自動書記、心霊術とその心理学的意味

リヴァイアサンプレス:

自動書記が流行した後期には、潜在意識に定着した隠された記憶や考えを明らかにするために自動書記を利用した心理学の巨匠が実際に数多くいました。当時の研究者たちは、これを何らかの超自然現象としてではなく、実践者の根底にある性格の現れとして見る方が現実的であると信じていました。この方法により、研究者は根底にある性格と対話し、性格を再統合することが可能になります。この考えはユングに深い影響を与え、ユングもまた自動書記を使って自分自身の中に隠された秘密を探ったり、無意識と対話したりすることに熱心でした。ユングは、無意識を自分の外にあるものとして扱い、それを明確に提示することによってのみ、人は無意識から解放されることができると信じていました。

これらすべては、17 世紀の数学者であり哲学者でもあるブレーズ・パスカルの有名な言葉「心には心自身の論理があり、知性はそれを何も知らない」と一致しているのかもしれません。私たちは皆、映画で見たり本で読んだりしたことがあるでしょう。誰かが空想にふけり、下を見ると何かひどいことを書いたり描いたりしていることに気づく、という光景です。この手法は自動筆記と呼ばれ、古代と現代の両方のホラー小説に広く見られます。しかし、これらの物語は必ずしも自動書記がどのように機能するかを説明しているわけではありません。結局のところ、それが何であるかはあなたの視点に大きく依存します。

自動筆記は、サイコグラフィー、スピリットライティング、トランスライティングとも呼ばれ、19 世紀から 20 世紀初頭の心霊術運動と密接に関連しています。超常現象百科事典によると、これは「筆者がペンを導くのではなく、ペンが筆者を導くような占いの一種」と大まかに定義されています。

しかし、ほとんどの人は自動書記を魂が物質世界とコミュニケーションするための手段であると理解しています。ちなみに、自動書記を信じる人にとって、それは言葉だけに限りません。絵やぼやけた画像、さらには落書きも重要です。 （実際、2018年の秋にお化け屋敷に泊まりに行ったとき、私が話した霊媒師は、リーディング中ずっと「落書き」と呼んでいるものを描き続けていた。）

しかし、もちろん、誰もがそれを信じているわけではないので、それがどのように機能するかは人によって異なります。私たちは物語の両面を見ていきます。しかし、まずは歴史の授業です。自動書記の起源を見てみましょう。

自動書記の簡単な歴史

自動書記の正確な起源は不明ですが、最も古い先駆者の 1 つは、中国の劉宋王朝 (南宋王朝としても知られています)、つまり西暦 420 年から 479 年まで遡ることができます。ウィジャボードの歴史を調べた際にこれについて少し話しましたが、忘れてしまった方のためにここでおさらいします。これは「ふじ」と呼ばれる霊を書く練習で、ふるいに短い棒を取り付けてプランシェットのような表面を作ります。 2人が砂や灰の山の上に装置を置き、短い棒を使って砂と灰に文字を描きます。これらの文字は神からのメッセージであると信じられています。唐代（618-907年）と明代（1368-1644年）には、占いの書き方と卦板がさらに発達しました。

西洋では、16 世紀にイギリスのジョン・ディーとエドワード・ケリーによって発見 (または、見方によっては発明) されたエノク語が、自動書記の初期の例であると考えられています。ディーは数学者、科学者、錬金術師、オカルティストであり、エリザベス1世女王の顧問でもありました。魔術師としてよく言及される彼は、クリストファー・マーロウの『フォースタス博士』のフォースタスやシェイクスピアの『テンペスト』のプロスペロの登場人物のインスピレーションとなった可能性がある。一方、ケリーはオカルト信者であり、自称超能力者だった。二人は1580年代初頭に知り合い、ケリーはディーの常連の占い師となった（ケリーの好んだ道具は鏡と水晶で、当時はショーストーンと呼ばれていた）。二人は後に、天使から伝えられたとされる魔法体系である「エノク魔術」として知られるようになったものを概説した数冊の著作を共同執筆した。

1583 年 3 月、ケリーとディーが天使と定期的に交信していたとき、ケリーは自分が知らないアルファベットのビジョンを見始めたと伝えられています。その後すぐに別の通信中に、彼はそのアルファベットで書かれた最初のテキストを受け取りました。

