クジラの跳躍 Glassy Ocean - 美しい海の感動と深みを探るレビュー

クジラの跳躍 Glassy Ocean - クジラノチョウヤク グラッシーオーシャン

■公開メディア

劇場

■原作メディア

絵本

■公開日

1998年11月14日 ～ 1998年11月28日

■配給会社

メディア・ボックス

■映倫番号

26447

■分数

23分

■話数

1話

■原作

たむらしげる

■監督

たむらしげる

■制作

愛があれば大丈夫

■著作

©1998 たむらしげる／バンダイビジュアル

■ストーリー

ガラスの海に住む老人は、ある日クジラの跳躍に遭遇する。時間速度が異なるこのエリアでは、しぶきは美しいガラス玉となり、クジラの跳躍は空中に静止したかのように見える。半日かけたクジラの跳躍は、集まった見物人たちに、失われた波の音や安らぎの星の旋律を思い出させる。

そして、老人にも忘れていた記憶が甦り……。

■解説

美しくも温かみのあるイラストレーションと滑らかな３ＤＣＧが溶け合う誰も見たことがないガラスの映像詩…
世界中にファンを持つ、映像作家・たむらしげるのフルＣＧ作品。
「　どこまでも透き通るエメラルドグリーン…　夢で見た海の色だ…　」
☆平成１０年度文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門大賞受賞

■キャスト

・ナレーション／永瀬正敏
・夢を見た男／利重 剛
・少年／小笠原健人
・画家のＲ／三谷 昇
・老人／永井一郎

■メインスタッフ

・監督、原作、脚本、イラストレーション／たむらしげる（原作本「クジラの跳躍」メディアファクトリー刊）
・３Ｄビジュアルディレクション／加藤慎也
・プロデュース・ディレクション／潮永光生
・ＣＧアニメーション・エフェクト／森泉絵里、長鳶義道、古郡祥、長谷部哲也、林直樹
・音楽：手使海ユトロ
・アニメーションプロデューサー／上田明美、プロジェクトチーム サラ
・アニメーション／大島りえ、柏木響子、富田悦子
・サウンドデザイン／染谷和孝
・制作／愛があれば大丈夫

■関連作品

ア・ピース・オブ・ファンタスマゴリア
銀河の魚

■主題歌・楽曲

・IN
・期間／1
・ウォーター・ピープルの歌
・作詞／たむらしげる
・作曲／原マスミ
・編曲／清水一登
・歌／原マスミ

評論と推薦

「クジラの跳躍 Glassy Ocean」は、1998年に公開されたたむらしげる監督による短編アニメーション作品であり、その美しさと独特の世界観で多くの視聴者を魅了しました。この作品は、ガラスの海に住む老人がクジラの跳躍に遭遇するというシンプルなストーリーを通じて、時間の流れや記憶、そして自然の美しさを描いています。

まず、作品のビジュアル面について触れてみましょう。「クジラの跳躍 Glassy Ocean」は、美しくも温かみのあるイラストレーションと滑らかな3D CGが融合した映像詩です。ガラスの海という設定は、透明感と静寂を感じさせ、クジラの跳躍が空中に静止したかのように見えるシーンは、時間の流れが異なる世界を視覚的に表現しています。特に、クジラのしぶきが美しいガラス玉となるシーンは、視覚的なインパクトと共に、自然の美しさと儚さを象徴しています。

ストーリーについても、老人がクジラの跳躍を通じて忘れていた記憶を甦らせるという展開は、視聴者に深い感動を与えます。老人が見物人たちと共に失われた波の音や安らぎの星の旋律を思い出すシーンは、自然と人間の関係性、そして記憶の重要性を描いており、心に響くものがあります。また、ナレーションやキャストの演技も、作品の雰囲気を引き立てる重要な要素となっています。永瀬正敏さんのナレーションは、作品のテーマを深く理解させる一方で、永井一郎さん演じる老人の感情をリアルに伝えています。

音楽もまた、「クジラの跳躍 Glassy Ocean」の魅力を引き立てる重要な要素です。手使海ユトロさんの音楽は、ガラスの海の静寂とクジラの跳躍の壮大さを表現しており、視覚的な美しさと相まって作品の世界観を深化させています。また、主題歌「ウォーター・ピープルの歌」は、原マスミさんの歌声と共に、作品のテーマをさらに引き立てています。

「クジラの跳躍 Glassy Ocean」は、平成10年度文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門大賞を受賞しており、その芸術性と技術的な完成度が高く評価されています。たむらしげる監督の他の作品「ア・ピース・オブ・ファンタスマゴリア」や「銀河の魚」とも共通する幻想的な世界観は、視聴者に新たな視点を提供し、心を癒す力を持っています。

この作品を推薦する理由は、美しいビジュアルと深いテーマが融合した芸術性の高さにあります。自然の美しさと人間の記憶、そして時間の流れを描いたこの作品は、視聴者に感動と癒しを提供します。また、3D CGとイラストレーションの融合は、視覚的な新鮮さを感じさせ、映像表現の可能性を広げています。特に、自然や芸術に興味がある方、そして心を癒したいと感じている方には強く推薦します。

「クジラの跳躍 Glassy Ocean」は、短い時間の中に深いテーマと美しいビジュアルを詰め込んだ作品であり、何度見ても新たな発見があることでしょう。ぜひ、この作品を通じて、ガラスの海の静寂とクジラの跳躍の壮大さを感じてください。