アニメ「80日間世界一周」の魅力と評価：旅の冒険と感動を再評価

アニメ『80日間世界一周』の魅力と評価

■作品概要

『80日間世界一周』は、ジュール・ベルヌの名作小説を原作としたTVアニメシリーズで、1987年10月10日から1988年3月26日までテレビ朝日系で放送されました。全26話の予定でしたが、国内では22話が放送され、残りの4話は未放映となりました。放送時間は毎週土曜日の19時30分から20時までで、各話30分の構成です。このアニメは、スペインとの合作作品であり、キャラクターが擬人化された動物として描かれていることが特徴です。

■ストーリー

ロンドンに住む紳士、フォグ氏は紳士クラブで80日間で世界一周をすると宣言し、銀行家のサリバンに自分の財産の半分を賭けて旅立ちます。しかし、サリバンは悪人のトランスファーを使ってフォグ氏の行動を邪魔し、さらにフォグ氏は銀行強盗の犯人として追われる立場に追い込まれます。途中、インドで生贄になりかけたロミー姫を連れ、執事のリゴドンとチコと共に旅を続けるのです。フォグ氏の冒険は、様々な困難を乗り越えながらも、仲間たちとの絆を深めていく物語です。

■キャラクター

このアニメのキャラクターは全て動物として擬人化されています。主人公のウィリー・フォグはライオンで、銀河万丈が声を担当しています。執事のリゴドンは犬で、富山敬が声を担当。チコは猫で、野沢雅子が声を担当しています。ロミー姫はトラで、高橋美紀が声を担当。ディスク刑事はゴリラで、永井一郎が声を担当しています。その他にも、ブーリー助手（緒方賢一）、トランスファー（千葉繁）、サリバン頭取（玄田哲章）、ローアン警視（西村知道）、鉄道会社社長（塩屋浩三）、ラルフ記者（竜田直樹）など、個性豊かなキャラクターが登場します。

■制作スタッフ

監督は黒川文男、制作は日本アニメーションとテレビ朝日が担当しました。原作はジュール・ベルヌで、舞台はロンドン、パリ、エジプト、シンガポール、インドなど世界各地に及びます。音楽は菊池俊輔が担当し、キャラクターデザインは熊田勇、作画監督は香西隆男、本木久年、アベ正巳、石之博和が務めました。美術監督は川本征平、撮影監督は森田俊昭、録音監督は藤野貞義が担当しています。

■サブタイトル

テレビ朝日版のサブタイトルは以下の通りです。

1. なぞの大金持ち、大冒険の旅へ出発！
2. さらば、ロンドン、列車内の怪事件！
3. 花のパリは大騒動！？暴走馬車を止めろ
4. エジプト遺跡大冒険、神殿の黒い影は・・・？
5. フォグ氏が2人・・・踊る巨大シャチ！
6. フォグ氏逮捕される！ボンベイは大混乱
7. 大変だ！インド高原で路線が消えた？
8. 危機また危機！大ジャングル象旅行
9. 迫る狂暴部族！ロミー姫救出大作戦
10. びっくりぎょうてん、ロミー王女の過去！？
11. ボートは沈没か？裁判はカルカッタ！？
12. 愛のシンガポールから台風の海へ！
13. わな！ワナ！香港は危険な香り
14. 日本到着！横浜大サーカス入団騒動！？
15. アロハー！？ハワイアンラブ大事件
16. 助っ人参上！熱気球でメキシコ脱出！！
17. 生か死か？恐怖の大鉄橋崩壊！！
18. インディアンの襲撃！暴走パニック列車
19. 大混乱の大西洋、船の中には腹いただけ！？
20. 前代未聞！船を燃やして大航海？
21. もうダメか？10分遅れてロンドン到着！！
22. 80日か？81日か？ドンデン返しの大逆転

■主題歌・楽曲

オープニングテーマは『スカイウェイ』で、作詞は伊東アキラ、作曲は小林泉、編曲は安西史孝、歌は藩恵子が担当しています。エンディングテーマは『ふたりの時計』で、作詞は伊東アキラ、作曲は小林泉、編曲は安西史孝、歌は藩恵子が担当しています。どちらの曲もキャニオンレコードからリリースされました。

■作品の魅力

『80日間世界一周』は、ジュール・ベルヌの原作を基にした冒険物語でありながら、キャラクターが動物として擬人化されている点が大きな魅力です。この設定により、視聴者は新鮮な視点から物語を楽しむことができます。また、各エピソードごとに異なる国や文化が描かれており、世界各地の風景や習慣を学ぶことができる教育的な要素も含まれています。

ストーリーは、フォグ氏とその仲間たちが様々な困難を乗り越えていく過程が描かれており、冒険と友情のテーマが強調されています。特に、フォグ氏が銀行強盗の容疑者として追われる展開は、視聴者に緊張感を与え、物語に深みを加えています。また、ロミー姫の救出や各国の文化との触れ合いなど、多彩なエピソードが展開されることで、視聴者は飽きることなく物語に引き込まれます。

キャラクターの個性も魅力の一つです。フォグ氏の冷静さとリーダーシップ、リゴドンの忠誠心とユーモア、チコの好奇心と勇気、ロミー姫の優雅さと強さなど、それぞれのキャラクターが持つ魅力が物語を豊かにしています。また、悪役のトランスファーやサリバン頭取の存在も、物語に緊張感とドラマ性を加えています。

■評価と推薦

『80日間世界一周』は、ジュール・ベルヌの原作を忠実に再現しつつも、アニメならではの創造性とユーモアを加えた作品です。特に、キャラクターが動物として擬人化されている点は、子供から大人まで幅広い層に受け入れられる魅力があります。また、世界各地の文化や風景を描いたエピソードは、視聴者に新たな知識を提供し、教育的な価値も持っています。

音楽も作品の魅力を引き立てる重要な要素です。菊池俊輔の音楽は、冒険のスリルと感動を効果的に表現しており、視聴者の感情を揺さぶります。また、オープニングとエンディングのテーマ曲も印象的で、作品の雰囲気を盛り上げています。

この作品は、冒険好きな人やジュール・ベルヌのファンにはもちろん、家族で楽しむアニメとしてもおすすめです。特に、子供たちに世界の文化や歴史を教える機会としても活用できます。また、キャラクターの個性やストーリーの展開を楽しみたい人にも強く推薦します。