『HUMAN LOST 人間失格』レビュー:ディストピアSFの新たな可能性

『HUMAN LOST 人間失格』レビュー:ディストピアSFの新たな可能性

『HUMAN LOST 人間失格』:未来の日本と人間の存在意義を問うアニメ映画

■公開メディア

劇場

■原作メディア

小説

■公開日

2019年11月29日 ~ 0000年01月01日

■配給会社

東宝映像事業部

■分数

110分

■話数

1話

■原作

・原案/太宰治『人間失格』

■監督

木崎文智

■制作

・アニメーション制作/ポリゴン・ピクチュアズ

■著作

©2019 HUMAN LOST Project

■ストーリー

「恥の多い生涯を送ってきました」
昭和111年――医療革命により死を克服し、環境に配慮しない経済活動と19時間労働政策の末、GDP世界1位、年金支給額1億円を実現した無病長寿大国・日本、東京。
大気汚染と貧困の広がる環状16号線外〝アウトサイド〟で薬物に溺れ怠惰な暮らしをおくる〝大庭葉藏〟は、ある日、暴走集団とともに特権階級が住まう環状7号線内〝インサイド〟へ突貫し、激しい闘争に巻き込まれる。そこで〝ロスト体〟と呼ばれる異形体に遭遇した葉藏は、不思議な力をもった女性〝柊美子〟に命を救われ、自分もまた人とは違う力をもつことを知る。
暴走集団に薬をばらまき、ロスト体を生み出していたのは、葉藏や美子と同じ力をもつ男〝堀木正雄〟。正雄はいう。進み過ぎた社会システムにすべての人間は「失格」した、と。
文明崩壊にむけ自らのために行動する堀木正雄、文明再生にむけ誰かのために行動する柊美子。平均寿命120歳を祝う人類初のイベント〝人間合格式〟を100日後にひかえ、死への逃避を奪われ、人ならざる者となった大庭葉藏が、その果てに選択するものとは――
貴方は、人間合格か、人間失格か――

■解説

破滅に至った一人の男の生涯を描く日本文学の金字塔
――太宰治「人間失格」。
深い死生観、文学性が今なお、強烈な衝撃を与え続ける
不朽の名作。
そのスピリチュアルを内包し、屈指のクリエイター陣によって再構築された、新たなるオリジナルアニメーション映画が誕生した。

■キャスト

・大庭葉藏/宮野真守
・柊 美子/花澤香菜
・堀木正雄/櫻井孝宏
・竹一/福山潤
・澁田/松田健一郎
・厚木/小山力也
・マダム/沢城みゆき
・恒子/千菅春香

■メインスタッフ

・原案/太宰治「人間失格」
・監督/木﨑文智
・スーパーバイザー/本広克行
・ストーリー原案・脚本/冲方丁
・キャラクターデザイン/コザキユースケ
・グラフィックデザイン/桑原竜也
・CGスーパーバイザー/石橋拓馬
・アニメーションディレクター/大竹広志
・美術監督/池田繁美、丸山由紀子
・色彩設計/野地弘納
・撮影監督/平林 章
・音響監督/岩浪美和
・音楽/菅野祐悟
・アニメーション制作/ポリゴン・ピクチュアズ
・企画・プロデュース/MAGNET、スロウカーブ
・配給/東宝映像事業部

■メインキャラクタ

・大庭葉藏
死を克服した社会において生きる意味を見出せない男。
アトリエ兼住居のバアの二階に引き篭もって絵を描き、薬物や酒や女に溺れる自堕落な生活をおくっている。
友人の竹一に流されるまま、暴走集団の〝インサイド〟突貫に参加し、未来を巡る闘争に巻き込まれる。

■主題歌・楽曲

・主題歌
・HUMAN LOST feat. J. Balvin
・作詞・作曲/m-flo、Emyli、Jose Alvaro Osorio
・歌/m-flo

『HUMAN LOST 人間失格』の魅力と評価

『HUMAN LOST 人間失格』は、太宰治の名作小説「人間失格」を原案に、未来の日本を舞台にしたオリジナルアニメーション映画です。監督は木崎文智、脚本は冲方丁という豪華なスタッフが集結し、ポリゴン・ピクチュアズによる高品質なCGアニメーションが特徴です。この作品は、死を克服した未来社会で生きる意味を見失った主人公・大庭葉藏の物語を通じて、人間の存在意義や社会のあり方を問い直す内容となっています。

