『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』の魅力と評価
『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』は、2010年9月18日に公開された、サンライズ制作のガンダムシリーズの一つです。この作品は、テレビシリーズ『機動戦士ガンダム00』の続編として制作され、2年後の世界を舞台に新たな戦いが描かれています。以下では、この作品のストーリー、キャラクター、メカニック、音楽などについて詳細に解説し、評価と推薦を行います。
ストーリー
24世紀初頭、私設武装組織「ソレスタルビーイング」がガンダムを用いて戦争根絶を目指し、世界に武力介入を開始しました。その結果、地球連邦政府が成立し、独立治安維持部隊アロウズの専横を経て、人類は武力に頼らない社会を選択しました。しかし、西暦2314年、130年前に廃船となっていた木星探査船が地球圏に接近し、人類の存亡をかけた新たな戦いが始まります。
この戦いの中で、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターである刹那・F・セイエイは、イノベイターとして進化し、自らの進化の本当の意味と向き合います。イオリア計画の最終段階と「来るべき対話」の意味を探求する中で、彼は新たな危機に立ち向かいます。
ストーリーは、「来るべき対話」への道のりとして、以下の4つの段階に分けられます。
1. ヴェーダの誕生
22世紀初頭、科学者のイオリア・シュヘンベルグは、人類が未来に生き延びるための道筋を考察し、量子コンピューター・ヴェーダを開発しました。ヴェーダは極秘に運用され、200年後の2307年には、世界はユニオン、AEU、人類革新連盟の三大勢力に分かれていました。しかし、人類はまだ戦争を止めることができませんでした。
2. ソレスタルビーイングの登場
2307年、イオリアの思想を体現するためにソレスタルビーイングが活動を開始しました。ガンダムを用いて世界各地の紛争に武力介入し、戦争の根絶を目指しました。刹那・F・セイエイは、かつて中東の小国の少年兵だったが、ガンダムに助けられ、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとして戦いました。ソレスタルビーイングの登場により、三勢力は一時的に結束し、地球連邦が成立しました。しかし、ヴェーダは複数の可能性を留保し続けるプログラムであり、トリニティ兄弟や監視者の暗躍を生み出しました。
3. 地球連邦と独立治安維持部隊アロウズ
地球連邦成立後4年後の2312年、連邦と反連邦勢力との紛争が続いていました。地球連邦はアロウズを設立し、反対勢力を壊滅させようとしました。アロウズを支配し、連邦を背後からコントロールしようとしたのはイノベイドでした。イノベイドは、ヴェーダが社会の変化を察知するための情報端末として生み出された人工生命体でしたが、人類より優位な自分たちこそが人類を導くべきだと考え、暗躍しました。ソレスタルビーイングは、刹那を中心にイノベイドの野心と欺瞞の平和を打ち砕くため、再び武力介入を開始しました。
4. イノベイターの力
イノベイドたちは自分たちこそがイノベイターだと主張していましたが、それは偽りでした。戦いの中で、刹那がイノベイターとして変革し、人々に純粋種のイノベイターの存在を知らしめました。イオリアはイノベイターの登場を促すためにイノベイドを存在させていたのです。刹那はダブルオーガンダムのツインドライヴの力を借りて、自らをハブとし、戦場にいる人々の心をつなぎ合わせました。これは人類にとって戦いのない未来への希望となりました。刹那たちの戦いの結果、イノベイドは排除され、地球連邦の政治は正常化しました。そして2年後の2314年、新たな純粋種のイノベイターが発見され、「来るべき対話」への新たな未来が胎動し始めました。
解説
『機動戦士ガンダム00』は、現実世界の情勢を反映したリアルな世界観からスタートし、人類の未来を描く壮大なヴィジョンに到達した作品です。劇場版では、テレビシリーズのラストシーンから先の世界が描かれ、刹那・F・セイエイたちガンダムマイスターが最後の戦いに挑みます。テレビシリーズのスタッフが総力を結集し、スクリーンにガンダムの深化を描き出しました。ガンダムシリーズ史上最大のスペクタルを体験できる作品です。
