呼吸器感染症の細菌検査報告書の解釈―よく使われる用語の解説！

著者：中日友好病院主任医師 陸炳淮

評者：肖丹、中日友好病院教授

呼吸器感染症の細菌学的検査報告書では、なじみのない用語に戸惑う患者もいます。今日はそれらが何を意味するかについてお話します。

グラム陰性球菌または桿菌（+）：

まず、「グラム染色」という用語を理解する必要があります。

グラム染色は非常に古い染色法であり、最初の応用以来 100 年以上の歴史があります。現在でも、グラム染色は微生物学研究室で最も一般的に使用されている染色方法の 1 つです。主に、異なる細菌を異なる色で表示することができます。

一般的に、陽性菌は青く見え、陰性菌は赤く見えます。細菌は染色の状態や球状か桿状かの形状によって、グラム陽性桿菌、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、グラム陰性球菌に分類されます。グラム染色とその形態学的特徴を通じて、それがどのような種類の細菌であるかを大まかに推測することができます。

図1 オリジナル著作権画像、転載禁止

グラム陰性球菌または桿菌（+）は、グラム染色では赤色の細菌として現れることが多いです。病原体の数に応じて、それぞれ少数から多数まで +、++、+++ で表されます。 「+」は最大 4 つまでです。

呼吸器感染症を引き起こす細菌は主にグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌です。

グラム陽性球菌の中でも、最も一般的で市中感染を引き起こしやすい肺炎球菌が最も心配されます。次に心配なのは、重度の肺炎を引き起こす可能性がある黄色ブドウ球菌と、子供の咽頭感染症を引き起こす化膿連鎖球菌です。

グラム陰性桿菌には、インフルエンザ菌、大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌など多くの種類があります。また、百日咳菌は、百日咳を引き起こす可能性のある短い陰性の桿菌です。レジオネラ症はレジオネラ菌によって引き起こされます。

グラム陰性球菌も呼吸器感染症を引き起こす可能性があり、主にモラクセラ・カタラーリスが原因となります。

グラム陽性菌が呼吸器感染症を引き起こすことはまれです。もちろん、ジフテリア菌などの特殊な病原体も原因となることがあります。入院患者、免疫不全患者、または挿管患者では、コリネバクテリウム・ストライアタムなどの病原性の弱いグラム陽性桿菌も呼吸器感染症を引き起こす可能性があります。

上皮細胞または白血球> 25/LP:

呼吸器から吐き出された痰のサンプルで検出される上皮細胞と白血球は、主にサンプルが上気道から来たものか下気道から来たものかを識別するために使用されます。

肺感染症の場合、下気道で検出された病原体が実際の病原体である可能性があります。

痰のサンプルのうち、上気道からのものは主に上皮細胞で構成されています。上皮細胞の数が 25/LP を超える場合、通常は上気道に由来するものと想定され、下気道感染の状況を反映していません。

下気道に由来するものは、患者の免疫機能が非常に低いか、顆粒球減少症でない限り、主に白血球で構成されています。

白血球数が 25/LP を超える場合、通常は下気道から採取されたものであり、患者の感染を反映できる適格なサンプルであると考えられます。さらに処理が必要であり、病原体が検出される可能性があります。

図2 オリジナル著作権画像、転載禁止

仮菌糸：時々発生する。酵母様胞子: 時々:

これは真菌検査の一部です。菌糸の形状によって真菌の菌糸と偽菌糸を区別することができます。

真菌菌糸は、アスペルギルス、ムコール、リゾムコールなどの一部の糸状菌によく見られます。

偽菌糸は、一般的なカンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシスなどのカンジダに主に見られます。真菌の胞子と偽菌糸が報告された場合、サンプルにカンジダ属が見られることを意味します。

呼吸器感染症の細菌学的検査でカンジダが存在することは、通常、患者が抗生物質の使用後に細菌異常症を発症したことを意味します。カンジダが呼吸器感染症を引き起こす可能性は非常に低いため、カンジダが実際の病原体であることを意味するわけではありません。