『フランダースの犬』：感動の名作アニメを再評価する

フランダースの犬：永遠の感動と悲劇の物語

1975年に放送された「フランダースの犬」は、日本アニメーションが手掛けた世界名作劇場の第一作目として知られています。この作品は、ベルギーのフランダース地方を舞台に、絵を描くことが大好きな少年ネロと、彼の忠実な友達である犬のパトラッシュとの心温まる物語を描いています。原作は1872年にイギリスの作家ウィーダ（ルイーズ・ド・ラ・ラメー）によって書かれた児童文学の古典で、その悲劇的な結末は視聴者に深い感動を与えました。

ストーリー

ネロは、絵を描くことが大好きな少年で、将来は画家になることを夢見ています。彼は祖父のジェハンと一緒に貧しいながらも幸せに暮らしていました。ある日、ネロとジェハンは、金物屋の主人に捨てられた老犬パトラッシュを発見し、懸命に看病して元気を取り戻させます。ネロとパトラッシュは次第に強い絆で結ばれていきますが、ジェハンが過労で亡くなり、ネロは一人ぼっちになってしまいます。さらに、風車小屋の火事をネロの仕業と誤解され、行き場を失ってしまいます。絵のコンクールにも落選し、すべてを失ったネロは、ルーベンスの絵の前でパトラッシュと共に安らかな眠りにつきます。

解説

「フランダースの犬」は、日本アニメーションが制作した世界名作劇場の第一作目であり、等身大の人間を描く作品として『アルプスの少女ハイジ』に続く重要な作品です。この作品は、世界名作劇場シリーズを確固たる地位に定着させるきっかけとなりました。原作は1872年にイギリスのウィーダ（ルイーズ・ド・ラ・ラメー）によって書かれた児童文学の古典で、その悲劇的な結末は視聴者に深い感動を与えました。アニメの本放送中には、全国の子供たちからネロとパトラッシュの助命を求める嘆願が殺到したほどです。主題歌「よあけのみち」は、アントワープ・チルドレン・コーラスのバージョンが特に有名です。

キャスト

ネロ役は喜多道枝、ジェハンじいさん役は及川広夫、アロア役は麻上洋子と桂玲子、コゼツ旦那役は大木民夫、エリーナ奥様役は中西妙子、ヌレットおばあさん役は遠藤晴、ジョルジュ役は駒村クリ子、ポール役は菅谷政子、ミシェルおじさん役は雨森雅司、ノエル役は永井一郎、ハンス役は村松康雄、アンドレ役は白川澄子、金物屋役は飯塚昭三、ヘンドリック・レイ役は家弓家正、ナレーター役は武藤礼子が務めました。これらの声優たちの演技は、視聴者に深い感動を与えました。

メインスタッフ

原作はルイーズ・ド・ラ・ラメー（ウィーダ）、製作は本橋浩一、製作管理は高桑充、企画は佐藤昭司（前期ズイヨー映像、後期日本アニメーション）、音楽は渡辺岳夫、演出は黒田昌郎、プロデューサーは高橋茂人、中島順三、松土隆二、脚本は吉田義昭、中西隆三、加瀬高之、伊藤恒久、雪室俊一、佐藤道雄、安藤豊弘、高山由紀子、松島昭、シリーズ構成は松木功、六鹿英雄、中西隆三、キャラクターデザインは森康二、作画監督は坂井俊一、岡田敏靖、羽根章悦、美術監督は伊藤主計、撮影監督は黒木敬七、レイアウトは坂井俊一、録音監督は佐藤敏夫、色指定は保田道世、動画チェックは前田英美、作画はOHプロ、篠原征子、米川功真、丹内司、真鍋譲二、飯村一夫、高橋信也、太田朱美、桜井美知代、高野登ほか、仕上げはスタジオ・ロビン、背景は椋尾篁、川本征平、窪田忠雄、西芳邦、西原繁雄、石橋健一、撮影はトランスアーツ、効果は石田サウンド、録音スタジオは東北新社、現像所は東洋現像所、編集は瀬山武司、絵コンテは奥田誠治、富野善幸、黒田昌郎（柴田一）、山崎修二、斧谷稔、高畑勲、佐々木正広、西牧秀雄（水沢わたる）、演出助手は横田和善、蔭山康生、制作デスクは根来昭、制作進行は松土隆二、高砂克己、富岡義和、堀内俊弘、飯田誠一など、制作は日本アニメーションとフジテレビが行いました。OP「よあけのみち」は岸田衿子が作詞し、渡辺岳夫が作曲、大杉久美子が唄い、ED「どこまでもあるこうね」も岸田衿子が作詞し、渡辺岳夫が作曲、大杉久美子が唄いました。

