅱ HIGHLITS OF THE A.T.VOTOMS
・装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー
・装甲騎兵ボトムズ ウド
・装甲騎兵ボトムズ クメン
・装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル
・装甲騎兵ボトムズ サンサ
・装甲騎兵ボトムズ クエント
・装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ
・機甲猟兵メロウリンク
・装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端
・装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ
・装甲騎兵ボトムズ 幻影篇
・装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE
・ボトムズファインダー
・装甲騎兵ボトムズ 孤影再び

■主題歌・楽曲

・ED1
・炎のさだめ
・作詞/高橋良輔
・作曲/乾裕樹
・編曲/織田哲郎、乾裕樹
・歌/TETSU

・IN1
・バイバイブラザー
・作詞/高橋良輔
・作曲/磯崎健史
・編曲/佐々木総作、福田真一郎、二宮英樹
・歌/柳ジョージ

・IN1
・鉄のララバイ
・作詞/高橋良輔
・作曲/磯崎健史
・編曲/佐々木総作、福田真一郎、二宮英樹
・歌/柳ジョージ

■評論

「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版」は、1983年に放送されたTVシリーズ「装甲騎兵ボトムズ」の25年後の2009年に公開された作品であり、シリーズのファンにとっては待望の新作だった。監督は原作の高橋良輔が務め、サンライズの制作により、リアルロボットアニメの金字塔とも言える「ボトムズ」の世界観を再びスクリーンに蘇らせた。この作品は、OVA「野望のルーツ」とTVシリーズ第1話の間の物語を描いており、未だ語られていない「百年戦争」の終結と、主人公キリコ・キュービィーの「異能生存体」としての謎に迫る内容となっている。

ストーリーは、極秘文章「ペールゼン・ファイル」に記された「異能生存体」の秘密に着目したギルガメス軍情報省次官フェドク・ウォッカムが、キリコを含む5人の異能生存体を過酷な戦場に送り込むことから始まる。そして、百年戦争の終結を目前に控えた惑星モナド攻略戦が描かれ、キリコたちの運命が交錯する。物語は、戦争の残酷さと人間の業を描きつつ、キリコの「異能者」としての存在意義を深く掘り下げている。

本作の最大の特徴は、最新の3DCG技術を駆使したメカアクションである。従来の手描きでは実現が困難だった大規模な戦闘シーンを、圧倒的な物量とリアルな動きで再現している。特に、AT(アーマードトルーパー)の戦闘シーンは、視覚的な迫力とリアリティが際立っており、観客を引き込む力がある。また、キャラクターデザインを担当した塩山紀生とメカニカルデザインの大河原邦男のタッグにより、原作の世界観を忠実に再現しつつ、新たな魅力を引き出している。

キャストも、キリコ役の郷田ぼづみを始めとするオリジナルキャストが再集結し、キャラクターの心情や葛藤をリアルに表現している。特に、キリコの内面の葛藤や成長を描くシーンでは、郷田の演技が光り、観客に深い感動を与える。また、フェドク・ウォッカム役の石塚運昇やヨラン・ペールゼン役の大塚周夫の声優陣も、キャラクターの深みを増す演技を見せており、物語を盛り上げている。

音楽も、本作の魅力を引き立てる重要な要素である。エンディングテーマ「炎のさだめ」を歌うTETSUの力強い歌声や、挿入歌「バイバイブラザー」と「鉄のララバイ」を歌う柳ジョージの哀愁漂う歌声が、物語の雰囲気を盛り上げている。また、前嶋康明と乾裕樹によるBGMも、戦場の緊張感やキャラクターの心情を巧みに表現しており、視覚と聴覚の両方で作品を楽しむことができる。

「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版」は、シリーズのファンだけでなく、リアルロボットアニメや深いストーリーを求める観客にもおすすめの作品である。最新の技術とオリジナルスタッフの力により、25年を経てもなお色褪せない「ボトムズ」の魅力を再確認できる一作となっている。

■推薦

「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版」は、リアルロボットアニメのファンや、深いストーリーとキャラクターの成長を楽しみたい人に強く推薦する。特に、原作シリーズを視聴したことがある人は、キリコの新たな一面や「異能生存体」の謎に迫るストーリーを楽しむことができるだろう。また、3DCGによる迫力のメカアクションは、視覚的な面でも満足感を得られるはずだ。さらに、音楽や声優の演技も作品の魅力を引き立てており、全体を通して高品質なエンターテイメントを提供している。ぜひ、劇場版で「ボトムズ」の世界を再び体験してほしい。

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