∀ガンダム 地球光 - 感動の物語と壮大な世界観を徹底評価

∀ガンダム 地球光 - ターンエーガンダム ワン チキュウコウ

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

2002年02月09日 ～ 0000年01月01日

■配給会社

・配給／松竹、・映像メディア発売元／バンダイビジュアル

■原作

・原作／矢立肇、富野由悠季

■監督

・総監督／富野由悠季

■制作

・制作／サンライズ

■著作

© 創通・サンライズ

■ストーリー

正歴2343年。月の民‘ムーンレィス”は地球帰還作戦を前にした環境適応テストのため、ロランをはじめとする３人の少年少女を地球に送り込んだ。ロランはハイム家の運転手として働きながら地球の暮らしにとけ込み、ハイム家の次女ソシエとともに成人式の儀式に参加する。だが、そんなロランの平穏な生活も、月の軍隊‘ディアナ・カウンター”が地球に降下したことにより一変してしまった。ディアナ・カウンターの襲撃に反応して機械人形ホワイトドール（∀ガンダム）が長い眠りから目覚め、ロランは地球側の人間としてホワイトドールに乗ることとなる。圧倒的な科学力と軍事力を背景に入植を進めるディアナ・カウンターに対し、イングレッサ領主の孫グエンは、ロランのホワイトドールを切り札に有利な交渉を進めようと画策する。地球人とムーンレィスの共存を願うロランであったが、地球と月のパワーバランスを取るため、同胞であるディアナ・カウンターと戦うのだった。

■キャスト

・ロラン／朴 璐美
・キエル＆ディアナ／高橋理恵子
・ソシエ／村田秋乃
・グエン／青羽 剛
・キース／福山 潤
・フラン／渡辺久美子
・ハリー／稲田 徹
・フィル／小山剛志
・ギンガナム／子安武人
・アグリッパ／石丸博也

■メインスタッフ

・総監督／富野由悠季
・キャラ原案／安田朗
・キャラデザイン／菱沼義仁
・メカデザイン／大河原邦男、シド・ミード、重田敦司、沙倉拓実
・音楽／菅野よう子
・制作／サンライズ