メインキャラクタ

ネロは、絵を描くことが大好きで、将来は画家になりたいと思っている優しい少年です。幼い時に両親を亡くし、祖父のジェハンと二人で暮らしています。アントワープの教会にあるルーベンスの絵を見たいのですが、絵を見るためのお金がありません。アロアは、ネロの幼なじみで明るい女の子です。何の不自由もなく育てられたせいか、ややわがままな所がありますが、パトラッシュとも仲が良く、ネロたちと遊ぶのが楽しみです。ジェハンじいさんは、ネロの唯一の肉親で、村からアントワープまで牛乳を運ぶ仕事をしています。若い時の戦争で受けた傷や年のせいで体調が余り良くないですが、画家になりたいというネロの願いを何とかかなえてあげたいと思っています。パトラッシュは、金物屋に酷使された挙句に捨てられてしまった労働犬です。ネロとジェハンに命を助けられてからは、仕事も手伝い常に二人と共にいます。金物屋に一度は連れて行かれるが、隙を見て逃げ出しネロ達の元に戻って来る、とても利口な犬です。コゼツは、アロアのお父さんで、風車を持つ村一番のお金持ちです。貧しいネロがアロアと仲良しなのが許せないでいます。エリーナは、アロアのお母さんで、ネロのことを自分の息子のように心配してくれます。ジョルジュとポールは、ネロの友達の兄弟で、ポールが運河に落ちてしまったところをネロが必死で助け、ジョルジュは感謝と尊敬の念を抱くようになります。

サブタイトル

1. 少年ネロ（1975/01/05）
2. アロアと森へ（1975/01/12）
3. アントワープの町で（1975/01/19）
4. 新しい友達（1975/01/26）
5. パトラッシュ（1975/02/02）
6. がんばれパトラッシュ（1975/02/09）
7. スープをおのみ（1975/02/16）
8. ほえたよ　おじいさん（1975/02/23）
9. おもいでの鈴（1975/03/02）
10. アロアのブローチ（1975/03/09）
11. エリーナの花畑（1975/03/16）
12. おじいさんの小さな壺（1975/03/23）
13. ナポレオン時代の風車（1975/03/30）
14. 夜空に描いた絵（1975/04/06）
15. 古い帳簿（1975/04/13）
16. 10サンチームの写生帳（1975/04/20）
17. 丘の上の木の下で（1975/04/27）
18. いたずらっ子のクロ（1975/05/04）
19. 金物屋が村に（1975/05/11）
20. どこまでも（1975/05/18）
21. 船で来たお客さま（1975/05/25）
22. イギリスからの贈物（1975/06/01）
23. アロアの誕生日（1975/06/08）
24. アロアの絵（1975/06/15）
25. アロアがいない（1975/06/22）
26. さようならアロア（1975/06/29）
27. アロアのいないクリスマス（1975/07/06）
28. 親切な貴婦人（1975/07/13）
29. ルーベンスの2枚の絵（1975/07/20）
30. 雪の中の約束（1975/07/27）
31. ネロの決意（1975/08/03）
32. 大きなカシの木（1975/08/10）
33. こころの手紙（1975/08/17）
34. ヌレットおばさん（1975/08/24）
35. お帰りアロア（1975/08/31）
36. アロアのくすり（1975/09/07）
37. うれしい知らせ（1975/09/14）
38. ネロの大きな夢（1975/09/21）
39. 心をつなぐ二つの旗（1975/09/28）
40. おじいさんの口笛（1975/10/05）
41. なつかしい長い道（1975/10/12）
42. となりに来た人（1975/10/19）
43. アロアのおてつだい（1975/10/26）
44. おじいさんへのおみやげ（1975/11/02）
45. ひとりぼっちのネロ（1975/11/09）
46. おじいさんの顔（1975/11/16）
47. 風車小屋の火事（1975/11/23）
48. なくなった仕事（1975/11/30）
49. 描けたよおじいさん（1975/12/07）
50. 発表の日（1975/12/14）
51. 二千フランの金貨（1975/12/21）
52. 天使たちの絵（1975/12/28）

関連作品

「フランダースの犬」は、劇場版「THE DOG OF FLANDERS」としても制作されました。この劇場版は、原作の悲劇的な結末を踏まえつつも、より深い感動を視聴者に与える作品となっています。

主題歌・楽曲

オープニングテーマ「よあけのみち」は、岸田衿子が作詞し、渡辺岳夫が作曲、大杉久美子が唄いました。エンディングテーマ「どこまでもあるこうね」も、岸田衿子が作詞し、渡辺岳夫が作曲、大杉久美子が唄いました。これらの主題歌は、視聴者に深い感動を与え、作品の世界観をより豊かにしました。

評価と推薦

「フランダースの犬」は、その悲劇的な結末と深い感動が視聴者に強く印象付けられた作品です。特に、ネロとパトラッシュの絆や、ネロの夢を追いかける姿勢は、多くの人々に感動を与えました。また、原作の児童文学の古典としての価値も高く、作品全体を通じて人間ドラマの深さを感じることができます。この作品は、子供から大人まで幅広い世代に推薦できる名作であり、特に感動的な物語を求める人々には必見の作品です。さらに、世界名作劇場シリーズの第一作目として、その歴史的意義も大きいです。視聴者は、ネロとパトラッシュの物語を通じて、夢や友情、そして人生の厳しさと美しさを学ぶことができるでしょう。