『とある飛空士への追憶』：感動の物語と美しい映像の融合を評価する

『とある飛空士への追憶』：壮大な空の旅と切ない恋の物語

■公開メディア

劇場

■原作メディア

ライトノベル

■公開日

2011年10月01日 ～ 0000年01月01日

■配給会社

東京テアトル

■映倫番号

119068

■分数

99分

■話数

1話

■原作

犬村小六

■監督

宍戸淳

■制作

マッドハウス

■著作

©2011 犬村小六・小学館／「とある飛空士への追憶」製作委員会

■ストーリー

二国間戦争のさなか、名もなき飛空士・狩乃シャルルは類稀な操縦技術を見込まれ、次期皇妃ファナ・デル・モラルをその婚約者カルロ皇子のもとに水上偵察機サンタ・クルスで送り届ける極秘任務を命じられた。護衛を付けず一機で敵中を突破する危険な任務。それでもファナを守り抜き、12,000kmを飛ぶべき理由がシャルルにはあった。次々と襲ってくる敵空中艦隊と戦闘機を壮絶なテクニックでしりぞけるシャルル。命をかけた空の旅で、ファナの閉ざされた心は開かれ、次第に二人はひかれあってゆく。やがて迫る絶体絶命の危機の中、ファナのとった行動とは…。そして二人の恋の行方は…？

■解説

原作は犬村小六の同名長編小説。飛空士と次期皇妃との身分違いの切ない恋を主軸に、たった一機で敵の圧倒的戦力を突破する様をドラマチックに、爽快に描く。監督はこれが劇場初となる宍戸淳。3Dを用いた空戦シーンは迫力のあるものに仕上がっている。メインキャストを神木隆之介と竹富聖花が務めることでも話題だ。

■キャスト

・狩乃シャルル／神木隆之介
・ファナ・デル・モラル／竹富聖花
・千々石／富澤たけし（サンドウィッチマン）
・カルロ皇子／小野大輔

■メインスタッフ

・原作／犬村小六
・監督／宍戸淳
・脚本／奥寺佐渡子
・キャラクターデザイン／松原秀典
・メカニックデザイン／山田勝哉
・総作画監督／田﨑聡
・メカ・エフェクト作画監督／山田勝哉
・主題歌／「時の翼」新妻聖子
・色彩設計／小針裕子
・音響監督／清水洋史

■メインキャラクタ

・狩乃シャルル
サン・マルティリアの統治家、デル・モラル公爵が私費を投じて作った傭兵部隊、デル・モラル空艇騎士団に所属する一等飛空士。荒くれ者が多い傭兵の中にあって、紳士的で心優しく、仲間との絆を大事にしている。レヴァーム人の父と天ツ人の母を持ち、黒髪に青い瞳の外観ゆえに、幼い頃からベスタド(混血児)と呼ばれ、様々な差別を受けてきた。決して諦めない粘り強さと、深刻になりすぎない性格で、これまでも様々な困難を乗り越えている。
・ファナ・デル・モラル
デル・モラル公爵の一人娘。レヴァーム皇国皇子カルロ・レヴァームに見初められ、次期皇妃に。子供の頃は活発で思いやり深い性格だったが、幼い頃からの厳しいしつけで、親や家庭教師など、周囲の言われるまま従うようになってしまった。しかしシャルルと的中を翔破する過酷な飛空機の旅をとおして、心の奥に秘めていた様々な感情が表に出てくるようになる。
・千々石
天ツ人の飛空中尉。サムライの心を持つ歴戦の飛空士。搭乗機の側面にビーグル犬のマークをつけている。強敵と正々堂々と渡り合うことに、強いこだわりを持っている。
・カルロ皇子
神聖レヴァーム皇国の皇子。ファナを一目見て心を奪われ、未来の皇妃として求婚した。良く言えばまっすぐな性格の好青年、悪く言えば世間知らずの楽天家。