ケリーとディーが経験したことは、後に理解されたように自動書記ではなかったことを明確にする必要があります。ディーは鉛筆やタブレットで書きませんでした。事実上、2人はチームを結成し、ケリーはシェムストーンを通じてメッセージを受け取り、ディーはケリーが口述した内容を書き留めていた。 Skepsisartikler ブログは次のように要約しています。

「最初、ケリーは、それぞれ 49 行 49 列の正方形の表のビジョンを見ました。天使は、これらの表に文字を入力して単語を作成するように彼に指示しました。ジョン ディーのこの出来事の記述によると、ケリーは表の行を埋めるテキストを「見た」と報告し、その後、ディーに「Palce duxma ge na dem oh elog...」と読み上げました。1583 年の春にこれらの行動から得られたテキストは、ディーが Liber Logaeth で「神の言葉」と呼んだ、非常に限られたエノク語テキスト集成の 2 セットのテキストのうちの最初のセットを構成します。」

しかし、自動書記が本格的に普及し始めたのは、特に北米とヨーロッパでは 19 世紀になってからでした。 1848年、フォックス姉妹はニューヨーク州ハイズビルの自宅で殺害された行商人の霊と交信したと主張し、心霊術運動の大きなきっかけとなった。この運動により、降霊術、占い、霊媒術が大流行し、自動筆記があの世と交信する最も一般的な手段の1つとなった。レオノーラ・パイパー、パール・カラン、ヘレン・スミス、ウィリアム・ステイントン・モーゼス、ヘレンとマーガレット・ヴェラルなどの有名な霊媒師は、自動書記を頻繁に使用していました。自動書記に関する超心理学的研究もこの時期に登場し、フレデリック・WH・マイヤーズ、エドマンド・ガーニー、モートン・プリンスなど多くの人々の研究に反映されています。

この時期に行われた典型的な降霊会は、暗い部屋で人々のグループと霊媒師がテーブルの周りに集まるというものでした。参加者は互いに手をつなぐことも、つないでいないこともあります。適切な雰囲気が作り出されると、霊能者はトランス状態に入り、楽しいことが始まります。叩く、傾ける、鳴らす、エクトプラズムの放出、憑依、自動書記などがすべて可能であり（文字通り）、すべて起こり得ます。降霊会は社交的かつ宗教的な行事であり、「人々を一つにする」ものであると、即興ミュージカル「ミュージカル降霊会」のミュージシャン、ジル・トレーシーは2014年にコレクターズ・ウィークリー誌に語った。トレーシーは次のようにも語った。

「交霊会は、部屋に一人で座って霊と交信するという恐ろしい体験ではなく、集団で楽しむものとして位置づけられていたため、人々は恐怖に立ち向かうことができました。交霊会は官能的な体験でもありました。本当に官能的な行為でした。男性と女性は暗闇の中で近くに座り、手をつないだり、触れ合ったりしていましたが、次に何が起こるかはわかりませんでした。ビクトリア朝の人々にとって、交霊会はほぼ許容できる贅沢なひとときでした。」

1920 年代以降、心霊術の人気は徐々に衰えていったものの、現在でもまだ信奉者はいる。実際、キリスト教は3つの異なる宗派に分裂しており、その多くは独自の教会を持っています。自動書記の人気は衰えているかもしれないが、世界中にはまだ信奉者がいる。実際、イアン・スティーブンソンが1978年にアメリカ心霊研究協会誌に発表した論文「自動書記に関するコメント」で述べているように、「自動書記に対する熱狂は不規則な周期で再び現れる」のです。

では、自動書記はどのように機能するのでしょうか?いつものように、これには 2 つの議論があります。信者の議論と懐疑論者の議論です。両方の側面を順番に見てみましょう。

信者の主張

自動書記の練習は簡単です。静かな部屋に入り、机かテーブルに座り、紙を用意し、ペンか鉛筆を軽く持ち、リラックスして心を落ち着かせ、書きたいことを手で書いたり描いたりするだけです。会話ボードやウィジャボードが登場する前は、車輪と筆記具が付いたプランシェットも個人やグループでよく使用されていました。しかし、多くの占いと同様に、自動書記を信じる人々の間でも、占い中に実際に何が起こるかについては意見の相違がある。

自動書記は、オートマティズムのより広い範疇に入るもので、超心理学者フレデリック・W・H・マイヤーズが死後に出版した著書『人間の個性と肉体の死後も残るもの』（1903年）で「意識的な思考や意志の刺激なしに、通常はそれと調和して精神的なイメージや動きを生み出すこと」と定義している。

