ARMITAGE Ⅲ POLY-MATRIX：サイバーパンクの傑作アニメを徹底解剖

『ARMITAGE Ⅲ POLY-MATRIX』 - 未来の火星を舞台にしたSFアクション映画の魅力

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

1996年04月20日 ～ 0000年01月01日

■配給会社

・ギャガ・コミュニケーションズ

■分数

90分

■監督

・監督／越智博之

■制作

・アニメーション制作／AIC

■著作

©AIC/Geneon Universal Entertainment

■ストーリー

シカゴから火星警察に赴任することになった刑事、ロス・シリバス。空港に到着した早々に、殺人事件に巻き込まれてしまう。だが、その被害者が最新技術で作られた「サード」と呼ばれる非合法の存在だったことが判明する。ロスは火星警察の刑事ナオミ・アミテージと協力し、一連の事件の真相を追う。

■解説

アメリカで公開された、近未来の火星を舞台にしたSFアクション映画。1995年にリリースされたOVA『アミテージ・ザ・サード』を劇場公開用に再編集し、新作映像が加えられている。キャスト陣には著名なハリウッドスターが多数起用された。この映画は、人間とアンドロイドの共存をテーマにしており、テクノロジーの進化がもたらす倫理的な問題を描いている。特に、火星という未知の環境を舞台にすることで、視覚的な魅力とストーリーテリングの深みを両立している点が評価されている。

■キャスト

・ナオミ・アミテージ／エリザベス・バークレー
・ロス・シリバス／キーファー・サザーランド
・ダンクロード／ダン・ウォーレン
・ジュリアン・ムーア／ワンダ・ナウィキー

■メインスタッフ

・監督／越智博之
・演出／越智博之、佐藤卓哉、岡本有樹郎、嵯峨敏
・企画／真木太郎
・プロデューサー／森尻和明、佐谷秀美、TAK.W.ABE
・脚本／小中千昭
・デザインワークス／竹内敦志
・キャラクターデザイン／越智博之
・美術監督／平城徳浩、岡部 順、佐藤 勝、加藤 浩
・美術設定／佐藤正浩
・撮影監督／白井久男
・編集／ジェイ・フィルム
・音響監督／Les Clay pool III
・音楽／難波弘之
・音楽プロデューサー／AKIRA KAWASE

■メインキャラクタ

・ナオミ・アミテージ
火星警察の巡査部長。サード関連の事件に執着を見せる女性。彼女のキャラクターは、強い意志と正義感を持ちつつも、自身の存在意義に悩む姿が描かれており、観客に深い共感を与える。

・ロス・シリバス
地球から火星警察に赴任してきた刑事。ある殺人事件の捜査をきっかけに、ナオミとコンビを組む。彼のキャラクターは、初めは火星の環境に戸惑いながらも、次第に事件の核心に迫る姿が描かれており、成長の過程が魅力的である。

・ダンクロード
火星で起きたサードの連続殺害犯。彼のキャラクターは、冷酷さと計算高さを兼ね備えた存在として描かれており、物語の緊張感を高める重要な役割を果たしている。

■メインロボ・アイテム

・セカンド
この世界において一般的なアンドロイド、ガイノイドの通称。頭部に機能を停止させるスイッチがあるため、人間との判別が容易。セカンドは日常生活を支える存在として描かれており、火星社会のインフラを支える重要な役割を果たしている。

・サード
非合法のアンドロイド(ガイノイド)で、セカンドをはるかに超える能力を持つ。外見や感情面も人間と同等のため、判別は困難。サードは物語の中心的なテーマであり、人間とアンドロイドの境界を問う存在として描かれている。

■関連作品

・「アミテージ・ザ・サード」(OVA)
・「ARMITAGE DUAL-MATRIX」(映画)

■主題歌・楽曲

・ED1
PHANTOM WORLD
・作詞／JEFF DAY
・作曲／松宮恭子
・編曲／藤原いくろう
・歌／笠原弘子

■詳細な評測

『ARMITAGE Ⅲ POLY-MATRIX』は、近未来の火星を舞台にしたSFアクション映画として、視覚的な魅力と深いテーマ性を兼ね備えた作品である。監督の越智博之は、OVA版から引き続き、火星の荒涼とした風景と都市の輝きを巧みに描き出し、視覚的なインパクトを与えている。また、キャラクターデザインも越智博之が担当しており、ナオミ・アミテージやロス・シリバスのキャラクターが生き生きと描かれている点も評価できる。

ストーリーは、火星警察に赴任したロス・シリバスが、空港で発生した殺人事件をきっかけに、サードと呼ばれる非合法のアンドロイドの存在に気づくところから始まる。ナオミ・アミテージとのコンビは、事件の真相を追う中で、人間とアンドロイドの共存というテーマを深く掘り下げていく。特に、ナオミ自身がサードであるという設定は、彼女のキャラクターに深みを与え、観客に強い共感を呼び起こす。

キャスト陣には、ハリウッドの著名な俳優が起用されており、エリザベス・バークレー演じるナオミ・アミテージの強さと脆弱さを巧みに表現している。また、キーファー・サザーランド演じるロス・シリバスのキャラクターも、初めは戸惑いながらも成長していく姿がリアルに描かれており、観客に深い印象を与える。

音楽も重要な役割を果たしており、難波弘之の作曲によるBGMは、火星の荒涼とした雰囲気と緊張感を効果的に演出している。特にエンディングテーマの「PHANTOM WORLD」は、笠原弘子の歌声が物語のテーマを象徴するように響き、観客の心に深く残る。

■推薦ポイント

この映画は、SFアクション映画としてだけでなく、人間とアンドロイドの共存というテーマを深く掘り下げた作品としても評価できる。視覚的な魅力と深いテーマ性を兼ね備えた作品を求める視聴者には、ぜひおすすめしたい。また、OVA版『アミテージ・ザ・サード』や映画『ARMITAGE DUAL-MATRIX』と合わせて視聴することで、より深く物語を楽しむことができるだろう。

特に、火星という未知の環境を舞台にしたストーリーは、視覚的なインパクトとストーリーテリングの深みを両立しており、SFファンには必見の作品である。また、ナオミ・アミテージやロス・シリバスのキャラクターの成長と葛藤は、観客に深い共感を呼び起こし、物語に引き込まれること間違いなしである。

さらに、キャスト陣の演技力や音楽のクオリティも高く、全体として非常に完成度の高い作品となっている。SFアクション映画や深いテーマ性を求める視聴者には、ぜひ一度視聴してみてほしい作品である。