『俺たちに翼はない』レビュー：純真な空の下で見つけた感動とは？

俺たちに翼はない ――under the innocent sky. の全方位的レビューと推薦

■作品概要

『俺たちに翼はない ――under the innocent sky.』は、2011年に放送されたTVアニメシリーズで、原作はNavelが手掛けた18禁ゲームです。放送期間は2011年4月3日から6月19日まで、全12話で構成されています。放送局はチバテレビ、AT-X、TOKYO MX、テレ玉、サンテレビ、ぎふチャン、三重テレビ、バンダイチャンネル、ニコニコチャンネルで、各話30分の放送でした。アニメーション制作はNOMAD、製作委員会はおれつば振興会が担当しました。監督はウシロシンジ、シリーズ構成は鴻野貴光、キャラクターデザインと総作画監督は石井久美が務めています。

■ストーリー

物語の舞台は大都市「柳木原」。この巨大な繁華街には無数の人々と建物がひしめき合っています。季節は冬、空は無表情な白さで覆われています。主人公の羽田タカシには人には言えない秘密があり、冴えない学園生活から逃れ、いずれは異世界・グレタガルドへと消えるつもりでした。しかし、彼の胸にはいくつかの心残りがありました。妹の羽田小鳩とのぎこちない会話や、学園のプリンセスと称えられる仮初の恋人・渡来明日香の存在です。

一方、千歳鷲介はしがない貧乏フリーター。いろんなバイトをしながら日々を面白おかしく過ごしています。そんなある日、ひょんなことから学生作家の玉泉日和子と出会います。第一印象は最悪でしたが、その直後に行きつけのレストラン「アレキサンダー」で再開し、店長に誘われるまま微妙な関係の仕事仲間となります。

成田隼人は無職で、星座や血液型はナイショ。性格は自称ハードボイルドで、肉体労働系のバイトで日々を食いつなぎながら、便利屋の真似事もこなしています。人付き合いを疎んじている隼人ですが、同じく夜の街に暮らす風変わりな人間や不良少年たちが集まってきます。そんなある夜、「鳳鳴」と名乗る少女が、便利屋隼人の元を訪れます。

ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たちが出会う恋と様々な出来事。これはどこにでもあるありふれた物語でありながら、メルヘンな世界を描いています。

■キャスト

・渡来明日香：吉田真弓
・玉泉日和子：小野涼子
・鳳鳴：後藤邑子
・羽田小鳩：又吉愛
・日野英里子：浅井清己
・望月紀奈子：たかはし智秋
・羽田鷹志：下野紘
・千歳鷲介：三浦祥朗
・成田隼人：諏訪部順一
・鳳翔：日野聡
・森里和馬：荻原秀樹
・軽部狩男：石川英郎
・DJコンドル：杉田智和

■メインスタッフ

・原作：Navel（『俺たちに翼はない』）
・キャラクター原案：西又葵
・監督：ウシロシンジ
・シリーズ構成：鴻野貴光
・キャラクターデザイン、総作画監督：石井久美
・アニメーション制作：NOMAD
・製作：おれつば振興会

