『安寿と厨子王丸』の魅力と評価：料理アニメの新たな可能性

『安寿と厨子王丸』：平安時代の姉弟愛を描く東映の名作アニメーション

■公開メディア

劇場

■原作メディア

小説

■公開日

1961年07月19日 ～ 0000年01月01日

■配給会社

東映

■映倫番号

12085

■分数

83分

■話数

1話

■原作

森鴎外

■制作

東映動画

■著作

©東映

■ストーリー

時は平安時代、陸奥の国を治める岩木判官は、鬼倉陸奥守に身に覚えのない罪をきせられ罰せられてしまう。残された母、安寿、厨子王丸は、鬼倉の迫害から逃れ越後まで来たが人買いに騙され親子は離れ離れに。安寿と厨子王丸は、強欲非情な山椒太夫に売られ辛い日々を送るが、姉・安寿の身を挺した助けにより弟の厨子王丸は山椒太夫から逃れる。そして関白の庇護のもとで立派に成長した厨子王丸は、出世して陸奥守となるや母の消息を求めて佐渡に渡り、ようやく再会を果たすのであった。

■解説

森鴎外の「山椒大夫」を原作に田中澄江が脚色した、東映創立10周年記念作品で色彩長篇漫画の第四作。古来より伝わる伝承を題材に、美しくけなげな姉弟愛をうたいあげた名篇。東映スターを登場人物のモデル兼声優として配し、人物モデルの演技を参考にアニメーション作画を行う「ライブ・アクション方式」を一部採用している。大和絵を思わせる格調高い画面作り、日本人の繊細な感性や彩りに満ちた美意識、そして深い精神性をわかりやすく伝えてくれる、詩情に満ちた傑作となった。

■キャスト

・安寿／佐久間良子
・厨子王丸(少年時代)／住田知仁
・厨子王丸(青春時代)／北大路欣也
・岩本判官／宇佐美淳也
・八汐／山田五十鈴
・山椒太夫／東野英治郎
・次郎／平幹二朗
・三郎／水木襄
・藤原師実／山村聡
・あや姫／松島トモ子
・鬼倉陸奥守／三島雅夫
・安藤左内／花沢徳衛
・菊乃／利根はる恵
・権六／富田仲次郎
・山岡太夫／永田靖
・甚八／清村耕次
・辰公／潮　健児
・門番／織田政雄
・和尚／明石潮
・あや姫の侍女／新井茂子
・ならず者／森弦太郎
・使者／増田順司
・チョン子／武藤礼子
・モク／大平透

■メインスタッフ

・製作／大川博
・企画／高橋勇
・製作進行／茂呂清一
・脚本／田中澄江
・動画監修／山本早苗
・演出／藪下泰司、芹川有吾
・原画／大工原章、森康二、大塚康生、古沢日出夫、熊川正雄、楠部大吉郎
・動画／紺野修司、喜多真佐武、奥山玲子、永沢詢、寺千賀雄、吉田迪彦、杉山卓、堀川豊平
・美術／鳥居塚誠一
・背景／浦田又治、横井三郎、千葉秀雄
・色彩設計／小山礼司
・トレース／進藤みつ子、本橋文枝、宮崎正子、吉田信子
・彩色／林冨喜子、川島純子、中島祥子
・仕上検査／新納三郎
・撮影／大塚晴郷、中村一雄、東喬明
・編集／宮本信太郎、稲葉郁三
・音楽／木下忠司、鏑木創
・録音／空閑昌敏 森　武
・音響効果／木村一
・考証／蕗谷虹児
・製作／東映動画


・主題歌
「子を恋うる歌」
作詞／木下忠司
歌／松島トモ子、能沢桂子、コーロステルラ合唱団

■メインキャラクタ

・安寿
弟思いの気品高い美しい娘。人買いにだまされ、弟の厨子王丸と共に山椒大夫に売られてしまった。

・厨子王丸
安寿の弟で、素直で強い心を持った少年。動物とふれあうのが大好きで、子熊、犬、ネズミといった仲間たちに何度も窮地を救われる。

・岩本判官
陸奥の国の判官を務める安寿と厨子王丸の父親。正義感の強さと温厚な人柄でみんなに好かれていたが、鬼倉の反感を買い、あらぬ罪を着せられ九州に流されてしまう。

・山椒太夫
由良の地で権勢を誇る百万長者。冷酷非道な守銭奴で、人々を奴隷のように働かせながら豪華な館を新築を企む。安寿と厨子王丸を買い入れ、苦しみを与え続ける。

・鬼倉陸奥守
陸奥の国を治める男で、岩木判官の上役。権力をかさにきた粗暴な男。安寿を妻にしようとするが、その願いが叶わなかったことで自分の罪を岩木判官になすりつけ、島流しにする。

