『千年女優』の魅力と評価:アニメの傑作を深掘り

『千年女優』の魅力と評価:アニメの傑作を深掘り

千年女優 - センネンジョユウ - 評論と推薦

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

2002年09月14日 ~ 0000年01月01日

■配給会社

クロックワークス

■分数

87分

■原作

・原案/今敏

■監督

・監督/今敏

■制作

・制作/ジェンコ、マッドハウス

■著作

©2001 千年女優製作委員会

■ストーリー

千年かけても逢いたい人がいます

かつて一世を風靡した大女優、藤原千代子。そんな千代子が語り始めた物語は、70数年という現実の流れから溢れ出し、映画という幻想の海流を通って、遙か戦国の昔から、見果てぬ未来の彼方まで広がって行く。閉ざされた想い出に隠された千代子の秘密とは? 錯綜した記憶の彼方にこそ千代子の真実が浮かび上がる…。

※バンダイチャンネルより引用

■解説

『PERFECT BLUE』に続く今 敏原案・監督の劇場作品第二弾。二人のインタビュアーを巻き込んで語られる、かつての大女優・藤原千代子の虚実入り混じった、だまし絵のような女優人生一代記。第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞をはじめ数々の賞を受賞。スピルバーク率いるドリームワークスによって、全世界に配給された。

※マッドハウス公式サイトより引用

■キャスト

・藤原千代子(70代)/荘司美代子
・藤原千代子(20~40代)/小山茉美
・藤原千代子(10~20代)/折笠富美子
・立花源也/飯塚昭三
・島尾詠子/津田匠子
・大滝/鈴置洋孝
・千代子の母/京田尚子
・銀映専務/徳丸完
・美濃/片岡富枝
・番頭/石森達幸
・ゲンヤ/佐藤政道
・井田恭二/小野坂昌也
・鍵の君/山寺宏一
・傷の男/津嘉山正種
・その他/小形満、麻生智久、遊佐浩二、肥後誠、坂口候一、志村知幸、木村亜希子、サエキトモ、野島裕史、浅野るり、大中寛子、園部好徳、大黒優美子

