ちんころ平平玉手箱：ユニークなストーリーとキャラクターの魅力に迫る

ちんころ平平玉手箱 - チンコロヘイベイタマテバコ

■公開メディア

劇場

■原作メディア

アニメオリジナル

■公開日

1936年

■分数

8分

■話数

1話

■監督

大藤信郎

■制作

千代紙映画社

■ストーリー

ある春の日、昼寝の夢を亀に破られた“ちんころ平々”は、かんかんに怒って逃げる亀を竜宮城まで追いかける。竜宮城では玉手箱の虫干し中。箱の中から沢山の小ガニが現れ、紙を切抜き魚を作っていた。面白そうなので城内へ入ろうとすると、門番に陸の者は入れないと阻止される。どうにかして入りたいと、一匹の魚の皮をはぎ取り、魚に化けて竜宮城へ入り玉手箱を盗み出し、魚の追跡を振り切って逃げ帰る。玉手箱を開けてみると中から出てきたのはタコ入道で、散々な目にあい玉手箱も奪い返される。

■解説

平々が竜宮城から玉手箱を盗み出す。紙が魚に、魚が蛸に、猫が魚に、鯨が“鯨バス”に。キャラが変身する面白さと共に、全篇にギャグがリズミカルにはじける傑作。

■詳細な評測

1936年に公開された「ちんころ平平玉手箱」は、千代紙映画社によって制作された短編アニメーションであり、その独特なギャグと変身の面白さが特徴的な作品です。この作品は、監督の大藤信郎の才能が存分に発揮された一作であり、当時の日本アニメーション映画界に新たな風を吹き込んだと言えます。

ストーリーは、昼寝の夢を亀に破られたちんころ平々が、怒りに任せて亀を追いかけるところから始まります。亀を追いかけて竜宮城にたどり着いた平々は、そこで玉手箱の虫干しが行われているのを目撃します。箱の中から出てきた小ガニたちが紙を切って魚を作っている姿に興味を引かれた平々は、どうにかして城内に入ろうとします。しかし、門番に陸の者は入れないと阻止され、魚の皮をはぎ取って魚に化け、玉手箱を盗み出すという展開は、視聴者を驚かせるだけでなく、笑いを誘う要素も満載です。

この作品の最大の魅力は、キャラの変身とギャグのリズム感です。紙が魚に、魚が蛸に、猫が魚に、鯨が“鯨バス”に変わるという一連の変身シーンは、視覚的な面白さだけでなく、ストーリーの進行にスピード感を与えています。また、全篇に散りばめられたギャグは、視聴者を飽きさせず、笑いの連続で楽しませてくれます。これらの要素が組み合わさることで、「ちんころ平平玉手箱」は、短い時間の中で最大限のエンターテイメントを提供しています。

監督の大藤信郎は、この作品でアニメーションの可能性を広げました。彼の独特な視点とユーモアは、当時の視聴者に新鮮な驚きを与え、後のアニメーション作品にも大きな影響を与えました。特に、キャラの変身やギャグのリズム感は、後のアニメーション作品でも多く見られるようになりました。

また、千代紙映画社の制作技術も見逃せません。当時の技術では難しかったであろう変身シーンやギャグの描写を、巧みに表現することで、視覚的な面白さを最大限に引き出しています。これらの技術的な工夫が、「ちんころ平平玉手箱」を一層魅力的な作品に仕上げています。