『であいもん』レビュー：美味しい和菓子と家族の絆を描く感動作

『であいもん』 - 心温まる和菓子の物語

2022年にTVアニメ化された『であいもん』は、浅野りんによる原作漫画を基にした作品です。2016年から『ヤングエース』で連載が始まり、珠玉のハートフルストーリーとして多くのファンを魅了してきました。このアニメは、夢を追って上京した主人公が、父の入院をきっかけに実家の和菓子屋を継ぐことになり、そこで出会う人々との絆を描いた物語です。京都を舞台に、和菓子を通じて人と人をつなぐ心温まるストーリーが展開されます。

放送情報

『であいもん』は2022年4月6日から6月22日まで全12話が放送されました。放送局はAT-XとTOKYO MXで、AT-Xでは毎週水曜23:30から、TOKYO MXでは毎週木曜1:35からの放送でした。また、KBS京都、サンテレビ、BS11でも放送され、それぞれの放送時間は以下の通りです。

KBS京都：毎週木曜1:35～2:05
サンテレビ：毎週金曜0:00～0:30
BS11：毎週金曜23:00～23:30

ネット配信も行われ、dアニメストアでは地上波先行で毎週木曜0:30から配信されました。また、ABEMA、niconico、GYAO!、ひかりTV、FOD、バンダイチャンネル、Hulu、TELASA、J:COMオンデマンド、みるプラス、Anime Times、Amazon、U-NEXTなどの見放題サイトでも配信されました。都度課金サイトとしては、Rakuten TV、DMM.com、music.jp、ビデオマーケット、HAPPY!動画、クランクイン!ビデオが利用可能でした。

ストーリー

主人公の納野和（いりのなごむ）は、ミュージシャンを夢見て上京します。しかし、父の入院を知らされ、実家の和菓子屋「緑松」を継ぐことを決意します。和が戻ると、店には跡継ぎ候補で看板娘の少女・雪平一果（ゆきひらいつか）が、納野家に居候しながら働いていました。和は一果の親代わりを任されることになりますが、一度は跡継ぎを断ったことを理由に冷たい態度をとる一果と働くうちに、彼女のある一面を知ることになります。京都を舞台に、人と人を和菓子が繋ぐ心温まる絆の物語が展開されます。

キャラクター

『であいもん』の主要キャラクターは以下の通りです。

納野和（いりのなごむ） - 声優：島﨑信長
ミュージシャンを夢見て上京するも、実家の緑松を継ぐことを決意。和菓子を愛でながら、見習いとして働く。ノリと勢いで乗り切るお調子者。
雪平一果（ゆきひらいつか） - 声優：結木梢
納野家に居候をする、緑松の看板娘。仕事ぶりから、和の父より正式な跡継ぎとして認められているほど。突如、戻ってきた和のことをライバル視する。
納野平伍（いりのへいご） - 声優：小山力也
和の父で緑松の主人。一果を跡継ぎとして見込んでおり、我が子のように可愛がっている。
納野富紀（いりのとみき） - 声優：大原さやか
和の母で緑松の女将。融通が利かない一果を案じ、和に親代わりを依頼する。
巽政（たつみまさし） - 声優：岩崎ひろし
ベテランの和菓子職人。緑松で長年働いており、和を『坊ちゃん』と呼ぶ。愛称は政さん。
お鶴さん - 声優：ゆきのさつき
緑松の従業員で、富紀と共に茶房を切り盛りする。
瀬戸咲季（せとさき） - 声優：永塚拓馬
緑松で修業する若い和菓子職人。実家の跡継ぎについて悩みを抱えている。
堀河美弦（ほりかわみつる） - 声優：鈴木みのり
緑松でアルバイトをする高校生。手先が器用で、両親に代わり弟たちの世話をしている。
松風佳乃子（まつかぜかのこ） - 声優：髙橋ミナミ
和が店を継ぐことがきっかけで別れた元恋人。会社を退職し、京都へやってきた。
私市緋色（きさいちひいろ） - 声優：早見沙織
製菓専門学校を卒業し、緑松へ修業にきた見習い職人。完璧主義。
雪平巴（ゆきひらともえ） - 声優：松岡禎丞
一果の父。ツテを頼って緑松にやってきたが、一果を置いて行方をくらます。

