『Fate EXTRA Last Encore』 - 輝かしいEncoreの終焉と新たな始まり
『Fate EXTRA Last Encore』は、TYPE-MOONとMarvelousが原作を務めるゲームを原作としたTVアニメシリーズであり、2018年1月28日から4月1日までTOKYO MXとBS11で放送されました。全9話という短いシリーズながら、その深いストーリーと美しいビジュアルは多くのファンを魅了しました。この作品は、岸浪ハクノとセイバーが聖杯戦争の終焉に向けて戦う姿を描いており、過去と未来、そして希望と絶望が交錯する壮大な物語です。
■ストーリー
岸浪ハクノとセイバーは、最下層から第六層までの戦いを経て、多くの決断を乗り越えながら上昇してきました。『誰か』として目覚めたハクノは、自分自身が死の総体であることを認め、新たな『誰か』として戦う決意を固めます。しかし、彼らが戦うのはとうに過ぎ去った過去であり、勝利の結末を得る機会は永遠に失われています。ハクノの胸に宿した希望は、果たして熾天の檻に届くのでしょうか。聖杯戦争の終わり、最後に語られるべき月の断片、ここに終幕が訪れます。
■解説
『Fate EXTRA Last Encore』は、輝かしいEncoreと称されるにふさわしい作品です。新房昭之監督のもと、シャフトによるアニメーション制作は、原作の世界観を忠実に再現しつつ、独自の美学を加えて視覚的な魅力を最大限に引き出しています。シリーズ構成を担当した奈須きのこ氏のストーリーテリングは、キャラクターの内面を深く掘り下げ、視聴者に強い感情移入を促します。また、ワダアルコ氏のキャラクター原案と滝山真哲・山村洋貴氏のキャラクターデザインは、各キャラクターの個性を鮮やかに描き出しています。
■キャスト
岸浪ハクノ役には阿部敦さん、セイバー役には丹下桜さんがキャスティングされました。その他にも、遠坂凛役の植田佳奈さん、間桐慎二役の神谷浩史さん、間桐桜役の下屋則子さん、尻里ミサオ役の今村彩夏さん、アーチャー役の鳥海浩輔さん、ライダー役の高乃麗さん、キャスター役の野中藍さん、バーサーカー役の安井邦彦さん、ガウェイン役の水島大宙さんなど、豪華な声優陣が集結しています。彼らの演技は、キャラクターの感情をリアルに表現し、物語に深みを与えています。
■メインスタッフ
原作は奈須きのこ氏とTYPE-MOON、Marvelousが担当し、シリーズ構成も奈須きのこ氏が務めました。キャラクター原案はワダアルコ氏、総監督は新房昭之氏、シリーズディレクターは宮本幸裕氏、キャラクターデザインと総作画監督は滝山真哲・山村洋貴氏、アクションディレクターは三輪和宏氏、美術監督は望月卓磨氏、色彩設計は日比野仁氏、CG監督は高野慎也氏、撮影監督は会津孝幸氏、編集は松原理恵氏、音響監督は鶴岡陽太氏、音響制作は楽音舎、音楽は神前暁氏(MONACA)が担当しました。アニメーション制作はシャフトが行いました。
■メインキャラクタ
セイバー(ネロ・クラウディウス)
月の聖杯戦争に参加するサーヴァント。薔薇の皇帝、真紅のセイバー、ネロ・クラウディウス。自由奔放な独裁者であり、暴君として名を知られたローマ帝国第五皇帝です。父母の愛も人々の愛も知らず、失意の中で人生を終えた孤独な少女です。宝具は『招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)』で、かたちある剣ではなく、逸話を武装としたものです。「皇帝特権」を存分に発揮できる黄金劇場を作り上げ、戦場とします。さらに、燃え盛り崩壊する黄金劇場を利用し、攻撃を行う『星馳せる終幕の薔薇(ファクス・カエレスティス)』を持っています。1000年前、岸波白野と共に戦い熾天の檻に辿り着きましたが、セイヴァーに敗れました。しかし、辺獄の底での岸浪ハクノの『最後まで戦う』という声に応じ、再び聖杯戦争に参戦します。セイバーは美しいと信じたいもののために命を燃やします。第五階層では真名をハクノに告げ、真にマスターとサーヴァントとしての絆を結びます。そして再び熾天の檻に辿り着き、聖杯戦争に関わったすべてのサーヴァントたちの代行者として、最後のマスターをムーンセルの中枢へと送り届けました。彼女が聖杯にかけた些細な願い、「最期には誰かに側にいてほしい」は、生前では決して叶わなかったものですが、彼女に与えられた唯一にして最大の報酬となりました。
岸浪ハクノ