■メインスタッフ

・企画/丸山正雄
・原案/今 敏
・脚本/村井さだゆき、今 敏
・キャラクターデザイン/本田雄、今 敏
・美術設定/池信孝
・美術設定協力/末武康光
・演出/松尾衡
・作画監督/本田雄、井上俊之、濱洲英喜、小西賢一、古屋勝悟
・原画/鈴木美千代、三原三千雄、宮沢康紀、新井浩一、西尾鉄也、大塚伸治、中山勝一、江本正弘、熊谷哲矢、村田充範、栗尾昌宏、久保まさひこ、堀内博之、高木潤、清水洋、川名久美子、垪和等、瀬尾康博、村尾稔、菊池聡延、木下裕孝、大橋誉志光、多田雅治、板野龍宏、阿部純子、井上俊之、濱洲英喜、小西賢一、古屋勝悟
・美術監督/池信孝
・背景/猪田薫、池田尚、桐山成代、吉崎正樹、伊奈淳子、太田清美、甲斐政俊、上原伸一、杉山祐子、岡田昌子、市倉敬、狩野奈緒
・動画検査/市万田千恵子、スタジオたくらんけ、江山梨恵、寺田久美子
・動画/マッドハウス、渡辺佐紀子、奥田佳子、今野亜希子、榎本結、仲澤崇仁、渡辺健一、若月愛子、矢崎優子、堀剛史、夘野一郎、飯森景子、D.R.MOVIE、尹明姫、鄭蓮希、黄順阿、高勤愛、崔恵蘭、鄭晟姫、金美淑、林孝敬、趙瑛來、金秀珍、尹恵仙、鄭姫眞、金恩寧、李在敏、陳昌根、南在昊、禹松植、金泉洙、徐金淑、權ト徑、李孝善、宋賢珠、張哲豪、崔順烈、安美京、李東旭、尹靜恵、李碩勲、崔恩、郭顯、李雪榮、李美玉、李賢淑、李河燕、全賢珠、尹※(金へんに庸)在、林定美、李恩※(女へんに正)、許美芽、張鉉植、李恵姓、金裕美、趙鉉美、片恩美、許恵貞
・動画協力/シャフト
・色彩設計/橋本賢
・仕上検査/大野春恵、中山佳奈、越川由美、鈴木裕香、鎌田千賀子、堀川佳典、山本智子、角本百合子
・仕上/D.R.MOVIE、權五淑、金靜銀、朴暎信、安明林、權賢順、金賢淨、鄭銀淑、李延慇、朴美玉、金貞兒、文晟湖、徐生會、白銀兒、呉修任、徐誠橲、蔡有美、李蓮姫、李淑姫、田善姫、崔起※(木へんに貞)、金晶恵、趙喜慶、河明蓮、申恵美、李海京、許英淑、金權花、金榮愛、朴※(王へんに介)侖、林貞我、鄭※(さんずいへんに有)庚、金英美、田貞淑、朴貞姫、權太玉、崔尹姫、崔順尹、洪恩眞、朴妍貞、申殷京、金賢姫、京江動画、張南玉、朴玉仁、姜英淑、李鎭、金花順、尹賢彬、金修正、李南姫、柳仁淑、朴惠玲、鄭※(にんべんに敬)愛
・特殊効果/谷口久美子、鈴木さちこ
・タイトル・デザイン/山下京子
・タイトル・リスワーク/マキ・プロ
・撮影監督/白井久男
・撮影助監督/平田隆文、前原勝則
・撮影/スタジオ・コスモス、池上元秋、大藤哲生、野口博志、池上伸治、島田隆志、久野利和、矢澤昌二、粟倉正文、西山朋広、山口則和、出井久美子、折笠裕子、塩塚洋樹、権田光一、森本由美子、河原孝夫、豊永有希、※(くさかんむりに配)島加奈絵、東現アニメルーム、田村正人、鎌田圭介
・撮影/財田佳純、増田悦史、飯田和希、デジタルコンポジット、松尾衡、垪和等、角本百合子、D.R.MOVIE、李※(金へんに庸)凡、金大玄、朴眞儀
・編集/寺内聡
・ネガ編集/伊藤勇喜子、木村佳史子、土谷百合香
・音楽/平沢進
・音楽制作/ケイオスユニオン、A&R、湯元理人
・サウンドエンジニア/鎮西正憲
・音響監督/三間雅文
・音響効果/倉橋静男(サウンドボックス)
・録音/山田富二男
・音響演出助手/柏倉ツトム
・録音助手/田上祐二(アオイスタジオ)
・音響効果助手/長谷川卓也(サウンドボックス)
・録音スタジオ/アオイスタジオ
・音響制作/テクノサウンド、宮城満希子、松本礼司
・ドルビーフィルム・コンサルタント/河東努
・コンチネンタルファーイースト(株)/森幹生
・光学リレコ/西尾※(日の下に舛)
・現像/東京現像所
・協力/木場正博、大石真理、吉田聡子、松竹株式会社、松竹京都株式会社、高津装飾美術株式会社
・宣伝/原口陽平、佐藤尚樹、岩下裕美、大沢信博、橋本洋、鈴木誠二
・制作プロデューサー/岩瀬安輝、諸澤昌男
・制作担当/豊田智紀
・制作進行/平尾隆之
・プロデューサー/真木太郎
・制作/ジェンコ、マッドハウス
・配給/クロックワークス
・製作/「千年女優」製作委員会、WOWOW、海部正樹、鈴木路子、クロックワークス、酒匂暢彦、藤本款、角川書店、安田猛、バンダイビジュアル、川城和実、久保聡、ジェンコ、真木太郎
・監督/今 敏