■メインキャラクター

・渡来明日香：美空学園3年A組、158cm／84・57・83。校内一と評される美貌と人当たりの良さで、全男子生徒の高嶺の花として君臨する美空学園のプリンセス。明るく社交的で、ときに愛らしい無邪気さも感じさせるが、いかなる事態にも物怖じすることがない。しかし、実は人付き合いが嫌いだったりする。
・玉泉日和子：美空学園2年B組、161cm／88・60・89。生真面目で几帳面なきびきびした性格。アルバイト先は制服が可愛いと評判のレストラン『アレキサンダー』。基本的には明るく礼儀正しいが、頭が固く融通の利かないところがある。ジュニア向け少女小説のコンテストで入賞し単行本として出版された学生作家。
・鳳鳴：蒼穹女学院1年C組、148cm／78・54・78。マイペースな性格と飄々とした言動で掴みどころがない。人見知りするため、普段人前では大人しいが、本来は落ち着きのない性分。一度懐いた相手の前では、まとわりつくようによく動きよく喋る。小柄で童顔、しかも幼児体型だが、このあとモリモリ育つと信じている（とくに胸とか）。
・羽田小鳩：蒼穹女学院付属1年4組、145cm／72・57・78。勉強が好きで聞き分けも良く、率先して家事も手伝う手間のかからない良い子。しかし失敗も多い。無邪気で純粋で天真爛漫な少女だが、人見知りが激しく、慣れない相手の前ではつい口数が激減してしまう。そういうときの小鳩は無口で無愛想に見えるが、内心ではあわわわどーしようなにか楽しいお喋りをしなければしなければと非常にテンパっている（なので、相手に話を振ってもらえると物凄い勢いで無言の相槌を打ちまくる）。
・日野英里子：天神大学経済学部経済学科1年、164cm／83・56・82。レストラン『アレキサンダー』でウェイトレスのアルバイトをしている女子大生。同じ職場の玉泉日和子とは相性が悪いのか、何かと衝突する機会が多い。言いたいことは言う性格のうえに、口調もきつく乱暴。しかし同時にムードメーカー。がさつで物臭なところがある反面、意外に真面目で努力家なところもある。
・望月紀奈子：宿木ゼミナール柳木原校私立文系Aクラス、165cm／91・62・90。二浪中の予備校生。受験勉強のかたわら、受験料捻出のためレストラン『アレキサンダー』でのアルバイトにいそしむ。ほがらかでマイペースで楽天的な性格。基本的には真面目でおだやかだが、周囲が変人だらけのアレキサンダーにおいて負けじと茶目っ気を振りまけるノリの良さも併せもつ。ちなみに童顔ながら首から下はダイナマイト。
・春日春恵：169cm／89・63・91。移動式クレープ店『パルクレープ』を単身で経営する、人情に篤くきっぷのよい若き女店主。性格は男らしく、口調はおばちゃん臭く、趣味はギャル風の姐御肌。面倒見の良い性格で、年下や同年代から「パル姐さん」と呼ばれ慕われている。
・羽田鷹志：受験を間近に控えた学園三年生。良くいえば繊細かつ冷静。悪くいえば気が弱く自己否定的。他者との交流を避けているわけではないが、自ら率先して交友の輪に入っていくような積極性もない。
・千歳鷲介：登録制のアルバイトなどで日々気ままに暮らしているフリーアルバイター。良くいえば陽気で社交的。悪くいえば騒々しくて他人の顔色を窺ってばかり。レストラン『アレキサンダー』にてアルバイトをすることになる。
・成田隼人：日雇いの肉体労働などで身銭を稼いでいる根無し草の若者。良くいえば奔放で動じない。悪くいえば無遠慮で協調性がない。ハードボイルドに憧れているが、どこか格好がつかない二枚目半の男。
・鳳翔：レストラン『アレキサンダー』の常連客。『鳳鳴』の兄でもある。『針生蔵人』とは犬猿の仲。無愛想で何事にも無関心な性格。言動にも覇気がなく、常に気だるそうにしている。遠慮や謙遜といった日本的美徳に鈍感なので、自慢や中傷（と取られる言動）が多い。
・森里和馬：場を盛り上げようと率先して騒ぐピエロ気質だが、騒ぎ方が頑張りすぎて空回りすることも多い。羽田鷹志にとってはクラスが違うものの数少ない学内の友人で、成田隼人とは夜の繁華街でしばしば遭遇する口喧嘩友達。
・軽部狩男：洋食レストラン『アレキサンダー』花水木通り店の支店長。通称マスター。変人。道化。好色。超然としていて何事にも動じない性格。渋く落ちついた低音の持ち主だが、声に似合わぬ下品な冗談ばかり絶えず口走っている。しかし常軌を逸した言動はおおむね計算ずくであり、天然の馬鹿ではない。むしろいい人。
・DJコンドル：意味不明。所在不明。正体不明。番組オリジナル挨拶「こんどるわ」を流行らせようとしているが、一向に流行らずクサクサしている。

