『地獄少女 三鼎』レビュー:深淵の恐怖と復讐の物語

『地獄少女 三鼎』レビュー:深淵の恐怖と復讐の物語

地獄少女 三鼎 - ジゴクショウジョミツガナエ - の全方位的評価と推薦

■公開メディア

TVアニメシリーズ

■原作メディア

小説

■放送期間

2008年10月04日 ~ 2009年04月04日
TOKYO MX 2008年10月4日~2009年4月4日(1回~26回)毎週土曜 17:00~17:30
毎日放送 2008年10月5日~2009年4月5日(1回~26回)毎週日曜 2:25~2:55(土曜深夜)
TVQ九州放送 2008年10月9日~2009年4月9日(1回~26回)毎週木曜 1:38~2:08(水曜深夜)
中部日本放送 2008年10月10日~2009年4月10日(1回~26回)毎週金曜 2:00~2:30(木曜深夜)
アニマックス 2008年10月22日~2009年4月22日(1回~26回)毎週水曜 18:30~19:00
テレ玉 2009年9月4日~2010年3月5日(1回~26回)毎週金曜 0:30~1:00(木曜深夜)

■放送局

UHF、アニマックス

■分数

30分

■話数

26話

■原作

地獄少女プロジェクト

■監督

わたなべひろし

■制作

・アニメーション制作/Studio DEEN
・製作/三鼎製作委員会(アニプレックス、TOKYO MX、わかさ生活、スタジオディーン)

■著作

©地獄少女プロジェクト/三鼎製作委員会

■ストーリー

安土桃山時代、その時代の村の風習により殺害され埋葬された少女がいる。名前はあい。自分の理不尽な人生を受け入れられず、現世へ舞い戻り修羅となって村を焼き尽くし「復讐」を果たす。その罪を償うため、あいの魂は罰としてひとつの使命を負う。それは地獄少女として人々の怨みを晴らす役割、永遠に続く怨みに復讐の手伝いをする責務を任されたのだ。

やがてあいは現世での地獄少女の役割を投げ出し、人間として再び殺害される選択をする。その事を認められてあいの魂は閻魔によって地獄に沈められそして静かに消えて行った。しかし……。

さまざまな都市伝説がある中、深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」というサイトがあるとの噂があった。そこに晴らせぬ恨みを書き込めば地獄少女に届いて自分の代わりに恨みを晴らしてくれるという物だった。それは都市伝説ではなく、真実。

地獄に消えていった筈の閻魔あいは普通の女子高生御影ゆずきに憑依し地獄少女として復活する。地獄少女は依頼者に問う。相手を地獄に堕とせば、自分も死後、地獄に堕ちる。それでも怨みを晴らしたいのかと。依頼者が契約を交わして地獄少女に渡された藁人形の紐を解く時、依頼者の胸には地獄行の烙印がされ、その契約は成約される。

人々の恨みを精査し、仕置きをするしもべは一目連、骨女、輪入道の三藁に新たに「山童(やまわろ)」も加わり全部で四藁。「…イッペン、死ンデミル?」この言葉を合図に異空間に小舟が現れ、あいを船頭に怨まれた者は地獄の川を墜ちてゆく。

あいは何故復活したのか。そして、何故、ゆずきを選んだのか。あいがゆずきに言う「私はあなたの中にいる…」という言葉の意味は……。

■解説

わたなべひろし氏の原作。2005年秋にTVアニメとして放送されて以来絶賛を浴び、少女コミック誌「なかよし」では連載が開始され、TVアニメは第2期「地獄少女二籠」へと続き、日本テレビでもドラマ化、第2期放送記念のとして「冥土カフェ」が出来るなど、その勢いは留まる所を知らない。

そして、2008年秋、この地獄少女が再びTVアニメとして復活する。第1期、第2期をベースに、第3期はごく普通の女子高生「御影ゆずき」に憑依をするという新コンセプトでのスタートを切る。御影ゆずきから閻魔あいへ「変身」を遂げる際の蝶へ羽化するような苦しみを伴うシーンは人生への苦悩そのものを表しているかのようで圧巻である。人の心に巣くう「怨念」 そして、その怨みを晴らすべく「復讐」するという今までにはないコンセプトと日本古来からの怪談を思わせる純和風の絵柄が見事にマッチした作品である。