キャスト
主要キャラクターの声優は以下の通りです。
- 刹那・F・セイエイ:宮野真守
- ロックオン・ストラトス:三木眞一郎
- アレルヤ・ハプティズム:吉野裕行
- ティエリア・アーデ:神谷浩史
- スメラギ・李・ノリエガ:本名陽子
- ラッセ・アイオン:東地宏樹
- フェルト・グレイス:高垣彩陽
- ミレイナ・ヴァスティ:戸松遥
- ソーマ・ピーリス:小笠原亜里沙
- カディ・マネキン:高山みなみ
- パトリック・コーラサワー:浜田賢二
- グラハム・エーカー:中村悠一
- ビリー・カタギリ:うえだゆうじ
- ミーナ・カーマイン:釘宮理恵
- 沙慈・クロスロード:入野自由
- ルイス・ハレヴィ:斎藤千和
- イオリア・シュヘンベルグ:磯部勉
- E・A・レイ:古谷徹
- 大統領:藤田淑子
- マリナ・イスマイール:恒松あゆみ
- シーリン・バフティヤール:根谷美智子
- クラウス・グラード:川島得愛
- アンドレイ・スミルノフ:白鳥哲
- イアン・ヴァスティ:梅津秀行
- リンダ・ヴァスティ:早水リサ
- リヒテンダール・ツエーリ:我妻正崇
- クリスティナ・シエラ:佐藤有世
- アレハンドロ:松本保典
- イノベイド技術担当:置鮎龍太郎
- イケダ:四宮豪
- デカルト・シャーマン:勝地涼
メインスタッフ
主要スタッフは以下の通りです。
- 企画:サンライズ
- 原作:矢立肇、富野由悠季
- 監督:水島精二
- 副監督:角田一樹、長崎健司、名取孝浩
- 脚本:黒田洋介
- 絵コンテ:寺岡巌、角田一樹、長崎健司、名取孝浩、水島精二
- 演出:角田一樹、長崎健司、名取孝浩、綿田慎也
- テクニカルディレクター:宮原洋平
- キャラクターデザイン:高河ゆん、千葉道徳
- メカニックデザイン:海老川兼武、柳瀬敬之、寺岡賢司、福地仁、鷲尾直広、中谷誠一、大河原邦男
- キャラクター監修:千葉道徳
- キャラクター作画監督:千葉道徳、牧孝雄、大貫健一、森下博光、松川哲也、池田佳代
- メカニック作画監督:中谷誠一、大塚健、西井正典、阿部邦博、有澤寛
- 美術監督:若松栄司
- 色彩設計:手嶋明美
- 撮影監督:葛山剛士
- 編集:野尻由紀子
- 音楽:川井憲次
- 音響監督:三間雅文
- 音響効果:倉橋静男
- アシスタントプロデューサー:小川正和
- エグゼクティブプロデューサー:川城和実、宮河恭夫、竹田青滋
- プロデューサー:池谷浩臣、佐々木新、桑園裕子、丸山博雄
- 制作:サンライズ
- 製作:サンライズ、毎日放送、バンダイビジュアル
メインキャラクター
主要キャラクターの詳細は以下の通りです。
メインキャラクター
- 刹那・F・セイエイ
中東の小国クルジス共和国の少年兵出身。紛争を憎みながらも戦いの中でしか生きられないと自覚し、ソレスタルビーイングに入りました。ガンダムエクシアのパイロットとして世界を相手に戦い続け、ソレスタルビーイングの滅亡後もダブルオーガンダムで戦いました。イノベイターとして進化し、人類の来るべき進化した姿を体現しました。ダブルオークアンタは彼専用の機体です。
- ロックオン・ストラトス
本名ライル・ディランディ。テロで家族を失い、双子の兄ニール・ディランディの後を継いでガンダムマイスターとなりました。カタロンに所属していたが、現在はガンダムマイスターとして生きる決心をしています。アニュー・リターナーとの出会いにより、人と人が理解し合えることを確信しています。ガンダムサバーニャは彼専用の狙撃戦に特化した機体です。
- アレルヤ・ハプティズム
人類革新連盟によって肉体改造を受け、超兵として戦闘に適した能力を付加されました。第二人格ハレルヤが生まれ、二重人格化しましたが、高い戦闘能力を有しています。ソーマ・ピーリス(マリー・パーファシー)と幼い頃に出会い、現在は彼女と共に巡礼の旅を続けています。ガンダムハルートは二人のための新型ガンダムです。
- ティエリア・アーデ
