戦闘妖精雪風 - セントウヨウセイユキカゼ - の全方位的評価と推薦
■公開メディア
OVA
■原作メディア
小説
■発売日
2002年08月25日
■発売・販売
バンダイビジュアル
■分数
30分
■話数
5話
■原作
神林長平(「戦闘妖精・雪風<改>」「グッドラック戦闘妖精・雪風」早川書房刊)
■監督
大倉雅彦
■制作
・アニメーション制作/GONZO ・製作/バンダイビジュアル・FlyingDog・GONZO
■著作
©2002 神林長平・早川書房/バンダイビジュアル・FlyingDog
■ストーリー
南極大陸の一角に突如出現した巨大な霧の柱。それは異星体ジャムの地球侵略用超空間通路だった。地球防衛機構は「通路」の向こう側、惑星フェアリイ上でジャムの侵攻を食い止めるために、フェアリイ空軍を設立し、前哨基地を置いた。30年以上に及ぶ人類とジャムの戦いに、今だ終わりは見えなかった……。 人間を信頼するより機械である戦術戦闘電子偵察機「雪風」を信頼する青年、深井零が愛機に乗り戦闘情報を収集するうちにジャムと接触する。ジャムは零と雪風に興味を示す一方、人間に対してあるゆる手段を使い戦いを挑んでくる。この戦いは何のための戦いなのか。やがてジャムはフェアリイ空軍に総攻撃を開始する…。
■解説
神林長平原作『戦闘妖精・雪風』。 1984年に発表されてから現在に至るまで多くの読者を魅了し続けている日本SFの金字塔、その完全映像化に挑むのは、クリエーター集団・GONZO! 航空自衛隊全面協力の下、極限までこだわり抜いたビジュアル&サウンド! 五感に迫る驚異のフルデジタル・スカイアクション・ムービーを体感せよ!!
■キャスト
・深井 零/堺 雅人 ・ジェイムズ・ブッカー/中田譲治 ・リン・ジャクスン/池田昌子 ・リディア・クーリィ/麻上洋子 ・エディス・フォス/山田美穂 ・アンセル・ロンバート/土師孝也 ・イトー/杉山紀彰 ・トム・ジョン/矢尾一樹
■メインスタッフ
・原作/神林長平(早川書房刊) ・企画、設定プロデューサー/飯田馬之介 ・監督/大倉雅彦 ・構成/山口 宏、十川誠志 ・脚本/山口 宏、多田由美、大倉雅彦、十川誠志、山下いくと、きお誠児 ・キャラクターデザイン/多田由美 ・アニメーション・キャラクターデザイン/相澤昌弘、橋本浩一、大塚八愛、関野昌弘、加藤 優 ・メカニカルデザイン/山下いくと、きお誠児、竹内敦志、海老川兼武 ・3D特技監督/竹内敦志 ・作画監督/橋本浩一、大塚八愛、加藤 優 ・メカニカル作画監督/阿蒜晃嗣 ・美術監督/竹田悠介 ・色彩設計/村田恵里子 ・撮影監督/吉岡宏夫 ・音響監督/鶴岡陽太 ・音楽/三柴 理、塩野道玄(ザ 蟹) ・音楽制作/ビクターエンタテインメント ・特別協力/航空自衛隊 ・アニメーション制作/GONZO ・製作/バンダイビジュアル、ビクターエンタテインメント、GONZO
■メインキャラクタ
・深井 零 FAF少尉(後に中尉)。日本国出身。フェアリィ空軍・特殊戦第5飛行戦隊のパイロット。極めて無口で内向的な性格。過去に負った心の傷により、他人への関心や交流を持とうとしない。自らの愛機である特殊戦第5飛行隊3番機(パーソナルネーム“雪風”)に対し、絶対的な信頼を抱いている。 ・ジェイムズ・ブッカー FAF少佐。イギリス出身。フェアリィ空軍の特殊戦出撃管理担当。作戦立案や、機体整備の指導、出撃機スケジュールの調整などのデスクワークを主な任務とし、「絶対生還」を至上命令とする、特殊戦戦隊機の帰還を待ち続ける。部下である深井少尉には、単なる職務以上の友情を示している。趣味はブーメラン作り。 ・リン・ジャクスン ジャーナリスト。アメリカ合衆国出身。フェアリィ星におけるジャムの侵略と、対する地球側の軍事活動を論じたノンフィクション『ジ・インベーダー』の著者。地球人類にとって「現実離れした話」と受け止められているジャムへの警鐘を鳴らし続ける。 ・リディア・クーリィ FAF准将。アメリカ合衆国出身。