ストーリーとテーマ

昭和111年の日本は、医療革命により死を克服し、GDP世界1位、年金支給額1億円という無病長寿大国となっています。しかし、その一方で環境に配慮しない経済活動や19時間労働政策が進み、大気汚染と貧困が広がる社会になっています。主人公の大庭葉藏は、そんな社会の底辺で薬物に溺れ、怠惰な生活を送っています。ある日、友人の竹一に誘われて暴走集団とともに特権階級が住む「インサイド」へ突貫し、そこで「ロスト体」と呼ばれる異形体に遭遇します。葉藏は、不思議な力をもつ女性・柊美子に命を救われ、自分もまた人とは違う力をもつことを知ります。

この作品のテーマは、進み過ぎた社会システムの中で人間が「失格」するということです。葉藏や美子と同じ力をもつ男・堀木正雄は、暴走集団に薬をばらまき、ロスト体を生み出していました。彼は、進み過ぎた社会システムにすべての人間が「失格」したと主張します。文明崩壊を目指す正雄と、文明再生を目指す美子。葉藏は、平均寿命120歳を祝う人類初のイベント「人間合格式」を100日後に控えた中で、自分が何を選択するのかを考えていきます。

キャラクターとキャスト

主人公の大庭葉藏を演じるのは、宮野真守さんです。彼は、死を克服した社会で生きる意味を見出せない男として、深い内面を表現しています。葉藏の友人・竹一を演じるのは福山潤さん、葉藏を救う女性・柊美子を演じるのは花澤香菜さん、そして堀木正雄を演じるのは櫻井孝宏さんです。これらのキャストが、キャラクターの心情や葛藤をリアルに描き出しています。

映像と音楽

ポリゴン・ピクチュアズによるCGアニメーションは、未来の日本をリアルに描き出しています。特に、環状16号線外の「アウトサイド」と環状7号線内の「インサイド」の対比が印象的です。また、菅野祐悟さんによる音楽も、作品の雰囲気を盛り上げています。主題歌「HUMAN LOST feat. J. Balvin」は、m-floが担当し、作品のテーマを象徴するような楽曲となっています。

評価と推薦

『HUMAN LOST 人間失格』は、太宰治の原作を基にした新たな解釈と、未来の日本を舞台にしたストーリーが魅力的な作品です。特に、進み過ぎた社会システムの中で人間が「失格」するというテーマは、現代社会にも通じるものがあります。また、ポリゴン・ピクチュアズの高品質なCGアニメーションや豪華なキャストも見どころです。

この作品は、太宰治のファンだけでなく、アニメやSFが好きな人にもおすすめです。未来の日本を舞台にしたストーリーと、人間が「失格」するというテーマに興味がある人は、ぜひ見てみてください。また、ポリゴン・ピクチュアズのCGアニメーションに興味がある人にもおすすめです。映像美を楽しみながら、深いテーマを考えることができる作品です。

関連情報

『HUMAN LOST 人間失格』は、2019年11月29日に公開され、東宝映像事業部が配給しました。110分の長さで、1話完結の作品です。原案は太宰治の「人間失格」、監督は木崎文智、アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズが担当しています。著作権は©2019 HUMAN LOST Projectに帰属しています。

この作品は、太宰治の原作を基にした新たな解釈と、未来の日本を舞台にしたストーリーが魅力的な作品です。特に、進み過ぎた社会システムの中で人間が「失格」するというテーマは、現代社会にも通じるものがあります。また、ポリゴン・ピクチュアズの高品質なCGアニメーションや豪華なキャストも見どころです。

この作品は、太宰治のファンだけでなく、アニメやSFが好きな人にもおすすめです。未来の日本を舞台にしたストーリーと、人間が「失格」するというテーマに興味がある人は、ぜひ見てみてください。また、ポリゴン・ピクチュアズのCGアニメーションに興味がある人にもおすすめです。映像美を楽しみながら、深いテーマを考えることができる作品です。

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