『JINKI:EXTEND』レビュー：魅力的なストーリーとキャラクターの深掘り

JINKI:EXTEND - ジンキエクステンド - の全方位的評価と推薦

■概要

『JINKI:EXTEND - ジンキエクステンド -』は、2005年にテレビ朝日で放送されたTVアニメシリーズであり、綱島士朗によるマッグガーデン刊「月刊コミックブレイド」連載の漫画が原作となっています。監督はむらた雅彦、アニメーション制作はfeelが担当し、全13話で構成されています。物語は、南米ベネズエラと3年後の東京という二つの舞台で展開され、謎の機械生命体【古代人機(コダイジンキ)】とそれに対抗する【人機(ジンキ)】を巡る壮絶な戦いを描いています。

■ストーリー

プラモデル作りが好きな少女・青葉は、ある日突然誘拐され、南米ベネズエラに連れて行かれます。そこは地球最後の秘境、大小100以上もあるという断崖絶壁のテーブルマウンテン。その地では近年、【古代人機(コダイジンキ)】と呼ばれる謎の機械生命体が出現し、人類に牙をむいていた。その侵攻を防ぐため、政府はアンヘルという秘密機関を組織。【人機(ジンキ)】と呼ばれる巨大ロボット兵器で対抗していた。やがて青葉は人機の操主となり、事態は大きく動き始める……!

そして、それから3年後の東京。ロストライフ現象と呼ばれる、ひとつの町が消滅するほどの爆発が世界各地で起き続けていた。その実態は、キョムという組織が人機を使って世界各地を攻撃していたのだ。アンヘルはそれを食い止めようと追い続けていた。3年より前の記憶をもたない少女・赤緒は、自ら人機の操主となって戦い、人々を守る決意をする。赤緒の周囲には、同じように人機を操る少女たちが集まっていた。

ベネズエラで戦う青葉。その3年後、東京で戦う赤緒。同時進行で進む2人の物語は、やがてひとつの謎に集約される。少女たちの壮絶な戦いの先にあるのは、明るい未来か、それとも暗黒の絶望か?

■解説

『JINKI:EXTEND』は、ハイクオリティーロボットアクションを特徴とする作品です。物語は二つの時間軸で進行し、青葉と赤緒という二人の少女の視点から描かれます。青葉の成長と赤緒の記憶喪失という異なる背景を持つ二人の物語が交錯し、最終的に一つの結末に向かう構成は、視聴者を引き込む力があります。また、巨大ロボットの戦闘シーンは緻密に描かれており、メカニックファンには特に魅力的な内容となっています。

■キャスト

• 津崎青葉／折笠富美子
• 柊赤緒／稲村優奈
• 小河原両兵／竹若拓磨
• 津崎静花／雪野五月
• 黄坂南／鷹森淑乃
• 黄坂ルイ／田村ゆかり
• エルニィ立花／川上とも子
• 川本さつき／野中藍
• メルJ・ヴァネット／皆川純子

■メインスタッフ

• 原作／綱島志朗(マッグガーデン刊『月刊コミックブレイド』連載)
• 監督／むらた雅彦
• シリーズ構成／荒川稔久
• キャラクターデザイン、総作画監督／細田直人
• メカニックデザイン／田村勝之
• 美術監督／小坂部直子
• 色彩設定／岩井田洋
• 撮影監督／近藤靖尚
• 音楽／川井憲次
• 音響監督／若林和弘
• 企画／保坂嘉弘、大月俊倫
• プロデューサー／シュレック・ヘドウィック、立石茂、瀧ヶ崎誠
• アニメーション制作／feel
• 製作／テレビ朝日、ガンジス、アンヘル日本支部