フェアリィ空軍・特殊戦の副司令官。もっぱら犯罪者などの送致先であるFAFに、自ら志願して入隊。「データ収集のための戦術戦闘情報収集専任集団」たる特殊戦を独力で育て上げた。常に冷徹な態度で職務に当たる。 ・エディス・フォス FAF大尉。アメリカ合衆国出身。大学院で航空精神医学マスターを取得後、自身の研究課題である「実戦下における、排他的傾向者の精神構造」を探求するため、FAFを志願。長期間の意識不明状態から回復した深井中尉のメンタルケアを担当する。 ・アンセル・ロンバート FAF大佐。イギリス出身。フェアリィ空軍・情報軍団(フェアリィ基地)・解析センターの指令。銀行勤務の後、FAFに志願。極めて優秀な頭脳を活かし、FAFの情報機関を実質的に掌握している。一見穏和な笑顔のウラに何かしらの野望を秘めている。 ・トム"トマホーク"・ジョン FAF大尉。貧困な家庭環境の下で暮らす中、完治不能の心臓病を患い、胸内に人工心臓を持つ。FAFのフライトマネジメントシステム開発に参与、後にフェアリィに招致。“トマホーク”のニックネームで呼ばれるものの、本人は穏和で内向的な性格。
■メインロボ・アイテム
・スーパーシルフ"雪風"
多目的偵察機FFR-31MR「スーパーシルフ」の改良型。元の「スーパーシルフ」は大型戦術戦闘機「シルフィード」を戦術偵察用に改造したものと記されているが、事実上は設計も性能も別個の機体である。強力なエンジンと、情報収集のために高度な電子頭脳を搭載。さらに空力設計を改善し、高速時の抵抗軽減と操縦性の改良が図られている。センサーやデータリンク装備能力は、基本的には通常型FFR‐31MRと同一のものだが、TARPSポッドセンサー・ブレードの形状は、よりコンパクトになった。
全長 22.0m 全幅 13.2m 全高 6.25m(地上姿勢)/9.75m(TARPSシステム・“エレメント”センサーブレード展張時) 自重 12,188kg 偵察ミッション時典型的離陸重量 25,500kg 最大離陸重量 37,890kg エンジン FNX-5011-DフィーニクスMkXIDターボファン ×2基 推力 10,220kg(ミリタリーパワー。いずれも地球大気内)14,780kg(アフターバーナ使用時) 最大速度 マッハ3.2(地球大気内・高度16,000m) 巡航速度 マッハ1.7(地球大気内・高度16,000m) 実用上昇限度 高度24,000m(地球大気内) 兵装 20mmガトリング機関砲×1門 主翼下ハードポイント ×2ヶ所、エンジンポッド横ハードポイント ×2ヶ所 ※長射程AAM‐VII、中射程AAM‐V、短射程AAM‐III、または高速型HAMシリーズを装備 乗員 2名 偵察システム TARPS=前方・側方斜角カメラ、垂直カメラ、赤外線画像カメラ、赤外線ラインスキャン、コンフォーマル・フェーズドアレイ・マルチバンドESMセンサーブレード、イメージングレーダーなどを任務内容により選択。リアルタイム・ディジタル・データリンク 機体荷重限界 9G+
・メイヴ
FFR-31MRに代わる戦術偵察機として開発されたFRX-99レイフ無人偵察機を再び有人化した機体。操作システムやミッション・システムも、FER-99と同じく高度に自動化されており、本来的には自立的飛行とオペレーションが可能となっている。エンジンは極端な飛行姿勢、たとえば機種上げ90度以上でも推力を発揮し、操縦操作に対応できる、新型ベクタード・ノズルつきのFNX-5011-D-20が装備されている。偵察システムはFRX-99と同じく機体に内蔵、もしくはコンフォーマル式に装備されているが、機能や性能は基本的にFFR-31MRスーパーシルフのものと大きな変化はない。
