京極夏彦の『巷説百物語』を徹底評価！魅力とおすすめポイントを解説

京極夏彦 巷説百物語 - キョウゴクナツヒコ コウセツヒャクモノガタリ

■公開メディア

TVアニメシリーズ

■原作メディア

小説

■放送期間

2003年10月03日 ～ 2003年12月26日

■放送局

中部日本放送

■分数

30分

■話数

13話

■原作

京極夏彦

■監督

殿勝秀樹

■制作

アニメーション制作／東京ムービー

■著作

©京極夏彦／TMS・東宝・CBC・RKB・RCC

■ストーリー

安泰が揺らぐ江戸末期、闇に葬られた事件の解決を請け負う不気味な三人組がいた。御行の又市、山猫廻しのおぎん、鳥寄せの長耳……「御行為奉」の言葉とともに、お上には裁けない罪人たちへの復習を妖怪のせいに仕立てて実行していく。そんな又市一行たちの”仕掛け”にひょんなことから巻き込まれてしまった考え物の作者・山岡百介は、彼らに惹かれながら深く関わっていくことになる。

■キャスト

山岡百介：関俊彦／又市：中尾隆聖／おぎん：小林沙苗／長耳：若本規夫／白庵、黒庵：野沢雅子／京極亭：京極夏彦 ほか

■メインスタッフ

企画：加藤俊三(TMS)、藤原正道(東宝)、原裕二郎(CBC)／プロデューサー：大石祐道、村田祐一、岡﨑剛之／シリーズ構成：藤岡美暢／脚本：藤岡美暢、高橋洋、村井さだゆき、神原裕／キャラクターデザイン：宮繁之／絵コンテ：殿勝秀樹、宮繁之、奥脇雅晴、工藤鉱軌、細田雅弘、大庭秀昭、名村英敏／演出：殿勝秀樹、のがみかずお、細田雅弘、大庭秀昭、上野史博、菅井嘉浩、宮田亮／作画監督：石本英治、小山知洋、山崎建志 ほか／美術監督：宮野隆／色彩設計：西香代子／撮影監督：大坪聡／編集：佐野由里子／CGディレクター：下山真吾／文芸担当：高達俊之／アシスタントプロデューサー：浄園祐／音楽：蓜島邦明／音響監督：なかのとおる

■主題歌・楽曲

【OP】曲名：The Flame／歌手：ケイコ・リー／作詞：Donny Schwekendiek／作曲：Keiko Lee／編曲：Keiko Lee
【ED】曲名：ザ・モーメント・オブ・ラブ／歌手：ケイコ・リー／作詞：Donny Schwekendiek／作曲：Keiko Lee／編曲：Keiko Lee

評論

京極夏彦の「巷説百物語」は、江戸時代の怪奇と人間心理を描いた傑作小説であり、そのアニメ化は多くのファンにとって待望のものでした。2003年に放送されたこのアニメは、原作の雰囲気を忠実に再現しつつ、視覚的な魅力と深いストーリーテリングを兼ね備えた作品として評価されています。

物語は、江戸末期の不安定な時代を背景に、闇に葬られた事件を解決する不気味な三人組、御行の又市、山猫廻しのおぎん、鳥寄せの長耳の活躍を描いています。彼らは「御行為奉」の言葉とともに、お上には裁けない罪人たちへの復讐を妖怪のせいに仕立てて実行していくという、独特の世界観を持っています。この設定は、原作の持つ怪奇と人間心理の深淵を巧みに表現しており、アニメでもその魅力が十分に引き出されています。

特に注目すべきは、主人公の山岡百介が又市一行に巻き込まれていく過程です。山岡百介は、考え物の作者として登場し、又市たちの「仕掛け」にひょんなことから関わることになります。彼の視点から見た又市たちの行動は、視聴者に新たな視点を提供し、物語に深みを与えています。また、山岡百介が又市たちに惹かれていく過程は、人間関係の複雑さと心理的な葛藤を描き出しており、視聴者を引き込む力があります。

キャストについても、関俊彦さんが演じる山岡百介、中尾隆聖さんが演じる又市、小林沙苗さんが演じるおぎん、若本規夫さんが演じる長耳など、各キャラクターの声優がそれぞれのキャラクターの個性を引き立てています。特に、野沢雅子さんが演じる白庵と黒庵の二役は、怪奇な雰囲気をさらに強調し、作品全体の雰囲気作りに貢献しています。また、原作者の京極夏彦さんが京極亭役で出演していることも、ファンにとっては嬉しいポイントです。

メインスタッフの面でも、監督の殿勝秀樹さんをはじめ、キャラクターデザインの宮繁之さん、音楽の蓜島邦明さんなど、各分野のプロフェッショナルが集結しており、そのクオリティの高さが作品全体に反映されています。特に、絵コンテや演出の面で多彩なスタッフが参加していることは、各話ごとの個性と一貫したストーリーテリングを実現する上で重要な役割を果たしています。

主題歌についても、ケイコ・リーさんの「The Flame」と「ザ・モーメント・オブ・ラブ」は、作品の雰囲気にマッチした美しい楽曲であり、視聴者の心に深く残るものとなっています。彼女の歌声は、作品の怪奇と美しさを同時に表現しており、視聴体験をさらに豊かなものにしています。

推薦

「京極夏彦 巷説百物語」は、怪奇と人間心理を描いた深遠なストーリーと、美しいビジュアル、そして優れたキャストとスタッフによって支えられた作品です。特に、江戸時代の雰囲気を楽しみたい方、怪奇小説やミステリーが好きな方、そして深い人間ドラマを求める方には強くお勧めします。また、原作小説を読んだことがある方も、アニメならではの視覚的な魅力と新たな解釈を楽しむことができるでしょう。

この作品は、単なるエンターテイメントとしてだけでなく、人間心理の深淵を探求する一つの手段としても価値があります。視聴後は、自分自身の心の内側を振り返るきっかけとなるかもしれません。ぜひ一度、視聴してみてください。