■主題歌・楽曲

・主題歌
・作詞／木下忠司
・歌／松嶋トモ子、能沢桂子、コーロ・ステルラ合唱団

『安寿と厨子王丸』の魅力と評価

『安寿と厨子王丸』は、1961年に公開された東映の長編アニメーション映画であり、森鴎外の小説「山椒大夫」を原作にしています。この作品は、東映創立10周年を記念して制作されたもので、色彩長篇漫画の第四作としても知られています。平安時代の姉弟愛を描いたこの作品は、その美しいビジュアルと深いストーリーで多くの観客を魅了しました。

ストーリーは、陸奥の国を治める岩木判官が、鬼倉陸奥守の策略により罪を着せられ流されてしまうところから始まります。残された母と子たちは、鬼倉の迫害から逃れるため越後へ向かいますが、人買いに騙され、安寿と厨子王丸は山椒太夫に売られてしまいます。姉弟は過酷な生活を強いられますが、安寿の献身的な愛により、厨子王丸は逃げることができ、関白の庇護のもとで成長します。やがて陸奥守となった厨子王丸は、母の消息を求めて佐渡へ渡り、再会を果たすという感動的な結末を迎えます。

この作品の最大の魅力は、姉弟の絆を描いた美しい物語と、それを支えるビジュアルの美しさです。特に、安寿の気品高さと厨子王丸の純粋さが描かれるシーンは、観客の心を深く打つことでしょう。また、動物たちとの交流や自然の描写も、平安時代の風情を感じさせ、作品全体に詩情を与えています。

制作面では、東映スターをモデルに声優として起用し、その演技を参考にアニメーションを制作する「ライブ・アクション方式」を一部採用した点が特筆されます。これにより、キャラクターのリアルな感情表現が可能となり、物語の深みを増しています。また、大和絵を思わせる格調高い画面作りや、日本人の繊細な感性や美意識を反映した色彩設計も、作品の魅力を高めています。

キャスト面では、安寿役の佐久間良子、厨子王丸役の住田知仁と北大路欣也、山椒太夫役の東野英治郎など、豪華な顔ぶれが揃っています。彼らの声優としての演技も、作品の質を高める重要な要素となっています。

スタッフ面では、脚本を担当した田中澄江、音楽を担当した木下忠司、鏑木創など、各分野のエキスパートが集結しています。特に、木下忠司の音楽は、作品の情感を引き立てる重要な役割を果たしています。また、主題歌「子を恋うる歌」は、松島トモ子、能沢桂子、コーロステルラ合唱団による美しい歌声で、物語の感動をさらに深めています。

『安寿と厨子王丸』は、平安時代の姉弟愛を描いた美しい物語と、ビジュアルの美しさ、そして豪華なキャストとスタッフによる高い制作クオリティが評価され、多くの観客から愛されました。この作品は、古来より伝わる伝承を基にしたストーリーと、日本人の感性や美意識を反映したビジュアルで、詩情に満ちた傑作として今もなお多くの人々に愛されています。

『安寿と厨子王丸』の推薦ポイント

『安寿と厨子王丸』は、平安時代の姉弟愛を描いた美しい物語と、ビジュアルの美しさが魅力の作品です。以下に、この作品を推薦するポイントを挙げます。

1. 美しいビジュアル

大和絵を思わせる格調高い画面作りや、日本人の繊細な感性や美意識を反映した色彩設計が、作品全体に詩情を与えています。特に、自然の描写や動物たちとの交流シーンは、平安時代の風情を感じさせ、観客を引き込むことでしょう。

2. 感動的なストーリー

姉弟の絆を描いた美しい物語は、観客の心を深く打つことでしょう。安寿の献身的な愛と、厨子王丸の成長、そして母との再会という感動的な結末は、多くの人々に感動を与えます。

3. 豪華なキャストとスタッフ

佐久間良子、住田知仁、北大路欣也、東野英治郎など、豪華なキャストが揃っています。また、脚本を担当した田中澄江、音楽を担当した木下忠司、鏑木創など、各分野のエキスパートが集結しており、作品の質を高めています。

4. 歴史的価値

東映創立10周年記念作品であり、色彩長篇漫画の第四作としても知られるこの作品は、歴史的価値も高いです。古来より伝わる伝承を基にしたストーリーは、日本文化の深みを感じさせます。

5. 音楽の美しさ

木下忠司の音楽は、作品の情感を引き立てる重要な役割を果たしています。また、主題歌「子を恋うる歌」は、松島トモ子、能沢桂子、コーロステルラ合唱団による美しい歌声で、物語の感動をさらに深めています。

以上のポイントから、『安寿と厨子王丸』は、美しいビジュアルと感動的なストーリー、豪華なキャストとスタッフ、歴史的価値、そして音楽の美しさを兼ね備えた、詩情に満ちた傑作として推薦します。この作品をまだ見たことがない方は、ぜひ一度鑑賞してみてください。きっとその美しさと感動に心を打たれることでしょう。