APPLESEED ⅩⅢ 遺言 #3/劇場版1 - 深掘りレビューと評価

APPLESEED ⅩⅢ 遺言 #3/劇場版1 - 深掘りレビューと評価

「アップルシード XIII 遺言」 - 士郎正宗の世界観を新たなCG技術で描く

「アップルシード XIII 遺言」は、士郎正宗の名作漫画「アップルシード」を原作とした新シリーズ「アップルシード XIII」の劇場版第一弾として2011年6月13日に公開されました。この作品は、CG技術を駆使した新感覚のアニメーションとして注目を集め、原作ファンにとっては見逃せない一作となっています。

ストーリー

「アップルシード XIII 遺言」の舞台は、非核大戦によって荒廃した世界を統合した総合管理局が運営する巨大人工都市オリュンポスです。この都市は、優秀なヒトの遺伝子から作られたハイブリッドのクローン人間「バイオロイド」が運営する理想郷となっています。元ロサンゼルス市警SWAT隊員のデュナン・ナッツと、多機能サイボーグのブリアレオスは、オリュンポスにスカウトされ、特殊部隊ES.W.A.T.の隊員としてテロリストと戦う日々を送っています。

人類の未来をバイオロイドに委ねる「方舟計画」が進む中、オリュンポスに牙を向ける「人類解放戦線」の裏には、テロリスト集団「アルゴノーツ」の英雄アル・ケイデスの影がちらついています。しかし、彼は20年前に技術国家ポセイドンの攻撃で死亡したはずでした。この謎を解き明かすため、デュナンとブリアレオスは戦いに身を投じていきます。

解説

「アップルシード XIII」は、原作ファンにとって見逃せないコミックタッチのCGアニメーションです。過去に劇場公開された『アップルシード』(2004年)と『エクスマキナ-APPLESEED SAGA-』(2007年)は、CG技術を駆使した革新的なアニメ作品として注目を浴びました。「アップルシード XIII」では、CG技術を使って「動くコミック」を表現することに挑戦し、アップルシード史上初、最も士郎正宗氏の原作コミックに近いキャラクターと緻密な描き込みの質感にこだわった新感覚のアニメーションを目指しました。

監督には「図書館戦争」(2008年)や「獣の奏者エリン」(2009年)の浜名孝行氏を迎え、脚本・設定は「攻殻機動隊シリーズ」のプロダクション I.Gが担当しました。士郎正宗作品を熟知したスタッフが集結し、完全オリジナルストーリーを新たに生み出しました。また、CG制作にはディズニーオリジナルアニメ「ファイアーボール」が話題となったジーニーズアニメーションスタジオを中心に、13社のCGスタジオがそれぞれの話数を担当し、各話で見られる13社それぞれの特色にも注目です。

キャスト

主要キャラクターの声優には、デュナン役に坂本真綾、ブリアレオス役に山寺宏一、ランス役に内田直哉、マグス役に中田譲治、バクスタ役に菅原正志、リエス役に鈴森勘司、ジーナ役に小清水亜美、グリッグ役に津田健次郎、アテナ役に玉川砂記子、ニケ役に柳沢真由美、ヒトミ役に高橋美佳子、義経役に下野紘、ディア役に進藤尚美、アルケイデス役に置鮎龍太郎と、豪華なキャストが揃っています。

メインスタッフ

原作は士郎正宗の「アップルシード」(青心社刊)で、監督は浜名孝行、シリーズ構成は藤咲淳一、脚本は藤咲淳一、櫻井圭記、谷村大四郎、岡本航征、梅原英司、助監督は布施木一喜、CG監督は渡辺昭仁、キャラクターデザイン原案は士郎正宗、キャラクターデザインは後藤隆幸、メカニカルデザインは竹内敦志、美術監督は野村正信、テクニカルディレクターは岩井文吾、編集は植松淳一、美術背景は美峰、プロップデザインはヒラタリョウ、主題歌と音楽はConisch(コーニッシュ)、音楽制作はスターチャイルドレコード、音響監督は鶴岡陽太、音響制作は楽音舎、制作はジーニーズアニメーションスタジオ、制作協力はプロダクション I.G、製作は「アップルシード XIII」製作委員会となっています。