月海原学園に通う生徒。「岸波白野」ではなく、彼女の要素を持った、生者への憎しみだけで構成された死の総体です。多くの敗者、死者、蓄えられた膨大な敗戦記録。その記録の貯蔵が、SE.RA.PHの終わりを感じ取り、1000年間でただ一度起きた変化です。彼が目覚めた時が辺獄、予選会場の最後の一日であり、彼が各階層で見た記憶は無数の敗者たちの記憶の断片です。1000年間ただ一度の変化ではあったが、奇跡ではありません。奇跡があったとすれば、それは彼が憎しみではなく、戦う意志を獲得したことです。窮地において生きるために剣を手に取ったことが、1000年同じ結果をシミュレートしていた辺獄における最大のバグであり奇跡です。岸浪ハクノは岸波白野ではありません。けれどそれは偽物でも、まがい物でもなく、同じ感情、同じ心を持った、新しい『誰か』です。どんなに見た目が変わろうとも、どんなに違う性質になろうとも、同じ魂を元にしたものは同じ結論に辿り着きます。死にたくなく、何も分からないから上を目指してきたそして他の誰でもない『誰か』になるため、名前のないアナタは目覚めたのです。第七階層までの戦いを経て、死人の仮面は剥がれ落ちました。死者は生者となり、叶えるべき目的は逆転しました。反面、デッドフェイスとしての不死性は失われ、戦力は大きく低下しました。生きている以上、胸を貫かれれば死ぬのだからです。だが、死者が生者は止めることはできず、潔く逝くものの影を、死者が掴むことはありません。
遠坂リン
月海原学園に通う生徒。1000年前、地上ではテロリスト、反政府側のウィザードとして活動していました。彼女が月の聖杯戦争に参加した理由は、西欧財閥のトップ、レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイを追い、西欧財閥に管理され停滞期に入った『未来』を変えるためです。遠坂リンとラニ=Ⅷは、同時に勝ち上がり、戦い合いました。しかしその勝敗はムーンセルにも判定することができませんでした。いずれかが死ぬことも勝ち上がることもなく、仮死状態で保護された時点で聖杯戦争が停止し、二人はフロアを維持するための補助装置として組み込まれました。二人は微睡みの中で自己を再定義し、階層そのものであると同時にマスターであるとして、各々のアバターを戦わせました。しかし、既に引き分けの判定が出ている以上、その闘争に意味はありません。生体ユニットと化した二人には、永遠無限に殺し合い、永遠無限に残骸を増やし続ける選択肢しか残されていませんでした。しかし、自己改造と自己強化も際だった変化を見せなくなった500年前、彼女たちは、ひとつの共通の目的を掲げて休戦協定を結びました。ミッションはただ一つ。第一階層から第五階層までに分身を派遣し、まだ生きているマスターを見つけ出し、彼女たちの本体が待つ第六階層まで押し上げる、というものです。リンは第5層、第3層、第1層の担当でした。(協力関係にあるといってもラニとはライバルなので、第2層、第4層ではステルス機能で姿を眩ませていました。第6層でもステルスで身を隠していましたが、ハクノの心ない言葉によってつい姿を現してしまい、捕縛されました)彼女たちが望んだものは明確な『結末』でした。あまりにも歪な、ただ死なないだけの『無限の生』から解放されるためのものです。
間桐桜
月海原学園の保健室にいる女性です。彼女の存在は物語の中で重要な役割を果たし、他のキャラクターとの関係性を通じて深いドラマを生み出します。彼女の過去と現在の葛藤は、視聴者に強い印象を与えます。
尻里ミサオ
月海原学園に通う生徒です。彼女のキャラクターは、物語の進行に沿って徐々にその背景が明らかになり、視聴者に新たな視点を提供します。彼女の行動や決断は、物語の展開に大きな影響を与えます。
ラニ=Ⅷ
サーヴァントを失った元マスターで、ハクノを手助けします。現代にまで魔術を伝えていたアトラス院の最後の魔術師であり、人間の手で作られた人造生命、ホムンクルスです。電脳魔術師(ウィザード)として最高スペックを与えられ、魔術師としてのスペックだけならレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイを上回ります。1000年前、「月の聖杯を得よ」「人間を識れ」という師の教えによって聖杯戦争へと参加しました。『月の聖杯が手に入らないものであれば破壊せよ』という隠された使命を持ち、そのために彼女の心臓部分は極めて高密度の霊子集合体で出来ています。これはムーンセルの技術体系とは異なるアトラス院の最奥であり、暴走させればSE.RA.PHを破壊し、熾天の檻で使用すればムーンセル自体にも多大なダメージを与えます。