■メインキャラクタ

• 津崎青葉
  引っ込み思案な性格でロボットやメカが大好き、プラモ作りが趣味の中学生。理由もわからぬまま母・静花の手によって、南米ベネズエラのアンヘル基地へと連れ去られる。運動が苦手で外見も華奢だが、内に秘めた芯の強さで人機・モリビト2号の操主として成長していく。
• 柊　赤緒
  柊神社で暮している16歳の少女。3年前より以前の記憶を失っているが、自分よりもまず他人を思いやる優しすぎる心の持ち主。キョムとアンヘルの戦いに巻き込まれ、否応なしに操主として人機に乗り込むことになる。実は、一瞬で人機の活動を停止させる特殊能力を秘めている。
• 小河原両兵
  アンヘルの戦闘要員で、モリビト2号の操主。人機の操縦だけでなく、肉弾戦など戦闘全般に優れており、いかなる時も戦時を忘れない行動は、人目に粗暴と写ることも。最初はいがみ合っていた青葉とも共に戦ううちにパートナーシップが芽生え、強い信頼関係で結ばれていく。
• 津崎静花
  アンヘルのメンバーで青葉の母親だが、幼い青葉を祖母に預け長年音信不通であった。遺産目当てと称して青葉を略取し、ベネズエラの基地へと連れてきた張本人である。
• 黄坂南
  アンヘルの１分隊、回収部隊ヘブンズの隊長。ざっくばらんに見えるが気遣い上手で、ルナの親代わり、青葉にとっては頼れるお姉さん的存在である。ベネズエラでの戦いの3年後、モリビト2号を搬送中に出会った赤緒の操主としての資質を一目で見抜き、アンヘルにスカウトする。
• 黄坂ルイ
  回収部隊ヘブンズの一人で身体能力は抜群、11歳の頃には既に一人前の操主として人機を操っていた少女。父を失ってからは、親類の南の世話になっている。勝気な性格で、勝負に負けてもリベンジを決して忘れない反面、打ち解けた相手には素直で可愛い一面を見せることも。
• エルニィ立花
  モリビト2号と共に東京にやってきた、スポーティーな少女。まだ15歳ながら、ブラジルのルエパアンヘルでメカニックとして人機の開発や整備に携わってきた。子供に混じってサッカーを楽しむ無邪気さと、メガネに白衣の研究者肌を併せ持つアンバランスが魅力。
• 川本さつき
  小柄で大人しそうな13歳で、実は人機の開発設計者・川本宏の妹である。兄と会うためにやってきた東京でキョムとアンヘルの戦闘に遭遇、両兵に助けられたことがきっかけでアンヘル入りした。炊事洗濯が得意で、普段着にしている仲居さん風の着物姿が可愛い。
• メルJ・ヴァネット
  アンヘルから人工人機シュナイダートウジャを強奪し、ただ一人でキョムと戦い続けている18歳のクールな少女。素性や来歴の多くは謎に包まれているが、かつてキョムに滅ぼされた一族の生き残りで、キョムへの復讐を心に誓っているという。
• 小河原現太
  両兵の父で、モリビト2号の先任操主。戦闘要員としてはベテラン中のベテランで、皆から父親的な存在として慕われているが、体力も格闘能力もまだまだ若いものには負けない。
• 川本　宏
  アンヘルのメカニックで、人機の整備・開発担当者。温厚な青年で、青葉の操主としての能力をリスペクトし、その成長を応援している。

■サブタイトル

• Episode1.／少女が見た戦場(2005/01/05)
• Episode2.／涙のあと(2005/01/12)
• Episode3.／質と量(2005/01/19)
• Episode4.／対面(2005/01/26)
• Episode5.／敵と味方と(2005/02/02)
• Episode6.／黒の操主(2005/02/09)
• Episode7.／野望の果て(2005/02/16)
• Episode8.／銀翼の来訪者(2005/02/23)
• Episode9.／ゲームの勝者(2005/03/02)
• Episode10.／赤と黒(2005/03/09)
• Episode11.／家族(2005/03/16)
• Episode12.／青と赤(2005/03/23)
• Episode13.／それから(※OVA)(2006/02/22)

■関連作品

• JINKI:EXTEND　OVA

■主題歌・楽曲

• OP1
  FLY AWAY
  作詞／Salia
  作曲／Salia、shin-go
  編曲／unicorn table
  歌／unicorn table
• ED1
  未来とゆう名の答え
  作詞／atsuko
  作曲／atsuko、KATSU
  編曲／KATSU
  歌／angela

■評価と推薦

『JINKI:EXTEND』は、メカニックアクションと人間ドラマの融合が見事な作品です。青葉と赤緒という二人の少女の成長と戦いが描かれ、視聴者に深い感動を与えます。特に、青葉の成長物語は感動的で、彼女が人機の操主として成長していく過程は見逃せません。また、赤緒の記憶喪失とその後の戦いも興味深く、二人の物語が交錯するクライマックスは圧巻です。

メカニックデザインも非常に洗練されており、戦闘シーンは迫力満点です。川井憲次の音楽も作品の雰囲気を盛り上げており、視聴体験をさらに豊かなものにしています。主題歌の「FLY AWAY」と「未来とゆう名の答え」も作品のテーマを反映した素晴らしい楽曲です。

この作品は、メカニックアクションが好きな人だけでなく、人間ドラマや成長物語を楽しみたい人にもおすすめです。特に、青葉と赤緒の二人の物語を通じて、希望と絶望、成長と戦いというテーマを深く考えさせられるでしょう。また、OVA版の「それから」も必見で、テレビシリーズの続きを描いたこのエピソードは、物語の完結編として欠かせません。

全体として、『JINKI:EXTEND』は、メカニックアクションと人間ドラマのバランスが取れた、見応えのある作品です。視聴者に深い感動と興奮を提供し、何度でも見返したくなるような魅力があります。ぜひ一度、視聴してみてください。