『パタリロ!』の魅力と評価：独特な世界観とユーモアの極致

パタリロ！ - 80年代のギャグアニメの金字塔

1982年から1983年にかけて放送されたTVアニメ「パタリロ！」は、魔夜峰央の同名漫画を原作とした作品であり、当時としてはタブーとされていた同性愛をテーマにしたギャグアニメとして話題を集めました。放送開始から40年以上が経過した今でも、その独特のユーモアとキャラクターたちの魅力は多くのファンに愛され続けています。この記事では、「パタリロ！」の魅力や背景、そしてその後の影響について詳しく解説します。

■作品概要

「パタリロ！」は、南海に浮かぶ小国マリネラの若き国王パタリロ8世を中心に展開する物語です。パタリロはゴキブリ並みの生命力と猫族の反射神経を持つ天才少年で、数々の特技と他人をおちょくる趣味を持つ傍若無人なキャラクターです。彼の周りには、英国情報部のバンコラン少佐や殺し屋のマライヒなど個性的なキャラクターが集まり、様々な事件や陰謀に立ち向かう姿が描かれています。

■放送情報

「パタリロ！」は1982年4月8日から1983年5月13日まで、CX系で放送されました。放送時間は当初毎週木曜日の19時から19時30分でしたが、1982年10月9日から毎週土曜日の19時30分から20時、1983年4月7日から毎週金曜日の19時から19時30分に変更されました。全49話の放送で、各話30分の構成となっています。

■制作スタッフ

原作は魔夜峰央で、掲載誌は「花とゆめ」（白泉社）です。企画は籏野義文と土屋登喜蔵、製作担当は佐々木章、チーフディレクターは西沢信孝が務めました。演出には笠井由勝、久岡敬史、芹川有吾などが参加し、総作画監督は鈴木欽一郎、チーフデザイナーは土田勇、音楽は青木望が担当しました。製作はCXと東映（動画）が行いました。

■主要キャラクター

パタリロ（パタリロ・ド・マリネール8世）
年齢は10歳で、マリネラの国王です。9歳で大学を卒業した超天才でありながら、人をおちょくることを趣味とする傍若無人な主人公です。数々の組織に命を狙われながらも、ギャグと暴走的な行動力で乗り切るゴキブリ並みのしぶとさを持っています。糖尿病や高血圧など成人病の塊でもあります。

バンコラン（ジャック・バルバロッサ・バンコラン）
英国情報部第6課「MI6」の情報部員で、殺人許可証を持つ少佐です。別名は「美少年キラー」で、彼を愛さない美少年はいないと言われています。寝るとき以外は手袋を外さないプロ中のプロで、女性には興味を示しませんが、唯一パタリロの母エトランジュにだけは心を動かされるようです。

マライヒ
国際ダイヤモンド輸出機構No.2ラーケン伯爵によって殺人技を鍛え上げられた殺し屋です。バンコラン暗殺に失敗し、彼の「強力な説得」によって殺し屋から足を洗います。その後、バンコランの愛人となり一緒にマンションに住むことになります。おしゃれで世話好きの美少年です。

■ストーリー

南海に浮かぶ美しい小国マリネラは、世界有数のダイヤモンド鉱山を持つ豊かな国です。その若き国王パタリロ8世は、ゴキブリ並みの強靭な生命力と猫族の反射神経を武器に、世界を股にかけ時空間を超越して活躍します。しかし、その富を狙うドス黒い陰謀が後を絶ちません。パタリロは18に及ぶ特技と他人をおちょくる趣味、9歳にして大学を卒業した天才的頭脳を駆使して、マリネラの少年国王として国を守っていきます。

彼のボディガードを務めるのは、英国情報部のバンコラン少佐です。美しい容姿に隠されたクールな思考と行動力、他の追従を許さない射撃術で危機一髪のパタリロを救います。おちょくり、おちょくられ、コケにし、コケにされ、バイタリティあふれたパタリロは、今日も世界の何処かを走り抜けて行くのです。「クック・ロビン音頭」の手拍子を軽く聞きながら。

■解説

原作の同名漫画「パタリロ！」が『花とゆめ』（白泉社）で連載を開始したのは1979年です。それから26年という年月が経過していますが、初めて「パタリロ！」を知る人もいるかもしれません。TVアニメとして放映開始されたのは1982年で、原作のイメージを忠実に再現することを目標に、毎週木曜日の午後7時、テレビではタブーとされていた同性愛の世界をベースとしたギャグアニメ「パタリロ！」は放映されることになりました。

人気を得たTVアニメ「パタリロ！」は約1年半続き、放映終了まもなく劇場版「スターダスト計画」も公開されました。脈絡無く度々登場する「クック・ロビン音頭」は、一度聞いて忘れる人はそういないでしょう。

