ブラスレイター - 近未来のドイツを舞台にしたダークファンタジー
2008年に放送されたTVアニメシリーズ「ブラスレイター」は、GONZOとニトロプラスの初コラボレーション作品として注目を集めました。近未来のドイツを舞台に、死体が「異形の姿」に変貌して人を襲う「デモニアック事件」を中心に展開される物語は、ダークファンタジーとサイバーパンクの要素を巧みに融合した作品です。この記事では、「ブラスレイター」の詳細な情報と魅力を紹介し、なぜこの作品が今なお多くのファンに愛されているのかを探ります。
ストーリー
「ブラスレイター」の舞台は、現代とは少し異なる近未来のドイツ。ある郊外の街で、死体が「異形の姿」に変貌して人々を襲う「デモニアック事件」が発生します。人々はこの現象を「悪魔の到来」と恐れ、混乱に陥ります。そんな中、生きたまま異形の姿へ自在に変身できる者たちが現れます。彼らはかつて人間だったが、超常の力を得たことで「悪魔」と呼ばれ、非難されながらもそれぞれの思いを胸に悪魔の力を使います。
彼らの目的は様々です。ある者は正義のために、ある者は力に魅了されて、ある者は野望を実現するため、そしてある者は復讐のために力を使います。しかし、彼らに課せられた運命は、悪魔となった者同士による命を賭けたバトル・ロイヤルでした。生き延びるため、そして己の目的を達成するために力を使い続ける彼らですが、その代償として徐々に人間の心が蝕まれていきます。彼らは果たして人間と呼べるのか、そして救いはあるのか。孤独や苦悩を抱える少年や青年たちの過酷で凄惨な物語が幕を開けます。
解説
「ブラスレイター」は、アニメ制作会社GONZOとゲーム制作会社ニトロプラスによる初のコラボレーション作品です。TVアニメだけでなく、漫画版などメディアミックス展開も行われました。悲痛な運命にさらされた人間の苦悩と、強大な力への葛藤、さらに貧困や移民への差別描写など、ハードな物語展開が注目されました。
監督は板野一郎、シリーズ構成は虚淵玄と板野一郎が担当し、キャラクターデザインと総作画監督は恩田尚之が務めました。メカニカルデザインは石渡マコト、音楽は日比野則彦が手掛け、主題歌にはGRANRODEOや栗林みな実、美郷あき、いとうかなこといった豪華なアーティストが参加しています。
キャスト
主要キャラクターの声優は以下の通りです。
- ジョセフ・ジョブスン:松風雅也
- アマンダ・ウェルナー:伊藤静
- ゲルト・フレンツェン:石塚運昇
- ヘルマン・ザルツァ:三宅健太
- ウォルフ・ゲイリグ:立木文彦
- アルビン・ルッツ:檜山修之
- ブラッドリー・ギルフォード:中村悠一
- メイフォン・リウ:遠藤綾
- シュタッフス・ヴィクター:斧アツシ
- マレク・ウェルナー:皆川純子
- エレア:花澤香菜
- シドウ・カサギ:石塚運昇
- サーシャ・ジョブスン:生天目仁美
- スノウ:中原麻衣
- ベアトリス・グレーゼ:大原さやか
- マドワルド・ザーギン:諏訪部順一
メインスタッフ
「ブラスレイター」の制作には、以下のスタッフが関わっています。
- 原作:GONZO×ニトロプラス
- 監督:板野一郎
- シリーズ構成:虚淵玄(ニトロプラス)、板野一郎(D.A.S.T)
- チーフライター:小林靖子
- キャラクター&メカニカルデザイン原案:Niθ
- キャラクターデザイン、総作画監督:恩田尚之
- メカニカルデザイン:石渡マコト(ポリゴン番長)
- プロップ&テクスチャデザイン:イトウケイイチロウ
- セットデザイン:青木智由紀
- 色彩設計:北沢希実子
- 3D監督:阿尾直樹
- 美術監督、クリエイティブディレクター:佐野秀典
- 撮影監督:林コージロー
- 編集:廣瀬清志
- 音響監督:明田川仁
- 音楽:日比野則彦
- 音楽制作:ランティス、フューチャービジョンミュージック、ステイミュージック
- 音楽プロデューサー:伊藤善之、福士洋介
- エグゼクティブプロデューサー:上木則安、星野禎、石井徹
- プロデューサー:永井理、嶋津毅彦
- アニメーション制作:GONZO
- 製作:スカパー・ウェルシンク、GDH、東映ビデオ
メインキャラクタ
「ブラスレイター」の主要キャラクターは以下の通りです。
- ジョセフ:人知れず、寡黙に悪魔を狩り続ける謎のハンター。なにか目的があるようだが…?