ハクノがリンの心臓の治療はできてもラニの心臓の治療ができなかったのはこのためです。あまりにも複雑な構造であったため、治療はできず、ただ死にいくラニを看取るしかありませんでした。分身の担当地区は第5層、第4層、第2層でした。リンと違い義理人情のパラメーターを優先しない(感じてはいるが第一としない)ため、第4層、第5層ではハクノたちに付いていくことはなく、ミッションは次の分身(じぶん)に託していました。『けれど、アトラス院の使命とアナタの使命は別のものです。可能であるなら人としての望みを探し、これを叶えなさい。それがアナタを残して先に消える、母としての望みです』寿命により死に瀕したラニの師はそうも残しました。運命を変える星。あるいは、運命を乗り越える星。彼女は最期に、その行く末を眩しそうに見届けました。
ライダー(フランシス・ドレイク)
間桐シンジのサーヴァント。ライダー、フランシス・ドレイク。世界一周を成し遂げ、世界を繋げてみせた者です。史実では男性ですが、Fateでは男まさりの女海賊として登場します。当時世界一のスペイン艦隊を打ち破ったことから、太陽を落とした女『テメロッソ・エル・ドラゴ』の異名を持ちます。『星の開拓者』という特性を持つ希有なサーヴァントであり、強力な幸運を持つ冒険家です。宝具は『黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)』です。「泥からだって黄金を生み出せる」というシンジの強がりを聞き、彼の都市運営に付き合っていました。……ドレイク自身、その長い長い停滞によって『いつもここ一番で勝利をもぎ取ってきた』自分の幸運が、決定的な場面では真逆に働くであろうことを予感しながら。
間桐シンジ
月海原学園に通う生徒。かつて対戦相手を倒し上に上がる権利を得ましたが、聖杯戦争が「本当に相手を殺すもの」という事実を突きつけられ、戦いを放棄しました。ラダーに乗らず、ただひとり第一階層にとどまったマスターです。その14日後、チャクラ・ヴァルティンが成立し、第一階層にただひとり存命していたため、自動的にフロアマスターとなりました。シンジは残っていたリソースを使い、上にあがることを諦めたマスターたちが集う享楽の都市を作り上げ、新体制を運営しました。何も残せないまま消えることを拒み、「世界有数のハッカーが揃えば、SE.RA.PHを救うことはできなくても、何かが出来るはずだ」と、無垢な夢に縋って。
アーチャー(ロビンフッド)
ダン・ブラックモアのサーヴァント。アーチャー、ロビンフッド。英国に伝わる、義賊とたたえられた英霊です。ゲリラ戦に長けており、二種の宝具を有します。姿を隠す、『顔の無い王(ノーフェイス・メキング)』と、対象がため込んだ不浄を増幅させ爆発させる、『祈りの弓(イー・バウ)』です。かつては不意打ち・毒殺などで敵マスターを仕留める『無駄の無い、危険の無い』戦法を信条としていましたが、ダン・ブラックモアの信条に触れ、生前のちっぽけな願いを叶えました。その後、ダンの蘇生に合わせてサーヴァントとして復活し、既に敗北しマスターとしての資格を持たないダンに付き添い、深い森の中1000年もの間、彷徨い続けました。顔は無くそうとも誇りは忘れず。我らの亡骸は、どうかイチイの樹の下に―――
ダン・ブラックモア
第2階層のフロアマスター。騎士道精神を重んじる武人であり、百戦錬磨の老騎士です。しかしチャクラ・ヴァルティン成立後、第二階層で破れたマスターの中で最強の者として選ばれ、強制的に蘇生しました。だが死者が生前のまま蘇る道理はなく、1000年の時を経て、勝利のみに妄執する狩人へと変貌しました。ダンは第二階層のフロアマスターではありますが、1000年前に既に敗北しているため、聖杯戦争の参加者=マスターではなくなり、いかにマスター権を持つウィザードを殺したところで、上へとあがる資格を持ちません。
キャスター(ナーサリー・ライム)
ありすのサーヴァント。キャスター、ナーサリー・ライム。実在する英雄ではなく、実在する絵本の総称です。多くの子供たちの夢を受け止めていくうちに一つの概念として成立、サーヴァント化した存在です。宝具は、固有結界の『誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)』です。マスターの心を映し、マスターが夢見たカタチの疑似サーヴァントを作り上げます。ありすというマスターを得てから発生した宝具が『永久機関・少女帝国(クイーンズ・グラスゲーム)』です。状況の巻き戻しを行い、都合の良い結果になるまで永遠にやり直しを行っています。ループではなくリトライであるため、やり直しの前の記憶も時間も蓄積されます。