全長 18.00m 全幅 14.52m 全高 6.28m(FRX-00は原型のFRX-99と同様、主翼、尾翼の可動範囲が広く、どの状態を取るかで寸法も大きく変化する。上記の寸法では、全長は水平尾翼が地面と平行の状態、全幅は主翼が地面と平行のい状態、全高は主翼が地面に対して垂直になった状態を示している) 自重 12,160kg 最大離陸重量 37,495kg エンジン FNX-5011-D-20フィーニクスMk.XIターボファン ×2基 推力 10,220kg(地球大気内・ミリタリー推力)14,930kg(アフターバーナ使用時) 最大速度 マッハ3.3(地球大気内・高度17,700m) 巡航速度 マッハ1.75(地球大気内・高度17,700m) 実用上昇限度 高度24,800m(地球大気内) 兵装 20mmガトリング機関砲×1門、胴体下ハードポイント×3ヶ所、主翼上下ハードポイント ×2ヶ所 ※長射程AAM‐VIIまたは中射程AAM‐V、短射程AAM‐IIIを装備。典型的兵装例としては、胴体センターラインのハードポイントに連装ランチャーを介して中射程AAM×2発、胴体左右ハードポイントのランチャーに長射程AAM×各1発、主翼上下左右ハードポイントに連想ランチャーを介してAAM×4発が可能となる) 乗員 2名 偵察システム 各種可視光・赤外線カメラ、赤外線ラインスキャン、コンフォーマル・マルチバンドESMセンサーなどを任務内容により選択。 機体荷重限界 9G+
・シルフィード
“風の妖精”の名を持つ、双発の大型戦術戦闘機。スーパーシルフと区別するために、FAF内では俗にノーマルシルフと呼ばれている。FAFの主力制空戦闘機である。
・ファーン
フェアリイ空軍の主力を担う、単座の格闘タイプの戦闘機。対地戦闘攻撃システムを備え、地上にあるジャムの補給基地を自動的に捕捉して攻撃する。
・ファーンⅡ
フェアリィ空軍の新型戦術戦闘機。従来の主力FA-1ファーンIがジャム戦闘機の性能向上により優位を失ったため、その後継としてフェアリィ空軍に配備された。元来、無地実験機構想から設計された機体であり、非常に斬新な設計が採用され、後退翼と前進翼を組み合わせた一種のW型翼を持つ。
・レイフ
FFR-31MRの後継機にあたる無人戦術偵察機。胴体前部(有人機であるならコクピットがある位置あたり)には、「ブレインパーツ」と称されるセントラル・コンピューターを搭載。さらに高度に自動化された操縦・航法システムとミッション・システムを統合し、自律的な飛行とオペレーションを可能にしている。
・ジャム TYPE Ⅰ
ジャムの航空機の中で一般的に遭遇するタイプ。FAF側の戦術戦闘機、制空戦闘機に相当すると考えられる。無尾翼機で、中央下に大きな垂直翼を持つ。エンジン形式等、不明な点が多い。
・ジャム TYPE Ⅱ
ジャムの高速戦闘機。地球側がフェアリィ星に侵攻、FA-1ファーンI戦闘機らが互角以上の性能を示していたが、まもなく本機の出現によって、その優位は失われることになる。
■サブタイトル
・OPERATION:1(2002/08/25) ・OPERATION:2(2003/02/25) ・OPERATION:3(2003/08/22) ・OPERATION:4(2004/04/23) ・OPERATION:5(2005/08/26)
■関連作品
・戦闘妖精少女 たすけて! メイヴちゃん
■主題歌・楽曲
・OP1 ・Engage ・作曲/Clara ・編曲/ザ蟹(三柴理、塩野道玄)
・ED1 ・RTB ・1~4 ・作詞/多田由美、横山武 ・作曲/三柴理、Clara ・編曲/高浪敬太郎 ・歌/ムッシュかまやつ
・ED2 ・RTB-AGL2 ・5 ・作曲/三柴理、Clara ・編曲/高浪敬太郎
戦闘妖精雪風 - セントウヨウセイユキカゼ - の全方位的評価と推薦
■作品の背景と歴史
『戦闘妖精雪風』は、神林長平によるSF小説を原作としたOVA作品であり、1984年に発表された小説『戦闘妖精・雪風』から始まり、その後も続編が発表されるなど、長年にわたり愛され続けてきた作品です。この作品は、異星体ジャムとの戦いを描いた壮大な物語であり、特に航空戦やメカニックデザインにこだわった内容が特徴的です。OVA版は2002年から2005年にかけて全5話がリリースされ、原作の世界観を忠実に再現しつつ、映像化ならではの魅力を引き出しています。