- アマンダ:悪魔を調査する組織「XAT」に所属する女性。悪魔事件にかかわり、彼女の運命は大きく変化する。
- ゲルト:かつては無敵のレーサーだったが、悪魔事件に巻き込まれ、自身も悪魔の力を宿すようになる。
- ヘルマン:悪魔を調査する組織「XAT」に所属。ゲルトの親友で、悪魔となったゲルトに人間として接する。
- エレア:ジョセフにつきまとう少女。端末を通じてジョセフに接触し、彼に有力な情報を与えている。
- ウォルフ:悪魔を調査する組織「XAT」の隊長。鉄の意志と強いリーダーの資質を持つ。
- ブラッド:長距離からの射撃術に長けている。多くを語ろうとしない寡黙な男。
- アル:お調子者だが、射撃は天才的。ブラッドと同様にスナイパーとして活躍。
- メイフォン:オペレーターを勤める。指揮車内で隊長のウォルフと共に行動する。
- ヴィクター:「XAT」の長官。沈着冷静で、威厳に満ちあふれている。
- ベアトリス:悪魔事件の発生する現場に何処ともなく現れる妖しいも美しい女性。
- マレク:アマンダの弟。ゲルトの大ファンで、彼に憧れを抱いている。
- ザーギン:ブラスレイターの力によって世界を滅ぼし変革と新生をもくろむ。それを止めようとジョセフは追い続けるが…。
メインロボ・アイテム
「ブラスレイター」には、以下のような主要なロボットやアイテムが登場します。
用語集
- デモニアック事件:近未来のドイツ市街で、死んだはずの人間が生き返り、ゾンビになって人を襲うという謎の事件が発生した。これにより、特殊部隊(XAT)が急遽設立され、怪奇現象は事件性のあるものとして扱われるようになった。
- デモニアックの特徴:人々を襲う悪魔は、特殊な能力を持っていた。車やバイク、電子機器や銃器、刃物などあらゆる機械(無機物)と融合し、支配するというものだった。さらに、生きている人間が「変身」というプロセスを経て悪魔になるケースも発見された。
- XAT:Xenogenesis Assault Team(異種発生突撃隊)。通称、「XAT」(ザット)は、デモニアック事件から市民を護り、その実態を調査するために設立された組織。すべてのXAT隊員には警部補待遇、少尉待遇の仮階級が与えられており、軍や警察のあらゆる作戦行動において優先権を保証されている。
- 融合体:XATではデモニアックの事を「融合体(ゆうごうたい)」というコードネームで呼んでいる。悪魔が機械と融合する力を持つことから、この名前が採用された。これがオカルトじみた怪奇現象ではなく「事件」だという認識を強く持つためでもあった。
- 48時間の監視:融合体の被害を受けた地域から、新たな融合体が発見されたという調査結果にもとづき、XATでは目安として48時間、融合体の発生した場所を確保し、監視を行うようになった。また、融合体への第1次接触者に対しても48時間その身柄を拘束して様子を見守る措置をとっている。
モービル
- ジョセフのバイク(ガルム):ジョセフのバイク。その性能はバイクの常識を明らかに逸脱したモンスター・マシンと呼ぶにふさわしい。どこが開発しどんな装備が隠されているのか、全てが謎に包まれている。
- ゲルトのバイク:ゲルトのプライベート用バイク。レーサー仕様のバイクと同等のポテンシャルを持つ。洗練されたデザインはチャンピオンのゲルトが乗ることでより強い輝きを誇る。
- XATアタッカーバイク:アタッカーのポジションであるアマンダ、ヘルマンが搭乗するバイク。用脇に装備されているミサイルが主武器。
- XATスナイパーバイク:アル、ブラッドなど、スナイパー専用のバイク。サイドカーにはライフルやミサイルランチャー・ユニットなどが配備されている。
- XAT指揮車:作戦現場の司令塔。指揮官のウォルフとオペレーターのメイフォンが搭乗。全方位を監視できるポール型のカメラや装甲車並の耐久度であらゆる攻撃を事前に察知して防ぐことができる。
- スケールライダー:「ツヴェルフ」の誇る3騎士「アポカリプスナイツ」の武装兵器。輸送機モードではボウライダーとソードライダーを運搬でき、戦闘機モードでは超音速での飛行が可能。その際は、機体下に砲台形態のボウライダーを連結した攻撃機としても行動できる。クローアームは近接戦闘の他、着陸時には脚代わりの機能を果たす。
- ソードライダー:「ツヴェルフ」の誇る3騎士「アポカリプスナイツ」の武装兵器。移動に特化した四足機動形態と、瞬発的な運動性能に特化した後肢直立形態を使い分ける。ワイヤーハーケンは中距離射程の攻撃手段となり、また急旋回やブレーキ、壁登りといった移動の補助手段としても活用できる。
- ボウライダー:「ツヴェルフ」の誇る3騎士「アポカリプスナイツ」の武装兵器。二脚機動&二連砲速射による中距離戦と、砲台形態による後方支援、狙撃を得意とする。二門のビームガンを直列結合させた極大口径のビームキャノンは絶大な攻撃力となるが、この形態によって脚部の移動能力は封印されるため、その場で砲台として機能することになる。ただし砲台形態のままスケールライダーと合体することで、移動手段を得ることも可能。
