『シドニアの騎士』レビュー：壮大な宇宙戦と深遠な人間ドラマの融合

シドニアの騎士：宇宙の果てで紡がれる人類の希望と戦い

「シドニアの騎士」は、弐瓶勉による同名の漫画を原作としたTVアニメシリーズで、2014年4月11日から6月27日まで放送されました。ポリゴン・ピクチュアズによるCGアニメーションは、視覚的なインパクトとリアルな戦闘シーンで視聴者を引きつけ、物語の深みとキャラクターの成長を描き出すことに成功しています。この作品は、対話不能の異生物・奇居子（ガウナ）によって破壊された太陽系を舞台に、人類が巨大宇宙船シドニアで生き延びるための戦いと希望を描いています。

ストーリー

シドニアの騎士の物語は、奇居子によって太陽系が壊滅した後の世界を描いています。人類は小惑星を船体とした巨大宇宙船シドニアに乗り込み、繁殖しながら宇宙を旅する道を選びました。シドニア出航紀元1009年、最下層部でひっそりと育てられた少年・谷風長道（たにかぜながて）は、祖父の死をきっかけに街へ出ます。長道は人型巨大装甲・衛人（モリト）の操縦士訓練学校に入学し、そこで初めて祖父以外の人間と触れ合います。

長道の初めての友人となったのは、男でも女でもない人間・科戸瀬イザナ（しなとせいざな）。また、長道が初めて異性を意識する少女・星白閑（ほしじろしずか）や、長道の活躍に苛立ちを覚える少年・岐神海苔夫（くなとのりお）など、様々な訓練生たちと学校生活を送る中、長道たちに初任務が下されます。しかし、その任務中に奇居子が突如出現し、100年ぶりの脅威との遭遇に、人類と長道は何を選択するのか？人類の存亡をかけた戦いが始まります。

キャラクター

主人公の谷風長道は、衛人操縦士第628代訓練生で、「継衛」の専属操縦士です。シドニアの最下層で祖父の斎藤ヒロキと2人で暮らしてきたため、世間知らずで口数も少ないですが、ヒロキの死後、上層部の居住区へ忍び込み米を盗もうとしたところを捕らえられ、艦長の計らいにより衛人操縦士の訓練生となります。長道は他のシドニア船員と異なり光合成ができず、毎日食事が必要です。

科戸瀬イザナは、衛人操縦士第628代訓練生で、性別は男でも女でもない中性的なキャラクターです。地上に出た長道が初めて友人となった相手で、長道に対して好意的にふるまい、星白や纈に対して嫉妬することもしばしばです。

星白閑は、衛人操縦士第628代訓練生で、居住区に現れ米を盗んだ長道と遭遇した少女です。彼女は長道の初めての異性として意識される存在です。

岐神海苔夫は、衛人操縦士第628代訓練生で、実力は申し分なく、訓練生の中でもトップを誇ります。岐神開発の8代目となる御曹司であり、非常にプライドが高いです。長道やイザナを「亜人種」と差別し、英雄機である継衛の操縦士が長道であることを快く思っていません。

仄姉妹は、衛人操縦士第628代訓練生で、人口羊水と圧縮知育で急速に成長させた11体のクローン姉妹です。全員が同じ容姿をしており、見た目や知能はほかの訓練生と大きな違いはないものの、実年齢は5歳です。

緑川纈は、衛人操縦士第628代訓練生に途中編入し、シドニア最強と呼ばれる赤井班のメンバー・緑川の妹です。趣味は衛人のプラモ作りです。

山野栄子は、衛人操縦士第628代訓練生で、勉強家であり努力の末に訓練生となったことから、特殊な条件で選出された長道やイザナに対して反感を抱いています。

サマリ・イッタンは、衛人正規操縦士で、出撃のたびに班長を任されるリーダー格の女性操縦士です。能力も人望も申し分なく、男性操縦士からの人気が高いです。サマリとの光合成を狙う者も少なくないが、本人は意に介していない様子です。

勢威一郎は、指揮官補佐で、小林艦長のもと、衛人隊の指揮を執ります。小林艦長は、第二十八代シドニア艦長であり、シドニア軍総司令です。一般船員の前では能面のような仮面を被っており、冷静沈着でシドニアのためなら非情な処置を執ることもあります。趣味は様々な服装で一般人に紛れ込むことです。

落合は、艦長助手で、小林艦長の側近であり、長道の面倒を見る青年です。ヒ山ララァは、操縦士寮の寮母で、操縦士や訓練生たちの寮を取り仕切る熊型の寮母です。普段は温厚ですが、「ララァ」と呼ばれると怒りだし、野性がむき出しになります。

赤井持国、百瀬日向、青木柏手、緑川出雲は、衛人正規操縦士で、シドニア最強と呼ばれるチーム"赤井班"のメンバーです。赤井持国はリーダーで、緑川出雲は纈の兄です。

メインロボ・アイテム

シドニアの船員は遺伝子的に操作され、光合成が出来るようになっているため、食物の摂取が1週間に1度程度で済みます。また性別は男性、女性以外に、どちらの性別にも属さない中性が存在するほか、クローン人間も存在します。中性の者は、相手を選ぶとそれに合わせて身体が変化します。

奇居子は、人類を脅かす謎の外宇宙生命体で、本体と胞衣から構成されます。エナは本体が破壊されない限り、何度でも再生することができ、カビザシによって本体を貫く以外、有効な対抗法はありません。

