【口腔保健科学シリーズ2】幼児の口腔保健管理

赤ちゃんの乳歯に関して、多くの親は「乳歯が傷んでいても治療しなくても、いずれ新しい歯が生えてくるから問題ない」と考えます。赤ちゃんが夜眠れないほどの歯痛を起こしたり、歯の下の歯茎に大きな膿瘍ができたり、顔の半分が腫れたりして初めて、彼らは医師の助けを求めて病院に駆け込むのです。

「赤ちゃんの歯は生えてきたばかりなのに、どうしてこんなに悪いの？」これは長期にわたって歯の清掃が不十分なために起こります。細菌は歯の表面構造を破壊し、歯の表面に「ブラックホール」となる虫歯を形成します。感染が徐々に歯の内部に入り込み、歯髄（歯の神経）に炎症を引き起こします。このとき、赤ちゃんは痛みを感じます。さらに根尖炎に進行すると、歯の外側の歯肉に大きな膿瘍が見られることがあります。

乳歯は全部生え変わるのではないですか？壊れていたら何かする必要はありますか？

乳歯は生後6ヶ月頃から生え始め、6歳ごろから徐々に永久歯に生え変わり、12歳ごろには完全に永久歯に生え変わります。そのため、乳歯が抜けてから永久歯が生えるまでには長い時間がかかります。赤ちゃんが治療を受けない場合、長期の感染により永久歯胚の発育中の歯小胞が破壊され、永久歯胚の発育に影響を及ぼす可能性があります。重症の場合、成長や発達、全身感染、精神的健康にも影響を及ぼす可能性があります。

乳歯の虫歯の程度に応じて、医師は適切な治療を行います。

1. 虫歯が歯髄に達していない場合は、虫歯組織を除去して直接樹脂を充填します（充填とも呼ばれます）。

2. 虫歯が歯髄または歯根と歯周組織に達すると、根管内の感染物質を完全に除去するために根管治療が必要になります。

子どもは年齢が幼いため、臨床的に協力することが難しい場合がよくあります。治療に協力しにくいお子様の場合は、保護固定法（拘束具を使用して身体を固定するなど）、亜酸化窒素酸素吸入鎮静法、全身麻酔法などを用いて、患歯の治療を補助することができます。しかし、これは子供たちに恐怖心を与えやすく、親の精神的ストレスと経済的負担を増大させる可能性があります。したがって、親が赤ちゃんの予防的な口腔ケアをしっかり行うことは非常に重要です。

赤ちゃんの歯を丈夫にするにはどうすればいいでしょうか?

子どもの成長発育期には、乳歯が揃っていると、良好な咀嚼機能を発揮し、子どもの身体の成長発育を促進し、顔の骨の成長を刺激し、永久歯の萌出を導きます。そのため、乳歯の健康を守り、口腔衛生をしっかり行うことが非常に重要です。

1. 口腔衛生を維持する

乳児期（0～1歳）

最初に生えてきた乳歯から始めて、親は湿らせたガーゼで指を包むか、指先の歯ブラシを使って歯の表面を優しく洗浄し、1日1回歯茎をマッサージする必要があります。

指歯ブラシ

幼児期（1～3歳）

歯ブラシを使って歯垢を取り除き、赤ちゃんの歯磨きを促して手伝い、良い歯磨きの習慣を身につけましょう。毎朝と毎晩、米粒大の子供用フッ化物歯磨き粉を使って、円を描くように歯を磨いてください。フッ化物歯磨き粉のフッ化物濃度は1000ppmです。毎食後、親は赤ちゃんがデンタルフロスを使って歯の間に詰まった食べ物の残りかすを掃除するのを手伝う必要があります。

就学前期（ 3～6歳）

親は、子供用のフッ化物入り歯磨き粉を豆粒大の量使い、毎朝と毎晩、円を描くように歯を磨くように子供を手伝うべきです。虫歯リスクが低い子供はフッ素濃度 1000 ppm のフッ化物配合歯磨き粉を使用し、虫歯リスクが高い子供はフッ素濃度 1450 ppm のフッ化物配合歯磨き粉を使用します。

歯ブラシを「等角」に持つ方法よりも、円を描くようにブラッシングする方法のほうが効果的です。

歯ブラシの毛先は歯茎に対して 45 度の角度になるようにします。

歯の外側を磨く: 上歯と下歯を軽く噛み、柔らかい毛の歯ブラシを使用して、弧を描くように繰り返し磨いてください。

前歯の内側を磨く：歯ブラシを垂直に持ち、上歯と下歯の内側を磨きます。上歯は下向きに、下歯は上向きに磨きます。

奥歯の内側を弧を描くように磨いてください。

噛む面を磨く：歯ブラシを垂直に保ち、歯の噛む面をきれいにします。

アークブラッシング法

毎日歯を磨くことをおすすめします

2. 定期的な歯科検診

定期的な口腔検査により口腔の問題を早期に発見することができます。赤ちゃんの歯に問題が見つかった場合は、できるだけ早く介入することができます。半年から1年に1回フッ素を塗布し、乳臼歯の小窩裂溝を封鎖することで、虫歯の発生と進行を効果的に予防できます。