「わんわん忠臣蔵」レビュー：忠義と友情の感動ストーリー

わんわん忠臣蔵 - ワンワンチュウシングラ - の詳細な評測と推薦

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

1963年12月21日 ～ 0000年01月01日

■配給会社

東映

■映倫番号

13120

■分数

81分

■話数

1話

■制作

東映動画

■著作

©東映アニメーション

■ストーリー

平穏な森で母と暮らしていた幼犬のロック。ある日、凶暴な虎のキラーと狐の赤耳に母親のシロを殺されてしまう。ロックはキラーに立ち向かおうとするが、まだ幼く仇討ちはできなかった。時を経て、成長したロックは恋人のカルーを筆頭に、心強い仲間を得る。一方、森では山狩りが行われ、動物たちの多くは動物園へ連行。獲物のいなくなったキラーは自らも動物園に入る。それを聞いたロックは母を仇討つため、動物園へと向かっていく。

■解説

手塚治虫と東映アニメーションがコラボした劇場映画第3作。世界で圧倒的な人気を誇るディズニースタジオをライバルとして意識し、企画された。『忠臣蔵』を題材に、手塚治虫が動物を擬人化する手法で原案とコンテを制作。各キャラクターは大石内蔵助はロック、吉良上野介はキラーなど、『忠臣蔵』の登場人物をもじった名前がつけられている。同時上映は『狼少年ケン』『柳生武芸帳 片目の忍者』。文部省選定作品。

■キャスト

・ロック(幼年時代)／堀 絢子
・ロック(青年時代)／木下秀雄
・シロ／水木蘭子
・カルー／北川まり
・ゴロ／佐藤英夫、大村文武
・ヌキ太／梅津 栄
・キラー／西村 晃
・キラーの用心棒／中川謙二、永山一夫
・赤耳／加茂喜久、本間千代子
・ラビ／伊藤牧子
・ロン／吉川和子
・リマ／山本喜代子
・灯台守の少女／堀 絢子

■メインスタッフ

・製作／大川 博
・原案構成／手塚治虫
・企画／吉田 信、渾大坊五郎、飯島 敬
・脚本／飯島 敬、白川大作
・監修／山本早苗、藪下泰司
・演出／白川大作
・演出助手／池田 宏、山本寛巳
・作画監督／大工原 章
・原画／熊川正雄、森康二、楠部大吉郎、奥山玲子、喜多真佐武、勝井千賀雄、彦根範夫、小田部羊一
・タイトルデザイン／児玉喬夫
・美術／鳥居塚誠一、沼井 肇
・色彩設計／浦田又治
・仕上検査／小椋正豊
・特殊仕上／藤井武
・撮影／杉山健児、吉村次郎
・編集／稲葉郁三
・音楽／渡辺浦人
・録音／森武、吉村次郎
・製作／東映動画

■メインキャラクタ

・ロック
幼少に母が殺され、敵討ちのため虎のキラーに立ち向かう勇敢な犬。森の仲間の助けもあり、無事に成犬となるが、ことあるごとに赤耳の策略に陥れられる。カルーという恋人ができる。

・シロ
ロックの母犬。子供のロックや森の動物たちと平和に暮らしていたが、ひょんなことから狐の赤耳の恨みを買ってしまう。赤耳の罠にはめられて命を落とす。

・カルー
ロックの恋人。可愛らしいメスのスピッツ犬。ロックがキラーを倒しに向かう仇討ちの際には、彼とともに先陣をきって動物園に向かった。

・キラー
森の動物を虐げていた虎。何の罪もないロックの母を殺すなど、暴虐の限りをつくす。森の仲間からは嫌われており、手下の赤耳と組んで数々の悪巧みを行う。

・赤耳
キラーの手下で、悪知恵の働く赤い狐。頭の回転が早く、何かとキラーに進言をする。成長したロックの噂を聞きつけ、ロックに倉庫荒らしのぬれぎぬをきせる。

■関連作品

・同時上映
『狼少年ケン』(東京地区のみ)
『柳生武芸帳 片目の忍者』

■主題歌・楽曲

・主題歌／OP「わんわん行進曲(マーチ)」
作詞／佐伯孝夫
作曲／中村八大
歌／デューク・エイセス
(ビクターレコード)

・挿入歌／「わんわん子守歌」
作詞／佐伯孝夫
作曲／渡辺浦人
歌／デューク・エイセス
(ビクターレコード)

