『サイバーシティOEDO808』レビュー：未来都市の魅力とアクションの融合

CYBER CITY OEDO 808 - サイバーシティオエドハチマルハチ - の全方位的評価と推薦

■公開メディア

OVA

■原作メディア

その他

■発売日

1990年06月

■発売・販売

ジャパンホームビデオ

■話数

3話

■原作

六月十三

■監督

川尻善昭

■制作

・制作／マッドハウス
・製作／ジャパンホームビデオ

■ストーリー

西暦2808年、世界のトップとなった日本の中心地「OEDO」は、同時に犯罪の中心都市ともなった。凶悪犯罪に対抗するために選ばれたのが、無期懲役を執行猶予されている犯罪者たちである。選ばれたものは機動刑事となり、その実績に応じて刑期が短縮される。機動刑事になった者は首に「首輪」と呼ばれる超小型の爆薬が入ったリングがはめられ、脱走・反逆等の行為があったときは遠隔操作によりリングが爆発し首から上が消し飛ぶことになる。
物語は、機動刑事として選ばれたセンゴク、ベンテン、ゴーグルの3人を中心に、未来都市における電脳犯罪との戦いが描かれる。

■解説

1990年から1991年にかけて小説、OVA、コンピューターゲームなどに展開されたメディアミックス作品。
OVAはvol.1～3。サイバーパンクというジャンルがまだ新しかった時代に、未来都市の暗部を描いた本作は、視覚的なインパクトとストーリーテリングの巧妙さで多くのファンを獲得した。特に、機動刑事たちの個性的なキャラクターと、彼らが直面する電脳犯罪のリアルさは、当時の視聴者に強い印象を与えた。また、OVAという形式を活用し、映画的な演出と深みのあるストーリーを展開した点も評価されている。

■キャスト

・センゴク／石丸博也
・ベンテン／塩沢兼人
・ゴーグル／玄田哲章
・デカチョウ／若本規夫
・オキョウ／堀江美都子
・ヴァーサス／津久井教生
・デイブ・クロカワ／青野武
・サラ／榊原良子
・城山一佐／銀河万丈
・西園寺修造／石塚運昇
・マスダ＝レミ／篠原恵美

■メインスタッフ

・原案／六月十三
・監督／川尻善昭
・脚本／遠藤明範
・キャラクターデザイン／川尻善昭、浜崎博嗣、三原三千雄、小曽根正美
・作画監督／浜崎博嗣(vol.1)、三原三千雄(vol.2)、小曽根正美(vol.3)
・メカ作画監督／小池健
・設定デザイン／渡部隆
・美術監督／青木勝志
・撮影監督／石川欣一
・音響監督／本田保則
・音楽／KAZ TOYAMA
・制作／マッドハウス
・製作／ジャパンホームビデオ

■メインキャラクタ

・センゴク
本名は千石旬介。25歳。身長183cm。ベンテン、ゴーグルを追いかけ7年ぶりにOEDOに戻ってきたが、電脳警察保安隊をめぐる事件に巻き込まれる。保安隊を壊滅させ無期懲役・高軌道刑務所行きの罪を負うが、機動刑事となることで執行猶予処分となる。
父親は長谷川と同僚で電脳警察治安局保安隊の創始者だが、保安隊隊長の立場を狙うマクゼに夫婦共に殺害される。
銃はナンブ・ルガーを愛用。
・ベンテン
本名はメリル・柳川。23歳。身長178cm。女性のような外見だが男性である。電脳犯罪者のAランク賞金首で千石に狙われていたが、長谷川の手により逮捕され電脳警察の機動刑事となっていた。変装が得意。機動刑事の主装備である電子警棒にワイヤーを仕込んでいて、警棒を投げたりワイヤーで切り裂く攻撃をする。
・ゴーグル
本名は蛾眉丸力也。28歳。身長202cm。かつてはボクサーでリングネームはモスゴング。スーパーヘビー級世界チャンピオンだったが、対戦相手を殺してしまい引退、以後電脳犯罪者となる。その試合で目を負傷しゴーグルを着用するようになったためゴーグルと呼ばれるようになった。ベンテンと同じく千石に狙われていたが、長谷川の下で機動刑事となっていた。ごつい体格に似合わずコンピューターのウィルスプログラムやハッキングを得意とするインテリで、機械工学の博士号をもつ。
・デカチョウ
本名は長谷川十蔵。電脳警察電脳犯罪捜査局局長。42歳。身長175cm。センゴクとは昔からの知り合いである。捜査官時代に犯罪組織によって妻と子供を殺されている。悪化するOEDOの治安対策として、服役中の電脳犯罪者を機動刑事として従事させ、実績に応じて刑期を短縮するシステムを作り上げる。
・オキョウ
本名は城之内京子。21歳。身長165cm。警察学校を卒業して交通課に配属希望を出していたが機動刑事部の秘書課に配属となり、センゴク達のバックアップを担当する。ゴーグル曰く「肝心なところで間が抜けているのがこの娘の特徴」。よく事件や事故に巻き込まれる。
・ヴァーサス
通称ブリキ野郎。正式名称サイバロイド・VS-9800。機動刑事を補佐する武装サイバロイド。主にセンゴクとコンビを組んで行動する。体内に機動刑事用の装備(銃や手錠など)を収納している、滅多に機動刑事に使用させることは無い。例えば機動刑事に銃を使用させる条件は、相手が戦車並の戦力を保有している場合に限るなど、機動刑事の武装に関しては厳しいものになっている(がベンテンの切り裂きワイヤーに関しては放置されている。)
・デイブ・クロカワ
OVA第一巻で登場。電脳摩天楼のメインコンピューター室長でOEDOの最重要人物の一人。ライバルを抹殺してその地位に着くが、そのことが原因でハックを受け、命を狙われる。
・サラ
OVA第二巻で登場。ゴーグルの元電撃犯罪パートナー。軍の罠にかかってコーグルと再会したが、最後に哀れな結末を迎えた。
・城山一佐
OVA第二巻で登場。軍でサイボーグスーツの開発を担当、その実践テストの相手としてゴーグルに目をつける。
・西園寺修造
OVA第三巻で登場。西園寺医療機関名誉会長。車椅子を必要とする高齢者だが、不老不死を求め、裏で電脳犯罪者達を動員して、違法生体実験を行い続けた。
・マスダ＝レミ
OVA第三巻で登場。2483年生の日本女性。先天性細胞疲弊症のため2504年西園寺医療機関の「凍眠施設」に入室した。病院の公開データでは2808年6月10日に死亡確定だが、凍眠中にウィルス実験を受けたせいで不老不死になってしまった。