人を呪わば穴二つ。閻魔あいは問うのである。「相手を地獄に堕とせばあなたも死後、地獄に行く事になるわ。それでも復讐するの?」と。さて、あなたならどうするだろうか。

■キャスト

・閻魔あい/能登麻美子
・一目連/松風雅也
・骨女/本田貴子
・輪入道/菅生隆之
・きくり/酒井香奈子
・御景ゆずき/佐藤聡美
・山童/椎名へきる
・ナレーション/YOU
・平石逸子/豊崎愛生
・丹下英人/石川英郎
・北山 明/笹川麗子
・山岡誠次/加瀬康之
・百田昌子/今井麻美
・森山ジュン/高垣彩陽
・湯川 猛/保志総一朗
・仁志田 晋/高橋広樹
・新山美和/小林沙苗
・片瀬利々香/矢作紗友里
・諸星綺羅/たかはし智秋
・芹沢夕菜/高本めぐみ
・犬尾篤志/水島大宙
・鷲巣貴輝/白石 稔
・初見みおい/後藤邑子
・新谷みちる/一龍斎貞友
・稲生 楓/ささきのぞみ
・市村和也/三瓶由布子
・斉藤幸広/川田紳司
・上坂六郎/千葉進歩
・浅羽須美/増田ゆき
・道生由比/升 望
・中山仁一/遠藤大輔
・三枝健吾/伊丸岡 篤
・越智浩人/野村勝人
・篠山 心/廣田詩夢
・乃村信夫/山口勝平
・真山 梓/柚木涼香
・高杉秋恵/沖 佳苗
・柏木秀美/戸松 遥
・都筑欣也/中井和哉
・篠原うさぎ/釘宮理恵
・篠原美知人/疋田高志
・名和章宏/杉田智和
・中島公司/金野 潤
・芦谷富士子/藤田淑子
・芦谷利三郎/大木民夫
・浜野知里子/悠木 碧
・志村 要/寿美菜子
・百鬼花緒里/大浦冬華
・黒塚雪奈/鍋井まき子
・桔梗信治/太田哲治
・溝呂木省吾/岸野一彦
・菊池海斗/大谷育江
・美園結香、純香/加藤夏希
・水原文男/阪口大助
・松田友秀/間島淳司

■メインスタッフ

・原案/わたなべひろし
・原作/地獄少女プロジェクト
・企画/夏目公一朗、本間雅之、角谷建耀知、長谷川洋
・シリーズ構成/金巻兼一
・キャラクターデザイン/岡真里子
・総作画監督/岡真里子、秋山由樹子
・美術監督/小木斉之
・色彩設計/松本真司
・撮影監督/下崎昭
・編集/松村正宏
・タイアップ協力/木村唯人
・プロデューサー/阿部愛、松木あい
・企画協力/丸山博雄、佐藤功、松本智
・プロップデザイン/岩畑剛一
・画素材提供/秋庭映美
・アニメーションツール/Animo
・ビデオ編集/東京現像所(岸亮二、山田敏之)
・音楽/高梨康治、水谷広実、藤澤健至
・音楽制作/ジャスト
・音楽監督/原田扶美子
・サウンドデザイン/山田稔(Ena)
・録音/はたしょうじ
・アフレコ演出/大森貴弘
・録音助手/加藤紀子
・録音スタジオ/スタジオT&T
・音響制作/ダックスプロダクション(平田哲、稲葉順一)
・ロゴデザイン/吉村明子
・宣伝/佐藤真紀、菅田肇、宮下雅樹、小谷佳代子、山下和子
・アシスタントプロデューサー/加藤久美子
・資料協力/河鍋暁斎記念美術館、国書刊行会
・協力/豊住政弘、藤澤博之、淵上敏寛、竹内そ乃、磯村花世、野口亜希子、植田益朗、越智武、 戸村朝子、都築理恵、本木円、内藤真希子、BIGLOBE
・制作担当/守屋竜史、山岡貴美子
・制作チーフ/山岡貴美子
・設定制作/株本毅
・監督/わたなべひろし
・アニメーション制作/Studio DEEN
・製作/三鼎製作委員会(アニプレックス、TOKYO MX、わかさ生活、スタジオディーン)