■主題歌・楽曲

「時の翼」
作詞／池田綾子
作曲／井内啓二
編曲／井内啓二
歌／新妻聖子

■詳細な評測と推薦

■ストーリーの魅力

『とある飛空士への追憶』は、壮大な空の旅と切ない恋の物語を描いた作品です。戦争のさなか、名もなき飛空士・狩乃シャルルが次期皇妃ファナ・デル・モラルを護衛する任務を果たすために、12,000kmもの距離を飛行するという設定は、視聴者を引き込む力があります。シャルルとファナの関係性が徐々に深まっていく過程は、観客に感情移入を促し、物語の進行とともに二人の運命に胸を打たれます。

特に印象的なのは、シャルルがファナを守るために敵の攻撃を巧みにかわしながら進むシーンです。3Dを用いた空戦シーンは非常にリアルで、視覚的なインパクトを与えます。また、ファナの心の変化も丁寧に描かれており、彼女がシャルルとの旅を通じて自分自身を見つめ直す姿は感動的です。

■キャラクターの魅力

主人公の狩乃シャルルは、紳士的で心優しい性格を持ちながらも、困難に立ち向かう強さを持つキャラクターです。彼の背景にある差別や苦難の経験が、彼の行動や決断に深みを与えています。神木隆之介の声優としての演技も素晴らしく、シャルルの心情をリアルに表現しています。

ファナ・デル・モラルは、次期皇妃という立場からくるプレッシャーと、シャルルとの旅を通じて自分自身を見つめ直す姿が描かれています。竹富聖花の演技も見事で、ファナの内面の変化を繊細に表現しています。

千々石とカルロ皇子もそれぞれ個性的なキャラクターで、物語に彩りを添えています。千々石のサムライ精神やカルロ皇子の純粋さが、物語の進行に影響を与え、視聴者に新たな視点を提供します。

■映像と音楽の魅力

本作の映像美は特筆すべき点です。3Dを用いた空戦シーンは非常にリアルで、視覚的なインパクトを与えます。マッドハウスの制作技術が光るシーンが多く、視聴者を引き込む力があります。また、キャラクターデザインやメカニックデザインも細部までこだわっており、作品の世界観を豊かにしています。

主題歌「時の翼」は、新妻聖子の歌声が物語の感動をさらに引き立てます。作詞・作曲・編曲も一流で、物語のテーマにぴったり合った楽曲となっています。BGMも物語の進行に合わせて巧みに使われており、視聴者の感情を揺さぶります。

■監督とスタッフの評価

監督の宍戸淳は、本作が劇場初となる作品ですが、その手腕は見事でした。物語の進行やキャラクターの心情の描写、映像美の追求など、全てにおいて高いレベルでまとめ上げています。脚本の奥寺佐渡子も、原作の魅力を最大限に引き出しながら、映画としての独自の魅力を加えています。

キャラクターデザインの松原秀典、メカニックデザインの山田勝哉、総作画監督の田﨑聡、メカ・エフェクト作画監督の山田勝哉など、スタッフの技術力も高く評価できます。色彩設計の小針裕子、音響監督の清水洋史も、それぞれの分野で作品の質を高めています。

■推薦ポイント

『とある飛空士への追憶』は、壮大な空の旅と切ない恋の物語を描いた作品で、視覚的なインパクトと感動的なストーリーが魅力です。特に、3Dを用いた空戦シーンや、キャラクターの心情の変化を丁寧に描いた点が評価できます。また、主題歌「時の翼」も物語の感動を引き立てる一役を果たしています。

この作品は、戦争や恋愛、自己探求といったテーマに興味がある人には特におすすめです。また、アニメーションの映像美や音楽にこだわりを持つ人にも満足できる内容となっています。ぜひ一度、劇場でこの感動的な物語を体験してみてください。

■関連作品と推薦

『とある飛空士への追憶』を楽しんだ方には、以下の作品もおすすめです。

• 『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』：戦争と青春を描いた作品で、空戦シーンの美しさも見どころです。
• 『風立ちぬ』：飛行機の開発者としての夢と恋愛を描いた作品で、美しい映像と感動的なストーリーが魅力です。
• 『秒速5センチメートル』：遠距離恋愛と成長を描いた作品で、美しい映像と切ないストーリーが特徴です。

これらの作品も、空の旅や切ない恋の物語を楽しむことができるので、ぜひチェックしてみてください。