「もーれつア太郎」第1期の魅力と評価:古き良きギャグアニメの再発見

「もーれつア太郎」第1期の魅力と評価:古き良きギャグアニメの再発見

もーれつア太郎:赤塚不二夫のギャグアニメの金字塔

1969年から1970年にかけて放送された『もーれつア太郎』は、赤塚不二夫の原作によるギャグアニメとして、その独特のユーモアとキャラクターたちの魅力で多くの視聴者を虜にした作品です。このアニメは、原作漫画の世界観をさらに広げ、テレビアニメシリーズとして90話にわたって展開されました。ここでは、その魅力と詳細を深く掘り下げてみましょう。

■作品概要

『もーれつア太郎』は、下町の八百屋「八百×(バツ)」の主人、×五郎が亡くなったことから始まります。親一人子一人の家族だったため、一人息子のア太郎は天涯孤独の身となりますが、自分を慕う弟分のデコッ八と共に、父の残した店を懸命に切り盛りしていく姿を描いています。ア太郎の周りには、おかしな人物や動物たちが集まり、彼の毎日は何かと騒がしいものです。シリーズ後半では、ニャロメをはじめとするサブキャラクターたちによる、パワフルなナンセンスギャグエピソードが中心となります。

■放送情報

『もーれつア太郎』は、1969年4月4日から1970年12月25日まで、NET(現在のテレビ朝日)で放送されました。全90話で構成され、最初の77話はモノクロ、残りの13話はカラーで制作されました。各話30分の放送時間で、視聴者を楽しませました。

■制作背景

原作は、赤塚不二夫が『天才バカボン』の大ヒット後に、ライバル雑誌「週刊少年サンデー」に連載を開始したギャグ漫画です。『天才バカボン』や『おそ松くん』のキャラクターも登場し、原作漫画のギャグテイストをさらにパワーアップしたアニメオリジナルストーリーを多数生み出しました。制作は、東映動画(現在の東映アニメーション)が13話まで担当し、その後は東映とNETが共同で制作しました。

■主要キャラクター

ア太郎:情に厚く、弱きを助け強きをくじく江戸っ子気質の少年。母とは生誕してまもなく死別し、父の死後、八百屋の八百×を継ぎます。
デコッ八:突き出した額といがぐり頭が特徴のア太郎の弟分。一本気な性格で、はじめはア太郎に嫌がらせをしていたが、父の遺した店を続けていこうという彼の気概に惚れ込み、八百×で働きだします。
×(バツ)五郎:八百×の店主で、ア太郎の父。不良の事故で死亡するも、天国役場のミスによって下界へと舞い戻り、息子を見守ります。その姿はア太郎以外の人には見えません。
ブタ松:豚と共に暮らす元やくざの親分で、デコッ八を慕います。背中に豚の入れ墨をしています。
神様:さまざまな術を使うことのできる天国の老人。×太郎と親しく、よく下界に遊びに来ます。
ニャロメ:毛虫のケムンパスや蛙のべしと一緒に暮らす野良猫。「オレと結婚しろニャロメ!」と、やたらと人間の女性に迫ります。
ココロの親分:狸にそっくりで尻尾まで生えているギャングのボス。ひよこのピヨコを溺愛し、自分のことをポックンと称します。

■キャストとスタッフ

キャストには、山本圭子がア太郎、加藤みどりがデコッ八、永井一郎が×五郎、富田耕吉がブタ松、神山卓三が神様、大竹宏がニャロメ、八奈見乗児がココロの親分を演じています。スタッフには、原作の赤塚不二夫をはじめ、企画の大沼克之、飯島敬、原徹、製作担当の江藤昌治、脚本の辻真先、雪室俊一、小沢洋、演出の山口康男、高畑勲、西沢信孝、美術の横井三郎、下川忠海、穂積勝義、編集の鈴木寛、花井正明、千蔵豊、古村均、録音の神原宏巳、波多野勲、荒川文雄、石井幸夫、小西進、二宮健治、音楽のいずみたく、現像の東映化学、製作のNET・東映動画が名を連ねています。