衛人は、シドニアが保有する人型の主力兵器で、基本固定武装はエナのみにしか効果がなく、さらにエナの再生速度は攻撃量を上回るため、本体の破壊にはカビザシの使用が必須です。東亜重工と岐神開発による開発競争が行われ、現在は量産型衛人である岐神開発製の一八式が主軸として運用されています。

一七式衛人　白月改　継衛は、約100年前、撃墜王と呼ばれた英雄が乗っていた一世代前の衛人で、東亜重工製です。現在の操縦士は谷風長道で、操縦の自動化が進んでいる一八式に比べ、操縦者の技量がはっきり出ます。一八式とフォルムこそ似ているが、対ヘイグスビームコーティングなど高コストな装備を持ち、性能としては後継機の一八式よりも高いです。

カビザシは、奇居子の本体を破壊することができる唯一の武器で、形状は槍のようです。シドニアにわずか28本しかないため、限られた本数しか運用されません。装備した衛人が撃破され、危険な状況にあったとしても回収は必須任務となります。

安全帯は、ベルトと命綱、カラビナによる個人装備で、緊急加速や重力停止の発生時、船内各所にある安全手すりに引っかけ身体の安全を確保します。100年前の重力停止の際に多数の犠牲を出したため、シドニア船員すべてに着用が義務づけられています。

重質量砲は、シドニア船体側面に格納された、質量の大きな実弾を撃ち出す武器で、奇居子そのものを倒す力はなく、直撃させても奇居子を遠方へはじき飛ばすことしかできません。

掌位は、複数の衛人が手を握りあって移動することで、掌位した数によって加速力が高まります。一度も触れたことがない相手と掌位を組むと事故が起こるというジンクスがあるため、操縦士達は出撃前に掌位を真似た握手をする慣例があります。

放送情報

「シドニアの騎士」は、MBS、TBS、CBC、BS-TBS、AT-Xで放送されました。具体的な放送日時は以下の通りです。

• MBS：2014年4月10日、毎週木曜25時49分～
• TBS：2014年4月11日、毎週金曜25時55分～
• CBC：2014年4月11日、毎週金曜26時37分～
• BS-TBS：2014年4月12日、毎週土曜24時00分～
• AT-X：2014年4月22日、毎週火曜23時00分～

リピート放送も行われ、毎週木曜11時00分～、毎週土曜29時00分～、毎週月曜17時00分～で視聴可能でした。また、ネット配信も行われ、バンダイチャンネル、GyaO、楽天showtime、ビデオマーケット、ドコモ・アニメストア、ニコニコ生放送で視聴できました。

スタッフ

原作は弐瓶勉で、講談社「月刊アフタヌーン」に連載されました。監督は静野孔文、副監督は瀬下寛之、シリーズ構成と脚本は村井さだゆき、プロダクションデザイナーは田中直哉、造形監督は片塰満則、CGスーパーバイザーは上本雅之、バトルアニマティックスは大串映二、キャラクターデザインは森山佑樹、作品演出は安藤裕章、絵コンテ制作は森田宏幸、音響監督は岩浪美和、音楽は朝倉紀行が担当しました。製作は東亜重工動画制作局、アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズが行いました。著作権は©弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局です。

キャスト

谷風長道役は逢坂良太、星白閑役は洲崎綾、科戸瀬イザナ役は豊崎愛生、岐神海苔夫役は櫻井孝宏、緑川纈役は金元寿子、仄姉妹役は喜多村英梨、小林艦長役は大原さやか、勢威一郎役は坪井智浩、落合役は子安武人、ヒ山ララァ役は新井里美、サマリ・イッタン役は田中敦子、山野栄子役は森なな子、佐々木役は本田貴子、弦打役は鳥海浩輔、岐神海蘊役は佐倉綾音、丹波新輔役は阪脩、斎藤ヒロキ役は小山力也が担当しました。

主題歌・楽曲

オープニングテーマはangelaの「シドニア」、エンディングテーマは喜多村英梨の「掌 -show-」が使用されました。これらの楽曲は、物語の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。

サブタイトル

各話のサブタイトルは以下の通りです。

• 第1話：初陣
• 第2話：星空
• 第3話：栄光
• 第4話：選択
• 第5話：漂流
• 第6話：敬礼
• 第7話：覚悟
• 第8話：不死
• 第9話：眼差
• 第10話：決意
• 第11話：衝突
• 第12話：帰艦

評価と推薦

「シドニアの騎士」は、その独特な世界観と緻密なCGアニメーションで多くの視聴者を魅了しました。物語は人類の存亡をかけた戦いと、個々のキャラクターの成長を描き出し、視聴者に深い感動を与えます。特に、谷風長道の成長と彼を取り巻く人間関係の変化は、視聴者に強い印象を残します。また、奇居子との戦いや衛人の操縦シーンは、リアルな描写と緊張感あふれる演出で視聴者を引きつけます。

この作品は、SFアニメファンだけでなく、人間ドラマや成長物語を好む視聴者にもおすすめです。特に、ポリゴン・ピクチュアズのCGアニメーションに興味がある方には必見の作品です。さらに、原作漫画も非常に評価が高く、アニメを見た後に原作を読むことで、より深く物語を楽しむことができます。

「シドニアの騎士」は、宇宙の果てで人類が希望を見つける物語であり、その壮大なスケールと細部までこだわった描写は、視聴者に強い感動と興奮を与えることでしょう。ぜひ、この作品を視聴し、人類の未来と戦いを体感してください。