『バビロン』レビュー：深遠なテーマと緻密なストーリーテリングが魅力のSFサスペンス

バビロン - 深淵の謎と人間の本質を問う衝撃作

■概要

『バビロン』は、野崎まどによる小説を原作としたTVアニメシリーズで、2019年10月7日から2020年1月29日まで放送されました。全12話、各話30分の構成で、TOKYO MXとAT-Xで放送されました。アニメーション制作はREVOROOTが担当し、監督は鈴木清崇が務めました。原作の深いテーマと緻密なストーリーテリングを映像化した本作は、視聴者に強烈な印象を与えました。

■ストーリー

『バビロン』の物語は、東京地検特捜部の検事・正崎善が製薬会社の不正事件を追うことから始まります。彼は捜査の過程で奇妙な書面を発見し、その書面には毛や皮膚の混じった血痕とアルファベットの『F』の文字が記されていました。この謎の書面を手掛かりに捜査を進める正崎は、信じがたい光景に直面します。同じ頃、東京都西部では『新域』という新たな独立自治体が誕生しようとしていました。正崎が事件の謎を追ううちに、次第に巨大な陰謀が見え始めます。

第2章では、新域域長・齋開化による『自殺法』宣言と64人の同時飛び降り自殺が起こり、日本を震撼させます。正崎はこの事件の真相を追うため、後任の検察事務官・瀬黒陽麻と共に捜査を進めます。法務省、検察庁、警視庁をまたいだ機密捜査班が組織され、事件の鍵を握る女・曲世愛の調査も進められますが、その先にはさらなる絶望が待っていました。

第3章では、新域での自殺法の運用が本格化しようとする中、齋拉致計画の一件で捜査班全員の死に直面した正崎は、絶望の淵に立たされます。彼は「最悪の女」曲世愛を再び追い、正義と悪とは何かを己に問い続けながら、物語はクライマックスへと向かいます。

■解説

『バビロン』は、生きることが善いことという常識が覆される時代を描いた作品です。原作者・野崎まどの衝撃的な物語は、禁断の映像化としてアニメ化されました。作品は、人間の本質や社会の矛盾を深く掘り下げ、視聴者に多くの問いを投げかけます。特に、自殺法というテーマは非常にセンシティブでありながら、物語の中心に据えられ、視聴者に強いインパクトを与えました。

■キャスト

本作のキャストは豪華で、各キャラクターの個性を引き立てています。主人公・正崎善を中村悠一が演じ、冷静で鋭い捜査官としての魅力を引き出しました。九字院偲役の櫻井孝宏は、飄々とした刑事のキャラクターを絶妙に演じ、文緒厚彦役の小野賢章は、軽口をたたくが根は真面目な検察事務官を好演しました。瀬黒陽麻役のM・A・Oは、クールな性格を表現し、守永泰孝役の堀内賢雄は、特捜部の部長としての威厳を感じさせました。半田有吉役の興津和幸、野丸龍一郎役の宝亀克寿、齋開化役の置鮎龍太郎も、それぞれのキャラクターを深く演じています。

■メインスタッフ

原作は野崎まどの「バビロン」シリーズ（講談社タイガ刊）で、監督は鈴木清崇が務めました。キャラクター原案はざいん、キャラクターデザインは後藤圭佑、音楽はやまだ豊が担当し、アニメーション制作はREVOROOT、製作はツインエンジンが手掛けました。各スタッフの力が結集し、原作の世界観を忠実に再現した映像作品が完成しました。

■メインキャラクタ

正崎善は、FBI特別捜査官として世界各地で起きる自殺法導入都市の発生に曲世愛が関わっているとみて、検事の職を捨て日本を出たキャラクターです。九字院偲は、多摩東中央警察署の警部補で、飄々とした刑事ながら仕事はかなりの切れ者です。文緒厚彦は、東京地検特捜部の検察事務官で、軽口をたたくが根は真面目な人物です。瀬黒陽麻は、東京地検特捜部の検察事務官で、クールな性格の持ち主です。守永泰孝は、東京地検特捜部の部長で、特捜のトップとして正崎達に事件の捜査を指示します。半田有吉は、恒日新聞の記者で、正崎の大学時代の親友です。野丸龍一郎は、自明党幹事長で、現与党の重鎮として域長選挙の立候補者の中で大本命と見られています。齋開化は、元相模原市議で、域長選挙の出馬最年少候補として注目を浴びています。

