『キディ・グレイド』レビュー：魅力的なキャラクターと深遠なストーリーの融合

キディ・グレイド：未来への旅路と少女たちの戦い

2002年から2003年にかけて放送されたTVアニメシリーズ「キディ・グレイド」は、ワープ航法の技術が確立し、人類が地球を離れて銀河へと居住を移した未来を舞台に、特殊な能力を持つ少女たちの活躍を描いたSFアクションストーリーです。監督は「機動戦艦ナデシコ」「ゲートキーパーズ」のキャラクターデザイナーとして知られる後藤圭二氏で、彼の初監督作品としても注目を集めました。この作品は、銀河通商関税機構（GOTT）の非公開活動執行者として活動するエクレールとリュミエールという二人の少女を中心に、惑星国家間の経済問題や紛争を解決していく姿を描いています。

ストーリー

ワープ航法の技術が確立し、人類は地球を離れ銀河へと居住を移しました。多くの惑星国家が誕生したことで、様々な摩擦や軋轢が生じ、対立と抗争の時代が幕を開けました。数次に渡る惑星間戦争の末、ひとつの組織が成立されました。それが『宇宙惑星連合』です。この成立によって、人々は平和と安全の維持、そして人類のさらなる繁栄を目指しました。宇宙惑星連合成立以前の武力戦争の多くは、地球時代のそれと大きくは違わず、やはり、国家間の経済問題に端を発するものが顕著でした。この事から、宇宙惑星連合は成立と同時に、その組織の中に惑星国家群相互の関税と貿易を監視し、取り締まる実行機関として、GOTT（Galactic Organization of Trade and Tariffs＝銀河通商関税機構）を設立しました。大規模紛争の火種を未然に防ぐべく活動を開始させたのです。

キャラクター

主人公のエクレールは、16歳の少女で、GOTT受付嬢を勤めていますが、本来の姿はESメンバーのひとりで、特殊能力は≪パワー≫です。パートナーはリュミエールで、メンバー内ではCクラスに位置し、地位・能力とも最も低いです。人間離れしたパワーとスピードを兼ね備えており、力技が得意で、武器はルージュという刃のついた鞭を使います。基本的に明るい性格ですが、大人びた醒めた態度をとることもしばしばで、それも少女っぽい自分をごまかすためらしいです。好きな食べ物はニンジン、セロリで、好きな言葉は「ケ・セラ・セィラ」です。

リュミエールは10歳の少女で、最年少でGOTT受付嬢を勤める優秀な少女です。本来の姿はESメンバーのひとりで、特殊能力≪パペット≫で、さまざまな電子頭脳やロボットを操る能力を持ちます。パートナーはエクレールで、メンバー内ではCクラスに位置し、地位・能力とも最も低いです。『葡萄ジュース』の入ったボトルを常に携帯し、時折飲んでいます。ジュースのはずですが、なぜか飲むと頬が染まる。また、手袋はシャワーの際にも外さない徹底ぶりです。「女の子はエレガントに」がモットーで、立ち振る舞いも上品で、年齢に似合わず、しっかり者です。好きな食べ物はフルーツ、チーズ類で、好きな言葉は「継続」です。

その他にも、シザーリオ、ヴァイオラ、アンオウ、エイオウ、トゥイードゥルディ、トゥイードゥルダム、アールヴ、ドヴェルグ、デクステラ、シニストラ、エクリプス、メルクルディ、アームブラスト、シュバリエ、ヴァンドルディ、リッキィ、ボニータなど、個性豊かなキャラクターが多数登場します。それぞれが独自の特殊能力を持ち、物語を盛り上げます。