わんわん忠臣蔵 - ワンワンチュウシングラ - の詳細な評測

『わんわん忠臣蔵』は、1963年に公開された東映動画制作の劇場アニメーションであり、手塚治虫の原案とコンテによる作品です。この作品は、ディズニースタジオの影響を強く受けつつも、日本独自の文化と物語を融合させたユニークな作品として知られています。以下では、この作品の魅力や背景、そして推薦ポイントについて詳しく解説します。

ストーリーの魅力

『わんわん忠臣蔵』のストーリーは、幼犬ロックが母親シロを殺されたことから始まります。この悲劇的な出来事から、ロックは成長し、仇討ちを果たすために奮闘する姿が描かれます。物語は『忠臣蔵』をベースにしており、動物たちが擬人化された世界で繰り広げられる復讐劇は、子供から大人まで幅広い層に訴える力を持っています。

特に印象的なのは、ロックの成長と仲間たちとの絆です。幼少期の無力さから成犬としての勇気と決意へと変わるロックの姿は、視聴者に感動を与えます。また、カルーとの恋愛要素や、仲間たちとの友情も物語に深みを加えています。キラーと赤耳の悪巧みや、動物園への山狩りという緊張感あふれる展開も見逃せません。

キャラクターの魅力

ロックは、勇敢で正義感あふれる主人公として描かれています。彼の成長物語は、視聴者に共感を呼びます。シロの母性や犠牲、カルーの愛情、キラーの残忍さ、そして赤耳の狡猾さなど、各キャラクターが持つ個性が物語を豊かにしています。

特にロックとカルーの関係は、物語の中心的な要素であり、彼らの絆は視聴者の心を温かくします。また、キラーと赤耳の悪役コンビは、物語に緊張感とスリルを提供し、視聴者を引きつけます。これらのキャラクターの描写は、手塚治虫の才能と東映動画の技術力が結集した結果と言えるでしょう。

制作背景と影響

『わんわん忠臣蔵』は、手塚治虫と東映アニメーションのコラボレーションによる作品であり、ディズニースタジオの成功を意識した企画でした。手塚治虫は、動物を擬人化する手法を用いて『忠臣蔵』の物語を再構築し、視覚的な魅力とストーリーテリングの巧妙さを兼ね備えた作品を生み出しました。

この作品は、文部省選定作品としても評価され、教育的な価値も認められました。また、同時上映された『狼少年ケン』や『柳生武芸帳 片目の忍者』と共に、当時の子供たちに大きな影響を与えました。手塚治虫の独特な作風と東映動画の技術力が融合したこの作品は、日本の animation 文化に一石を投じたと言えるでしょう。

音楽と映像

『わんわん忠臣蔵』の音楽は、渡辺浦人による作曲で、主題歌「わんわん行進曲(マーチ)」や挿入歌「わんわん子守歌」が印象的です。これらの楽曲は、デューク・エイセスによって歌われ、物語の雰囲気を盛り上げる重要な役割を果たしています。

映像面では、東映動画の作画監督大工原章をはじめとするスタッフの技術力が光ります。特に、動物たちの動きや表情の描写は、当時の技術水準を超えたものであり、視覚的な魅力に満ちています。タイトルデザインや美術、色彩設計も一流で、全体的に見応えのある作品となっています。

推薦ポイント

『わんわん忠臣蔵』は、手塚治虫の独特な世界観と東映動画の技術力が融合した、見応えのある作品です。以下のポイントが特に推薦できる理由です。

• ストーリーの深み: 『忠臣蔵』をベースにした復讐劇は、子供から大人まで楽しめる内容です。ロックの成長と仲間たちとの絆が描かれ、感動的な物語となっています。
• キャラクターの魅力: ロック、シロ、カルー、キラー、赤耳など、個性豊かなキャラクターが物語を盛り上げます。彼らの関係性や成長が視聴者に共感を呼びます。
• 制作背景と影響: ディズニースタジオの影響を意識しつつ、日本独自の文化を反映した作品です。手塚治虫と東映動画のコラボレーションによるこの作品は、日本の animation 文化に大きな影響を与えました。
• 音楽と映像: 渡辺浦人の音楽と東映動画の映像技術が一体となって、物語を盛り上げます。特に、動物たちの動きや表情の描写は見事です。

以上のように、『わんわん忠臣蔵』は、ストーリー、キャラクター、制作背景、音楽と映像の全てにおいて優れた作品であり、ぜひ一度は見てほしい名作です。手塚治虫の世界観と東映動画の技術力が結集したこの作品は、視聴者に感動と喜びを提供してくれることでしょう。