『機動戦士ガンダム NT』レビュー：新たなガンダム体験を求めるファン必見の作品

『機動戦士ガンダム NT』 - 宇宙世紀の新たな物語

『機動戦士ガンダム NT』は、2018年11月30日に公開された劇場版アニメーションで、ガンダムシリーズの中でも特に注目を集めた作品の一つです。この作品は、宇宙世紀を舞台に、ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の影響を描きつつ、新たなキャラクターとロボットが登場する物語となっています。以下では、この作品の詳細な情報と評価、そしておすすめポイントを紹介します。

作品概要

『機動戦士ガンダム NT』は、U.C.0097を舞台にしています。『ラプラスの箱』が開かれてから一年が経過し、ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされましたが、世界の枠組みが大きく変化することはありませんでした。しかし、その後の争乱は『ラプラス事変』と呼ばれ、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の瓦解で終結したかに見えました。最後の戦闘では、2機のフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツが人知を超えた力を示し、白き一角獣と黒き獅子の2機の脅威は封印されることで人々の意識から遠ざけられるはずでした。しかし、2年前に消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せ始めます。その名は、フェネクス、不死鳥と呼ばれます。

キャスト

本作のキャストは、以下の通りです。

ヨナ・バシュタ：榎木淳弥
ヨナ・バシュタ(8歳)：中村文徳
ミシェル・ルオ：村中知
ミシェル・ルオ(8歳)：横溝菜帆
リタ・ベルナル：松浦愛弓
ゾルタン・アッカネン：梅原裕一郎
ブリック・テクラート：古川慎
イアゴ・ハーカナ：中井和哉
フランソン：星野貴紀
アマージャ：佐藤せつじ
デラオ：荒井勇樹
パベル：島田岳洋
タマン：駒田航
アバーエフ：山路和弘
マーサ・ビスト・カーバイン：塩田朋子
ミネバ・ラオ・ザビ：藤村歩
ステファニー・ルオ：夏樹リオ
マウリ：玉野井直樹
モナハン・バハロ：てらそままさき
エリク・ユーゴ：遠藤綾

メインスタッフ

本作の制作には、以下のスタッフが関わっています。

企画：サンライズ
制作：サンライズ
原作：矢立肇・富野由悠季
監督：吉沢俊一
脚本：福井晴敏
メインキャラクター原案：高橋久美子
キャラクターデザイン：金世俊
メカニカルデザイン：カトキハジメ・小松英司
色彩設計：すずきたかこ
CGディレクター：藤江智洋
ディスプレイデザイン：佐山善則
美術監督：丸山由紀子・峯田佳実
特殊効果ディレクター：谷口久美子
撮影監督：脇顯太朗
編集：今井大介
音響監督：木村絵理子
音楽：澤野弘之