制作スタッフ

原作はgimik、GONZOで、監督は後藤圭二、シリーズ構成と脚本はきむらひでふみ、キャラクターデザインは門之園恵美、制作はGONZO DIGIMATION、製作はGOTTです。企画は安田猛、井上伸一郎、酒匂暢彦、福井政文、村濱章司、連載は月刊「少年エース」、月刊「ドラゴンジュニア」、角川スニーカー文庫刊、メカデザインは海老川兼武、川原智弘、音響監督は鶴岡陽太、音響効果は山田稔、選曲は吉田知弘、録音は矢野さとし、録音助手は椎原操志、編集は重村建吾、音響制作は楽音舎、音響制作担当は杉山好美（楽音舎）、音楽は浜口史郎、音楽プロデューサーは佐々木史郎（ビクターエンタテインメント）、企画プロデュースは伊藤敦、プロデューサーは蜂屋誠一、畑中利雄、武智恒雄、石川真一郎、春名剛生（フジテレビ）、制作管理は梶田浩司（GONZO DIGIMATION）、制作プロデューサーは今本尚志（GONZO DIGIMATION）です。

メインロボ・アイテム

GOTT（銀河通商関税機構）は、銀河宇宙に広がる人類の惑星国家群相互の関税と貿易を監視し、それら相互の不公正や諸問題を取り締まる、宇宙惑星連合の実行機関です。GOTTは、宇宙惑星連合経済相、または連合政府評議員が兼任する長官の下に総監がおかれ、以下にGOTT本局、各支部が連なっています。本局内では、局長の下に『SOメンバー』と呼ばれる各セクションと、『Cフォース』と呼ばれる実働部隊が構成されています。経済問題や経済紛争が発生すると、これらの問題解決にGOTTが介入し、複雑な事件においては、本局局長直属の極秘スタッフが活動することもあります。

サブタイトル

各話のサブタイトルは以下の通りです。

• 第1話／Depth/Space-深淵-
• 第2話／Tight/Bind-重力-
• 第3話／Prisoner/Escort-虜囚-
• 第4話／High/Speed-超速-
• 第5話／Day/Off-休日-
• 第6話／Twin/Star-双璧-
• 第7話／Trial/Child-試練-
• 第8話／Forbidden/Instrument-禁断-
• 第9話／Mirage/Snare-罠網-
• 第10話／Rebirth/Slave-再生-
• 第11話／Set/Free-蝉脱-
• 第12話／Frozen/Life-死生-
• 第13話／Conflict/Destiny-衝突-
• 第14話／Steel/Heart-鋼鉄-
• 第15話／Break/Down-崩壊-
• 第16話／Look/Back-追憶-
• 第17話／Phantasm/Reborn-新生-
• 第18話／Unmasked/Face-面貌-
• 第19話／Take/Revenge-復讐-
• 第20話／Lost/Days-喪失-
• 第21話／Nouvlesse/Ark-方舟-
• 第22話／Demolition/Titan-巨神-
• 第23話／Annihilation/Zero-還元-
• 第24話／As Time Goes By-終焉-

関連作品

「キディ・グレイド」には以下の関連作品があります。

• 劇場版　KIDDY GRADE -IGNITION-　覚醒篇
• 劇場版　KIDDY GRADE -MAELSTROM-　氾濫篇
• 劇場版　KIDDY GRADE -TRUTH DAWN-　黎明篇
• キディ・ガーランド

主題歌・楽曲

オープニングテーマは「未来の記憶」で、作詞は渡邊美佳、作曲・編曲は岩崎文紀、歌はYUKAです。エンディングテーマは「FUTURE」で、作詞・作曲は森岡純、編曲は須貝幸生とLittle Viking、歌はLittle Vikingです。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。

評価と推薦

「キディ・グレイド」は、後藤圭二監督の初監督作品として、そのビジュアル面での完成度の高さが評価されました。キャラクターデザインやメカデザインが非常に洗練されており、視覚的な魅力が大きい作品です。また、ストーリーも複雑な設定と展開が魅力で、視聴者を引き込む力があります。特に、エクレールとリュミエールの成長や友情、そして彼女たちが直面する困難とそれを乗り越える姿勢は、多くの視聴者に感動を与えました。

この作品は、SFアクションが好きな人だけでなく、キャラクターの成長や人間ドラマに興味がある人にもおすすめです。特に、後藤圭二監督のファンや、GONZO制作のアニメが好きな人には必見の作品と言えるでしょう。また、関連作品も充実しているため、シリーズ全体を楽しむことができます。ぜひ一度、視聴してみてください。