じゃりン子チエ：大阪の心を描く名作アニメの魅力とは？

『じゃりン子チエ』：大阪の下町情緒と人間ドラマの結晶

■作品概要

『じゃりン子チエ』は、はるき悦巳による同名漫画を原作としたアニメ映画で、1981年4月に公開されました。監督は高畑勲、制作は東宝とTMSエンタテインメントが担当し、吉本興業所属の芸人たちが多数出演するなど、大阪の下町情緒をリアルに再現した作品として知られています。映画は110分の長さで、通天閣が見える町に住む少女チエとその家族や友人たちの日常を描いています。

■ストーリー

大阪の下町、通天閣が見える町に住む少女・チエは、父親のテツと共にホルモン焼き屋を営んでいます。テツはバクチ好きで、店の経営はチエに任せっきり。そんな中、チエは元気いっぱいに毎日を過ごし、周囲の個性豊かな人々と共に様々な出来事に巻き込まれていきます。チエの家族や友人たちとの交流を通じて、大阪の人情味あふれる物語が展開されます。

■解説

『じゃりン子チエ』は、双葉社の「WEEKLY 漫画アクション」に連載されていたはるき悦巳の原作漫画をアニメ映画化した作品です。監督の高畑勲は、原作の持つ大阪の下町の雰囲気を忠実に再現するために、吉本興業所属の芸人たちをキャストに起用しました。特にテツ役の西川のりおをはじめとする芸人たちの演技が話題となり、映画は好評を博しました。また、美術監督の山本二三による大阪の街並みの描写も見事で、観客に強い印象を与えました。

■キャスト

• 竹本チエ：中山千夏
• 竹本テツ：西川のりお
• 竹本ヨシ江：三林京子
• 竹本菊：京唄子
• おジィ：鳳啓助
• 百合根光三：芦屋雁之助
• 花井拳骨：笑福亭仁鶴
• 小林マサル：島田紳助
• 小鉄：西川きよし
• アントニオ：横山やすし

■メインスタッフ

• 製作：多賀英典、片山哲生
• 制作担当：仙石鎮彦
• 制作デスク：竹内孝次
• 脚本：城山昇、高畑勲
• 作画監督：小田部羊一、大塚康生
• 美術監督：山本二三
• 撮影監督：高橋宏固
• 音楽：星勝
• 助監督：三家本泰美
• 監督：高畑勲

主題歌

オープニングテーマ「バケツのおひさんつかまえた」

• 作詞：はるき悦巳
• 作曲：惣領泰則・早川博二
• 編曲：惣領泰則
• 歌：中山千夏・大野進

エンディングテーマ「ジュー・ジュー・ジュー」

• 作詞：はるき悦巳
• 作曲・編曲：惣領泰則
• 歌：中山千夏

■メインキャラクタ

竹本チエ

「ウチは日本一、○○な少女や」が口癖の小学五年生の少女。算数と体育が得意で、とくに徒競走では圧倒的な速さを誇る。バイタリティにあふれ、ホルモン屋の経営もこなす。一方で様々なトラブルに巻き込まれる自身の不幸体質を嘆くこともあります。チエのキャラクターは、映画の中で最も重要な役割を果たし、彼女の成長と周囲の人々との関係性が物語の中心となっています。

竹本テツ

チエの父親。ホルモン屋を営むも、博打と喧嘩に明け暮れて店の経営をチエにまかせっきりにしてしまうダメオヤジ。娘のチエを溺愛している。乱暴なイメージだがタバコは吸わず酒も飲めない。テツのキャラクターは、チエとのコミカルなやり取りや、時折見せる優しさが観客に強い印象を与えます。

竹本ヨシ江

チエの母で、テツの妻。物静かでおっとりした性格。テツに「出ていけ」と言われて以来、家出状態であったがチエやテツの母・竹本菊との仲は良好だ。ヨシ江のキャラクターは、家族の絆を象徴する存在であり、彼女の存在がチエの成長に大きな影響を与えます。

百合根光三

博打屋の元締め。テツに博打場を荒らされ、愛猫を亡くした後はお好み焼き屋に転職する。普段は温厚だが、酒を一升飲むと人格が一変し、誰も近づけないほどの暴れっぷりを見せる。光三のキャラクターは、映画の中でコミカルなシーンを提供しつつも、深い人間性を描き出しています。

花井拳骨

テツの小学生時代の担任で、テツとヨシ江の仲人でもある。学生時代は相撲部に所属していた。研究家としても一流だったが、事件を起こして大学を去る。教職を退いてからは文筆業を営む。拳骨のキャラクターは、テツとの過去の関係を通じて、物語に深みを与えます。

小林マサル

チエのクラスの学級委員。学校では優等生ぶってチエたちをからかうが、暴力を受けるとすぐに泣いてしまう。チエへの悪口を「悪口ノート」に書き溜めている。マサルのキャラクターは、チエとの対比を通じて、子供たちの人間関係や成長を描き出しています。

小鉄

チエの飼い猫。額にある三日月形の傷がトレードマーク。チエが出かけた甘味屋で貰い受けて竹本家の一員となる。野良犬時代は数々の武勇伝を持っており、人間・動物を問わず作中最強の存在。小鉄のキャラクターは、チエとの絆を象徴し、物語に温かみを与えます。

■関連作品

『じゃりン子チエ』の原作漫画は、双葉社の「WEEKLY 漫画アクション」に連載され、1978年から1997年まで続きました。また、テレビアニメ版も制作され、1981年から1983年まで放送されました。テレビアニメ版では、映画版とは異なるエピソードが描かれており、チエとその家族や友人たちの日常がさらに深く掘り下げられています。

■評価と影響

『じゃりン子チエ』は、公開当時から高い評価を受け、特に大阪の下町情緒をリアルに再現した点が高く評価されました。監督の高畑勲は、原作の雰囲気を忠実に再現するために、吉本興業所属の芸人たちをキャストに起用し、彼らのリアルな演技が映画の成功に大きく寄与しました。また、美術監督の山本二三による大阪の街並みの描写も見事で、観客に強い印象を与えました。

映画は、チエとその家族や友人たちの人間ドラマを通じて、大阪の人情味あふれる物語を描き出しています。チエの成長や家族の絆、友人たちとの交流など、様々なテーマが描かれており、観客に深い感動を与えました。また、映画の成功は、原作漫画の人気をさらに高めることとなり、テレビアニメ版の制作にもつながりました。

■推薦ポイント

『じゃりン子チエ』は、大阪の下町情緒をリアルに再現したアニメ映画として、多くのファンに愛されています。特に、チエとその家族や友人たちの人間ドラマは、観客に深い感動を与えます。また、吉本興業所属の芸人たちのリアルな演技や、美術監督の山本二三による大阪の街並みの描写も見事で、映画の魅力をさらに高めています。

この映画は、家族や友人との絆の大切さを描き出し、観客に温かみと感動を与える作品です。特に、大阪の下町情緒や人間ドラマに興味がある方には、ぜひおすすめしたい作品です。また、原作漫画やテレビアニメ版も合わせて楽しむことで、チエとその家族や友人たちの物語をさらに深く理解することができます。

■結論

『じゃりン子チエ』は、大阪の下町情緒と人間ドラマの結晶とも言える作品です。チエとその家族や友人たちの日常を通じて、家族の絆や友情の大切さを描き出し、観客に深い感動を与えます。監督の高畑勲や美術監督の山本二三によるリアルな描写も見事で、映画の魅力をさらに高めています。ぜひ、この作品を観て、大阪の下町情緒と人間ドラマの世界に触れてみてください。