■メインキャラクタ

・藤原千代子(70代)
日本映画史上に残る伝説の大女優。多数の映画に出演、ヒット作を輩出したが、30年前に映画撮影中に姿を隠したまま引退してしまった。その後は人前に出ることがなかったため、多くの謎を残す。
・藤原千代子(20~40代)
戦後の復興期、人びとに希望を与え続けた銀映の看板スター。再会の希望を託して“鍵”を身につけていたが、それが女優としての輝きを与え続けていたのかもしれない。やがて結婚への決断を迫られる。
・藤原千代子(10~20代)
母一人に育てられた少女。夢見がちな普通の女の子だったが、“鍵の君”との出逢いがすべてを変えた。女優になれば再会できるかもしれないと、母の猛烈な反対を振り切り大手映画会社銀映に入る。
・立花源也
映像制作会社「VISUAL STUDIO LOTUS」社長。千代子の足跡を辿るドキュメンタリーの制作を企画。千代子の語る一代記に大感激し、陶酔しきって物語内へと引き込まれてしまう。
・井田恭二
「VISUAL STUDIO LOTUS」所属のカメラマン。長髪にサングラス、関西弁が特徴。千代子の取材中、熱狂する立花に呆れつつカメラを回すうちに、彼も物語内に引き込まれていく。
・鍵の君
素顔の不明な絵描き。思想犯に特定され官憲に追われていた時、千代子と運命的な出会いを果たす。平和が訪れた後に千代子を故郷の雪国へ招待すると約束して“一番大切なものを開ける鍵”を残す。

■主題歌・楽曲

・ED1
・ロタティオン[LOTUS-2]
・作詞/平沢進
・作曲/平沢進
・編曲/平沢進

■評論

今敏監督の『千年女優』は、映画というメディアの可能性を最大限に引き出した作品であり、その芸術性と物語性は高く評価されています。この作品は、現実と幻想が交錯する中で、女優としての人生を描き出すことで、観客に深い感動と思考を与えます。

物語の中心に立つのは、伝説の大女優・藤原千代子です。彼女の人生は、70年以上にわたる時間の流れの中で、さまざまな時代と場所を超越して描かれます。千代子の回想を通じて、戦前から戦後、そして未来へと広がる物語は、彼女の人生と映画の歴史を同時に描き出しています。この時間と空間の超越は、今敏監督の独特な視点と技巧によって実現されています。

特に印象的なのは、千代子の記憶が映画のシーンと交錯するシーンです。彼女の人生と映画のシーンがシームレスに繋がり、現実と幻想の境界が曖昧になる瞬間は、観客を引き込む力があります。この手法は、今敏監督の他の作品でも見られる特徴ですが、『千年女優』では特に効果的に使われています。

また、千代子の人生を追うドキュメンタリー制作チームの立花源也と井田恭二の視点から物語が進行することで、観客は千代子の人生を客観的に見つつも、彼女の感情に深く共感することができます。立花の熱狂と井田の冷静さが対比されることで、千代子の人生の複雑さと美しさがより一層引き立っています。

キャラクターデザインや美術設定も見事で、特に千代子の若い頃から老年までの変化を描くために、複数の声優が起用されています。荘司美代子、小山茉美、折笠富美子の三人の声優がそれぞれの年代の千代子を演じることで、彼女の人生の深みが表現されています。また、背景や美術の細部にわたるこだわりも、物語の世界観を豊かにしています。

音楽も重要な役割を果たしています。平沢進によるエンディングテーマ「ロタティオン[LOTUS-2]」は、千代子の人生の哀愁と美しさを象徴するようなメロディーで、観客の心に深く残ります。また、劇中の音楽も物語の展開に合わせて巧みに使われ、感情の高揚や沈静を効果的に演出しています。

『千年女優』は、映画というメディアの可能性を追求し、現実と幻想の境界を超越した作品です。その芸術性と物語性は、観客に深い感動と思考を与え、何度でも見返したくなるような魅力があります。今敏監督の才能と情熱が詰まったこの作品は、まさにアニメーションの傑作と言えるでしょう。

■推薦

『千年女優』は、映画やアニメーションに興味がある人だけでなく、芸術や物語に感動を求めるすべての人におすすめします。特に、現実と幻想の境界を超越した物語を楽しみたい人、映画の歴史や女優の人生に興味がある人には必見の作品です。

また、今敏監督の他の作品、例えば『PERFECT BLUE』や『パプリカ』も同様に芸術性と物語性が高い作品ですので、これらの作品も合わせて鑑賞することで、今敏監督の世界観をより深く理解することができるでしょう。

さらに、千代子の人生を描くこの作品は、人生の美しさと哀しさを感じさせてくれるので、人生の節目に立っている人や、自分の人生を振り返りたい人にもおすすめです。『千年女優』は、観客一人一人に異なる感動と思考を与える、まさに千年を超える価値のある作品です。

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