『機動警察パトレイバー』テレビ版の魅力と評価：現代にも通じるリアルな世界観

機動警察パトレイバー PATLABOR ON TELEVISION - キドウケイサツパトレイバー オン テレビジョン -

■公開メディア

TVアニメシリーズ

■原作メディア

アニメオリジナル

■放送期間

1989年10月11日 ～ 1990年09月26日

■放送局

TX

■分数

30分

■話数

47話

■原作

・原作／ヘッドギア

■監督

・監督／吉永尚之

■制作

・製作協力／サンライズ
・製作／バンダイビジュアル、東北新社

■著作

©HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TFC

■解説

OVAファーストシーズンの好評を受けて、劇場版第1作「機動警察パトレイバー the Movie」と平行して制作され、劇場版の公開約3カ月後の1989年10月から放映された、全47話のテレビシリーズ。TVシリーズ用に新たに物語を展開する必要から、OVAファーストシーズンと劇場版第1作とは微妙に時系列が異なる。しかし、さらに制作されたOVAセカンドシーズン及び劇場版大2作目「機動警察パトレイバー2　the Movie」は、このTVシリーズの時系列上に属することから、新たな「パトレイバー」の始まりとも言うことができる作品でもある。初のソフト化はOVAセカンドシーズンを同時収録したPシリーズとして、1990年11月から開始、全16巻が発売された。

「機動警察パトレイバー」は、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、サンライズが制作したロボットアニメシリーズであり、その中でも特にテレビシリーズは、ファンにとって特別な存在である。OVAや映画版と比べて、より日常的なエピソードが多く描かれ、キャラクターの人間関係や成長が丁寧に描かれている点が特徴的だ。特に、特車二課のメンバーたちの日常生活や仕事の様子を通じて、視聴者は彼らの個性や絆を深く理解することができる。

このテレビシリーズは、1989年10月11日から1990年9月26日まで、東京テレビ（TX）で放送された。全47話という長期シリーズであり、毎週水曜日の22:00から22:30までの30分枠で放送された。放送当時は、OVAや映画版の成功を受けて、さらに多くの視聴者を獲得することを目指していた。実際、テレビシリーズは幅広い層から支持され、特に若者やアニメファンに人気があった。

物語の舞台は、近未来の東京。労働用ロボット「レイバー」が普及した社会で、レイバーの犯罪や事故を防ぐために設立された特車二課の活躍を描く。主人公の泉野明（いずみの あきら）は、特車二課の新人パイロットとして、仲間たちと共に様々な事件に立ち向かう。彼女の成長や仲間たちとの絆が物語の中心であり、視聴者は彼女の視点から特車二課の日常を体験することができる。

テレビシリーズの魅力の一つは、各エピソードごとに異なる事件や問題が描かれていることだ。レイバーの暴走やテロリストの襲撃、さらには日常的なトラブルまで、多彩なストーリーが展開される。特に、初期のエピソードでは、特車二課のメンバーたちがどのようにしてチームとしてまとまっていくかが描かれており、視聴者は彼らの成長を感じることができる。また、中盤以降は、より深いテーマや社会問題を取り上げたエピソードも増え、視聴者に考えさせる内容が多く含まれている。

キャラクターの魅力も大きい。泉野明を始めとする特車二課のメンバーたちは、それぞれ個性的で魅力的なキャラクターとして描かれている。特に、泉野明のパートナーである篠原遊馬（しのはら ゆうま）や、特車二課のリーダーである進士幹泰（しんし みきやす）など、各キャラクターの背景や人間関係が丁寧に描かれており、視聴者は彼らに感情移入しやすい。また、ゲストキャラクターも多く登場し、各エピソードに彩りを添えている。

メカニックデザインも見逃せない要素だ。出渕裕によるレイバーのデザインは、リアルで洗練されたものであり、視聴者を引きつける魅力がある。特に、泉野明が操縦するイングラムは、テレビシリーズの象徴とも言える存在であり、その動きや戦闘シーンは見応えがある。また、ゲストメカデザイン協力として佐山善則が参加しており、各エピソードごとに異なるレイバーが登場するのも楽しみの一つだ。

音楽も重要な役割を果たしている。川井憲次の音楽は、緊張感あふれる戦闘シーンや、感動的なシーンを盛り上げる効果を発揮している。また、OPテーマ「孤独のパトレイバー」やEDテーマ「明日への手紙」は、視聴者の心に深く刻まれる名曲であり、シリーズの雰囲気を一層引き立てている。

テレビシリーズの成功は、その後の「パトレイバー」シリーズの展開にも大きな影響を与えた。OVAセカンドシーズンや劇場版第2作「機動警察パトレイバー2 the Movie」は、テレビシリーズの時系列上に位置付けられており、テレビシリーズのファンにとっては続編として楽しむことができる。また、テレビシリーズの成功を受けて、様々なメディアミックス展開が行われ、ゲームや小説、漫画なども制作された。これらの作品は、テレビシリーズの世界観をさらに広げ、ファンの間で愛され続けている。