■エピソードとストーリー

『もーれつア太郎』のエピソードは、90話にわたって展開され、各話ごとに異なるギャグやストーリーが描かれています。初期のエピソードでは、ア太郎とデコッ八の奮闘や、×五郎の幽霊としての活躍が中心でした。後半のエピソードでは、ニャロメやココロの親分といったサブキャラクターが主役となり、ナンセンスなギャグが繰り広げられました。以下にいくつかのエピソードを紹介します。

  • 第1話「もーれつ息子とグータラ親父」「もーれつワンワン大暴れ」:ア太郎と×五郎の関係性や、八百×の日常が描かれます。
  • 第10話「もーれつかあちゃんやってきた」「ブタ松のもーれつお嫁さん」:ア太郎の母が登場し、家族の絆が描かれます。
  • 第23話「もーれつ親分その名はココロ」「もーれつかわいいピヨコちゃん」:ココロの親分とピヨコの関係性が描かれます。
  • 第45話「禁じられた恋ニャロメ」「かけた情が仇ニャロメ」:ニャロメの恋愛模様が描かれます。
  • 第76話「おれと結婚しろニャロメ」「あこがれのニャロメべし」:ニャロメの結婚願望が描かれます。

■関連作品

『もーれつア太郎』は、劇場作品としても2本が公開されました。1969年7月20日公開の『もーれつア太郎』と、1970年7月19日公開の『もーれつア太郎 ニャロメの子守歌』です。また、続編として『もーれつア太郎』(第2作)が制作されました。これらの作品も、原作のギャグテイストを引き継ぎつつ、新たなストーリーとキャラクターを展開しています。

■主題歌と楽曲

『もーれつア太郎』の主題歌は、オープニングが「もーれつア太郎」、エンディングが「江戸っ子のスキャット」です。両曲とも作詞は河内洋、作曲はいずみたくが担当し、オープニングは桂京子、エンディングはハニーナイツが演奏しました。また、劇中では「モーレツ音頭」と「ニャロメのうた」も使用され、これらの曲も河内洋の作詞、いずみたくの作曲で、加藤みどりとハニーナイツ、大竹宏が演奏しています。これらの楽曲は、アニメの雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。

■評価と影響

『もーれつア太郎』は、赤塚不二夫のギャグアニメとして高い評価を受けました。特に、キャラクターの個性やギャグのテンポ感は、視聴者に強い印象を与えました。また、モノクロからカラーへの移行という制作上の変化も話題となりました。この作品は、後のギャグアニメに大きな影響を与え、赤塚不二夫の名を一層高めることとなりました。

■推薦ポイント

『もーれつア太郎』は、ギャグアニメの金字塔として、多くのファンに愛されています。特に、以下のポイントが推薦ポイントとして挙げられます。

  • キャラクターの個性:ア太郎、デコッ八、ニャロメなど、個性的なキャラクターが多数登場し、それぞれの魅力が際立っています。
  • ギャグのテンポ感:ナンセンスなギャグが次々と展開され、視聴者を飽きさせません。
  • 音楽:主題歌や劇中歌がアニメの雰囲気を盛り上げ、視聴体験を豊かにします。
  • 制作の変遷:モノクロからカラーへの移行という制作上の変化が見られ、視覚的な楽しみも提供します。

■まとめ

『もーれつア太郎』は、赤塚不二夫のギャグアニメとして、その独特のユーモアとキャラクターたちの魅力で多くの視聴者を虜にした作品です。90話にわたるエピソードは、初期の家族の絆や奮闘から、後半のナンセンスなギャグまで、多彩なストーリーを展開しました。キャストやスタッフの力もあり、作品は高い評価を受け、後のギャグアニメに大きな影響を与えました。主題歌や劇中歌もアニメの雰囲気を盛り上げ、視聴体験を豊かにしました。『もーれつア太郎』は、ギャグアニメの金字塔として、今後も多くのファンに愛され続けることでしょう。

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