メインキャラクタ

本作の主要キャラクターは以下の通りです。

ヨナ・バシュタ：25歳。地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。マーサ・ビスト・カーバインに関わる作戦ではディジェに搭乗する。U.C.0095、暴走事故を起こし行方不明となったユニコーンガンダム3号機フェネクス。その捜索のために編成されたシェザール隊が投入された『不死鳥狩り』作戦の増援として送り込まれるナラティブガンダムのパイロット。ルオ商会特別顧問のミシェル・ルオとフェネクスのパイロットで行方不明となっているリタ・ベルナルとは幼なじみ。少年期にコロニー落としに見舞われたオーストラリアで被災した過去を持つ。
ミシェル・ルオ：25歳。ニューホンコンを拠点に地球連邦政府とも密接な関係を築く大企業、ルオ商会の特別顧問。ルオ商会会長ウーミンの娘。略筮法での占いに長け、政財界から絶大な信頼を得る。『不死鳥狩り』作戦を展開するクラップ級宇宙巡洋艦ダマスカスに、増援のナラティブガンダムを伴って乗り込んでくる。ルオ商会運用の宇宙輸送船ローズバッドに搭載したナラティブガンダムの各種装備はアナハイム・エレクトロニクス社からの供給を受けたという話もある。
リタ・ベルナル：地球連邦宇宙軍所属。階級は少尉。機動実験中に暴走事故を起こして消息不明となったユニコーンガンダム3号機フェネクスのパイロット。少女期にオーストラリアで被災し、奇蹟の子供達と呼ばれた過去を持つ。ヨナとミシェルの幼なじみ。U.C.0079、1月3日、ジオン公国が地球連邦政府に対して宣戦布告し独立戦争を仕掛けた当時はプライマリースクールの2年生だった。
ゾルタン・アッカネン：27歳。フェネクス捕獲を目論むジオン共和国軍の大尉。シナンジュ・スタインのパイロット。ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の首魁フル・フロンタルと同様に、シャアの再来のひとりとして開発された強化人間。
ブリック・テクラート：ルオ・ウーミンの許可を得て、ルオ商会特別顧問であるミシェルの秘書を務める青年。
ルオ・ウーミン：ニューホンコンを拠点に地球連邦政府に多大な影響力を持つルオ商会の会長。現在はカプセルで冷凍睡眠中。ステファニーとミシェルの父
イアゴ・ハーカナ：地球連邦宇宙軍所属。宇宙巡洋艦《ダマスカス》のモビルスーツ部隊として、機密任務“不死鳥狩り”を遂行するシェザール隊の隊長。階級は少佐。
フランソン：地球連邦宇宙軍所属。シェザール隊の副隊長。階級は大尉。
アマージャ：地球連邦宇宙軍所属。シェザール隊の隊員。階級は大尉。バンカラ気質。
デラオ：地球連邦宇宙軍所属。シェザール隊の隊員。階級は中尉。
パベル：地球連邦宇宙軍所属。シェザール隊の隊員。階級は中尉。大柄な青年。
タマン：地球連邦宇宙軍所属。シェザール隊の隊員。階級は少尉。博識な青年。
アバーエフ：地球連邦宇宙軍所属。クラップ級宇宙巡洋艦《ダマスカス》の艦長。階級は大佐。
マーサ・ビスト・カーバイン：アナハイム・エレクトロニクス社創業家に嫁いだビスト家の一員。サイアム・ビストの孫。ラプラス事変への関与を問われ収監されていたが、移送中にルオ商会の私兵に強奪される。
ミネバ・ラオ・ザビ：ザビ家の遺児。航宙戦艦メガラニカ内のビスト邸を居所としている。
ステファニー・ルオ：ミシェルの義理の姉。ルオ・ウーミンの娘で、ルオ商会の社長。ルオ商会を守るため、ミシェルが秘かに進めるシンギュラリティ・ワンの入手作戦を制めようとする。
マウリ：地球連邦軍参謀本部所属。階級は中将。ミシェルの占いに一目置いているが、姉のステファニーとも秘かに通じている。
エスコラ・ゲッダ：地球連邦軍の特殊部隊ティターンズ所属。階級は大佐。保身を図るため、リタを手元に置き、ミシェルをルオ商会に渡す。
マルガ：オーガスタ研究所の上級研究員。エスコラに協力して、ニュータイプとおぼしき少年少女に過酷な実験を繰り返す。
モナハン・バハロ：ジオン共和国外務大臣。ミネバに隠れてネオ・ジオンと繋がっている。ダルシア・バハロの息子。
エリク・ユーゴ：29歳。ジオン共和国軍所属。中尉。ゾルタンの監視役。秘かにモナハンの指示に従っている。

メインロボ・アイテム

本作に登場する主要なロボットとアイテムは以下の通りです。

ナラティブガンダム：主人公ヨナ・バシュタが搭乗するアナハイム・エレクトロニクス社製MS。RX-93 νガンダムの前にサイコフレーム試験機として開発された経緯をもつ。特徴として各部の装甲が外されており、機体の内部フレームがむき出しになっている。試験機という出自から素体自体の武装は頭部バルカンのみで、『不死鳥狩り』作戦にはルオ商会の力を借り、複数の武装を換装して運用する。
ユニコーンガンダム3号機フェネクス：試験用に先行納入されたフル・サイコフレームの素体をもとに、白い1号機と黒い2号機の建造データを反映して組み上げた金色のユニコーンガンダム3号機。U.C.0095、暴走事故を起こし、行方不明となっている。
シナンジュ・スタイン：『UC計画』においてサイコフレームの強度・追従性のテスト機として開発された試作MS。開発コードはスタイン01。U.C.0094、地球連邦宇宙軍所属のクラップ級巡洋艦ウンカイで輸送中に強奪されたとされている。
ジェスタシェザール隊仕様：アナハイム・エレクトロニクス社で開発された特殊作戦用MS。『不死鳥狩り』作戦ではシェザール隊が使用し、全機の頭部にスコープ型のセンサー強化ユニットが装備されている。また作戦の役割に応じて、バックパックを高機動型に換装したA班、メガ・ビーム・ランチャーにトライポッドを組み合わせたスナイパー装備のB班、89式ベース・ジャバーに乗り捕獲用のキャプチャーガンを携行するC班の各2機ずつ計6機小隊で『不死鳥狩り』に挑む。
ジェガンD型護衛隊仕様：RGM-89D ジェガンD型のバリエーション機。D型で標準装備されていた60mmバルカン砲がオミットされ、頭部が新規デザインとなっている。またRGM-89De ジェガン(エコーズ仕様)同様に、胸部装甲の強化が図られている。主武装として90mmショートマシンガンを使用する。
グスタフ・カール：連邦軍の次世代機として開発が進められていた量産型汎用MS。RGM-89 ジェガンとは別系統で開発された機体であり、装甲も厚い重装型となっている。マーサの護衛として配備され、ジェガンD型護衛隊仕様と同じ新型の90mmショートマシンガンを使用する。
ディジェ：リック・ディアスをベースに改修した試作陸戦用MS。U.C.0087当時からの大きな変更点として、主武装のビーム・ライフルがジェガンやリゼルの使用するライフルと共通規格のEパックを使用する形状に変更されている。また、隊長機のみ左肩にサーチライトを装備している。ルオ商会が運用。ヨナの搭乗機。
セカンドネオ・ジオング：フル・フロンタル専用機として開発されたネオ・ジオング。その開発時の予備パーツを使用して組み上げられたのがセカンドネオ・ジオングである。剛性を高めるために肩部ウェポンベイ正面に新たにフレームが追加され、ウェポンベイの前面ハッチは取り外された。追加されたフレームには赤いペイントが施され、外観上の特徴となっている。武装面については有線式誘導機能が腕部にも組み込まれ、ジオングを彷彿とさせる様な動きが可能となった。
ギラ・ズール(エリク機)：ギラ・ズールに重装バックパックと近接戦用武器を装備した機体。ビーム・ナギナタ、一般機のビーム・マシンガンを短くしたビーム・マシンガン・コンパクトを装備。頭部は指揮官を示すブレード・アンテナを配した形状に変更されている。
シルヴァ・バレト・サプレッサー：メガラニカ内で保管されていたシルヴァ・バレトを、その拡張性の高さからテストベットとして利用し、改修した機体。ビーム・マグナムの使用を主目的に腕部とバックパックが変更されているが、頭部と脚部についても仕様変更が試されている。