マイヤーズは、自動症には 2 つの種類があると説明しています。感覚自動症は一般に視覚的および/または聴覚的幻覚を伴うもので、運動自動症は「無意識に書かれたメッセージや話された言葉 (自動テキスト、トランススピーチなど)」を伴うものです。マイヤーズ氏は、自動書記、つまり運動的自動化は、「意識的な意図、無意識的な熟考、自分自身の心の高次機能、他の生きている心とのテレパシーによる接触、または肉体のない霊や超人的な知性とのテレパシーによる接触」という 5 つの原因のいずれかから発生する可能性があると書いている (サイ百科事典による)。

現在、自動書記がどのように機能するかについて議論する際には、いくつかの異なる学派が存在します。ある学派は、霊は霊媒の動きの外部的な源として機能すると考えています。つまり、霊が霊媒の手やペン/鉛筆自体を動かしたり操作したりして、文字を書くようにします。これは、子供が文字を書くことを学ぶときに、大人が自分の手を子供の手の上に置いて、文字を書くのを導き、助けるようなものです。

別の学派では、霊が霊媒師の心に直接情報を置き、霊媒師がその情報をペンと紙を使って他の人に伝える、つまり霊媒師は霊が伝えた情報を本質的に書き写す、とされています。

3 番目の学派は、霊が実際に霊媒師に憑依し、霊媒師自身の人格と入れ替わり、一定期間、霊媒師の体を車のように「運転」すると説明しています。

4 番目の学派は、トロイ テイラーが『The Haunted Museum』（旧称 Prairie Ghosts）で述べているように、「霊媒師は無意識に書き、書き込んだ情報は潜在意識にある内容、または超感覚的知覚を持つ第二の人格から来る」と考えています。つまり、霊媒師は第二の人格を現しますが、これは外部の力に憑依された結果ではなく、長い間心の奥深くに隠されていた存在です。

霊媒師が自動書記中に自分が何をしているのかを認識しているかどうか、あるいは霊媒師が自分自身から切り離されている必要があるかどうかについては議論があります。答えは 2 つの組み合わせであると考える人もいます。イアン・スティーブンソンが「自動書記に関する簡単な議論」で次のように書いています。

「『自動筆記』という用語は、筆者が自分が何を書いているのか、あるいは（時には）書いているという行為さえも認識していない筆記を指すのに使われます。自動筆記をする人は書いているときに自分が何を書いているのか漠然と認識している可能性があるため、『完全に認識していない』と言うべきかもしれません。」

さらに、ウィルマ・コウスタールは、1992年に行動科学史ジャーナルに掲載された論文「深淵を抜ける：心理学における自動筆記の実験的探究の歴史」の中で、心霊主義運動の最盛期に行われた一連の実験について詳しく述べています。その実験では、自動筆記器の手は、筆記体を生み出す「人格」と「感覚的なつながり」を持つと考えられていました。

(wkmbe.files.wordpress.com/2015/06/koutstaal_journal_histbehscience_1992.pdf)

いずれの場合も、実際の手書きスタイルがセッションごとに、また媒体ごとに異なる理由をさまざまな考え方で説明できることは注目に値します。たとえば、霊が霊媒師の手やペン/鉛筆を動かしていたり​​、霊が霊媒師に直接憑依していたり​​すると、筆跡は霊媒師自身の筆跡とはまったく異なって見えることがあります。しかし、霊媒師が筆写者のような役割を担う場合、自動筆記は霊媒師自身の手書きである可能性があります。

しかし、自動書記のプロセスがどのようなものであると信じていようとも（ちなみに、そのプロセスではさまざまな媒体がさまざまな役割を果たす可能性があります）、自動書記を信じる人々は、この技術には、他の方法では見逃してしまうような情報、つまり別の世界からのメッセージを伝える力があると確信しています。

懐疑論者についてはどうでしょうか？彼らはそれをあまり信じていません。

懐疑論者の議論

懐疑論者の多くは、チャネリング中の自動書記の結果を、TGIMM の「仕組み」セクションの常連読者ならよく知っているはずの、私たちの古くからの友人である観念運動効果のせいだと考えています。