メインキャラクター

デュナン・ナッツは、S.W.A.T.特殊部隊の一員で、2105年生まれ。荒野をブリアレオスとともにサバイバルする中、オリュンポスにスカウトされた元ロス市警S.W.A.T.隊員です。父親であるカール・ナッツはこの世界において数々の武勇伝を残す有名人であり、彼に叩き込まれた戦闘術は彼女自身を高いパフォーマンスを誇る戦闘マシーンとしました。ブリアレオスとバディを組み、作戦行動することが多く、公私共にブリアレオスに頼りすぎる一面も持ち合わせています。

ブリアレオス・ヘカトンケイレスは、ES.W.A.T.特殊部隊の一員で、2096年生まれ。恩師カール・ナッツの娘であるデュナンと行動を共にし、荒廃した世界を生き抜いてきました。爆弾事件で全身サイボーグ化して以降、改造を重ねて現在に至ります。この世界において希少な電脳ヘカトンケイルを搭載し、使いこなせる数少ないサイボーグです。その高性能な能力と、性格の慎重さで隊員からの信頼も厚いです。プライベートにおいてデュナンとは恋人同士でもあり、親友でもありますが、任務においては戦友となる関係性です。

ランスは、ES.W.A.T.の特殊部隊の隊長で、家族はなく詳細は不明です。内務省からの信頼も厚く、実戦経験も豊富と思われます。特殊部隊員から見れば口うるさいオヤジであり、信頼するに値する指揮官でもあります。任務優先ではあるが、隊員一人ひとりの生存も彼の目指すところと思われるため、彼の指導する訓練はハードになることが多いです。そのため死ぬより辛いとの評判です。

マグスは、本名その他不詳の人間で、ES.W.A.T.特殊部隊のエースです。過去の経歴など謎めいた部分が多いです。作戦行動中も軽口を叩いたり気楽にやっているようですが、ランスや隊員たちからも厚く信頼され、敬意を払われています。平均以上の能力を持ちながら秀でている部分はありません。だが必要なときに必要な場所にいて適切な行動をとる能力があります。女好きでもあります。

ヒカルド・リエスは、ES.W.A.T.特殊部隊の一員で、元アメリカDEA職員です。潜入捜査の休眠期間中は戦術訓練施設で近接戦闘技術の教官を務めていた過去もあります。柔術と対プロテクター格闘術である鎧組打ちが専門で、時間があるときは同僚に格闘を伝授したがるクセがあります。特にデュナンの素質を気に入っていますが、デュナンにその気はないらしいです。任務においてやるべきことを確実にやる隊員です。

レジナルド・バクスタは、31歳で、ES.W.A.T.特殊部隊の一員です。任務中に左上半身に重傷を負いサイボーグ化しました。しばらくはES.W.A.T.訓練所内で教官をしていましたが、デュナンたちが入隊する少し前に現場復帰を果たしました。昔、地中海を渡ってフランス外人部隊に所属、東アフリカを転戦中、国連平和維持軍のイギリス将校と出会い、英国軍に転籍しました。その後、オリュンポスのヘッドハンティングでES.W.A.T.に入隊しました。無口であり、社交的には見えませんが、ブリアレオスやグリッグのようなサイボーグには親近感を持っており、ブリアレオスがデュナンと楽しそうにしている様子に心和ませる一面も持っています。

ジーナ(レジナ)・ガルシアは、ES.W.A.T.特殊部隊の一員で、かつて難民移動任務中に紛れた子供のテロリストに、左脇腹を刃物で刺され、それ以来「テロリストは殺せば増える」という考えを持つに至り、人権意識が高いです。その事件で軍警察へ移動となり、そこからES.W.A.T.に引き抜かれました。主に実行部隊の中にあって後方支援につき、情報伝達を分析しランスに伝達します。デュナンからすれば「おカタく口うるさい優等生のおねーさん」といった印象を持っていますが、「無能」でも「イヤミ」でもない任務をこなせる隊員です。