主題歌・楽曲

本作の主題歌と楽曲は以下の通りです。

TM：narrative
作詞：澤野弘之
作曲：澤野弘之
歌：SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA
IN1：Vigilante
作詞：mpi
作曲：澤野弘之
歌：mpi&Gemie
IN2：Cage
作詞：Benjamin Anderson・mpi
作曲：澤野弘之
歌：SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle

作品評価

『機動戦士ガンダム NT』は、ガンダムシリーズのファンだけでなく、アニメファン全体からも高い評価を受けました。以下では、作品の評価ポイントを詳しく見ていきます。

ストーリー

本作のストーリーは、宇宙世紀の新たな展開を描いており、特に『ラプラスの箱』や『宇宙世紀憲章』の影響を中心に据えた展開が魅力的です。『ラプラス事変』後の世界を描くことで、ガンダムシリーズの歴史を深化させています。また、フェネクスの再登場や新たなキャラクターの導入により、物語に新鮮さを加えています。特に、ヨナ・バシュタ、ミシェル・ルオ、リタ・ベルナルの3人の幼なじみの関係性や、彼らが抱える過去のトラウマが物語に深みを与えています。

キャラクター

本作のキャラクターは、個々の背景や心情が丁寧に描かれており、視聴者に強い印象を与えます。特に、ヨナ・バシュタの成長物語や、ミシェル・ルオの占い師としての能力とその使命感、リタ・ベルナルのニュータイプとしての苦悩などが見事に描かれています。また、ゾルタン・アッカネンの強化人間としての葛藤や、マーサ・ビスト・カーバインのビスト家の立場からの苦悩も興味深いポイントです。各キャラクターの人間ドラマが物語を豊かにしています。

メカデザイン

本作のメカデザインは、ガンダムシリーズの伝統を引き継ぎつつ、新たな要素を加えたものとなっています。特に、ナラティブガンダムのデザインは、内部フレームがむき出しになっている点が特徴的で、試験機としての雰囲気を強く感じさせます。また、ユニコーンガンダム3号機フェネクスの金色のデザインは、視覚的なインパクトが強く、物語の重要な要素として機能しています。シナンジュ・スタインやジェスタシェザール隊仕様など、各MSのデザインも個性的で、戦闘シーンを盛り上げています。

音楽

本作の音楽は、澤野弘之による力強い楽曲が特徴的です。特に、主題歌「narrative」は、LiSAの力強い歌声と澤野弘之の壮大な作曲がマッチしており、物語のテーマを強く印象付けます。また、挿入歌「Vigilante」と「Cage 」も、物語の展開に合わせて感情を揺さぶる効果を発揮しています。音楽が物語の雰囲気を高める重要な要素となっています。

結論

『機動戦士ガンダム NT』は、宇宙世紀の新たな物語を描いた作品であり、ガンダムシリーズのファンだけでなく、アニメファン全体におすすめできる内容となっています。ストーリー、キャラクター、メカデザイン、音楽など、様々な要素が高水準で融合した作品であり、視聴者に強い印象を与えます。特に、ヨナ・バシュタ、ミシェル・ルオ、リタ・ベルナルの3人の幼なじみの関係性や、彼らが抱える過去のトラウマが描かれた人間ドラマは、視聴者に深い感動を与えます。また、澤野弘之による力強い音楽も、物語の雰囲気を高める重要な要素となっています。ガンダムシリーズの新たな視点からの物語を楽しみたい視聴者におすすめの作品です。

<<: ドリフターズ第6巻オリジナルアニメ15話DVD付き特装版の評価と感想

>>: 「あそびあそばせ OVA」の魅力と評価：ファン必見の特別エピソード