- トリプルシックス:「ツヴェルフ」が開発した可変バイク。ジョセフのバイクと同様に、パイロットがデモニアックである事が前提に設計されている。一般的なバイクの形状を装う擬態能力の他、飛行能力も有している。本来は、強化パーツを実装したジョセフが搭乗する計画だったが、ツヴェルフ城内に侵入したヘルマンによって強奪されてしまう。
- パラディン-絆-:ツヴェルフが開発した、対デモニアック用戦闘兵器。用途に合わせて「駆動形態(バイク)」と「戦闘形態(ロボット)」に変形可能。アマンダにも専用の機体が与えられたが、XAT隊員としての気持ちを忘れない為、XATのエンブレムとチームメイトの名前をペインティングしている。「絆」の文字は、アマンダの気持ちを表現する言葉として、アポカリプスナイツのシドウが最後に付け加えた。
エトセトラ
- デモニアック(融合体)男性タイプA:男性の死体から変身し怪物化したもの。銃や車と融合して自らのパーツとする。
- デモニアック(融合体)女性タイプA:女性の死体が変身した融合体。男性タイプと同様、車輌や武器と融合する。
サブタイトル
「ブラスレイター」の各話サブタイトルは以下の通りです。
- 第1話:絶望の始まり
- 第2話:栄誉の対価
- 第3話:感染拡大
- 第4話:包囲網
- 第5話:疎まれし者
- 第6話:悪魔を憐れむ歌
- 第7話:憎悪の果てに
- 第8話:僕はもう弱者じゃない
- 第9話:力の価値、力の意味
- 第10話:陰謀の中で
- 第11話:黙示録の序奏
- 第12話:審判の日
- 第13話:遠い記憶
- 第14話:聖者の選択
- 第15話:神を讃える千年の騎士
- 第16話:再会
- 第17話:獣の咆哮
- 第18話:第四の黙示
- 第19話:過去からの想い
- 第20話:黄泉の軍勢
- 第21話:蒼白の騎手
- 第22話:届かぬ思い
- 第23話:劫火の大地
- 第24話:約束の地
関連作品
「ブラスレイター」には以下の関連作品があります。
主題歌・楽曲
「ブラスレイター」の主題歌と挿入歌は以下の通りです。
OP1
- 期間:2~14
- タイトル:デタラメな残像
- 作詞:谷山紀章
- 作曲:飯塚昌明
- 編曲:飯塚昌明
- 歌:GRANRODEO
OP2
- 期間:15~24
- タイトル:unripe hero
- 作詞:栗林みな実
- 作曲:齋藤真也
- 編曲:齋藤真也
- 歌:栗林みな実
ED1
- 期間:1~11
- タイトル:sad rain
- 作詞:畑亜貴
- 作曲:飯塚昌明
- 編曲:飯塚昌明
- 歌:美郷あき
ED2
- 期間:12
- タイトル:Separating moment
- 作詞:畑亜貴
- 作曲:mixakissa
- 作曲:綾部薫
- 歌:美郷あき
ED3
- 期間:13~23
- タイトル:A Wish For The Star
- 作詞:渡邊カズヒロ
- 作曲:渡辺拓也
- 編曲:磯江俊道(ZIZZ)
- 歌:いとうかなこ
ED4
- 期間:24
- タイトル:sweet lies
- 作詞:渡邊カズヒロ
- 作曲:磯江俊道(ZIZZ)
- 編曲:磯江俊道(ZIZZ)
- 歌:いとうかなこ
IN1
- 期間:5、16
- タイトル:DD
- 作詞:渡邊カズヒロ
- 作曲:村上正芳
- 編曲:村上正芳
- 歌:いとうかなこ
評価と推薦
「ブラスレイター」は、そのダークで重厚なストーリーと、近未来のドイツを舞台にした独特の世界観が魅力的な作品です。特に、人間と悪魔の境界線を描くテーマは、視聴者に深い感動と思考を促します。また、GONZOとニトロプラスのコラボレーションによるビジュアル面のクオリティも高く、メカニカルデザインやアクションシーンの迫力は見応え十分です。
キャラクターの描写も深く、ジョセフやアマンダ、ゲルトなどのキャラクターが抱える苦悩や葛藤がリアルに描かれています。特に、ジョセフの孤独な戦いやアマンダの成長、ゲルトの変貌などは、視聴者の心を強く揺さぶります。また、XATのメンバーたちのチームワークや個々のキャラクター性も魅力的で、物語を盛り上げる重要な要素となっています。
音楽面でも、GRANRODEOや栗林みな実、美郷あき、いとうかなこといった豪華なアーティストが参加しており、作品の雰囲気をさらに引き立てています。特に、OP曲「デタラメな残像」と「unripe hero」は、物語のテーマを象徴するような力強い楽曲で、視聴者の心に深く刻まれることでしょう。
「ブラスレイター」は、ダークファンタジーとサイバーパンクの要素を巧みに融合した作品であり、深いテーマとビジュアル面のクオリティが評価されています。特に、人間と悪魔の境界線を描くテーマは、視聴者に深い感動と思考を促し、物語の展開やキャラクターの成長も見応え十分です。音楽面でも豪華なアーティストが参加しており、作品の雰囲気をさらに引き立てています。ぜひ一度、視聴してみてください。 |