■サブタイトル

・vol.1／古の記憶(いにしえのメモリー)
・vol.2／囮の機構(おとりのプログラム)
・vol.3／紅の媒体(くれないのメディア)

■主題歌・楽曲

・OP
「Burning World～追憶のコマンド～」
作詞／安藤芳彦
作曲／羽場仁志
編曲／山本健司
歌／三浦秀美
・ED
「愛しているかもしれない」
作詞／安藤芳彦
作曲／羽場仁志
編曲／山本健司
歌／三浦秀美

■評価と推薦

「CYBER CITY OEDO 808」は、1990年代初頭のサイバーパンクブームを牽引した作品の一つであり、その影響力は今でも色褪せていない。以下では、作品の評価と推薦ポイントを詳しく解説する。

1. ストーリーとテーマ

本作のストーリーは、未来都市OEDOを舞台に、電脳犯罪と戦う機動刑事たちの活躍を描いている。特に、無期懲役の犯罪者たちが機動刑事として働くことで刑期を短縮するという設定は、視聴者に強いインパクトを与えた。このシステムは、社会の矛盾や人間の欲望、そして正義と犯罪の境界線を問いかけるテーマを巧みに描き出している。また、各エピソードごとに異なる電脳犯罪が登場し、その解決方法や機動刑事たちの葛藤がリアルに描かれている点も評価できる。特に、vol.3の「紅の媒体」では、不老不死というテーマが深く掘り下げられ、視聴者に深い感動を与えた。

2. キャラクター

センゴク、ベンテン、ゴーグルの3人の機動刑事は、それぞれ異なるバックグラウンドと個性を持ち、視聴者に強い印象を与える。センゴクの復讐心と正義感、ベンテンの変装技術と戦闘能力、ゴーグルの知識と力強さは、物語を豊かにし、視聴者を引き込む。特に、センゴクの父親の死やベンテンの過去の犯罪者としての生活など、キャラクターの背景が丁寧に描かれている点も評価できる。また、デカチョウやオキョウなどのサブキャラクターも、物語に深みを与えている。

3. ビジュアルと演出

本作のビジュアルは、サイバーパンクの世界観を最大限に引き立てている。未来都市OEDOの描写は、暗くて冷たい雰囲気と、ネオンが輝く華やかさが絶妙に融合しており、視覚的なインパクトが強い。また、メカデザインやキャラクターデザインも非常に洗練されており、特にヴァーサスのデザインは、サイバロイドのリアルさとカッコよさを兼ね備えている。演出面では、OVAという形式を活用し、映画的なカメラワークや編集が施されており、視聴者を物語に引き込む力がある。

4. 音楽

KAZ TOYAMAによる音楽は、サイバーパンクの世界観をさらに深化させている。特に、OPの「Burning World～追憶のコマンド～」とEDの「愛しているかもしれない」は、物語の雰囲気を盛り上げるだけでなく、視聴者の心に深く残る曲となっている。また、BGMも各シーンに合わせて巧みに使われており、緊張感や感動を引き立てている。

5. 推薦ポイント

「CYBER CITY OEDO 808」は、サイバーパンクが好きな人、深いストーリーとキャラクターに惹かれる人、ビジュアルと音楽のクオリティを重視する人に強く推薦する。また、OVAという形式を活用した映画的な演出を楽しみたい人にもおすすめだ。さらに、1990年代の日本のサブカルチャーに興味がある人にとっても、貴重な作品と言えるだろう。

6. 補足情報

本作は、原作の六月十三による小説やコンピューターゲームにも展開され、メディアミックスとしても成功を収めた。特に、コンピューターゲーム版では、プレイヤーが機動刑事として電脳犯罪と戦うことができ、原作の世界観をさらに深く体験できる。また、OVAのvol.1～3は、現在でもDVDやBlu-rayで購入可能であり、ファンからの支持が高い。さらに、インターネット上では、ファンによる二次創作やディスカッションも活発に行われており、作品の人気と影響力の高さを示している。

7. まとめ

「CYBER CITY OEDO 808」は、サイバーパンクというジャンルを代表する作品であり、そのストーリー、キャラクター、ビジュアル、音楽すべてが高水準で評価されている。特に、未来都市OEDOの描写や機動刑事たちの活躍は、視聴者に強い印象を与え、1990年代のサブカルチャーに大きな影響を与えた。OVAという形式を活用した映画的な演出も見事であり、視聴者を物語に引き込む力がある。サイバーパンクが好きな人、深いストーリーとキャラクターに惹かれる人、ビジュアルと音楽のクオリティを重視する人には、ぜひ一度視聴してほしい作品だ。