私たちはこのよく文書化された現象について何度か議論してきました。私たちはウィジャボードに関する研究と水占いの理解の中でこれについて言及しました。要約: クリティカル シンキング アソシエーションによると、テレキネシスには「事前の期待、暗示、または先入観の結果として人が実行する」「無意識の、不随意の運動動作」が含まれます。ウィジャボードを使用するとき、これらの動きによってボードが押し出され、私たちの質問に対する答え、つまり私たちが心の奥底ですでに知っている答えが示されます。水を探すとき、探しているものが見つかるかもしれないと無意識に信じている場所を、ダウジング棒が指し示します。私たちが自動的に書くとき、書いたり描いたりする考えやイメージはすでに脳の中に隠されています。

ちなみに、ウィリアム・ベンジャミン・カーペンターがテレキネシス効果を初めて観察したのは 1852 年、ちょうど心霊術が本格的に普及し始めた頃だったというのは興味深いことです。

しかし、2013年7月に亡くなる前のデイビッド・ダービシャーがガーディアン紙で指摘したように、リバウンド効果（特定のことについて考えないように言うと、その人はそのことについて考えてしまう現象）について広範囲に研究した心理学者ダン・ウェグナーは、自動書記は潜在意識からではなく「自由意志の錯覚」から生じるという別の見解を提唱した。

ダービーシャーはこう書いている。

「ウェゲナーは、思慮深く考える脳、つまり決断を下す内なる自己は幻想であると結論付けました。実際には、脳が腕を上げると決めたとき、脳は 2 つのことを行います。まず、内なる自己の意識を生み出す部分にメッセージを送ります。次に、信号が腕に届くのをほんの一瞬遅らせます。この遅延により、意識がすでに決断を下したという幻想が生まれます。」
「ウェグナーは、このプロセスで何か問題が起きたときに自動書字が起こると信じていました。脳は腕に書くように信号を送りますが、自分の内面にうまく警告を発することができません。」

ここで、自動書記は心理的な現象ではなく、生理的な現象です。

もちろん、自動書記によって霊と交信できると主張する人々が詐欺師である可能性もあります。

心霊術運動が最高潮に達したとき、多くのフリーランスの霊媒師やその他の心霊術の「専門家」が最終的に詐欺師として暴露されました。マギー・フォックスは 1888 年に、彼女と妹のケイトが霊の仕業だと主張する叩く音を出すために使用したテクニックを公に説明しました。ウィリアム・H・マムラーの超常現象写真は、二重露光などのカメラ内編集技術を使用して作成されたことが判明しました。 1869年に彼は詐欺罪で裁判にかけられた。彼は最終的に無罪となったが、この訴訟で彼のキャリアと評判は破壊され、二度と立ち直ることはなかった。石板に文字を書く（魂の文字を書くための一般的な技法）ことも、単なるトリックに過ぎないことが明らかになった。

明らかに、自動的に書けると言う人が全員嘘をついているわけではない。しかし、そのうちのいくつかはおそらくそうでしょう。たとえ信じていたとしても、すべてを額面通りに受け取らないほうがよいでしょう。

あなたは何を信じますか？

人々は自動書記を信じる、または疑うかのどちらかであり、一般的に、強い信念を持つ人に、考慮する価値のある他の見解があることを納得させることは困難です。しかし、皆さんに考えていただきたい点が 1 つあります。

テレキネシス効果の素晴らしいところは、それが生み出す情報が必ずしも実際の幽霊から来るものではないとしても、それでも不気味で不思議な何かがあるということです。それは、自分の考えや感情、つまり、自分のものだとさえ気づかないほど深く埋もれてしまったものを見るための窓のようなものです。自動書記、ウィジャボード、そしてテレキネシスによって説明されるその他のいわゆる超能力現象は、これらの考えや感情を明らかにしてきました。そして、ここであなたはそれらをおそらく初めてはっきりと見ることができます。

いわゆる幽霊は幽霊ではありません。

幽霊はあなたです。

ルシア著

翻訳者：クシャン

校正/ウサギの軽い足音

オリジナル記事 / theghostinmymachine.com/2019/04/15/how-does-it-work-automatic-writing-motor-automatism-and-the-unconscious-mind-psychography-spirit-writing-medium-seance-spiritualist-spiritualism/

この記事はクリエイティブ・コモンズ・アグリーメント（BY-NC）に基づいており、KushanによってLeviathanに掲載されています。

この記事は著者の見解を反映したものであり、必ずしもリヴァイアサンの立場を代表するものではありません。