ヴェーダがイノベイターを模して作り出したイノベイドです。自身と同じ存在が世界を歪めていることを知り、人間として戦い続ける決心をしました。戦いの中で肉体を失いましたが、ヴェーダの中にデータとして生き続けています。ラファエルガンダムは彼が使うために自ら生み出した機体です。
- デカルト・シャーマン
純粋種のイノベイターとして発見され、地球連邦軍の大尉として活動しています。しかし、能力を探るために軍からモルモットとして扱われていることに不満を持っています。
ソレスタルビーイング
- スメラギ・李・ノリエガ
ソレスタルビーイングの戦術予報士。戦況の予測に長けており、多くの戦いを切り抜けてきました。計画立案のミスから恋人を失った過去を持ち、お酒に逃げることもあります。地球連邦軍のカティ・マネキンとは旧知の仲であり、ライバルです。
- ラッセ・アイオン
ソレスタルビーイングの砲撃士兼操舵士。ガンダムのパイロット候補でもあり、戦闘マシンで出撃することもあります。GN粒子の後遺症から回復しました。
- イアン・ヴァスティ
ソレスタルビーイングの総合整備士。新型ガンダムやメカニックの開発を手がけています。妻のリンダと娘のミレイナも組織のメンバーです。
- フェルト・グレイス
ソレスタルビーイングの戦況オペレーター。感情を表に出さない性格でしたが、仲間と接する中で笑顔を見せるようになりました。両親は第2世代のガンダムマイスターです。
- ミレイナ・ヴァスティ
ソレスタルビーイングの戦況オペレーター。イアンとリンダの娘で、明るい性格のムードメーカーです。イノベイドとの戦闘から成長しました。
- リンダ・ヴァスティ
ソレスタルビーイングのメカニック開発担当技師。イアンと共にガンダムや支援機の開発に携わっています。現在は木星で最重要システムの開発を手がけています。
- ソーマ・ピーリス(マリー・パーファシー)
人類革新連盟の超兵1号。高い戦闘能力を持ち、地球連邦のパイロットとして活動していましたが、アレルヤとは幼い頃に出会い、現在は彼と共に巡礼の旅を続けています。
- ハロ
ソレスタルビーイングの小型汎用マシン。整備作業からモビルスーツのコントロールまで幅広くサポートしています。組織の秘密保持のため、少人数で運用されています。
地球連邦軍
- グラハム・エーカー
ユニオンに所属していた軍人。ガンダムとの戦いに取り付かれ、ミスター・ブシドーとして戦い続けましたが、純粋種のイノベイターとして覚醒した刹那との戦いで新たな境地に達しました。現在は地球連邦軍のパイロットです。
- ビリー・カタギリ
地球連邦軍の技術顧問。ユニオンに所属していたが、現在はイノベイドの技術を研究しています。スメラギとも知り合いです。
- カティ・マネキン
地球連邦軍の指揮官。ソレスタルビーイングを追いながら連邦内の腐敗にも反旗を翻しました。スメラギとは学生時代からの知り合いで、ライバルです。パトリックと結婚しています。
- パトリック・コーラサワー
AEUに所属していたエースパイロット。地球連邦軍に統一された後もガンダムとの死闘を生き抜きました。軽い性格ですが、実力は本物です。カティに一目惚れし、結婚しました。
- アンドレイ・スミルノフ
地球連邦の軍人。父セルゲイとの確執がありましたが、刹那との戦いで誤解が解けました。現在は人々のために働く決心をしています。
その他
- マリナ・イスマイール
アザディスタン王国の第1皇女。刹那と出会い、平和を求めながらも生き方の違いからすれ違いました。現在は地球連邦政府の中東政策を改めるために活動しています。
- クラウス・グラード
カタロンの中東支部リーダーだったが、現在は地球連邦政府のオブザーバーです。大戦中はシーリンと共にマリナ姫を守りました。
- シーリン・バフティヤール
アザディスタン王国の王宮でマリナの側近を務めていました。現在はカタロンに参加し、クラウスのサポートをしています。
- 沙慈・クロスロード
学生時代にソレスタルビーイングに関係した事件に巻き込まれ、運命が変わりました。宇宙開発に関係した仕事についていましたが、再びソレスタルビーイングと出会い、戦場に立つことになりました。現在はルイスを介護しながら軌道エレベーターの仕事についています。
- ルイス・ハレヴィ
学生時代に沙慈と恋人関係になりましたが、一族をガンダムに殺された復讐に取り付かれました。ソレスタルビーイングの敵に利用されましたが、沙慈の説得で復讐を捨てました。現在はナノマシンの後遺症から治療を受けています。