■メインキャラクタ

・閻魔あい
怨みの相手を地獄流しにする“地獄少女”。地獄に流れていったが、人の世界に戻ってくる。
・一目連
頭に隠れた目を持ち、どんな場所でものぞき見る事ができる。理科教師・石元蓮としてゆずきの学校にいる。(藁人形時:青)
・骨女
本来はガイコツの妖怪で、美女の姿をしている。色っぽいしぐさで男を誘惑するのが得意だが、サバサバした性格で、学校では体育教師・曽根アンナとして生徒達と接している。(藁人形時:赤)
・輪入道
本当は車輪の形をした妖怪で、空を駆けるあいの乗り物になる。学校では校務員として働いている。(藁人形時:黒)
・御景ゆずき
市立賽河原(さいがわら)第四中学校に通う3年生。ごく普通の少女だが、地獄通信と深い関わりをもつことになる。
・山童
新しく地獄少女に使える妖怪で、普段はおとなしい少年。素直な性格で、きくりと一緒に行動することが多い。(藁人形時:黄)
・きくり
多くの謎を持つ幼女。無邪気な性格で、あい達の前に現れては、おせっかいを焼いたり、悪戯したりする。
・高杉秋恵
ゆずきの親友。明るく活発でゆずきとは対照的な性格の持ち主。
・江上そら
ゆずきのクラスメート。通称アミーゴズ。
・尾藤 望
ゆずきのクラスメート。通称アミーゴズ。
・椎名珠代
ゆずきのクラスメート。通称アミーゴズ。

■サブタイトル

・第一話/奪われた少女(2008/10/04)
・第二話/籠ノ鳥(2008/10/11)
・第三話/腐った果実(2008/10/18)
・第四話/兄貴(2008/10/25)
・第五話/うつせみ(2008/11/01)
・第六話/わたしのセンセイ(2008/11/08)
・第七話/うそつき(2008/11/15)
・第八話/隣(2008/11/22)
・第九話/はぐれ稲荷(2008/11/29)
・第十話/鏡の中の金魚(2008/12/06)
・第十一話/滲んだ頁(2008/12/13)
・第十二話/真夏のグラフ(2008/12/20)
・第十三話/六文燈籠(2008/12/27)
・第十四話/怨みの街角(2009/01/10)
・第十五話/兎と亀(2009/01/17)
・第十六話/誘惑の罠(2009/01/24)
・第十七話/藁の中(2009/01/31)
・第十八話/スペシャルレディオ(2009/02/07)
・第十九話/雪月花(2009/02/14)
・第二十話/地獄博士 対 地獄少女(2009/02/21)
・第二十一話/うしろの正面(2009/02/28)
・第二十二話/華と月(2009/03/07)
・第二十三話/日暮れ坂(2009/03/14)
・第二十四話/蜉蝣(2009/03/21)
・第二十五話/ゆずき(2009/03/28)
・第二十六話/魂の軌跡(2009/04/04)

■関連作品

・地獄少女
・地獄少女 二籠
・地獄少女セレクション
・地獄少女 宵伽

■主題歌・楽曲

・OP1
・月華-tsukihana-
・作詞/北出菜奈
・作曲/Velvet romica
・編曲/根岸孝旨
・歌/北出菜奈

・ED1
・いちぬけ
・作詞/三重野瞳
・作曲/浅見昴生
・編曲/浅見昴生
・歌/能登麻美子

・IN1
・夏のエンジェル
・作詞/川崎ヒロユキ
・作曲/金巻兼一
・編曲/金巻兼一
・歌/森山ジュン(高垣彩陽)

・IN2
・ふたりの珊瑚礁
・作詞/川崎ヒロユキ
・作曲/金巻兼一
・編曲/金巻兼一
・歌/森山ジュン(高垣彩陽)

