『BLUE DROP～天使達の戯曲～』の魅力と評価：感動のストーリーとキャラクターの深み

BLUE DROP～天使達の戯曲～評測と推薦

概要

『BLUE DROP～天使達の戯曲～』は、吉冨昭仁による原作を基にしたTVアニメシリーズで、2007年10月2日から12月25日まで放送されました。全13話からなるこの作品は、名門女學園を舞台に、同性間の愛憎を繊細に描いた作品です。地球崩壊の幕が上がる中、記憶喪失の少女若竹マリと、モノセックスの星から来た戦艦BLUEの艦長エカリルの出会いと心の交流を中心に物語が展開されます。

ストーリー

『BLUE DROP～天使達の戯曲～』のストーリーは、少女たちの出会いと地球崩壊の危機を背景に描かれています。主人公の若竹マリは、五年前の神隠島事件で両親と記憶を失い、唯一の生き残りとして祖母に引き取られました。祖母の方針で全寮制の名門女學園「私立海鳳学園」に編入することになりますが、そこでエカリルと出会います。エカリルは、モノセックスの星から地球に侵入した戦艦BLUEの艦長であり、彼女の存在はマリの心に大きな影響を与えます。二人は時には反発しながらも、徐々に心を通わせていく様子が描かれています。

キャラクター

本作のキャラクターはそれぞれ個性的で、物語を深くする重要な役割を果たしています。以下に主要キャラクターを紹介します。

若竹マリ

16歳の少女で、神隠島事件で両親と記憶を失った後、祖母に引き取られました。祖母の方針で海鳳学園に編入し、自分の居場所を見失いながらも新しい生活を始めます。マリのキャラクターは、記憶喪失という特殊な状況からくる不安や戸惑いを抱えつつも、強い意志を持って前進しようとする姿が描かれています。声優は矢島晶子が担当し、その繊細な演技がマリの心情をリアルに表現しています。

千光寺萩乃（エカリル）

海鳳学園の高等部二年櫻花の委員長であり、戦艦BLUEの艦長でもあります。学業成績優秀でスポーツ万能、沈着冷静な性格で人望も厚い優等生ですが、感情を表に出さないためミステリアスな雰囲気を持っています。エカリルとしての役割では、地球侵入の目的とマリとの関係性が物語の中心となります。声優は沢城みゆきが担当し、その声の力強さと繊細さがエカリルのキャラクターを引き立てています。

香月みち子

マリの同級生で、16歳の少女です。海鳳学園に通う良家の子女たちの中で、コンプレックスを抱えながらも自分の居場所を見つけようと奮闘します。用務員の玄さんと一緒に植栽の世話をすることが多く、引っ込み思案な性格が描かれています。声優は雪野五月が担当し、その温かみのある声がみち子のキャラクターを魅力的にしています。

ツバエル

地球調査艦隊五番艦BLUEのオペレータで、エカリルに全幅の信頼を寄せています。五年前の地球侵入時に主機関エミルフォースドライブの暴走事故で艦体を破損し、その修理に従事しています。ツバエルのキャラクターは、エカリルへの忠誠心と地球への興味が描かれています。声優は後藤邑子が担当し、その落ち着いた声がツバエルのキャラクターを支えています。

川嶋朱音

17歳の少女で、家庭の事情で一年留年し、マリの同級生となります。ミルクを愛し、料理好きで頼りになる姉御肌のキャラクターです。声優は渡辺明乃が担当し、その元気な声が朱音のキャラクターを活き活きと表現しています。

菅原裕子

海鳳学園に赴任した化学の教師で、マリの担任です。カウンセラーの資格を持ち、生徒たちの心のケアにも力を入れています。声優は山田美穂が担当し、その優しい声が裕子のキャラクターを温かく描いています。

深町

私立海鳳学園の学園長で、ダンディかつ温厚な性格の男性です。重篤な持病を抱えているが、そのことを誰にも明かしていません。声優は中田譲治が担当し、その落ち着いた声が深町のキャラクターを引き立てています。

船津丸ひろ子

海鳳学園高等部三年で、青海寮の寮長です。豪放磊落な一方で、寮生たちを気遣う細やかなところも見せます。声優は斉藤貴美子が担当し、その力強い声がひろ子のキャラクターを魅力的にしています。

山田和美、鈴木双葉、佐藤未恵

千光寺萩乃親衛隊の三人で、海鳳学園高等部一年生です。三人とも青海寮生で、萩乃を支える重要な役割を果たしています。声優はそれぞれ広津佑希子、野中藍、坂東愛が担当し、その声のハーモニーが親衛隊の結束を表現しています。

シバリエル

地球調査艦隊一番艦ノヴァールの艦長で、調査艦隊の司令を兼務しています。マスターコマンダーと呼ばれ、エカリルとの関係性も物語の重要な要素となります。声優は麻上洋子が担当し、その冷静な声がシバリエルのキャラクターを引き立てています。

オノミル

BLUEのオペレータで、神隠島事件で死亡しました。彼女の死はエカリルと他のキャラクターに大きな影響を与えています。声優は倉田雅世が担当し、その声がオノミルのキャラクターを哀愁漂うものにしています。