ありす
第3階層のフロアマスター。第三階層のフロアマスター。病気で亡くなり、気が付くとSE.RA.PHでサイバーゴーストとして出現していた少女です。普通の人間には見えない存在でした。「必ず戻ってくる」というある人物との約束を胸に抱き、『名無しの森』をリソースとして自身を保ち続けようとした結果、怪物化しました。彼女は「この一日」を巻き戻し続けていました。どんな姿になっても、ただ、その約束が叶うことだけを夢見て――
バーサーカー(李書文)
ユリウスのサーヴァント。バーサーカー、李書文。本来はアサシンクラスで顕現していたサーヴァントです。失った理性をユリウスが補っています。宝具は、『无二打』『猛虎硬爬山』です。『无二打』は戦闘開始時の何気ない初撃ですが、この一撃には敵を内部から破壊する必殺の威力が秘められています。正体を知らない者にとってはまさに初撃必殺の宝具です。『猛虎硬爬山』は八極拳の秘門、奥義の一つです。虎が山を掻きむしるような初撃の動作がその名の由来です。その一撃一撃が“李書文という武人を出力先にした大地からのエネルギー”です。
ユリウス
第5階層をさまよう殺人鬼。聖杯戦争史上、最高のマスターと言われたレオ・ビスタリオ・ハーウェイの兄です。マスターとなる前は地上で西欧財閥の私設部隊の隊長であり、自身もハーウェイの政敵を抹殺する殺し屋でした。聖杯戦争中も裏で多くのマスターを始末していました。第五階層でセイバーと、彼女の以前のマスターに敗れましたが、五階層最優のマスターとして蘇生させられるも、デッドフェイスとなり第五階層を徘徊するようになりました。何度殺しても現れる「生き汚い」ものへの怒りを抱えながら。聖杯戦争では五回戦で敗れも、「ヤツであれば、あるいは」「ヤツになら、あるいは」と自分を乗り越えていった“近しいもの”に一縷の光を見ましたが、フロアマスターとして蘇生後、その“近しいもの”の結末を知り、苦しみの果てに妄執に囚われ、デッドフェイスとなりました。ユリウスには第五階層を訪れるマスターはすべて“かつてこの階層で戦った対戦相手”に見えていました。ただし、1000年前の地上での因縁からか、遠坂リンだけは正しく認識できていたようです。
ガウェイン
レオのサーヴァント。白銀のセイバー、ガウェイン。ガウェイン卿はアーサー王伝説に登場する、円卓の騎士のひとりです。相対する対戦者にも敬意を払う騎士であり、自身の感情と思考を切り離して王に仕えています。宝具は、対軍宝具の『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』です。柄に疑似太陽を封じ込めた、もう一振りの星の聖剣です。太陽が昇っている間は絶対的な力を誇りますが、その力はすでに失われています。レオが900年の眠りに就く間、第七階層の管理・手入れを続けていました。彼の王が『正しい王』である以上、必ずや王に届く好敵手が現れると確信して。ネロ・クラウディウスに受けた傷により単身では戦えない、と本人は語りますが、単騎でも充分に岸浪ハクノとセイバーを圧倒する力を維持しています。
レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ
月海原学園に通う生徒。聖杯戦争に参加した全てのマスターの中で最強と言われる、世界を支配するハーウェイの次期当主です。地上の救世主、世界を治める者としてデザインされた理想の王、その器です。ユリウスと同じく誕生時から多くの魔術器官を移植され、膨大な知識を継承した欧州文化圏の指導者です。1000年前、岸波白野に対して敗北を宣言し、自ら攻性防壁に灼かれる道を選びましたが、トワイス・ピースマンによって一命をとりとめました。以降はトワイスの思想を非とする前提を失い、人類の未来を諦め、第七階層の守護者となりましたが、第七階層に到達した幾人かのマスターを退け、自ら眠りについていました。岸浪ハクノが上がってきたことで最後の目覚めの時を迎えます。燃え尽きた王聖の灰に、わずかな火を残したまま。
トワイス・H・ピースマン
