闇夜の時代劇「老ノ坂」レビュー：その正体に迫る

闇夜の時代劇老ノ坂正体を見る - ヤミヨノジダイゲキオイノサカショウタイヲミル

■公開メディア

OVA

■原作メディア

アニメオリジナル

■発売日

1995年02月19日
全2話

■発売・販売

日本テレビ

■分数

25分

■話数

2話

■著作

©サンライズ

■ストーリー

詳細

■「老の坂」
戦国時代末期、天正10年（1582年）6月、天下統一を目前にした織田信長は、家臣、明智光秀に備中高松城を攻めている羽柴秀吉を援護せよと命じた。信長への不満を口にする部下たちをなだめ、光秀は一路、備中へ向かう道を進んでいた。ちょうど老ノ坂に差し掛かった時、ふと酒呑童子の首塚のことを思い出し、軍列を一人離れた。酒呑童子の首を取った源頼光は明智家をはじめとする武家の家々の祖先でもある。しかし、首塚で光秀を待ち受けていたのは、６年前に死んだはずの妻・ひろ子であった。　彼らが去った後の闇の中で、酒呑童子が笑った。「これで源氏の子孫がまたひとり減った」と。

■「正体を見る」
信長が本能寺で果てた後、徳川家康は伊賀を経て三河に帰り出陣準備をするつもりであった。その途中の宿に、一人の伊賀忍者の下忍が忍び込んだ。伊賀忍者を迫害してきた織田信長に味方する家康を討ち、上忍になろうというのだ。しかし、茶室で客人と談話する家康のすきを狙う彼をことごとく邪魔してきたのはその端整な顔立ちの客人であった。彼は忍としての意地を掛け、露天風呂に入浴する家康に襲い掛かった。が、それは家康と客人の罠だったのだ。

■メインスタッフ

詳細

『老ノ坂』
・脚本・演出／今西隆志
・作画／塩山紀生
・音楽／工藤隆

『正体を見る』
・脚本・演出／富野由悠季
・キャラデザイン／そえたかずひろ
・作画監督／菱沼義仁
・音楽／工藤隆

■関連作品

詳細

・[OVA] 95.08.02 闇夜の時代劇甚助の耳/幕末洛中瓦版 (全2話)

■評論

「闇夜の時代劇老ノ坂正体を見る」は、1995年にOVAとしてリリースされたアニメ作品であり、戦国時代の歴史的背景を巧みに取り入れたストーリー展開が特徴的です。この作品は全2話から成り、「老ノ坂」と「正体を見る」の2つのエピソードで構成されています。それぞれのエピソードは異なる視点から戦国時代の人間ドラマを描き出し、視聴者に深い感動と興奮を提供します。

「老ノ坂」は、明智光秀が織田信長の命令を受けて備中高松城に向かう途中、酒呑童子の首塚で亡くなったはずの妻・ひろ子と再会するというストーリーです。このエピソードでは、光秀の内面の葛藤や信長への不満が描かれ、歴史的な人物の人間性を深く掘り下げています。酒呑童子の首塚という怪奇的な要素を取り入れることで、歴史ドラマにファンタジー要素を加え、視聴者の興味を引きつけます。また、光秀の妻・ひろ子との再会シーンは、視聴者の心を揺さぶる感動的な場面となっています。

「正体を見る」は、徳川家康が伊賀を経て三河に帰る途中の宿で、伊賀忍者の下忍が家康を暗殺しようとするストーリーです。このエピソードでは、忍者の意地と家康の知略が対立する緊張感あふれる展開が描かれています。特に、家康と客人の罠によって下忍が敗れるシーンは、視聴者に驚きと感動を与えます。また、家康のキャラクターが深く描かれており、彼の知恵と勇気が強調されています。

この作品の魅力は、歴史的な背景を基にしたストーリー展開と、キャラクターの深い人間性の描写にあります。特に、明智光秀と徳川家康という歴史的な人物を中心に据えたことで、視聴者は戦国時代の歴史をより深く理解することができます。また、酒呑童子や伊賀忍者といったファンタジー要素を取り入れることで、歴史ドラマに新たな魅力を加えています。

メインスタッフの面々も、この作品の成功に大きく貢献しています。「老ノ坂」の脚本・演出を担当した今西隆志氏は、光秀の内面の葛藤を巧みに描き出し、視聴者の心を捉えました。また、「正体を見る」の脚本・演出を担当した富野由悠季氏は、家康の知略と忍者の意地を対立させることで、緊張感あふれるストーリーを展開しました。さらに、工藤隆氏の音楽は、作品の雰囲気を盛り上げる重要な役割を果たしています。

「闇夜の時代劇老ノ坂正体を見る」は、歴史ドラマとファンタジー要素を融合させた独自の世界観を持つ作品であり、視聴者に深い感動と興奮を提供します。戦国時代の歴史に興味がある方や、歴史ドラマとファンタジーを楽しみたい方にはぜひおすすめしたい作品です。