超獣機神ダンクーガの神聖なる再評価：GOD BLESS DANCOUGAの魅力とは？

超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA - レビューと推薦

概要

『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』は、1987年にOVAとしてリリースされた作品で、原作はアニメオリジナル。東宝ビデオから発売され、全4話で構成されています。監督は大庭寿太郎、制作は東宝株式会社、㈱スタジオ・ジャンプ、葦プロダクションが担当しました。この作品は、ムゲ・ゾルバドス帝国との戦いから1年後の地球を舞台に、再び訪れる危機とそれに立ち向かう獣戦機隊の物語を描いています。

ストーリー

ムゲ・ゾルバドス帝国との熾烈な戦いから1年が経ち、地球は平和を取り戻していました。しかし、その一方で異星人からの防衛を名目とした軍備拡張が進み、中央管理センターによる統制が人々の生活から自由を奪っていました。そんな中、藤原忍は沙羅と喧嘩して苛立っていたところ、非合法の地下酒場を経営する敷島麗美と出会います。一方、葉月博士のもとで暮らすローラは、獣戦機隊が危機に晒されるという悪夢を毎晩見るようになっていました。その夢を裏付けるかのように、U2エリアに正体不明の怪物グザートが出現。出撃する獣戦機隊だったが、グザートは手ごわく、さらに市街の中心で自爆したため、多くの市民が犠牲となってしまいます。

事件を受けた上層部は獣戦機隊に全ての責任を被せ、忍たちは営巣入りを命じられます。葉月の弁護も空しく、4人に下された処分は強制収容所での重労働でした。収容所では沙羅だけが別の房に入れられていたが、そこに沙羅の士官学校以来の友人である道那賀小百合が訪れます。中央管理局のコンピューターシステムを構築した彼女は、その権限で沙羅を開放し、自分の勤める管理局へと連れて行きます。

一方、作業現場に駆り出された忍は、そこで謎の男から脱走に誘われます。亮、雅人とともに集合場所にやって来た忍は、元黒騎士隊のフランシスらと再会。彼らこそ、最近中央管理局に対するレジスタンスで活躍する武装集団バンディッツのメンバーでした。収容所から追っ手をかわし、地下酒場に向かえというフランシスの言葉に従う忍たち。そこには葉月とバンディッツのリーダー・麗美の姿がありました。

葉月は忍たちに、中央管理センターのコンピューターの異変を告げます。小百合の作ったプログラムのよってあらゆるデータを吸収し続けたコンピューターは、そのエネルギーによって新たな次元さえも築き上げているという。宇宙や神の領域にさえ及ぶエネルギー体の存在に、ムゲ・ゾルバドスの影を感じる葉月と忍たち。4人を信頼する基地のスタッフたちの助けを借りて、忍たちは獣戦機を発進。センターで捕まっていた沙羅を奪還すると、ダンクーガへと合体します。センター地下のコンピューター中枢には、やはりムゲ・ゾルバドスに精神を乗っ取られた小百合がいました。コアとなっていた小百合を撃つことで、小百合をムゲから解き放つ沙羅。しかしムゲはすでに復活を果たしていました。

管理センターと一体化し、周囲の空間を自らの宇宙へ変えて行くムゲ。苦戦するダンクーガの前に、ガンドールが救援に現れます。ガンドール砲のエネルギーを断空剣にチャージした断空光牙剣によってムゲは原子へと還り、その空間も元に戻っていきます。再び平穏と自由を取り戻した世界で、忍たち4人もそれぞれの幸せに向けて歩んで行くのであった。

キャラクター

藤原忍（声：矢尾一樹）
獣戦機隊として勤務するかたわら、バンドのギター兼ボーカルとしても活動する。中央管理局の統制には少なからず反発しており、地下酒場の存在には喜んでいた。沙羅に対しては率直な気持ちをぶつけようとしながらも、本心ではなかなか踏み込めない状態が続いている。ムゲとの新たな戦いの中で、互いを守るために命をかけたことにより、ようやく少しは素直になれたようだが・・・。

結城沙羅（声：山本百合子）
士官学校の同級生だった道那賀小百合と再会。すっかり変わってしまった親友の態度に戸惑いを隠せなかった。忍の好意はまんざらでもないのだが、いざ肝心なところになるとはぐらかそうとする態度が許せずに、ついつい手が上がってしまう。小百合の計略で獣戦機隊をおびき寄せるための囮にされるも、助けに来た忍の窮地を逆に救ってしまうなど、男勝りなところは相変わらず。

式部雅人（声：中原茂）
父親との関係はぎくしゃくしたままであり、会社の跡を継ぐように求められて強く反発していた。しかしグザートの攻撃が式部家の別荘に及び、父が別荘と運命を共にすると、自分の取って来た態度に思い悩むこととなる。ローラとはまだ兄と妹のような関係だが、その信頼も以前に増して強くなっている。特に彼女が毎晩見るという悪夢については心配していたようだ。