■ストーリーの魅力
『戦闘妖精雪風』のストーリーは、南極大陸に突如出現した異星体ジャムの超空間通路から始まります。この通路を通じてジャムが地球侵略を開始し、地球防衛機構は惑星フェアリイに前哨基地を設け、ジャムとの戦いを続けています。主人公の深井零は、戦術戦闘電子偵察機「雪風」を操縦し、ジャムとの戦闘情報を収集する任務に就いています。零の人間に対する不信感と機械への絶対的な信頼感が、彼のキャラクターを深く描き出しており、物語の進行とともにその背景が明らかになっていく展開は見逃せません。また、ジャムとの戦いが何のための戦いなのかという問いかけは、視聴者に深い思索を促します。
■キャラクターの魅力
本作のキャラクターはそれぞれが個性的で、深井零の無口で内向的な性格や、ジェイムズ・ブッカーの友情、リン・ジャクソンのジャーナリストとしての使命感など、多彩な人間ドラマが描かれています。特に深井零のキャラクターは、過去の心の傷から他人との交流を避ける一方で、愛機「雪風」への絶対的な信頼感が彼の行動を支えています。このようなキャラクターの内面描写は、視聴者に強い共感を呼びます。また、各キャラクターのバックストーリーや人間関係が丁寧に描かれており、物語全体を豊かにしています。
■メカニックデザインの魅力
『戦闘妖精雪風』のメカニックデザインは、航空自衛隊の全面協力の下で制作されており、そのリアルさと緻密さが際立っています。特に「スーパーシルフ"雪風"」のデザインは、強力なエンジンと高度な電子頭脳を搭載した偵察機として、原作のイメージを忠実に再現しています。また、「メイヴ」や「シルフィード」、「ファーン」などの機体も、各々の役割と性能を反映したデザインが施されており、視覚的な魅力と共に物語を盛り上げています。ジャムの戦闘機も独特のデザインで、異星体の脅威を視覚的に表現しています。
■映像と音楽の魅力
OVA版『戦闘妖精雪風』の映像は、フルデジタル技術を駆使したスカイアクションが特徴的です。航空戦のシーンでは、リアルな飛行シーンと戦闘シーンが緻密に描かれており、視覚的な迫力と共に物語の緊張感を高めています。また、音楽面では、三柴理と塩野道玄によるBGMが作品の雰囲気を盛り上げ、特にオープニングテーマ「Engage」とエンディングテーマ「RTB」は、視聴者の心に強く残る楽曲となっています。これらの映像と音楽の融合が、作品全体のクオリティを引き立てています。
■評価と推薦
『戦闘妖精雪風』は、SFファンやメカニック好きには必見の作品です。原作の深いストーリーとキャラクターの魅力、そして映像化ならではのビジュアルと音楽の融合が、視聴者に強い印象を与えます。特に、航空戦やメカニックデザインにこだわりを持つクリエーター集団GONZOの制作力は、作品のクオリティを高める大きな要素となっています。また、深井零の人間ドラマやジャムとの戦いが何のための戦いなのかという問いかけは、視聴者に深い思索を促し、物語の魅力を引き立てています。
この作品を推薦する理由は以下の通りです:
- 原作の深いストーリーとキャラクターの魅力が、映像化によってさらに引き立てられている点。
- 航空自衛隊の全面協力の下で制作されたリアルなメカニックデザインと、フルデジタル技術を駆使したスカイアクションの迫力。
- 三柴理と塩野道玄によるBGMと、オープニング、エンディングの楽曲が作品の雰囲気を盛り上げている点。
- 深井零の人間ドラマやジャムとの戦いが何のための戦いなのかという問いかけが、視聴者に深い思索を促す点。
『戦闘妖精雪風』は、SFやメカニックに興味がある方だけでなく、深い人間ドラマや壮大な物語を楽しみたい方にもおすすめの作品です。ぜひ、この作品を通じて、深井零と「雪風」の戦い、そしてジャムとの戦いの意味を感じ取ってください。 |