■メインキャラクタ

・ロラン・セアック
所属：ムーンレィス（地球に帰化、イングレッサ・ミリシャ）17歳。ムーンレィスの少年。ターンエーのパイロットである。正暦2328年11月2日生。月のメイザム地区出身で運河人と呼ばれる下層階級の生まれである。 中学卒業後、15歳のときにキース、フランとともに地球帰還の先遣調査員として6機のフラットの2番機で 地球の北アメリア大陸へ降下した。川で溺れたところをハイム家のキエルとシソエの姉妹に救われ、使用人として雇われる。月の女王であるディアナと、うりふたつのキエルの二人に憧れている。戦いを好まない穏和な性格で、ムーンレィスの平和な帰還を望んでいた。アーク山での成人式の夜、ホワイトドールの石像の中から現れたターンエーに搭乗してしまい、グエンの策で、女性パイロット、ローラ・ローラとして望まぬ戦いに参加することになる。
・キエル・ハイム
所属：地球人。17歳。イングレッサ領ビシニティで鉱山を経営するハイム家の長女。ディアナと瓜二つの容姿をしている。ノックスに下宿し大学で勉強をしていたが、これからは実社会で経験を積む時代であるという上昇指向を持っており、ディアナ・カウンター襲撃のどさくさの中でボストニア城においてグエンの補佐を務めることになる。しかし、ディアナの悪戯心によってキエルとディアナは入れ替わってしまう。
・ソシエ・ハイム
所属：地球人（イングレッサ・ミリシャ）イングレッサ領ビシニティで鉱山を経営するハイム家の次女。気が強くおてんばで、自分勝手なところもあるがかわいらしい少女。ミリシャに参加し、機械人形のパイロットとしてカプルに搭乗。ターンエーにも搭乗する事もある。戦争による父親や婚約者の死を経験し、一時は復讐を目的とするが、異文化との接触、黒歴史の真実などを通して成長する。
・グエン・サード・ラインフォ－ド
所属：地球人（イングレッサ・ミリシャの中心人物）イングレッサ領主メッサーの孫。19歳にしてイングレッサ・ミリシャの中心人物となった。月の技術で地球に産業革命をもたらそうとしており、月との交渉や、その技術の応用には熱心であった。ミリシャとディアナ・カウンターの開戦によりノックスが崩壊した後はルジャーナに身を寄せ再起を目論む。ルジャーナ・ミリシャと合流後は、発掘された戦艦ウィルゲムで月へ向かう。
・ディアナ・ソレル
所属：ムーンレィス（月の女王）思慮深く聡明な月の女王。キエルと瓜二つの容姿を持つ。ムーンレィスの平和な地球帰還を願ってディアナ・カウンターを率い、旗艦ソレイユで地球へ降下し、地球の領主たちと交渉を始める。ムーンレィスの宿命として人工冬眠を繰り返しており、実年齢は不明。約100年前に地球に降り、初代ウィル・ゲイムと恋に落ちたが、振り切って月へ戻る。その話は、おとぎ話「羽衣の船ジャンダルム」として地球に言い伝えられていた。ソレル家はアステロイド・コロニー「ミスルトゥ」にて、宇宙環境においても育つ植物の品種改良に成功し名声を得た家系である。以来、内政担当のメンテナー家、軍事担当のギンガナム家と共同して月の施政を行ってきた。瓜二つの姿をしたキエルと度々入れ替わり、キエルとして振る舞ううちに、アグリッパの裏切りに気づき月へ戻ることを決意する。
・ハリー・オード
所属：ムーンレィス（ディアナ親衛隊隊長）ディアナ親衛隊隊長で階級は中尉（後に大尉に昇進）。金色のMS・スモーを駆る名パイロット。赤いサングラスが特徴。戦術家で、常に冷静な判断を下す理知的な人物。女王ディアナに心酔しており、絶対の忠誠を誓っている。ディアナと入れ替わったキエルを守り、行動をともにするうち心を通わせるようになる。月の低層階級の出身で、ギンガナムに仕えていたこともある。
・フィル・アッカマン
所属：ムーンレィス（ディアナ・カウンター）25歳。ディアナ・カウンターの大尉（後に少佐に昇進）。第一次帰還船団の現場指揮官。強硬派で軍人肌。部下のポゥ・エイジを可愛がっている。穏健派であるディアナに反目し造反するが、ディアナ再降下後は再びその配下につき忠誠を誓った。
・ギム・ギンガナム
所属：ムーンレィス（ギンガナム軍大将）ムーンレィスの武人。アグリッパのメンテナー家と共に、ソレル家を支える家柄で、軍事を担当する一門。ギンガナム家は2500年以上もの間、軍事演習を重ねており、その勢力はディアナ・カウンターを上回ると推測される。戦いこそが自分の存在意義であると言い、自らMS・ターンエックスに搭乗し戦う危険な男。当初はアグリッパと手を組みディアナを裏切るが、アグリッパ亡き後もグエンと手を組んで地球へ侵攻する。
・アグリッパ・メンテナー
ムーンレィス（メンテナー家）月の首都ゲンガナムで、地球に降下したディアナの代わりに月の執務をしてきた冬眠システムの管理人。月からの増援部隊を送る人物としてコレンの口から出た人物でもある。メンテナー家はギンガナム家と共にソレル家を支える立場であり、主に内政を担当する。アグリッパは穏健派として知られていたが、月社会の安穏と維持のため、地球人との接触により人々の心に闘争本能が芽生えるのを恐れ、ディアナ暗殺を企てた。
・フラン・ドール
所属：ムーンレィス（地球に帰化）17歳。ムーンレィスの少女。15歳のとき、ロラン、キースとともに地球帰還の先遣調査員として降下した。ノックスにある新聞社「ノックス・クロニクル」に印刷工として入り、カメラマンとして働くようになる。
・キース・レジェ
所属：ムーンレィス（地球に帰化）ムーンレィスの少年。17歳。15歳のとき、ロランやフランとともに地球帰還の先遣調査員として地球へ降下。イングレッサ領の首都ノックスのパン屋「ドンキーベーカリー」で働き、親方の娘ベルレーヌを愛するようになる。ディアナ・カウンターとの戦いの中でパン工場の経営を開始。地球人とムーンレィスに分け隔てなくパンを売ることで中立地帯をつくりあげていった。