■サブタイトル

「パタリロ！」の各話サブタイトルは以下の通りです。

• 第1話／美少年キラー(1982/4/8)
• 第2話／霧の夜に花が散る(1982/4/15)
• 第3話／墓に咲くバラ(1982/4/22)
• 第4話／パタリロ危うし！(1982/4/29)
• 第5話／死の天使マライヒ(1982/5/13)
• 第6話／悲しみのエトランジュ(1982/5/20)
• 第7話／カンフー大あばれ！(1982/5/27)
• 第8話／パタリロより愛をこめて(1982/6/3)
• 第9話／べらんめえ桜吹雪(1982/6/17)
• 第10話／マリネラに降る雪(1982/6/24)
• 第11話／マライヒ　マライヒ(1982/7/8)
• 第12話／マリネラの吸血鬼(1982/7/22)
• 第13話／アメリカ乗っ取り！(1982/7/29)
• 第14話／パタリロ７世と８世(1982/8/12)
• 第15話／プリンスマライヒ(1982/8/26)
• 第16話／ダイヤモンドの伝説(1982/9/2)
• 第17話／ねらわれた赤い人魚(1982/9/9)
• 第18話／輝けタマネギ！(1982/9/16)
• 第19話／月への旅立ち(1982/9/23)
• 第20話／バンコラン死す！(1982/9/30)
• 第21話／超ロボット・プラズマＸ(1982/10/9)
• 第22話／プラズマの恋(1982/10/16)
• 第23話／殺しのライセンス(1982/10/23)
• 第24話／旅立てジャック(1982/10/30)
• 第25話／プラズマ・パパ(1982/11/6)
• 第26話／パタリロ８世と１０世(1982/11/13)
• 第27話／おちょくり２４時間(1982/11/20)
• 第28話／忠誠の木ものがたり(1982/11/27)
• 第29話／帰ってきた暗殺者(1982/12/4)
• 第30話／愛しのプララ(1982/12/11)
• 第31話／ゲルマン城のとりこ(1982/12/18)
• 第32話／ニャンコはニャンコ(1982/12/25)
• 第33話／わたし待つわ(1983/1/8)
• 第34話／やっぱりプララ(1983/1/15)
• 第35話／雪がやんだら(1983/1/22)
• 第36話／パタリロ異変(1983/1/29)
• 第37話／ベルサイユのヒマワリ(1983/2/5)
• 第38話／アイ・ラブ・マライヒ(1983/2/12)
• 第39話／その男バンコラン(1983/2/19)
• 第40話／プララのお兄さん(1983/2/26)
• 第41話／マライヒの季節(1983/3/5)
• 第42話／パタリロ大集合(1983/3/12)
• 第43話／バンコランに死の愛を(1983/3/19)
• 第44話／ファントム(1983/3/26)
• 第45話／ああ、花の新学期(1983/4/8)
• 第46話／プララの初恋(1983/4/15)
• 第47話／さよならアフロ(1983/4/22)
• 第48話／霧のロンドンエアポート(1983/5/6)
• 第49話／霧のロンドンエアポート　後編(1983/5/13)

■関連作品

「パタリロ！」の関連作品として、以下のDVDが発売されています。

劇場版　パタリロ！　スターダスト計画　DVD
仕様：16:9、カラー / 本編48分 / 片面1層、日本語 モノラル、ニュープリント・コンポーネントマスター、3,990円（税込）
特典：映像特典（予定）：劇場予告・アートギャラリー
発売日：2005/12/9
発売元：東映ビデオ
販売元：東映

パタリロ！　DVD-BOX　Vol.1
仕様：4:3 スタンダード、カラー / 約600分 / 片面2層 / 4枚組（1～24話収録）、日本語 モノラル DBデジタル、BBBA-9088、24,990円（税込）
発売元：白泉社、東映アニメーション
販売元：ハピネット・ピクチャーズ

パタリロ！　DVD-BOX　Vol.2
仕様：4:3 スタンダード、カラー / 約625分 / 片面2層 / 5枚組（25～49話収録）、日本語 モノラル DBデジタル、BBBA-9089、26,040円（税込）
発売元：白泉社、東映アニメーション
販売元：ハピネット・ピクチャーズ

■主題歌・楽曲

「パタリロ！」の主題歌と楽曲は以下の通りです。

OP
・「パタリロ！」
・作詞／伊藤薫
・作曲／伊藤薫
・編曲／青木望
・うた／藤本房子

ED1
・「美しさは罪」
・作詞／伊藤薫
・作曲／伊藤薫
・編曲／中村暢之
・うた／竹田えり

ED2
・「クックロビン音頭」
・作詞／田中のぶ
・作曲／青木望
・編曲／青木望
・うた／スラップスティック、白石冬美

■評価と影響

「パタリロ！」は、80年代のギャグアニメとして非常に高い評価を受けました。特に、同性愛をテーマにしたギャグアニメという斬新な設定は、当時としては大胆な試みであり、多くの視聴者に衝撃を与えました。また、パタリロやバンコラン、マライヒといった個性的なキャラクターたちは、視聴者に強烈な印象を残し、多くのファンに愛されました。

放送終了後も、「パタリロ！」はその人気を保ち続け、劇場版「スターダスト計画」が公開されるなど、様々なメディアで展開されました。また、DVD-BOXの発売やイベントの開催など、ファンサービスも充実しており、現在でも多くのファンが存在しています。

「パタリロ！」の影響はアニメ業界にも及び、後のギャグアニメやBL（ボーイズラブ）作品に大きな影響を与えました。特に、個性的なキャラクターとユーモアあふれるストーリーは、多くのクリエイターにインスピレーションを与え、様々な作品が生み出されるきっかけとなりました。

■推薦ポイント

「パタリロ！」は、80年代のギャグアニメの金字塔であり、その独特のユーモアと個性的なキャラクターたちは、今でも多くのファンに愛されています。特に、パタリロのゴキブリ並みの生命力と猫族の反射神経、バンコランの美少年キラーとしての魅力、マライヒの殺し屋から愛人への変貌など、キャラクターたちの成長や関係性が描かれるストーリーは見応えがあります。また、「クック・ロビン音頭」などの楽曲も印象的で、一度聞いたら忘れられない魅力があります。

「パタリロ！」は、ギャグアニメやBL作品が好きな人にはもちろん、80年代のアニメ文化に興味がある人にもおすすめです。DVD-BOXを購入すれば、全49話を一気に楽しむことができますので、ぜひチェックしてみてください。