スタッフ

『であいもん』の制作スタッフは以下の通りです。

原作 - 浅野りん（『ヤングエース』連載/角川コミックス・エース刊）
監督 - 追崎史敏
シリーズ構成 - 吉田玲子
キャラクターデザイン、総作画監督 - 渋谷秀
プロップデザイン、和菓子作画 - 佐藤史暁
2D・衣装デザイン - 蓬田佑季
美術監督 - 空閑由美子（スタジオじゃっく）
色彩設計 - 中村千穂
CGディレクター - 山本祐希江（いなほ）
撮影監督 - 松本乃吾（いなほ）
編集 - 齋藤朱里（三嶋編集室）
音楽 - 高田漣
音楽制作 - フライングドッグ
音響監督 - 森下広人
アニメーション制作 - エンカレッジフィルムズ
製作 - 緑松

エピソード

『であいもん』の各エピソードのサブタイトルは以下の通りです。

第一話 - 和と一果（2022/04/06）
第二話 - 四葩に響く（2022/04/13）
第三話 - 夏宵囃子（2022/04/20）
第四話 - 風青し/暑気払い（2022/04/27）
第五話 - おしょらいさん（2022/05/04）
第六話 - 芋名月（2022/05/11）
第七話 - 秋色に舞う（2022/05/18）
第八話 - くり回顧（2022/05/25）
第九話 - 一陽来復（2022/06/01）
第十話 - 春待ち偲ぶ（2022/06/08）
第十一話 - よきかな（2022/06/15）
第十二話 - 春暁に鯛（2022/06/22）

主題歌・楽曲

『であいもん』の主題歌と挿入歌は以下の通りです。

OP1 - 菫
作詞：坂本真綾
作曲：岸田繁
編曲：岸田繁、扇谷研人
歌：坂本真綾
ED1 - ここにある約束
作詞：ayaho
作曲：ayaho
編曲：曽我淳一
歌：であいもん（ayaho、曽我淳一）
ED2 - オーランドー
作詞：高田漣
作曲：高田漣
編曲：高田漣
歌：納野和（島崎信長）
IN1 - 八重に咲く
作詞：つじあやの
作曲：つじあやの
編曲：高田漣
歌：堀河美弦（鈴木みのり）

評価と感想

『であいもん』は、和菓子という日本の伝統的な文化を背景に、人間関係の温かさや成長を描いた作品です。主人公の和が夢を諦め、実家の和菓子屋を継ぐ決意をするシーンから始まり、彼が一果や他のキャラクターたちと関わる中で成長していく姿が感動的です。特に、一果との関係性の変化は物語の中心であり、彼女の冷たい態度の裏にある真の感情が徐々に明らかになる過程が見事に描かれています。

アニメのビジュアル面でも、和菓子の美しさや京都の風情が細部まで丁寧に描かれており、視覚的な魅力も大きなポイントです。キャラクターデザインや背景美術のクオリティが高く、和菓子作りのシーンでは実際の職人技が再現されているため、見ていて飽きることがありません。また、音楽も高田漣による美しい旋律が物語を盛り上げ、特に主題歌や挿入歌が印象的です。

声優陣の演技も素晴らしく、特に島﨑信長が演じる和の軽快なトーンや、結木梢が演じる一果の複雑な感情の表現が見事です。サブキャラクターも個性豊かで、各々のエピソードが物語に深みを与えています。特に、堀河美弦や私市緋色のキャラクターが和の成長に大きな影響を与え、視聴者に感動を与えるシーンが多く見られます。