映画『はいからさんが通る 後編』の感想と評価：東京の大ロマンを堪能

『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』の魅力と感動を深掘り

■作品概要

『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』は、2018年10月19日に公開された劇場アニメーションで、原作は大和和紀による少女漫画「はいからさんが通る」です。この作品は、ワーナー・ブラザース映画によって配給され、日本アニメーションがアニメーション制作を担当しました。全1話、105分の長さで、監督は城所聖明が務めています。原作の最終章を描いたこの作品は、多くのファンから待望されていた完結編であり、少女漫画の金字塔とも言える物語の集大成となっています。

■ストーリー

大正時代の日本、まだ女性が恋も仕事も自由に選べなかった時代に生きる花村紅緒は、祖父母の代から決められていた許婚、伊集院忍少尉と出会います。最初は少尉に反発していた紅緒でしたが、次第に惹かれ合い、許婚という関係を超えた愛情を育んでいきます。しかし、少尉はシベリアの戦地で消息不明となり、紅緒は彼の生存を信じて満州へ向かいます。帰国後、少尉に似たロシアからの亡命貴族、サーシャ・ミハイロフ侯爵と出会いますが、彼が少尉ではないと知らされます。傷心の紅緒を支えたのは、彼女が働く出版社の編集長、青江冬星でした。冬星の情熱と優しさに触れ、紅緒は新しい道を歩む決意をしますが、その時、東京を大災害が襲います。逃げ惑う人々の中で、紅緒の心は少尉と冬星の間で揺れ動きます。短くも激動の大正時代を駆け抜ける「はいからさん」の最後の選択とは何か、誰と結ばれるのか、物語は感動的な結末を迎えます。

■解説

「はいからさんが通る」は、「週刊少女フレンド」で連載され、累計1200万部以上を売り上げた大ヒット少女漫画です。ラブコメディの金字塔として、過去にもさまざまなメディアで展開されてきました。近年では宝塚歌劇団による舞台化も話題となり、幅広い世代から愛され続けています。この作品は、新たなスタッフとキャストによって劇場版アニメーション二部作として復活し、2017年11月に『前編 ～紅緒、花の17歳～』が公開されました。『前編』は長年の愛読者からも熱い支持を受け、若い世代にも新鮮な感動を与えました。そして、待望の『後編 花の東京大ロマン』が公開され、原作のラストパートが初めてアニメーション化されました。監督には『打ち上げ花火、下から見るか横から見るか』の助監督を務めた城所聖明が起用され、キャラクターデザインは西位輝実が担当。紅緒役の早見沙織をはじめ、少尉役の宮野真守、冬星役の櫻井孝宏など、実力派の声優陣が集結しました。主題歌も早見沙織が歌う「新しい朝」で、竹内まりやが作詞・作曲を手掛けています。愛する少尉との別れを経て、自立した女性へと成長した紅緒の運命が描かれるこの作品は、少女漫画史に残るラブコメの傑作として完結しました。

■キャスト

・花村紅緒：早見沙織
・伊集院忍：宮野真守
・青江冬星：櫻井孝宏
・鬼島森吾：中井和哉
・藤枝蘭丸：梶裕貴
・北小路環：瀬戸麻沙美
・ラリサ：坂本真綾

■メインスタッフ

・原作：大和和紀
・監督：城所聖明
・脚本：古橋一浩
・キャラクターデザイン：西位輝美
・総作画監督：伊藤秀樹、大竹紀子、中村深雪
・作画監督：渡邊真由美、鷲田敏弥、大西陽一、一川孝久、飯田清貴、吉岡彩乃
・演出：野田泰宏、榎本守、高林久弥、城所聖明
・美術デザイン：加藤靖忠
・美術監督：小幡和寛
・色彩設定：辻田邦夫
・撮影監督：秋山涼路
・音響監督：若林和弘
・音楽：大島ミチル
・アニメーション制作：日本アニメーション
・制作：劇場版「はいからさんが通る」製作委員会
・配給：ワーナー・ブラザース映画

■主題歌・楽曲

・主題歌「新しい朝」
・作詞：竹内まりや
・作曲：竹内まりや
・編曲：前口嶂渉
・歌：早見沙織

■作品の魅力と評価

『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』は、原作の最終章を忠実に描きつつ、映像美と音楽でさらに深みを増した作品です。特に、紅緒の成長と彼女を取り巻く人間関係の描写は、観客の心を強く揺さぶります。紅緒を演じる早見沙織の声優としての表現力は、彼女の感情の機微をリアルに伝え、観客を物語に引き込みます。また、宮野真守と櫻井孝宏の演技も見事で、少尉と冬星のキャラクターを立体的に描き出しています。監督の城所聖明は、原作の世界観を尊重しつつ、現代の視点から新たな解釈を加えることで、作品に新鮮さと深みを与えました。音楽も大島ミチルの手により、物語の情感を豊かに引き立てています。主題歌「新しい朝」は、竹内まりやの美しいメロディと早見沙織の歌声が響き合い、物語の感動をさらに高めます。

■推薦ポイント

この作品は、少女漫画のファンだけでなく、ラブコメディや歴史ドラマが好きな人にもおすすめです。特に、紅緒の成長と恋愛模様に共感できる女性観客に強く推薦します。また、原作を知らない人でも楽しめるように、物語の背景やキャラクターの関係性が丁寧に描かれています。さらに、美しいアニメーションと感動的な音楽は、視覚と聴覚から心を打つ体験を提供します。家族や友人と一緒に鑑賞することで、感動を共有し、深い議論を楽しむことができるでしょう。『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』は、時代を超えて愛される名作として、多くの人々に感動を与えることでしょう。

■関連情報

『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』は、原作の最終章を描いた完結編であり、シリーズ全体を理解するために『前編 ～紅緒、花の17歳～』も併せて鑑賞することをおすすめします。また、原作漫画や宝塚歌劇団の舞台版も興味深いので、さらに深く作品を楽しみたい人はチェックしてみてください。さらに、監督の城所聖明や声優の早見沙織、宮野真守、櫻井孝宏の他の作品も見てみると、彼らの才能と表現力をより深く理解できるでしょう。

■結論

『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』は、少女漫画の金字塔「はいからさんが通る」の完結編として、原作の魅力を最大限に引き出した感動的な作品です。紅緒の成長と恋愛模様、美しいアニメーションと音楽、そして実力派の声優陣による演技が融合し、観客に深い感動を与えます。この作品は、ラブコメディや歴史ドラマが好きな人、そして感動的な物語を求めるすべての人におすすめです。ぜひ劇場で、またはDVDや配信で鑑賞し、紅緒の物語に涙し、笑い、そして心を打たれてください。