■サブタイトル

各話のサブタイトルは以下の通りです。

• 第1話／「疑惑」(2019/10/07)
• 第2話／「標的」(2019/10/14)
• 第3話／「革命」(2019/10/21)
• 第4話／「追跡」(2019/10/28)
• 第5話／「告白」(2019/11/04)
• 第6話／「作戦」(2019/11/11)
• 第7話／「最悪」(2019/11/18)
• 第8話／「希望」(2019/12/30)
• 第9話／「連鎖」(2019/01/07)
• 第10話／「決意」(2019/01/14)
• 第11話／「開幕」(2019/01/21)
• 第12話／「終」(2019/01/28)

■主題歌・楽曲

本作の主題歌は、第1章で使用された「Live and let die」（作詞・作曲：Q-MHz、編曲：月蝕會議、歌：Q-MHz feat. uloco.）、第2章で使用された「イノチ食ム魂」（作詞・作曲・編曲：Q-MHz、歌：Q-MHz feat. Mikako Komatsu）、第3章で使用された「The next new world that no one knows(blood stained ver.)」（作詞・作曲：Q-MHz、編曲：伊藤翼、歌：Q-MHz feat. *Namirin）です。これらの楽曲は、物語の展開に合わせて視聴者の感情を引き立てる重要な役割を果たしました。

■評価と感想

『バビロン』は、その独特なテーマと緻密なストーリーテリングで多くの視聴者を引きつけました。特に、自殺法というセンシティブなテーマを扱いながらも、視聴者に深い洞察を与える点が評価されています。キャラクターの描写も非常にリアルで、各々の葛藤や成長が丁寧に描かれています。また、豪華なキャスト陣とスタッフの力が結集した映像美も見逃せません。

しかし、一部の視聴者からは、物語の展開が難解で理解しづらいという意見もありました。特に、第2章以降の展開は急速に複雑化し、視聴者によっては追いつくのが難しかったようです。また、自殺法というテーマが重すぎるという意見もあり、視聴者によっては苦痛を感じることもあるかもしれません。

■推薦ポイント

『バビロン』は、深いテーマと緻密なストーリーテリングを楽しみたい視聴者に強く推薦します。特に、社会の矛盾や人間の本質について考えさせられる作品を好む方には必見です。また、豪華なキャスト陣とスタッフの力が結集した映像美も見逃せません。ただし、物語の展開が難解で理解しづらい部分があるため、じっくりと時間をかけて視聴することをお勧めします。

■関連作品

『バビロン』のような深いテーマと緻密なストーリーテリングを楽しみたい方には、以下の作品もお勧めです。

• 『PSYCHO-PASS サイコパス』：社会の矛盾と人間の本質を描いたSFサスペンス
• 『デスノート』：死神のノートを使って人間の命を奪う物語
• 『ギルティクラウン』：ウイルスによって崩壊した世界を舞台にしたアクション

■結論

『バビロン』は、その独特なテーマと緻密なストーリーテリングで多くの視聴者を引きつけた作品です。特に、自殺法というセンシティブなテーマを扱いながらも、視聴者に深い洞察を与える点が評価されています。キャラクターの描写も非常にリアルで、各々の葛藤や成長が丁寧に描かれています。また、豪華なキャスト陣とスタッフの力が結集した映像美も見逃せません。ただし、物語の展開が難解で理解しづらい部分があるため、じっくりと時間をかけて視聴することをお勧めします。深いテーマと緻密なストーリーテリングを楽しみたい視聴者には、ぜひ一度視聴してみてほしい作品です。