司馬亮（声：塩沢兼人）
教官として新たに配属されてきた訓練生たちの指導を担当。厳しいことでは定評があるが、決して実行不可能な条件を出すことはない。以前タコスの町で助けられたダニエラと再会し、ついに求婚。メキシコへの出発前に寄った忍のライブでは、歌に率直な想いを託す忍を見て「勉強になった」と言っており、彼のプロポーズの態度にも大いに影響を与えたものと思われる。

ローラ・サリバン（声：笠原弘子）
身元引受人である葉月博士の家で暮らす。心身ともに少し成長し、お互いに素直になれない沙羅と忍の気持ちに気付くほど。ただし自分自身が恋愛感情を抱くようになるには、まだ時間が必要なようである。その感受性の強さから世界に再び迫る危機にいち早く反応し、夜ごとの悪夢という形で感じ取っていた。

ケイ・ベックリン（声：小林通孝）
訓練生の中では最も長身。ビッグモスのパイロット候補であるが、実際のエマージェンシーコールにも一時戸惑っていたところを見ると、亮の後継者となるにはまだまだ経験が不足しているようだ。

リンダ・麻生（声：鷹森淑乃）
訓練生の１人で、ランドクーガーのパイロット候補。日米のハーフである。営倉に入れられた忍たちに食事を運び、彼らの無実を信じていることを告げた。収容所を脱した忍たちが戻ってきたときには、警備兵を制して彼らを基地に迎え入れる。

スライ・ダンパー（声：佐々木望）
獣戦機隊に新たに配属された訓練生で、イーグルファイターのパイロット候補。負けん気が強いためか、教官である亮に対して生意気な口をきくことが多い。復活したムゲとの戦いでは、ガンドールのブリッジでダンクーガのサポートを行った。

早瀬優（声：菊地正美）
ランドライガーのパイロットとしての訓練を受ける、獣戦機隊の訓練生。グザートの出現によるエマージェンシーを、最初は訓練だと勘違いしていた。忍たちの出撃に要した時間を計り、そのタイムに感嘆する。

スタッフ

企画：藤原正道、佐藤俊彦
脚本：岡田英樹
キャラクターデザイン：いんどり小屋、羽原信義
メカニックデザイン：平井寿、さとうともひこ、佐野浩敏
美術監督：勝又激
音楽：戸塚修、池毅
音響監督：松浦典良
撮影監督：鳥越一志、杉山幸夫
プロデューサー：加藤博、斎春雄、河野秀雄
監督：大庭寿太郎
作画監督：羽原信義、工藤柾輝、近衛真守
メカニック作監：佐野浩敏
メカニック作監補：松尾慎
絵コンテ：吉田浩、工藤柾輝、羽原信義
演出：加戸誉夫
レイアウト構成：工藤柾輝
製作：東宝株式会社、㈱スタジオ・ジャンプ、葦プロダクション
原画：村田美樹子、伊藤久美子、増田恵子、竹内美智子、山田高裕、小川浩司、堀川耕一、佐藤裕一、大森貴弘、靏山修、大貫健一、山崎理、山下将仁、松尾慎、林隆文、伊藤浩二、平田智浩、西沢晋、合張浩己、江面久、千明孝一、西井正典、藤川太、嵯峨敏、マジックバス、スタジオギグ、スタジオブレイク、スタジオどんぐり、カナメプロ

評価と推薦

『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』は、1980年代のロボットアニメの魅力を存分に引き出す作品です。特に、キャラクターの成長や人間関係の描写が深く、視聴者に強い印象を与えます。忍と沙羅の恋愛模様や、雅人と父親との確執、亮の求婚など、個々のキャラクターのドラマが物語を豊かにしています。また、ムゲ・ゾルバドス帝国との戦いから1年後の世界を舞台にすることで、新たな脅威とそれに対抗する人々の姿を描き出すことで、社会的なテーマも含んでいます。

メカニックデザインも見事で、ダンクーガの合体シーンや戦闘シーンは視覚的に非常に魅力的です。音楽も作品の雰囲気を盛り上げており、特に戦闘シーンでのBGMは緊張感を高めます。脚本も巧妙で、物語の展開が予測不能でありながらも、最終的に全てが繋がる構成は見事です。

この作品は、1980年代のロボットアニメファンだけでなく、深いストーリーとキャラクターの成長を楽しみたい視聴者にもおすすめです。OVAという形式を活かした濃密なストーリー展開と、美しいメカニックデザイン、そしてキャラクターの人間ドラマが織りなす世界は、何度見ても新たな発見があるでしょう。特に、忍と沙羅の関係性や、ムゲ・ゾルバドス帝国の復活というテーマは、視聴者に深い感動と考えさせる要素を提供します。

また、この作品はシリーズ全体の流れを理解するために、原作の『超獣機神ダンクーガ』を先に見ておくことをお勧めします。そうすることで、キャラクターの背景や世界観をより深く理解することができ、GOD BLESS DANCOUGAのストーリーをより楽しむことができるでしょう。

総じて、『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』は、1980年代のロボットアニメの金字塔であり、現代でもその価値を失わない名作です。ぜひ一度、視聴してみてください。