戦いを憎み、推奨する救世主の欠片です。(*EXTRAマテリアルより引用)1970年、少年時代にトワイスは戦争・戦火――人類史の歪みの地獄を経験しました。成長し科学者となった彼は戦地での医療に従事していましたが、1999年、バイオテロに遭遇し、為す術なく死亡しました。のちに、彼を再現したNPCがSE.RA.PHに配置されました。だが、彼はイレギュラーのNPCでした。トワイスとしての記憶を有し、自我さえ獲得し、何百という試行錯誤(リトライ)の末に七天の聖杯を安置する熾天の檻へと至りました。だが、NPCである彼にはムーンセル中枢へ至るためのアクセス権限が無かったため、聖杯を得ることは出来ませんでした。彼は自らの思想を体現する後継者を待ち、トワイスは全人類に等しい戦いを求めました。人類の文明が袋小路に至ったとき、レオという最高精度の王をもってすら人類を救うことができないという事実を静かに認め、そして、最後の希望だった“戦いの思想の体現者”である岸波白野と決裂した時、人類の変革は夢物語と悟りました。岸波白野とセイバーを消去した後、トワイス本人は自身が焼かれることを承知でムーンセル中枢にアクセスし、SE.RA.PHの在り方、そしてムーンセルの運営方針を変化させました。“人類の死を認めよ。この文明の終わりを看取れ”と。そして熾天の檻にはトワイスを名乗った電脳体の残骸―――意識が焼き切れた後、なお人類の在り方に固執し続けた、生きる死者だけが残されました。
岸波白野
かつてのセイバーのマスター。かつてのセイバー、ネロ・クラウディウスのマスターです。その正体は、ウィザードでもなく、正確にはマスターでもなく、過去に存在した人間の再現、AIの一種――NPCでした。岸浪ハクノと同様、聖杯戦争予選を終えても自身の過去を獲得できず、自分が誰かも分からず、聖杯にかける願いも分からないまま、それでも熾天の檻まで到達した、『最弱から始まり、やがて最強を破った』マスターです。
■サブタイトル
・第1話/今は旧き辺獄の底(プレテリトゥス・リンブス・ヴォラーゴ)
・第2話/死相(デッドフェイス)
・第3話/黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)
・第4話/顔の無い王(ノーフェイス・メイキング)
・第5話/祈りの弓(イー・バウ)
・第6話/永久機関・少女帝国(クイーンズ・グラスゲーム)
・第7話/誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)
・第8話/无二打(デッド・エンド)
・第9話/招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)
・第10話/無限の―――(アンリミテッド/レイズ・デッド)
・第11話/転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)
・第12話/天輪聖王(チャクラ・ヴァルティン)
■主題歌・楽曲
オープニングテーマは「Bright Burning Shout」で、作詞は田淵智也さん、作曲・編曲は神前暁さん、歌は西川貴教さんが担当しました。エンディングテーマは「月と花束」で、作詞・作曲はさユりさん、編曲は江口亮さん、歌もさユりさんが担当しました。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。
■評価と推薦
『Fate EXTRA Last Encore』は、その独特の世界観と深いストーリー展開で多くのファンを魅了しました。新房昭之監督のビジュアル表現は、原作の雰囲気を最大限に引き出し、視覚的な美しさを追求しています。また、キャラクターの内面を描くストーリーテリングは、視聴者に強い感情移入を促し、物語の深みを感じさせます。特に、岸浪ハクノとセイバーの関係性や、各階層での戦いとその背景にあるドラマは、視聴者に強い印象を与えます。
この作品は、Fateシリーズのファンだけでなく、深いストーリーと美しいビジュアルを求めるアニメファンにもおすすめです。特に、キャラクターの成長や葛藤を描く物語が好きな方には、ぜひ視聴していただきたい作品です。また、音楽も物語を盛り上げる重要な要素となっており、OPとEDの楽曲は視聴後の余韻を楽しむのに最適です。
さらに、この作品は聖杯戦争の終焉と新たな始まりを描いており、Fateシリーズの他の作品とも関連性が深いため、シリーズ全体を楽しむための重要なピースとも言えます。視聴後は、他のFateシリーズ作品も合わせて楽しむことで、より深い理解と感動を得ることができるでしょう。
『Fate EXTRA Last Encore』は、輝かしいEncoreとして終焉を迎えましたが、その物語は視聴者の心に深く刻まれることでしょう。新たな『誰か』として生まれ変わった岸浪ハクノとセイバーの旅路は、希望と絶望が交錯する中で、私たちに多くのことを教えてくれます。ぜひ、この作品を通じて、彼らの物語を体験してみてください。 |