【医療Q&A】なぜ胸がバケツ型になったのか？

企画者: 中国医師会

査読者: 上海交通大学医学部第一人民病院主任医師 周 欣

通常の人の胸は平らで、つまり前後方向の直径が左右方向の直径よりも小さくなっています。特定の病気の影響により、胸の形が変化し、徐々にバケツのような形になります。専門用語では「樽胸」といいます。

樽状胸とは、胸郭の形態異常の一種で、胸郭の前後径が徐々に大きくなり、左右径とほぼ等しいか、それを超えることもあり、円筒形になる特徴があります。この形態異常は、慢性閉塞性肺疾患によって引き起こされる肺気腫などの慢性肺疾患によく伴い、肺胞壁が破壊され、肺胞が徐々に融合して大きな嚢胞を形成することがあります。それに応じて肺でのガス交換量も減少します。同時に、肺胞の弾性繊維が失われ、肺は徐々に弾力性を失い、効果的に収縮できなくなります。さらに、気道の炎症や粘液の増加により気道抵抗が増加し、呼吸がさらに困難になります。その結果、肺は過剰膨張の状態となり、この状態に適応するために胸郭は徐々に外側に膨張し、肋骨が外側に膨張し、胸骨が突き出るようになります。このようにして、胸郭の前後径は徐々に大きくなり、左右径に近づくか、またはそれを超えます。さらに、呼吸困難を克服するために、患者はより多くの補助呼吸筋（僧帽筋、胸鎖乳突筋など）を使用するようになります。これらの筋肉を過度に使用すると、胸の形も変化します。樽状胸の患者は主に、呼吸困難、咳、痰、胸の圧迫感、運動機能の低下、青みがかった皮膚と唇（低酸素症による）などの症状を経験します。治療には、薬物療法（呼吸を改善するための気管支拡張薬の使用など）、酸素吸入、呼吸リハビリテーション訓練などが含まれ、患者の生活の質を向上させます。