地獄少女 三鼎 - ジゴクショウジョミツガナエ - の評価と推薦

「地獄少女 三鼎」は、2008年秋に放送されたTVアニメシリーズで、原作は地獄少女プロジェクトによる小説です。この作品は、わたなべひろし氏の監督のもと、Studio DEENによって制作されました。放送期間は2008年10月4日から2009年4月4日までで、全26話が放送されました。放送局はUHFとアニマックスで、各局ごとに異なる時間帯で視聴することができました。

ストーリーは、安土桃山時代の村の風習により殺害され埋葬された少女「あい」が、自分の理不尽な人生を受け入れられず、現世へ舞い戻り復讐を果たすことから始まります。しかし、その罪を償うため、あいの魂は地獄少女として人々の怨みを晴らす役割を負うことになります。やがてあいはその役割を投げ出し、人間として再び殺害される選択をしますが、地獄に沈められた後、普通の女子高生御影ゆずきに憑依し地獄少女として復活します。

この作品の魅力は、深夜0時にだけアクセスできる「地獄通信」というサイトを通じて、人々の怨みを晴らす地獄少女の存在です。依頼者が契約を交わし、藁人形の紐を解くことで、怨みの相手を地獄に堕とすことができますが、その代償として依頼者自身も死後地獄に堕ちるという重いテーマが描かれています。この「人を呪わば穴二つ」という考え方は、視聴者に深い問いを投げかけます。

第3期では、新たなコンセプトとして、普通の女子高生「御影ゆずき」に憑依するという設定が導入されました。ゆずきから閻魔あいへの「変身」シーンは、人生への苦悩を象徴するかのような美しいビジュアルで描かれ、視聴者に強い印象を与えます。また、人の心に巣くう「怨念」と「復讐」というテーマは、日本古来の怪談を思わせる純和風の絵柄と見事にマッチし、作品全体の雰囲気を引き立てています。

キャストには、閻魔あいを演じる能登麻美子をはじめ、一目連役の松風雅也、骨女役の本田貴子、輪入道役の菅生隆之など、豪華な声優陣が揃っています。また、御影ゆずき役の佐藤聡美や新たに加わった山童役の椎名へきるなど、各キャラクターの個性が声優の演技によって引き立てられています。

メインスタッフには、原案のわたなべひろし、キャラクターデザインの岡真里子、音楽の高梨康治、水谷広実、藤澤健至など、各分野のプロフェッショナルが参加しています。特に、音楽は作品の雰囲気を盛り上げる重要な要素であり、OP「月華-tsukihana-」やED「いちぬけ」など、印象的な楽曲が多く使用されています。

メインキャラクターの紹介では、地獄少女として復活した閻魔あいや、彼女を支える一目連、骨女、輪入道、山童といった妖怪たちが登場します。また、普通の女子高生として描かれる御影ゆずきや、彼女の親友である高杉秋恵、クラスメートのアミーゴズたちも重要な役割を果たします。

各話のサブタイトルは、「奪われた少女」「籠ノ鳥」「腐った果実」など、物語のテーマを象徴するものが多く、視聴者の興味を引きつけます。特に、「地獄博士 対 地獄少女」や「ゆずき」、「魂の軌跡」など、シリーズのクライマックスを飾るエピソードは見逃せません。

「地獄少女 三鼎」は、シリーズの前作である「地獄少女」と「地獄少女 二籠」に続く作品であり、さらに「地獄少女セレクション」や「地獄少女 宵伽」といった関連作品も存在します。これらの作品を合わせて視聴することで、地獄少女の世界観をより深く理解することができます。

主題歌や挿入歌も作品の魅力を引き立てる重要な要素です。OP「月華-tsukihana-」は北出菜奈が歌い、ED「いちぬけ」は能登麻美子が担当しています。また、挿入歌「夏のエンジェル」と「ふたりの珊瑚礁」は森山ジュン(高垣彩陽)が歌っており、物語の情感を豊かに表現しています。

「地獄少女 三鼎」は、怨みと復讐という重いテーマを扱いながらも、美しいビジュアルと深いストーリーで視聴者を引きつける作品です。特に、普通の女子高生に憑依するという新たなコンセプトは、シリーズの新たな魅力を引き出しています。視聴者に深い問いを投げかけるこの作品は、ホラーアニメや心理劇が好きな方にはぜひおすすめしたい一作です。

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