BEMの魅力と評価：深掘りレビュー

『BEM - ベム -』：差別と共生の物語を描くダークファンタジー

2019年に放送されたTVアニメシリーズ『BEM - ベム -』は、ADKエモーションズによるアニメオリジナル作品であり、ランドック・スタジオがアニメーション制作を担当した。監督は小高義規、シリーズ構成は冨岡淳広、キャラクターデザインは砂川正和が務め、音楽はSOIL&"PIMP"SESSIONSと未知瑠が手掛けた。放送期間は2019年7月15日から10月14日までの全12話で、テレビ東京とAT-Xで放送された。

ストーリー

『BEM - ベム -』の舞台は、湾港都市「リブラシティ」。この街は、政治・経済・文化の中心である「アッパーサイド」と、汚職や犯罪に溢れ、人々がお互いを疑い合う「アウトサイド」に分かれており、その両エリアを分かつ巨大な運河と一本の「橋」によって構成されている。まさに人間の「差別意識」が顕在化したような街だ。

そんなリブラシティに赴任してきた若き女性刑事・ソニアは、数々の事件を追う中で、人間を守るために戦う醜い姿の3人と出会う。彼らは「ベム」「ベラ」「ベロ」と名乗る妖怪人間たちで、それぞれの思いを抱えながら、正体を隠して生きていた。ベムは「悪を倒し、人間を助けることで、いつの日か人間になれる」という信念を持ち、ベラは人間への憧れから人間と同じ学校に通い、ベロは人間や世間に達観し、ゲームの世界に没頭していた。しかし、彼らが人間を守るために戦っても、その醜い姿から決して人間に受け入れられることはない。そんな3人を探す1人の存在がいる。リブラシティを裏で牛耳る「見えざる議会」を操り、ベムたちを確保しようとする謎の女の目的とは何なのか？

キャラクター

ベム（声：小西克幸）は、悪を倒し人間を助けることで、いつか人間になれると信じる妖怪人間のリーダー格。無口で無表情だが、ベラとベロを家族同然に思い、2人の行動を陰ながら見守っている。高い知性と頑強な肉体を持ち、電撃を操る特殊能力を持つ。

ベラ（声：M・A・O）は、人間への強い憧れを持つ妖怪人間の紅一点。普段はアナベラという名でアッパーサイドの名門校セントジョーゼフ・ハイスクールに通い、同級生たちとのスクールライフを楽しんでいる。人間社会に溶け込むための努力であり、人間に対する偏見も薄いが、そのせいで傷つくことも多い。華麗な動きで右腕に仕込んだムチを操り、冷気を操る特殊能力を持つ。

ベロ（声：小野賢章）は、世の中や人間に対してクールで冷めたスタンスを持つ3人目の妖怪人間。天才的なゲームの腕前を持ち、普段は仲間たちとアウトサイドのゲームセンターに入り浸っている。人間社会と一定の距離感を保ちたいが故に、常にヘッドフォンをして人の話を聞いていない風を装っている。素早い動きで悪を翻弄し、特殊能力はないが成長の兆しがある。

ソニア・サマーズ（声：内田真礼）は、正義感に燃える若き女性刑事。真面目すぎて融通が利かないため、アッパーサイドからアウトサイド18分署に左遷されてきた。アウトサイドの流儀に従おうとせず、常に自分が正しいと思う行動を貫こうとする。

ジョエル・ウッズ（声：乃村健次）は、アウトサイド18分署に所属する刑事。基本的にあまりやる気がない。アウトサイドの流儀に従おうとしないソニアに振り回される。

ロディ・ウォーカー（声：西山宏太朗）は、ベラが通うハイスクールの同級生。アナベラことベラに憧れを抱いている。

ダリル・ブライソン（声：斉藤壮馬）は、アッパーの政治家秘書の息子。数々のゲーム大会で優勝した腕前を持つ。

Dr.リサイクル（声：諏訪部順一）は、アウトサイドの謎の外科医であり科学者。人間をやめたいとする者や、心に傷を持つ者に、異能の力を付与する改造手術を行う。

ヘルムート・フェルト（声：小野大輔）は、妖怪人間捕獲の使命を帯び、アウトサイド18分署に赴任してきた刑事。任務のためには手段を選ばない非情さを持つ。

謎の女（声：坂本真綾）は、リブラシティを裏で操る「見えざる議会」を束ねる存在。ベムたち妖怪人間を捕獲しようと企む。

制作スタッフ

『BEM - ベム -』の制作には、多くの才能あふれるスタッフが関わっている。原作はADKエモーションズ、企画はNAS、プロジェクト協力はProduction I.G、監督は小高義規、シリーズ構成は冨岡淳広、キャラクター原案は村田蓮爾、キャラクターデザインは砂川正和、美術監督は明石聖子、色彩設計は佐々木雅人、CGディレクターは磯部兼士、撮影監督は林コージロー、編集は丹彩子、音響監督は亀山俊樹、音楽はSOIL&"PIMP"SESSIONSと未知瑠、音楽制作はフライングドッグ、アニメーション制作はランドック・スタジオが担当した。

エピソード

『BEM - ベム -』の各エピソードは、リブラシティの闇を描きつつ、ベムたち妖怪人間の人間への憧れと苦悩を描いている。以下に各エピソードのサブタイトルを紹介する。

• 第1話：WATER（2019/07/14）
• 第2話：LIAR（2019/07/21）
• 第3話：SHADOW（2019/07/28）
• 第4話：LIGHTNING（2019/08/18）
• 第5話：SWEEPER（2019/08/25）
• 第6話：GRAVITY（2019/09/01）
• 第7話：CHIMERA（2019/09/08）
• 第8話：NOISE（2019/09/15）
• 第9話：FALLING（2019/09/22）
• 第10話：BETRAYAL（2019/09/29）
• 第11話：JUDGEMENT（2019/10/06）
• 第12話：Wishing to become human someday（2019/10/13）

関連作品

『BEM - ベム -』は、以下の関連作品と深いつながりを持つ。

• 妖怪人間ベム
• 妖怪人間ベム -HUMANOID MONSTER BEM-
• 俺たちゃ妖怪人間

主題歌・楽曲

オープニングテーマ「宇宙の記憶」は、椎名林檎が作詞・作曲・編曲を手掛け、坂本真綾が歌い、SOIL&"PIMP"SESSIONSが演奏した。エンディングテーマ「イルイミ」は、降谷建志が作詞・作曲・編曲を手掛け、JUNNAが歌った。これらの楽曲は、物語のテーマを深く反映し、視聴者の心に響くものとなっている。

評価と推薦

『BEM - ベム -』は、差別と共生という普遍的なテーマを描いたダークファンタジーであり、視聴者に深い感動と考えさせる要素を提供する。ベム、ベラ、ベロの3人の妖怪人間たちの人間への憧れと苦悩、そしてリブラシティの闇を描いたストーリーは、視聴者に強い印象を与える。また、キャラクターデザインや音楽も高評価を受けており、特にオープニングとエンディングの楽曲は物語の雰囲気を引き立てる重要な要素となっている。

この作品は、社会問題を描いた作品が好きな人や、ダークファンタジーが好きな人におすすめだ。また、深いテーマを考えながら楽しみたい人にもぴったりだろう。『BEM - ベム -』は、視聴者に多くのことを考えさせ、感動を与える作品であり、ぜひ一度視聴してみることをおすすめする。