- ミーナ・カーマイン
宇宙物理学者。地球連邦に協力して事件の解析に当たっています。
メインロボ・アイテム
主要なロボットとアイテムの詳細は以下の通りです。
- ダブルオークアンタ
GNT-0000。型式番号の「T」はツインを意味します。純粋種のイノベイターとして覚醒した刹那のために開発された機体で、ツインドライヴシステムを搭載しています。
- ガンダムサバーニャ
GN-010。ロックオンのためにイアンが開発したガンダムで、射撃戦を得意とします。多数のミサイルポッドを内蔵しています。
- ガンダムハルート
GN-011。アレルヤとマリーのためにイアンが開発した機体で、複座のコクピットを持ちます。飛行形態への変形機能を有し、一撃離脱戦を得意とします。
- ラファエルガンダム
CB-002。ティエリアの搭乗するガンダムで、GNZ-003ガデッサシリーズをベースにしています。ソレスタルビーイングのメカニックが開発したものではありません。
- ガデラーザ
GNMA-Y0002V。純粋種のイノベイター専用の大型モビルアーマーで、現在はデカルト・シャーマンの専用機となっています。実験的な装備を搭載しており、外見も独特です。
- GN-XIV
GNX-803T。地球連邦の制式採用機で、イノベイドの技術を採用し、大幅な性能アップを果たしています。ガンダムに匹敵する性能を持ち、量産が進められています。
- ブレイヴ一般用試験機、ブレイヴ指揮官用試験機
マスラオから発展した地球連邦の制式採用機で、現在は実証試験の段階にあります。元ユニオンとAEUの技術者が開発し、可変機構を踏襲しています。一般機は擬似太陽炉を一基、指揮官用は二基搭載しています。
関連作品
『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』に関連する作品は以下の通りです。
- 機動戦士ガンダム00 1st season
- 機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン
- 機動戦士ガンダム00 スペシャルエディションI ソレスタルビーイング
- 機動戦士ガンダム00 スペシャルエディションⅡ エンド・オブ・ワールド
- 機動戦士ガンダム00 スペシャルエディションⅢ リターン・ザ・ワールド
- 機動戦士ガンダム00 CBきゃら
- 機動戦士ガンダム00 アナスタシア
- 機動戦士ガンダム00 劇中劇「ソレスタルビーイング」予告
主題歌・楽曲
『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』の主題歌と楽曲は以下の通りです。
- TM1
閉ざされた世界
作詞:菅波栄純
作曲:THE BACK HORN
編曲:THE BACK HORN
歌:THE BACK HORN
- TM2
クオリア
作詞:TAKUYA∞
作曲:UVERworld
編曲:UVERworld、平出悟
歌:UVERworld
- IN1
もう何も怖くない、怖くはない
作詞:石川智晶
作曲:石川智晶
編曲:西田マサラ
歌:石川智晶
- IM1
CHANGE
作詞:TAKUYA∞
作曲:TAKUYA∞
編曲:UVERworld、平出悟
歌:UVERworld
評価と推薦
『劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』は、テレビシリーズの続編として、さらに深化したストーリーとキャラクターの成長を描いています。特に、刹那・F・セイエイのイノベイターとしての進化と「来るべき対話」のテーマは、視聴者に深い感動と思考を与えます。また、メカニックデザインや戦闘シーンのクオリティも高く、ガンダムシリーズのファンだけでなく、初めてガンダムを観る人にもおすすめできる作品です。
この作品は、ガンダムシリーズの歴史の中でも特別な位置を占めており、壮大なスケールと緻密なストーリーテリングが魅力です。音楽も印象的で、THE BACK HORNやUVERworldの楽曲が物語を盛り上げます。ぜひ、劇場版のスクリーンでそのスペクタルな世界を体験してみてください。 |