テレビシリーズの評価は非常に高く、特にキャラクターの魅力やストーリーの展開、メカニックデザイン、音楽などが高く評価されている。また、社会問題や人間関係を描いたエピソードも多く、視聴者に考えさせる内容が含まれている点も評価されている。さらに、テレビシリーズは、OVAや映画版と比べてより日常的なエピソードが多く、視聴者がキャラクターの生活や仕事の様子を身近に感じることができる点も魅力の一つだ。

「機動警察パトレイバー PATLABOR ON TELEVISION」は、1980年代後半から1990年代初頭のアニメファンにとって特別な存在であり、その後の「パトレイバー」シリーズの展開にも大きな影響を与えた作品である。視聴者は、特車二課のメンバーたちの成長や絆、そして様々な事件や問題に立ち向かう姿を通じて、感動や興奮を味わうことができるだろう。このテレビシリーズは、現在でも多くのファンに愛され続けており、その魅力は永遠に色褪せることはないだろう。

■キャスト

・泉野明／冨永みーな
・篠原遊馬／古川登志夫
・進士幹泰／二又一成
・太田功／池水通洋
・山崎ひろみ／郷里大輔
・香貫花クランシー／井上瑤
・シバシゲオ／千葉繁
・榊精太郎／阪脩
・後藤喜一／大林隆介
・南雲しのぶ／榊原良子

■メインスタッフ

・原作／ヘッドギア
・キャラクター原案／ゆうきまさみ（小学館「週刊少年サンデー」連載）
・脚本／伊藤和典
・キャラクターデザイン／高田明美
・メカニックデザイン／出渕裕
・ゲストメカデザイン協力／佐山善則
・美術／渋谷幸弘、平田秀一(#2）、東潤一(#22)
・音楽／川井憲次
・監督／吉永尚之
・製作協力／サンライズ
・製作／バンダイビジュアル、東北新社

■サブタイトル

・第1話／イングラム起動(1989/10/11)
・第2話／香貫花が来た(1989/10/18)
・第3話／こちら特車二課(1989/11/01)
・第4話／魔の山へ行けっ!(1989/11/08)
・第5話／暴走レイバーX10(1989/11/15)
・第6話／ザ・タワーSOS(1989/11/22)
・第7話／栄光の97式改(1989/11/29)
・第8話／まぼろしの緑(1989/12/06)
・第9話／上陸赤いレイバー(1989/12/13)
・第10話／イヴの罠(1989/12/20)
・第11話／イヴの戦慄(1989/12/27)
・第12話／太田　惑いの午後(1990/01/10)
・第13話／殿下お手柔らかに(1990/01/17)
・第14話／あんたの勝ち!(1990/01/24)
・第15話／歌を唄ったクジラ(1990/01/31)
・第16話／小隊、海を渡る(1990/02/07)
・第17話／目標は後藤隊長(1990/02/14)
・第18話／スキスキ野明先輩(1990/02/21)
・第19話／ジオフロントの影(1990/02/28)
・第20話／黒い胎動(1990/03/07)
・第21話／亡霊（ファントム）ふたたび(1990/03/14)
・第22話／花とレイバー(1990/03/28)
・第23話／香貫花レポート(1990/04/04)
・第24話／さらば香貫花(1990/04/11)
・第25話／春の嵐(1990/04/18)
・第26話／私が熊耳武緒です(1990/04/25)
・第27話／闇に呼ぶ声(1990/05/02)
・第28話／怪しいふたり(1990/05/09)
・第29話／特車二課壊滅す!(1990/05/16)
・第30話／グリフォン参上!(1990/05/23)
・第31話／雨の惨劇(1990/05/30)
・第32話／再会(1990/06/06)
・第32話／再会(1990/06/13)
・第33話／シャフトの犬たち(1990/06/20)
・第34話／城門の戦い(1990/06/27)
・第35話／グリフォン堕つ!(1990/07/04)
・第36話／野明の冒険(1990/07/11)
・第37話／安心売ります(1990/07/18)
・第38話／地下迷宮物件(1990/07/25)
・第39話／量産機計画(1990/08/01)
・第40話／沿岸警備命令(1990/08/08)
・第41話／テロリストを救え(1990/08/15)
・第42話／帰ってきた男たち(1990/08/22)
・第43話／はたらくお嬢さん(1990/08/29)
・第44話／CLATよ永遠に(1990/09/05)
・第45話／職業選択の自由(1990/09/12)
・第46話／その名はゼロ(1990/09/19)
・第47話／コンディション・グリーン(1990/09/26)