アラン・グリッグ・デカトンケイレスは、ES.W.A.T.特殊部隊の一員で、サイボーグです。エリート意識が強く、一般的に最高性能の電脳であるデカトンケイレス、最新の筋あくてゅエーター、排熱材を惜しみなく搭載した自身のパフォーマンスに最高の自信を持っています。元々、兵器産業の御曹司で、荒れている世界を尻目にスポーツカーで疾走中の事故が原因で全身装甲サイボーグとなりました。表面装甲の一部に光学処理を施してあります。誰もが使いこなせるわけでないヘカトンケイルは危険な欠陥電脳ですが、それを行使しているブリアレオスに嫉妬とも憧れともいえる複雑な気持ちを持っています。ナルシストであり、ユニセックスな言葉遣いをします。

アテナは、バイオロイドで、オリュンポスの行政院行政総監の女傑です。オリュンポスの行政における最高責任者であり、警察組織も彼女の支配下となります。オリュンポスとヒト、そしてバイオロイドの未来を常に考えています。

ニケは、アテナの片腕であるバイオロイドで、内務大臣です。参長であり、ES.W.A.T.は彼女直属の執行機関となります。

ヒトミは、2074年生まれのバイオロイドで、オリュンポスのメインコンピュータであるガイアと対話できるDNA情報を持った重要人物ですが、本人にその自覚はありません。デュナンやディアの暮らすアパートの家主でもあります。

ディアは、ポセイドンより派遣されたバイオロイド研究に携わる研究員で、事故により体の大部分をサイボーグ化しています。デュナンと同じアパートに暮らし、デュナンにとって母親とも姉ともいえる存在になりつつあります。

エウリスは、バイオロイドの未来を担う「方舟計画」の立案者であるバイオロイド研究者です。バイオロイドです。

アル・ケイデスは、20年前に死亡の確認されたテロリストで、移動要塞アルゴノーツをアジトとし、ポセイドンに対するテロ活動を行ったために、ポセイドンが空爆でアルゴノーツを活動不能とした際に、空爆に巻き込まれて死亡しています。だがオリュンポスで活動する人類解放戦線のテロ行為の裏にアル・ケイデスを名乗るテロリストがいることが確認されています。

プロフェッサー・レオンは、アル・ケイデスを支援するランドメイトの技術者で、国際指名手配を受けています。

関連作品

「アップルシード XIII 遺言」に関連する作品として、「アップルシード XIII 預言」があります。これらの作品は、「アップルシード XIII」シリーズの一環として、士郎正宗の世界観を深く掘り下げたストーリーを楽しむことができます。

評価と推薦

「アップルシード XIII 遺言」は、士郎正宗の原作を忠実に再現しつつ、新たなCG技術を駆使した映像表現が特徴的な作品です。特に、原作コミックの質感を再現したキャラクターデザインや、緻密な描き込みはファンにとって見逃せないポイントです。また、豪華なキャストとスタッフ陣によるストーリーテリングも見事で、テロリストとの戦いやバイオロイドの未来を描くストーリーは、視聴者を引き込む力があります。

この作品は、士郎正宗のファンだけでなく、CGアニメーションに興味がある人や、SFアクションを楽しみたい人にもおすすめです。特に、「アップルシード」シリーズのファンにとっては、新たな視点から描かれたストーリーを楽しむことができるでしょう。また、シリーズ全体を通して見ることで、より深く世界観を理解し、キャラクターの成長や変化を感じることができます。

「アップルシード XIII 遺言」は、85分というコンパクトな時間の中で、濃密なストーリーと美しい映像を提供してくれる作品です。ぜひ、劇場版として楽しみ、シリーズ全体を追うことで、士郎正宗の世界観をより深く味わってください。

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