『天狼 -Sirius the Jaeger-』の魅力と評価：吸血鬼ハンターの壮大な物語

『天狼 -Sirius the Jaeger-』：吸血鬼と狩人の壮絶な戦い

『天狼 -Sirius the Jaeger-』は、2018年に放送されたアニメオリジナル作品で、P.A.WORKSが制作したサスペンス・アクションアニメです。昭和初期の東京を舞台に、吸血鬼とそれを狩る「狩人」たちの戦いを描いたこの作品は、深いストーリーと魅力的なキャラクターで視聴者を引き込んでいます。

ストーリー

昭和初期、帝都東京。楽器ケースを抱えた一団が東京駅に降り立ちます。彼らは吸血鬼を狩る「狩人」であり、その中には人狼と人間のハーフであるユーリィという青年がいました。ユーリィは故郷を吸血鬼に滅ぼされ、復讐を誓って「狩人」として戦っています。彼らは「天狼シリウスの匣」と呼ばれる聖櫃を巡り、吸血鬼と死闘を繰り広げます。戦いの果てに知り得た真実とは何か、悠遠なる恩讐と策謀の螺旋が交錯する中で、ユーリィたちの運命はどうなるのでしょうか。

キャラクター

本作の主人公であるユーリィは、人狼と人間のハーフで、並外れた身体能力を持つ17歳の青年です。彼は故郷を吸血鬼に滅ぼされ、復讐を誓って「狩人」として戦っています。孤独な生き方をしてきたため、他人を寄せ付けない雰囲気を漂わせていますが、ふとした瞬間に穏やかな微笑みを見せることもあります。武器は仕掛け三節棍で、幾通りにも変形させつつ、自身もそれに応じた格闘術を駆使して戦います。

ウィラードは41歳の元考古学者で、「狩人」の一員でありながら、V海運歴史保存部所属の非常勤顧問という表の顔も持っています。ユーリィたちが所属するチームのリーダー的な存在で、V海運の指令を受け各国で様々な使命を果たします。時折ユーリィに対する眼差しに憂いに似たものが混ざるようですが、その理由は物語が進むにつれて明らかになっていきます。

ドロテアは27歳のヒスパニック系の美女で、「狩人」の一員としてウィラードの片腕として働いています。どんな状況でも冷静に判断し、対応できる柔軟性を有しており、麗しい見目とチャーミングさを併せ持っています。武器は銃を含めた火器全般で、火薬のプロフェッショナルとして、状況に応じて得物を使い分けて戦います。

フィリップは14歳のイギリス出身の少年で、「狩人」の一員としてウィラードのチームに所属しています。最年少ながら狩人としての腕前は申し分なく、よく軽口を叩きますが、時にシニカルな一面も覗かせます。特にユーリィに対して反抗的な態度を取ることがあります。「狩人」は武器を楽器ケースに入れて持ち歩きますが、フィリップは唯一ヴァイオリンを持ち歩き弾き聴かせるのが好きです。

ファロンは26歳のアイルランド系アメリカ人で、「狩人」の一員としてチームに所属しています。筋肉質で精神的にも頼りがいのあるタフさを有しており、おおらかな人となりのため、チーム内の「お兄さん」といった雰囲気を持っています。ユーリィに対しても面倒見が良いですが、「狩人」としてはおしゃべりすぎるきらいもあります。接近戦を得手とし、対吸血鬼用のトラップを仕掛けるのが専門です。

ミハイルはユーリィの兄で、秘境の村ドッグヴィルに生まれ、母親のサチやユーリィたち天狼の一族とともに平和に暮らしていました。しかし「天狼の匣」を狙った吸血鬼の襲撃によって、その安寧は突如破られます。ユーリィとともに燃え盛る村を脱出するも、追手からユーリィを助け深手を負い、そのまま死んだものと思われていましたが、再びユーリィの前に吸血鬼の姿で現れます。もともとは二刀の剣を使用する戦闘スタイルでしたが、現在は短剣や小銃で獲物を追い込んでいます。

エフグラフは数年前よりこの世の闇を支配してきた吸血鬼一族の若き王子で、滅びに向かって進む一族の再興を掲げ、カーシュナーらを従え人類と敵対しています。その目的のため、天狼が遺したとされる「天狼の匣」を追い求めています。

カーシュナーはエフグラフに仕える貴族種ロイヤルズのナンバー2で、V海運のウィラード達から狩るべき対象として追われています。何らかの目的をもって来日し、帝都東京を暗躍しています。兵器と開発技術の輸出を生業とする「アルマ商会」と関係があるようですが、その詳細は物語が進むにつれて明らかになっていきます。

アガサはカーシュナーとともに上海経由で日本にやってきた貴族種ロイヤルズで、普段は妖艶な美女の姿で優雅に振る舞いますが、本性を表すと行動も言葉遣いも荒々しくなります。武器は自身の爪で、戦闘時には長く伸ばすことで、鋭利な刃物のように使用し、人間を切り裂きます。

クラルヴァインは吸血鬼と手を組み我欲を実現しようと企む、奇天烈な天才科学者です。彼の行動は物語の重要な鍵を握っています。

伊庭秀臣は29歳の日本陸軍・陸軍省軍務局の重要組織「九段分室」に所属する諜報員で、内務省が外国組織に何らかの干渉をしたという噂をきっかけにハルビン特務機関から呼び戻され、調査にあたっています。V海運とアルマ商会に目を付け、部下とともに探りを入れています。月刊実録犯罪の記者として、多田という偽名で行動することもあります。

直江涼子はV海運のウィラード達が、任務先の日本において身を寄せる直江家のご令嬢で、文武両道を志し、剣の修業に余念がありません。好奇心旺盛で、海外からの渡来者であるウィラード一行にも興味津々でしたが、ユーリィに対しては別の感情を抱き始めています。

制作スタッフ

本作の原作はProject SIRIUSで、監督は安藤真裕が務めています。キャラクター原案は西村キヌ、シリーズ構成は小柳啓伍、アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督は松浦麻衣と佐古宗一郎が担当しています。コンセプトデザインは竹内志保、擬斗は佐藤雅弘、美術監督は東潤一と佐藤歩、色彩設計は菅原美佳、撮影監督は出水田和人と上田程之、3D監督は桐谷太力、編集は高橋歩、音響監督は明田川仁、音楽は横山克が担当しています。プロデュースはinfinite、アニメーション制作はP.A.WORKSが行っています。

放送情報

『天狼 -Sirius the Jaeger-』は、2018年7月12日から9月27日までAT-XとTOKYO MXで放送されました。全12話で、各話30分の放送時間となっています。

主題歌・楽曲

オープニングテーマは「シリウス」で、作詞・作曲は岸田、編曲は岸田教団&THE明星ロケッツ、歌は岸田教団&THE明星ロケッツが担当しています。エンディングテーマは「星絵」で、作詞・作曲は渡辺翔、編曲はキタニタツヤ、歌はsajou no hanaが担当しています。これらの楽曲は物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。