■サブタイトル

・第1話：たとえばそんなメルヘン
・第2話：好きな動物はペガサスです
・第3話：小鳩さんは可愛いなあ
・第4話：ドラさん・・・・・・私、今妊娠しちゃったかも・・・・・・
・第5話：なんたるホーク卿の徳高きことよ!
・第6話：ひいッ！らめえ、声出しちゃう～！
・第7話：栄えある王の凱旋だ！
・第8話：巨乳のクリームお姉ちゃんまだですかー！
・第9話：胸が高鳴るーっ！！
・第10話：ずっと、ファンでいてくださいね
・第11話：妹萌えという概念を知っているか？
・第12話：俺たちに翼は・・・・・・

■主題歌・楽曲

・OP1：Spread Wings
作詞：西又葵
作曲：アッチョリケ
編曲：田辺トシノ
歌：美郷あき
・ED1：NEVERLAND
作詞：西又葵
作曲：アッチョリケ
編曲：斎藤裕弥
歌：橋本みゆき

■レビュー

『俺たちに翼はない ――under the innocent sky.』は、都市の喧騒と若者の悩みを描いた作品でありながら、メルヘンな世界観を巧みに融合させています。原作が18禁ゲームということもあり、キャラクターの設定やストーリーの展開には大人の視点が随所に見られますが、アニメ化にあたってはその要素を巧みに調整し、幅広い視聴者層に受け入れられるように工夫されています。

物語の舞台となる「柳木原」は、現実の都市を思わせるリアルな描写がなされており、そこに生きる若者たちのリアルな悩みや葛藤が描かれています。羽田タカシの異世界への逃避願望や、千歳鷲介のフリーターとしての生活、成田隼人のハードボイルドな生き方など、各キャラクターの個性が際立っています。また、レストラン「アレキサンダー」を中心に展開される人間関係も魅力的で、視聴者を引き込む要素となっています。

キャラクターのデザインは西又葵によるもので、個々のキャラクターの特徴がよく表現されています。特に渡来明日香の美貌や、玉泉日和子の几帳面さ、鳳鳴のマイペースさなどが視覚的に伝わってきます。また、キャラクターデザインと総作画監督を担当した石井久美の技術力も高く評価され、キャラクターの動きや表情がリアルに描かれています。

音楽面でも、OPの「Spread Wings」とEDの「NEVERLAND」が作品の雰囲気を盛り上げています。美郷あきの力強い歌声と、橋本みゆきの優しい歌声がそれぞれのシーンにマッチしており、視聴者の感情を揺さぶります。特にOPの「Spread Wings」は、羽田タカシの心の葛藤を象徴するような歌詞とメロディーが印象的で、作品のテーマを強く印象付けています。

監督のウシロシンジは、原作の世界観を尊重しつつも、アニメ独自の解釈を加えることで新たな魅力を引き出しています。シリーズ構成の鴻野貴光も、各話のストーリーを巧みに組み立て、視聴者の興味を引きつける展開を作り上げています。また、アニメーション制作を担当したNOMADの技術力も高く、都市の風景やキャラクターの動きがリアルに描かれています。

■推薦

『俺たちに翼はない ――under the innocent sky.』は、都市のリアルな生活とメルヘンな世界観が融合した作品であり、若者の悩みや葛藤を描いたストーリーが魅力的です。特に、キャラクターの個性や人間関係に興味がある方にはおすすめです。また、原作が18禁ゲームということもあり、大人の視点から見た青春物語を楽しみたい方にも向いています。

さらに、美郷あきや橋本みゆきの歌声が好きな方、ウシロシンジや鴻野貴光の作品が好きな方にもおすすめです。アニメーション制作を担当したNOMADの技術力も高く評価されているため、アニメーションのクオリティにこだわる方にも満足いただけるでしょう。

この作品は、視聴者に様々な感情を呼び起こす力を持っており、何度見ても新たな発見があることでしょう。ぜひ一度、視聴してみてください。