■関連作品

・[TVA] 99.04.09-00.04.14 ∀ガンダム (全50話)
・[MVA] 02.02.10 ∀ガンダム　II月光蝶

■評論

『∀ガンダム 地球光 - ターンエーガンダム ワン チキュウコウ』は、ガンダムシリーズの中でも特に独特な世界観とストーリーを持つ作品であり、富野由悠季監督の創造性と哲学が色濃く反映されています。この映画は、テレビシリーズ『∀ガンダム』の物語をさらに深化させ、地球と月の間の緊張と対立を描き出しています。以下では、この作品の魅力と評価について詳しく述べていきます。

ストーリーとテーマ

『∀ガンダム 地球光』は、地球と月の間の対立と共存をテーマにしています。ムーンレィスと地球人の間で生じる文化的な衝突や、戦争の悲惨さ、そして平和への願いが描かれています。特に、ロラン・セアックのキャラクターを通じて、戦争を望まない一人の少年の視点から物語が進むことで、視聴者は深い共感を覚えます。また、ディアナ・ソレルとキエル・ハイムの入れ替わりという設定は、人間関係の複雑さとアイデンティティの問題を象徴的に表現しています。

キャラクター

この作品のキャラクターはそれぞれが個性的で、深い背景を持っています。ロラン・セアックは、平和を願う純粋な少年でありながら、戦いに巻き込まれていく姿が感動的です。ソシエ・ハイムの成長物語も見逃せません。彼女は戦争の犠牲者でありながら、復讐から共存への道を歩む姿が描かれています。グエン・サード・ラインフォードの野心と戦略、ディアナ・ソレルの思慮深さとリーダーシップも物語を豊かにしています。また、ハリー・オードやフィル・アッカマンのキャラクターも、ディアナ・カウンターの内部の対立を描く上で重要な役割を果たしています。

ビジュアルとメカデザイン

『∀ガンダム 地球光』のビジュアルは、シド・ミードや大河原邦男といった名だたるデザイナーの手によって描かれています。特に、∀ガンダム（ホワイトドール）のデザインは、美しさと力強さを兼ね備えたものであり、視覚的なインパクトを与えます。また、月の技術と地球の文化が融合した世界観は、独特の雰囲気を醸し出しています。メカデザインだけでなく、背景やキャラクターの衣装も細部までこだわった作りが見られます。

音楽

菅野よう子の音楽は、この作品の雰囲気をさらに引き立てています。劇的なシーンでは緊張感を高め、感動的なシーンでは視聴者の心を揺さぶるような旋律が流れます。特に、戦闘シーンでのBGMは、視覚的な迫力と相まって、視聴者を物語の世界に引き込む力があります。

監督の哲学

富野由悠季監督の哲学は、この作品全体に反映されています。戦争の無意味さと平和への願い、そして人間の尊厳を描くことで、視聴者に深いメッセージを伝えています。また、過去のガンダムシリーズとの繋がりを示唆する「黒歴史」の設定は、ファンにとって興味深い要素となっています。富野監督の作品は、単なるエンターテイメントだけでなく、社会的な問題提起を含んでいることが多く、この作品もその一つです。

■推薦

『∀ガンダム 地球光 - ターンエーガンダム ワン チキュウコウ』は、ガンダムシリーズのファンだけでなく、深いストーリーとキャラクターに惹かれる全ての視聴者におすすめです。特に、戦争と平和、そして人間の尊厳について考えさせられる作品を求めている方には必見です。また、美しいビジュアルと音楽も楽しめるため、視覚的なエンターテイメントを求める方にもおすすめです。この作品を通じて、富野由悠季監督の世界観と哲学に触れてみてください。

■関連情報

この作品をさらに楽しむためには、テレビシリーズ『∀ガンダム』を見ることをおすすめします。また、続編の映画『∀ガンダム II 月光蝶』も合わせて鑑賞することで、物語の全体像をより深く理解することができます。さらに、ガンダムシリーズの他の作品や、富野由悠季監督の他の作品にも興味がある方は、それらの作品もチェックしてみてください。ガンダムシリーズのファンコミュニティやオンラインでのディスカッションにも参加することで、より深い理解と楽しみを得ることができるでしょう。