アザナエル

ノヴァールの乗員で、神隠島事件で死んだオノミルの恋人です。オノミルの死の責任をエカリルにあると思っており、その復讐心が物語の展開に影響を与えます。声優は折笠愛が担当し、その声の力強さがアザナエルのキャラクターを引き立てています。

メインロボ・アイテム

本作のメインロボは戦艦BLUEで、モノセックスの星から地球に侵入した地球調査艦隊五番艦です。エカリルが艦長、ツバエルがオペレータを務めており、物語の重要な舞台となります。戦艦BLUEのデザインは竹内敦志が担当し、その美しいデザインが作品の雰囲気を高めています。

サブタイトル

各話のサブタイトルは花の名前を基にしており、それぞれのエピソードのテーマを象徴しています。以下に全13話のサブタイトルを紹介します。

#1 Hydrangea -水の入れ物- (2007/10/02)
#2 Lavandula -疑念- (2007/10/09)
#3 Datura -偽りの魅力- (2007/10/16)
#4 Dahlia pinnata -不安- (2007/10/23)
#5 Garden verbena -親子の絆- (2007/10/30)
#6 Campanula -小さな瞳- (2007/11/06)
#7 Crinum -汚れない心- (2007/11/13)
#8 Hyoscyamus niger -打ち破る想い- (2007/11/20)
#9 Lagenaria siceraria -夜の想い出- (2007/11/27)
#10 Cirsium -復讐- (2007/12/04)
#11 Thoroughwort -あの日の記憶- (2007/12/11)
#12 Cosmos -美しい調和- (2007/12/18)
#13 Rosmarinus -海の雫- (2007/12/25)

主題歌・楽曲

本作の主題歌は、OPが「BLUE」、EDが「蕾 -blue dreams-」で、どちらもSuaraが歌っています。OP「BLUE」は大倉雅彦が作詞、Claraが作曲、藤間仁（Elements Garden）が編曲を担当し、力強いメロディと歌詞が作品のテーマを引き立てています。ED「蕾 -blue dreams-」はBee'が作詞、衣笠道雄が作曲、藤田淳平（Elements Garden）が編曲を担当し、優しいメロディと歌詞が物語の感動を深めています。

制作スタッフ

『BLUE DROP～天使達の戯曲～』の制作スタッフは、原作、キャラクター原案、デザインワークを吉富昭仁が担当し、監督、原案を大倉雅彦が務めています。副監督は友田政晴、シリーズ構成は高橋ナツコ、キャラクターデザインと総作画監督は竹田逸子、メカニックデザインは米村孝一郎、戦艦BLUEデザインは竹内敦志、2Dグラフィティックスデザインは山田可奈子、3DモデリングはGONZO、3Dディレクターは白井宏旨（GONZO）、美術監督は野村正信、色彩設計は海鋒重信、撮影監督は和田尚之、編集は重村建吾、音響監督は鶴岡陽太、音楽はTHE金鶴、プロデューサーは岩瀬繁功、中村伸一、山崎史紀、堀圭輔、大橋豊、アニメーションプロデューサーは曽根孝治、アニメーション制作はビースタックと旭プロダクション、製作はPROJECT BD（キングレコード、ポニーキャニオン、ショウゲート、メモリーテック、ビースタック）が担当しています。

放送情報

『BLUE DROP～天使達の戯曲～』は、2007年10月2日から12月25日まで以下の放送局で放送されました。

KBS京都：2007年10月2日～2007年12月25日（1回～13回）毎週火曜 26:00～26:30
チバテレビ：2007年10月2日～2007年12月25日（1回～13回）毎週火曜 26:30～27:00
三重テレビ：2007年10月2日～2007年12月25日（1回～13回）毎週火曜 26:55～27:25
テレ玉：2007年10月4日～2007年12月27日（1回～13回）毎週木曜 25:00～25:30
TOKYO MX：2007年10月5日～2007年12月28日（1回～13回）毎週金曜 26:30～27:00
tvk：2007年10月5日～2007年12月28日（1回～13回）毎週金曜 27:15～27:45
テレビ和歌山：2007年10月7日～2007年12月30日（1回～13回）毎週日曜 25:10～25:40

評測

『BLUE DROP～天使達の戯曲～』は、少女たちの出会いと地球崩壊の危機を背景に、同性間の愛憎を繊細に描いた作品です。物語の中心となる若竹マリとエカリルの関係性は、時には反発しながらも徐々に心を通わせていく様子がリアルに描かれており、視聴者に深い感動を与えます。また、各キャラクターの個性と背景が丁寧に描かれており、物語全体の深みを増しています。

アニメーションのクオリティも高く、キャラクターデザインや背景美術が美しく、視覚的な魅力も十分です。特に戦艦BLUEのデザインは、作品の雰囲気を高める重要な要素となっています。音楽も作品のテーマを引き立てており、OPとEDの歌唱を担当したSuaraの歌声が物語の感動を深めています。

しかし、一部の視聴者からは、物語の展開がやや複雑で理解しづらいという意見もあります。また、13話という短い話数の中で、すべてのキャラクターのストーリーを十分に描き切ることが難しかったという指摘もあります。それでも、全体として見れば、少女たちの成長と心の交流を描いた感動的な作品であり、多くの視聴者に愛される作品となっています。